巨大ロボット
巧の答えは決まっていた。
「無駄だ。バーサーカーとそうでない者に、共存できる未来などない!」
そう叫んだ彼は、すぐにヌンチャクを生み出した。当然、まだ用件を話していない壮介は、困惑するばかりである。
「まだ何も話していないだろ! バーサーカーウィルスは、ジェネス星人が地球人を滅ぼすために地球にばら撒いたものだ!」
彼はそう訴えたが、巧は納得などできなかった。
「そうか。だが、そんなことはどうでも良い! この世界の連中は我々を迫害し続けた――――その事実が揺らぐことなどない!」
「だったら、君は俺の敵だな」
壮介は高圧電流をまとったワイヤーを生み出し、それを前方へと発射した。彼に続き、霞海たちも各々の武器を装備する。
いよいよ、巧との戦いが始まる。
「同胞とて容赦はしないぞ……春樹! 壮介ぇ!」
巧は先ず、ヌンチャクでワイヤーを弾いた。次に彼は壮介との間合いを詰め、勢いよく鎖を振る。霞海はその隙を狙い、巧の背中を狙撃しようと試みた。しかしそこには盾が生成され、彼女の放った光弾はいとも簡単に弾かれてしまう。そしてその間にも、巧は着実に壮介との間合いを縮めている。
「まずい……!」
壮介は即座にワイヤーを作り、その先端を近くのビルの配管に括りつけた。彼はそのワイヤーを瞬時に縮めることにより、その場からなんとか脱け出した。
「……!」
巧が呆気に取られたのも束の間だった。彼の目の前に、一本の剣と一つの拳が飛び込んできた。
「今だ……」
「食らいやがれ!」
春樹と和希だ。巧は咄嗟に盾を作り、二人の攻撃を受け止めた。
四人がかりで力を合わせてもなお、この男を止めるのは難しそうだ。
しかし霞海には考えがあった。
「一人一人の力だけではダメだ。我々の力を合わせ、巨大ロボットを作るぞ!」
そう言い放った彼女は、少し楽しそうな顔をしていた。意外にも、彼女は巨大ロボットの類にも興味を示しているようだ。四人はすぐに一ヶ所に集まり、手を重ねた。彼女たちの目の前に、巨大なロボットが生み出される。
「アタシが名付け親になっても良いかな?」
霞海は訊ねた。
「ご勝手に」
そう答えた春樹は、少々呆れた様子だった。霞海は巧を指差し、大声を張り上げる。
「行け! アイアンデウス! ライト・オブ・レイジだ!」
アイアンデウスと名付けられた巨大ロボットはすぐに動き出し、凄まじい火力の光線を放った。巧は光線を浴び、全身を勢いよく焼かれていく。
「まだだ……おじさんは、ここで死ぬわけには……!」
彼は必死に生にしがみついた。しかし光線の威力に耐えきれず、彼はその場から動き出すこともできなかった。
その時である。
「少年のロマンとしては上出来だねぇ」
突如その場に、あの憎きディカルトの声が響き渡った。
直後、アイアンデウスは爆破され、光線は止まった。巧の背後に姿を現したのは、テレポートによってその場に赴いたディカルトだ。
「ディカルト……!」
イデアは彼を睨みつけた。ディカルトは巧の左肩に手を置き、低い声で囁く。
「デリバリーサービスだ。俺の力の一部を受け取ると良い」
その手から、再び紫色の光を帯びた煙が放たれる。先ほどまで満身創痍だった巧は、すぐに無傷の状態にまで回復した。
その光景を前に、和希は憤る。
「ふざけんな! 何がゲームだ! 向こうに肩入れしやがって!」
「クックック……お前らは四人がかりだろう? こうでもしないと、ゲームはフェアにならない」
「ちっ……減らず口を!」
彼がいくら文句を言おうと、今回の標的の力が強化された事実は変わらない。巧は不敵な笑みを浮かべ、今度は機械の竜をその場に生み出した。その体長は、実に十メートルにも及ぶ。
「さあ、ここからが正念場だ。やれ」
彼の指示に従い、機械の竜はおもむろに動き始めた。




