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悪役令嬢はやりすぎた

作者: 獅堂 凛

寝ぼすけの頭で思い浮かんだ色んなネタを纏めてみた、ダイジェスト版みたいな短編。

いつかちゃんとした連載になるかもしれないし、多分ならない。

単に、制作者サイドから悪役令嬢が優遇されていたりヒロインが不遇されていたりしてもいいんじゃない?的な寝ぼすけ発想から始まりました。

異世界転生。

まさか、自分がそんなことに巻き込まれるとは露とも思っていなかった。


転生先は、かつてやりこんだ乙女ゲームの世界。

そこで悪役令嬢のメアリー・ヒルダに転生すると神様は言った。

それを聞いた瞬間、私は叫び声を上げた。


「やったーーーーーーーーー!」


と。

なぜなら、一番好きなキャラは何故かメアリーとしか結ばれないからだ。

だが、世界の文化を守るためか、ゲームに関する知識しか持っていけないと言われた。

かまわない。

良いこともあったけれども、悪い事もあった。

だけど、すでに80歳まで生きられたのだ。ひ孫は見られなかったが、孫はたくさん見ることができた。

記憶なしに生まれ変われると言うことは、それこそかつてゲームをやっていた若い頃の気分に戻れるということだ。私は二つ返事で了承した。


そして、転生した。












「おぎゃーー」

「まぁ、何とかわいらしい赤子でしょうか」

「おぉ、確かに玉のような子だ。レイダよ、よく頑張った」

「はぁ、はぁ、私にも、よく、見せてくださいね」

「おおー、ぷにぷにしてるなー」


この日、マール王国3大貴族家の一つであるヒルダ侯爵家にメアリーが生まれた。


(って、赤子からかい!!!)


おぎゃーとしか言えないメアリーは、心の中で盛大に突っ込んだ。


こうして周りから蝶よ花よと可愛がられながら育ったメアリーは、本来なら高すぎる地位と周りの甘やかしにより悪役令嬢にふさわしい性格に育つはずだった。

だが、彼女の中に残っていた前世の性格がそれを許さず、まっすぐ快活に育っていくのであった。


そうして、12年の時が流れ、運命の時が動き出す。


この日、ヒルダ侯爵邸にてメアリーの誕生会が盛大に開かれていた。

国中の多くの貴族が参加し、国王も短時間ながら顔を見せるという、壮大な規模のパーティーである。

なお、この規模のパーティーはメアリー誕生会だけであり、両親の誕生会では参加貴族はこの半分ほどである。

跡継ぎのはずの長男誕生会でさえ近しい貴族が集まるのみで、こぢんまりとしたパーティーである。

弟の誕生会など家族のみである。

兄弟は泣いても良いはずだが、メアリーを溺愛しているのは両親だけで無く兄弟もなので、むしろ自ら自身の誕生会予算を削るよう親に進言するできあいっぷりにはメアリーも引くほどだった。


そしてこの12歳の誕生会ではヒロインであるアンリ・スチュアートが初めて参加するのだ。

つまり、悪役令嬢とヒロインの初顔合わせ、という訳である。

メアリーとしては初めに一発ガツンといこうと思い、今日に至るまで悪役令嬢らしい登場シーンを練習してきた。

その様子はもちろん、家族をはじめ家中の者から微笑ましい物を見るかのような目で眺められていたのだが、メアリーだけが気づいていない。


そして、ついに運命が会合する!


「おーほほほ!スチュアート男爵家のアンリさんですわね?私は3大貴族が一角ヒルダ家のメアリーと申しますのよ!」

「は、は、は、はじめましゅて!め、め、めありー、さま、あ、あの、わ、わたしは、あああああんりととともうしましゅ・・・うぅ」


・・・?

おや?

このオドオドして噛み噛みの可愛らしい生き物はどなたでしょう?

確かヒロインはもっとこう、活発で突撃系だったような・・・?

それこそ、猪突猛進のイノシシと言うのがふさわしい・・・んん?

メアリーが可愛らしい生き物を前にして困惑していると、彼女の父であるモール・スチュアート男爵がやってきて、


「こんばんは、メアリー嬢。お誕生日おめでとうございます。うちのアンリがご迷惑をおかけしたようで、申し訳ない」

「い、いえ、迷惑などありませんわ。ただ、ちょーーーっとびっくりしただけですのよ?」


愛想笑いしながら会場の外にフェードアウトしたメアリーは考える。

ヒロインの父はゲーム通りの人みたいだ。

他の登場人物もゲーム通りの性格をしている。

つまり、何らかの事情でヒロインだけがバグった。





この乙女ゲーム。

悪役令嬢が断罪後に非攻略対象キャラと結ばれるにもかかわらず、”この点については”ほとんど非難は無かったのだ。

もちろん私はごく一部の非難する側だったのだが。

それはさておき、このゲームの通称は『ヒロイン危機百発』。

悪役令嬢など清涼剤、和み要素でしかないレベルの、乙女ゲームにあるまじき鬼畜難易度を誇るのだ。

セーブ&ロードで何度もやり直し、それでもランダム発生イベントやランダム選択肢により詰みイベントが多発連発し、多くのプレイヤーが心を折られていった。

攻略ページを見ながらプレイしても完全攻略まで最低100回はリロード必須。

そして、ゲーム中唯一ランダムイベントが発生しないのが悪役令嬢とのやりとりの最中なのだ。

攻略キャラとのデート中でさえランダムイベントが発生し、選択肢次第でゲームオーバーだというのに。

そもそもランダム要素を網羅した攻略ページもすごい執念だが、その関連ページを開くたびにPCがしばらく読み込み続けるほどの情報量。

攻略ページを読み、シナリオとセーブ&ロードのポイントを確認するだけで丸1日かかる。

ランダムイベントや選択肢となると、眺めるだけで何日も潰せてしまう量だ。


そして、何よりヤバいのが攻略失敗後のストーリー。

攻略失敗=ヒロイン没落or死亡という、とんでもない内容なのだ。

攻略対象として王子のジーク、騎士団志望のギリナス、魔法師団志望のムジナ、政府文官志望のラティス、教師のクレイの5人がいる。

そして、各攻略対象のシナリオ概要が以下の通りである。


王子ジークのルートに入ると、内乱勃発。選択肢を間違えるとヒロインや友人の家が没落、他国へ平民落ち途中で賊に襲われヒロイン死亡。


騎士団志望のギリナスルートに入ると、南の国との戦争勃発。期限ギリギリにも関わらずランダムイベント多発。間に合わないとヒロインの家(南方領地)滅亡、フラグ次第でヒロイン死亡。


魔法師団志望のムジナルートに入ると、東の国との経済戦争発生。シビアな選択肢を全てクリアしなければ、ヒロインと攻略対象の家(主要取引先)が没落、フラグ次第でヒロイン病死。


文官志望のラティスルートに入ると、北の国との合同学園祭発生、選択肢を間違えるとヒロイン退学(実行委員)、傷心のヒロインは自死。


教師のクレイルートに入ると、東の国との交換留学発生。向こうの授業(他国語)で好成績取らないと攻略失敗してヒロイン留年、ヒロインの家とクレイの家が対立して国内の物流が一部止まり、結果としてヒロイン家没落。


そして誰のルートにも入らず2年に進級した場合、上記全てのイベントが順番に発生(留学は短期間に変更)してクリア不可能ルートに入り、ヒロインは必ず死ぬ。


なお西の国と何も無いのは、メアリーの領地が西方で西の国との交易が中心だから。

更に言うと、どのエンドでもヒルダ家だけは没落しないし場合によっては発展までしている。

ヒロインより配慮してもらえる悪役令嬢とは一体・・・。


こんなシナリオでもクリアできるのは、プレイヤー以上にヒロインのメンタルが鋼鉄だったから。

文字通り猪突猛進の勢いで突き進むヒロインは細い糸をたぐり寄せるかのように困難を解決していき、最後にはハッピーエンドとなるのである。


さて、この鬼畜なイベントと攻略ルートしか無いこのゲームにおいて。

ヒロインが勇猛なイノシシでは無く怯える子ウサギだったらどうなるだろうか?


答えは簡単である。

全てのイベントが発生するクリア不可能ルートまっしぐらである。


そしてそんな状況になれば確実に王国は大きく衰退する。

たいていの場合、ヒルダ家以外まともな貴族が残らなくなる。

イベントの進行具合では最悪国自体が無くなり、ヒルダ家とその近隣貴族だけは西の国に併合されて繁栄する。他の貴族は全て滅ぶけど。


まずい。


まずすぎる。


私としては穏便に断罪されて推しキャラと結婚フラグ立てたいだけなのに、このままいけば私は推しキャラと結婚できず、ついでにこの国は滅ぶ。

どうする?

どうする、わたし!?


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

やるしかない。


滅亡イベントが始まる前に準備を整えておき、フラグ発生と同時にフラグを折る。

ヒロインがちゃんと攻略対象の誰かと結ばれるように陰から支える。

そして普段はヒロインに嫌がらせをする悪役令嬢を振る舞う。


「一人三役か!!!」


いけない、思わず叫んでしまった。


・・・いいでしょう。

まさに、やりこみ派の私に対する神様からの挑戦、と言うわけですね。

推しキャラと結ばれたいのであれば、ゲームにおいて理論上クリア不可能と呼ばれた鬼畜ルートに匹敵するこの状況をこなしてみろと。


よろしい。

諸君、戦争だ!!!






こうして、私の蝶よ花よの生活は家族の前だけとなった。






学園が始まるまでは、可能な限り内乱戦争紛争周りの情報収集と対策検討。

家族が近くにいないときは、従者のマルクスと私付きメイドのヨルに相談して知恵を出し合い、フラグ折りのプランを計画。

プランがある程度まとまれば執事長のサンダースやメイド長のダルクに可愛い少女を演じてお願いし、情報や品物を収集。

ある程度情報がまとまればサンダースからお父様に進言してもらい、お父様と国王様で密会して対策してもらう。

こうして、学園入学前に何とか内乱戦争紛争周りの対策の目処がたったのであった。

ちなみに家族に秘密なのは、相談すれば確実に止められる上、部屋から出られなくなる可能性が非常に高かったからである。

溺愛っぷりが裏目った点である。


途中でマルクスの弟マルナスが加わってくれなければあと1年は準備期間が必要だったと思う。

万能の天才マルナスの加入という幸運には感謝しか無い。

まぁ、ゲームでは彼が鬼畜ルート発生の原因なのだけどここでは横に置いておこう。

更に言うと彼は私ことメアリーに対する重度のストーカー(最近発覚した)なのだが、遠くから見守るタイプなので気づいた後の精神的な重度の疲労以外は問題ない、はず。


こうして学園入学時期が近づく頃には、ややふくよかだったメアリーはやや痩せ型になっていた。


学園が始まれば、ヒロインであるアンリ関連イベントの情報収集。

まずは攻略対象との出会いを演出するところから。悪役令嬢を演じつつ(何故か周囲の目が微笑ましい)場所や時間を誘導し、攻略対象と出会わせてイベントを強制進行させていく。

時々アンリが迷子になるので、イベントが近づくと従者のマルクスが常にアンリを見張るという念押し。

小物が必要な場合はマルクスがさりげなくアンリの近くに小物を置き、気づかない場合は石を投げてでも気づかせるという徹底ぶり。

このためマルクスにはアンリ嬢ストーカー疑惑が掛けられているけれど、私の幸せのために彼には涙を呑んでもらおう。

なお、本物のストーカーことマルナスは東へ南へと諜報活動中である。

何故か私の行動を把握しているが、彼を少しでも物理的遠方に置いておかないと精神的にキツいのである。


メイドのヨルには執事長のサンダース達とのやりとりを行って学園外の情報収集をしてもらっている。

いつランダムイベントが発生するか分からないので、常に最新の情報が必要なのだ。

ランダムイベントも選ぶべき選択肢も、このゲームを完走した私なら対処できる。

間違ってもアンリがランダムイベントに出くわす前に、私たちで処理しなければならないのだ。


こうして日中は悪役令嬢を演じながら早朝深夜は内乱戦争紛争周りのランダムイベント潰し。

家族の前では蝶よ花よの令嬢を演じながら、合間合間に執事長サンダースやメイド長ダルク達と相談して状況確認。

毎日着の身着のままベッドに飛び込み意識を失っている間だけが私の安らぎ時間。


激動の1年が過ぎる頃には、ほっそりどころか折れてしまいそうなほど細い悪役令嬢が完成していた。

見た目はもはや性悪傲慢貴族ではなく、むしろギャグ漫画ツッコミ待ちの悪役令嬢だ。

こんな状態になるとさすがに家族に隠し通すことはできず、理由を話した上で2年の授業初日まで家で寝込むことになった。

というより、常に家族の誰かに泣きつかれてベッドから出られなかった。


そしてついに迎えた2年の授業初日。

この日の内容でヒロインのアンリが誰のルートに入ったのかが分かる。


手応え的には騎士団志望のギリナスがイケていると思う。

魔法師団志望のムジナも悪くないと思う。

王子ジークや文官志望のラティス、教師のクレイ達は、微笑ましい物を見る目だから厳しいと思う。


教師のクレイが何も言わなければジークの内乱ルート、物騒と言えばギリナスの戦争ルート、不景気と言えばムジナルート、学園祭と言えばラティスルート、1年の交換留学と言えばクレイルート。

参考までに、鬼畜ルートでは春学期のみの短期留学となる。

さぁ、どのルートだ!?

そうこう考えていると教師クレイが教室に入ってきて、軽く挨拶をした後ついに今年の行事などについて話し始めた。


「今年は東の国との交換留学を行うことになった。そこで、この学年から希望者数名と学園の推薦者数名に留学してもらうことになった。」


教師クレイルートか。

ちょっと意外だった。

でもまぁ念のためにと今まで散々東の国の言葉をアンリに教え込んだから、多分何とかなるだろう。

マルナスにも隠れてついて行ってもらい、補習授業行ってもらえば完璧だろう。


「なお、期間は春学期のみの短期だ」


・・・は?

1年ではないの??


「先生!1年間、ではなく春学期のみ、なのですか??」


思わず手を上げて質問してしまった。


「ああ、春学期の約3ヶ月間だけだ。とは言え、きちんと向こうで取った単位がこちらの評価になるので、語学が全くできない生徒は対象外となる」


・・・何故に、鬼畜ルートになっているのーーーー!


そして最初の休憩時間になった瞬間、アンリを中庭まで拉致して事情聴取を行うと、


「め、メアリー様の、おおかげで、だ、だ、男子生徒のお友達もできましゅた!!」


全身を使って『頑張りました!』感を表現されました。


彼女の話を頑張ってまとめると、女子生徒とは何人かお友達になってもらえたけれど、男子生徒を前にすると噛み噛みが酷くなるので避けていた。

けれどメアリーが機会を作ってくれたおかげで、男子生徒とも少しずつ話ができるようになってきた。

そして1年の終わりには、ついに友達になってもらうことに成功した。


よし。

彼女がこの1年間何を考えていたのかよく分かりました。

ええ。

最初からゴールが友達になることだったのか!!!

となると、男子側にも聴取が必要・・・ということで、昼休みを利用して一番単純なギリナスを屋上へ拉致することにしました。


「ということでギリナス、アンリとの関係を洗いざらい吐きなさい!」

「何が「ということで」なのかさっぱりなのだが!?」


そうしてギリナスから聞き出した話をまとめると、

他の女子生徒よりアンリと話す機会は多いし、時々くれるプレゼントはうれしかった。

しかしアンリとしては、交際というよりは友達になりたいと言うことだったので、友達になった。

そもそも、交際相手というよりは可愛い妹という印象しかなかった。


とのことだ。

なるほど、最初から恋愛対象の女子生徒というより可愛い妹と受け止められていたと。

そんな印象では攻略フラグが進むはずが無い。

つまり、最初から間違えていたと言うことか・・・orz

だが、これまでの準備は伊達じゃない!

いいでしょう、真っ向から鬼畜ルートを潰してあげましょう!!!


ひとまず、ストーカーもといマルナスはアンリに同行させて東の国へ行く準備をさせる。

次に、夏に始まる東の国との経済紛争には、今からダルク達に切り札準備させれば紛争開始後のほどよいタイミングで主導権をとれるはず。

そして同時に始まる学園祭準備は、相手学園と私は既に仲良くなっているので私が間に入ればトラブル無く準備が進むはず。

秋に始まる南の国との戦争には、今から徐々にサンダース達に内乱の準備をさせれば開戦直後に内乱を起こして有利に運べるはず。

戦争後の学園祭は、期間中見回ってランダムイベントのトラブルを私たちで防げば大丈夫。

その後の宰相率いる内乱は、さすがに私たちではどうしようもないのでタイミングを父に伝えて国王様と頑張ってもらおう。

最悪、ストーカーことマルナスを投入すれば何とかなるはず・・・後が怖いけど。


よし!このプランで頑張るぞ!!!

私の体力が持つかどうかだけが問題ですがね!!!!!

今年1年休む暇が全くないスケジュールなのですが(涙)だが、ここを乗り越えられれば、後の問題はたった一つだけ!めざせ、私の一押しとの結婚未来!!!!!


・・・まぁ、その最後の問題の解決めどが現時点で全く立っていないのが問題ですが。










それからの私は今まで以上に忙しかった。


人間の限界と思っていたところは中継地点ですらなかったのです。


学園祭以外は他の人たちに基本任せているとは言え、ランダムイベントだけは私が主導して解決しないといけないから、結局全ての報告を聞いて進捗状況を把握しないといけない、という状態・・・。

さらに、イベント内容によっては私が現場に行かなければならないので、時には領都と王都を早馬で休み無く往復したりした。

しかし、そのかいあってか、無事全てのイベントをクリアできた。


本当に良かった・・・。


経済紛争の際には東の国に留学していたアンリが迷子になって帰国できず、皆で必死に潜入→捜索→出国したり。

南の国との戦争時には馬車に乗り間違えて南方へ迷子になったアンリを探しに、決死隊を組んで必死に捜索して戦乱地域から脱出したり。

学園祭の際には迷子になった挙げ句誘拐されそうになったアンリを探して皆で必死に捜索して救出したり。

内乱は未然に防げたものの宰相達の最後の悪あがきの場面にアンリが迷子になって乱入し、皆が固まっている間に必死で救出して離脱したり。

それらの過労から私の体重が更に落ちて、ムンクの叫びの様な顔つきになったり。


ええ。

不測の事態は全部アンリ関連でしたね。

念のためにそばに潜ませていた万能の天才ストーカーもといマルナスの、万全の監視体制からああも何度も行方不明になれるとは・・・!

でも構わないのです。

あんなに可愛らしい子ウサギがウロチョロしている様は心が癒やされますので。

そこは良いのです。

私の体重がちょっと落ちようが、推しキャラと結ばれるのであれば些細な問題なのです。


そう。

推しキャラと結ばれるためには、私が断罪される必要があるのです。

さて、皆様。

これだけやらかした私が。

この可愛らしい子ウサギから。

断罪されると思われますか?

答えは、ご想像通り。

ええ。








断罪されました!!!!!

やったーーーー!!!!!








・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

え?

なぜ?

簡単な話です。

アンリは皆の前で私を断罪したのです。

このように。


「メアリー様は頑張りすぎなのです!もっと自分を大事にしてください!ジーク様達と話し合って、メアリー様は今から1ヶ月間ご自宅で謹慎です!元気になるまで通学禁止なのでしゅ!」


と。


ええ、中身なんておまけです、おまけ。『アンリに』『皆の前で』『過去のことを追求され』『学園から追放される』ことが重要な要素なのです!こうして私は全てのフラグを管理し、ついに推しキャラルートに入れたのでした。
































入れたはずでした。


なのに。


推しキャラは身分差を理由に交際から一歩引いた状態で、興味の無い他人からは多数の縁談が届いては出たくもない見合いの日々。


しまった、身分が落ちていなかった。


ゲーム内では断罪後、勘当こそされないものの権力的なものはほとんど無くなっていた。だから推しキャラの従者マルクスと身分的な問題無く付き合うことができた。でも今の私は、断罪後も三大貴族家の一つヒルダ家の家族全員から寵愛を受けている状態。さらに今回の裏準備が国王達にばれたため、権力的なモノは下手すると父よりも上に。そしてマルクスの弟ストーカー、もといマルナスが活躍しすぎたため、肝心のマルクスが私から一歩引いてしまっていた。


だけど、構わない。


これからは鬼畜ルートより酷いイベントは起きないだろう。


ならば、じっくりと私とマルクスとの恋愛イベントを進めていけば良いのだから。





おわり。





最後までお読みいただき、ありがとうございます。

ちょっとでも笑っていただけたら幸いです。


※2022/03/30 いつの間にかジャンル別月間61位! 多くの方にお読み頂けた上ご評価まで頂き、ありがとうございますm(_ _)m

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