表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狂乱の失楽園  作者: やばくない奴
ディカルト
38/43

人質

 それはとある遺跡でのことだった。そこでは壮介(そうすけ)が柱に縛り付けられており、ディカルトに監視されていた。ここで一つ、壮介は疑問を抱く。

「何故、俺を殺さない? バーサーカーウィルスへの抗体を持つ俺は、君にとって邪魔な存在のはずだ」

 この数日間、春樹たちはバーサーカー狩りに勤しんでいた。ディカルトには、彼を殺す機会などいくらでもあったはずである。しかしジェネス星人にも、合理に沿わない私情はある。ディカルトの行動もまた、そうした私情を交えたものに他ならない。

「お前を殺すなら、アイツらの目の前じゃないとつまらんだろう。それにお前には、まだ人質としての利用価値がある。最高の悲劇を演出してもらうぞ、壮介」

 その強さゆえの余裕からか、彼はイデア隊との戦いを楽しんでいた。その態度を前にして、壮介は憤る。

「地球人をなめてもらっては困る。春樹(はるき)たちなら、絶対に俺を救い出せる! 俺は、アイツらを信じる!」

「友情としては上出来だねぇ。だが今の戦況を見て、お前らに勝ち目があると思っているのか? 信じる気持ちは美しいが、ただそれだけだ。石ころがダイヤモンドに変わったところで、それが世界を救う道理はない」

「違う! 俺たちが今まで戦ってこられたのも、仲間を信じる心があったからだ!」

 彼はそう返したが、それで戦況が変わるわけではない。しかし負けん気の強い彼は、引くに引けない状態だ。


 その時だった。


 突如彼らの目の前に、空間の裂け目のようなものが生まれた。そこから姿を現したのは、春樹と和希(かずき)である。

「今度こそ決着をつけよう……ディカルト」

「オレたちを怒らせたこと、後悔させてやる!」

 バーサーカー狩りによって力をつけた彼らは、自信に満ち溢れていた。さっそく二人は各々の武器を装備し、ディカルトとの間合いを一気に詰める。空間を切り裂く剣と一撃必殺のグローブは猛威を振るい、周囲に衝撃波をまき散らしていく。

「ほう……少しは腕を上げたではないか。だが俺をもてなすには、少々物足りないねぇ」

 成長した二人の猛攻撃を浴びてもなお、ディカルトは動じなかった。彼が全身から紫色の光を放つと同時に、春樹たちは後方へと吹き飛ばされる。ディカルトは二人に分身し、瞬時に彼らの背後を取った。直後、春樹と和希は上空へと蹴り上げられてしまう。ディカルトはすぐに分身を解き、空に向かって光線を放った。春樹は咄嗟に剣を振り、空間に穴を開けることで自分たちの身を守る。ディカルトはそんな彼らの頭上に回り込み、強烈な蹴りをお見舞いした。春樹たちは地面に叩きつけられ、その場には大きなクレーターが生まれた。ディカルトは瞬間移動によって地上に降り立ち、妙な話を切り出す。

「取引をしないか? 春樹。和希」

 思わぬ提案に、春樹と和希は首を傾げる。

「取引……だと?」

「一体、どういうつもりだ!」

 彼らがそう訊ねた直後、ディカルトは壮介の方に目を遣った。柱に縛り付けられている壮介は、鋭い眼光で宿敵を睨みつけている。そんな彼に構うことなく、ディカルトは本題に入る。

「春樹も和希も、俺にとってはまだ必要な人材だ。そう簡単に殺したくはない。そこで……だ。壮介の命が惜しければ、俺に忠誠を誓うが良い。もっとも、お前らが抗体を使おうとした暁には、その命をもって償ってもらうがねぇ」

 この男が壮介を生かしておいたことは、ここで役立ったようだ。春樹たちはすでに満身創痍だったが、決して戦意を失ってはいない。

「その話には応じない。だって、僕と和希は……」

「ヒーローだからな!」

 二人は互いの拳をぶつけ合い、不敵な笑みを浮かべた。同時に、春樹の携えるゾディアックの刀身は眩い光を放った。

「完成したよ……僕の武器が」

 そう言い放った春樹は、勝利を確信していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ