表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/43

真実

 その日の昼、ディカルトの同胞と思しき女は、ジャッカル隊の基地に赴いた。彼女が敵か味方か――――それは霞海(かすみ)たちにはまだわかり得ないことだ。彼女は来客用の椅子に腰を降ろし、自己紹介をする。

「ウチはジェネス星から来たイデア。キミたちから見たら、宇宙人だね」

 どうやら彼女は、少なくともディカルトと同じ地球外生命体らしい。緊迫した空気の中、霞海だけは目を輝かせていた。

「え? 宇宙人? 日本語上手だね! ジェネス星の文明ってどれくらいのレベルなの? 地球に来た理由は? 地球の食べ物で好きなのとかある?」

 妙に食い気味だ。とてもではないが、いつもの彼女から想像のつく姿ではない。春樹(はるき)は少し呆れ、彼女を制止する。

「隊長。あまり宇宙人を困らせるものじゃないよ」

「おっと、すまないね。こう見えてもアタシは、宇宙人やUMA、オーパーツなどの類が大好きなんだ。あ、神や幽霊は信じてないよ? だけど宇宙人やUMAは、その存在を科学では否定しきれないんだ。それになんといっても……」

「静かに。これじゃイデアの話を聞けないよ」

 いつになくテンションの高い霞海に、彼は呆れるばかりだった。気を取り直し、イデアは話の本題に入る。

「バーサーカーウィルスは、ジェネス星人が地球を支配するためにばら撒いたものなんだ。もちろんウチは反対したけれど、国の決めたことはウチ一人では覆せなくてね。だけどキミたちと協力すれば、我々が地球人と共存できる可能性があると見たんだ」

「うん、うん。アンタは良いジェネス星人で、悪いジェネス星人たちがアタシたちをこんな目に遭わせたんだね!」

 かろうじて聞き手に回っている霞海だが、依然としてその気分は高揚しているままだ。そんな彼女に対し、イデアは過酷な現実を突きつける。

「ヴィクト――――その名前の本当の意味は犠牲者(ヴィクティム)。ヴィクトはバーサーカーウィルスに感染したまま、それを無自覚に体内で培養したり変異させたりするんだ」

 その言葉に、霞海の表情は一変した。和希(かずき)は近くの壁を殴り、怒りを露わにする。

「ふざけんな! オレたちはバーサーカーウィルスと戦っていた一方で、むしろ感染の拡大に利用されてきたってことかよ!」

 彼が憤ったのも無理はない。ヒーローに憧れ、決死の覚悟で手術を受けた彼が、実際には凶悪な宇宙人の駒にされていたのだ。重苦しい空気が立ち込める中、イデアは淡々と話を続ける。

「その通り。ウチはこんな悲劇が起こらないよう、必死に母星の連中と戦ってきたんだけどね……『あの男』の手によって異空間に封印されて、今からさかのぼること五年間は自由に動けなかったんだ」

「あの男……?」

「ディカルト――――この星では、天宮優也(あまみやゆうや)という男性に擬態しているジェネス星人だね。ディカルトは優也を殺し、自分が優也に成り代わることでこの星に溶け込んでいたんだ。元々、バーサーカーウィルスを撒いて地球を支配するというのも、彼の出した案だった」

「先生が……オレたちの敵だってのか?」

「とにかく、伝えたいことは伝えたよ。ウチはディカルトとの戦いで生命力を消耗しているし、封印も完全に解けたわけじゃない。ウチが寿命を迎えて死ぬ前に、皆でディカルトを止めなければならない!」

 人類の敵は、国家でもバーサーカーでもない。今この瞬間、霞海たちは人類共通の敵を見いだした。無論、同じ部屋で拘束されている壮介(そうすけ)もまた、彼女たちと同じ気持ちだ。

「なあ、霞海。俺にも戦わせてくれよ。この恨みを晴らすには、そのディカルトって奴を倒すしかないだろ」

 そう言い放った彼の瞳は、底知れぬ闘志に満ち溢れていた。



 その時だった。

「君たちは……いや、お前たちは、多くを知りすぎた」

 突如霞海たちの前に姿を現したのは、優也もといディカルトだった。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ