第2話 身内贔屓
「ほらディーナ僕のお膝の上へおいで?」
おいで?などと口にしながらアレクお兄様は私を持ち上げて膝の上に座らせる。
果たして聞く意味があるのだろうか???
「今日はお父様から大事なお話があるんだ。」
「おとうちゃま?」
「ん〜?ディーナちゃんパパをお呼びでちゅか〜?」
「…。」
確かに私は赤ちゃんだけども、大の大人がデレデレした顔で赤ちゃん言葉を使うのを見るのはなんとも不快だ。
これでちゃんと国王やっているのだろうか…。
「もうあなた!はやく本題に入ってください!」
「ちぇっ、せっかくディーナちゃんと話せると思ったのに…。まあ気を取り直して!来週にディーナのお披露目パーティーを開こうと思ってるんだ!」
「ぱーてー」
むむ、赤ちゃんの下だとまだパーティーの発音が難しいみたいだ。
「ぱーてーいー」
やはり難しい…。
そんなこと考えていた私は気づいてなかった。近くにお兄様の顔が迫ってきているのを。
「ああ、ディーナなんて可愛いんだ」
しまった!
アレクは私のほっぺにチュッチュとリップ音を鳴らしながらキスの雨を降らせる。
油断しているとすぐにスキンシップしたがる私の家族には手を焼くものだ。
いつもならすぐに気づいて距離をとるんだけど…。
「アレクずるいぞ!パパもチュッチュっしたい!」
「お父様!今日は僕の日ですよ!そんなことよりパーティーの説明がまだ終わってません!」
僕の日ってなんだよ、日によって誰が担当とか決めているのか…。
いやそんなわけないか。
「ああそうだった。そのパーティーには色んな国のお偉いさんが来るけどディーナは気にしないで楽しめばいいからね?」
「あーじんしゅーは?」
「ん?亜人種のことかい?ディーナは亜人種まで知っているのか!賢い子だ!亜人種もそのパーティーに呼ぶ予定でちゅよ」
「ディーナは博識なんですよ、まだ3歳なのに僕達の言葉をちゃんと理解しているんです」
このくらい普通じゃないのかしら。前世ではもう体力作りを初めてだ歳だし…。
「ディーナは神童なのよ産んだ私も本当に嬉しいの」
お、お母さんまで…。
やれやれ。みんな身内贔屓しすぎでしょう。
なんて思いながら内心喜んでいるのは内緒だ。