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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
第四章 カルー少佐
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91話 エアステの館

サイモンの資料によると、俺がカルーを倒した後、カルーの城とエアステの館で会話が行われている。

このエアステの館が俺が転送で飛んだ先の部屋であり、俺の情報パネルの位置情報によるとオの都の南東180kmに位置する。


衛星画像では穀倉地帯の拠点都市の一つであるエアステの街の中にある、普通の館だ。

会話はエアステの館側のイシュターハルとカルーの城側のエルナンデスが話している。

会話の要点は、

・カルーの体を回収し、城に届けること

・オの都の店の撤収作業

・エアステの館の活動停止と撤収準備


おそらく、カルーの死体は転送の魔方陣を使って、城に届けられている。

城では、今まで閉じられていた扉が開き、偵察機1機が内部に侵入し、地階の状況探査を開始している。

オの都の武器屋は片付けられていた。

目標は2箇所。エアステの館とカルーの城だ。



オの国、パブロ男爵領の街エアステ。

カルーの拠点である館の調査には、生産部第二班6名のチームがあたった。


隊長:メラニー=ラウダ伍長(24)

   キルスティン(キキ)=ダグラス一等兵(24)

   レベッカ=ビールセン一等兵(21)

副長:マルクス=クローネ兵長(22)

   パトリック=フランシス一等兵(23)

   ルーク=モラレス一等兵(20))


「遅いぞ!マルクス。」

「すいません。これでも急いだんですが、冒険者ギルドへの報告に手間取りまして。」

マルクス以下男3名は外出中に受けた商人の護衛任務があり、昨夜の審議には参加していない。

護衛任務は昨夜の内に終了し、夜明けにエアステの町まで飛んで来たのだ。


「3人共、状況と作戦内容は確認しているな。」

「はっ。移動中に確認しております。」

「予定より11分遅れている。行くぞ!」


「なんで、昨夜の行動が今朝の遅刻の原因に?」

「さぁ?」

「兵長が寝坊したんです。」

「違う。宿から飛べば間に合ったんだ。まさか街門まで歩くとは。」

「街中は飛行禁止です。決めましたよね。」

「私たちはオの都からですよ。あなた達の町の方が近かったでしょう。」

「その油断が仇となったな。」

「まったく。」


「あそこだな。」

「静かですね。」

「館の中には4人。一箇所に集まっています。」

「朝食中か?」


扉のない正門なので、敷地に入り、館の扉を叩く。

「一人来ます。」


扉が開けられる。

「はい。何の御用でしょうか。」

「私は月の人、メラニー=ラウダだ。イシュターハルは居るか?」

「おりますが、ただいま、その、」

「居るのだな。」

メラニーは男を押しのけ館の中に入る。他の5人も続いた。


「あ、あの、お客様。」

「イシュターハル! 話がある!」

メラニーの呼びかけに、廊下に慌しい足音が響く。

イシュターハルと男が二人。イシュターハル以外の男3人はフォース族だ。


「あなた達は?」

「私は月の人、メラニー=ラウダだ。イシュターハル、昨日の件で話がある。ここで話すか?」

「昨日の件?」

「そうだ。カルーはどこに居る?」

イシュターハルの目が大きく開いた。

「まさか、昨日の剣士は月の人?」

「そうだ。気付いていなかったか。カルーはどこに居る?」

周囲の男達は数歩下がり、きょろきょろと視線を彷徨わせる。


「カルー様は、ここにはいない。」

イシュターハルは頭を垂れて静かに言い放った。

「城に帰ったか。」

「そうだ。昨日の内に私が城にお送りした。」

「我々はそれを確認に来た。魔方陣を見せてくれ。それと、カルーが居ないことを確認するために館を捜索する。」

「あ、あなたたちが?なぜ?」

「カルーも元は我々と同じ月の人だ。我々には責任がある。」

「カルー様が、月の人?」

「まぁ、正確にはレギウス星人というがな。この星の人間ではないよ。」

「そうですか。なんとなく、そう思っていました。私達とは違う存在だと。」

「案内してくれるか。」

「はい。」


「マルクス、パトリック、ルークの3人は館内の捜索を。レベッカはここに残れ。キキ、付いて来い。」

「了解。」



「こちらです。」

イシュターハルを先頭にメラニーとキルスティンが階段を降り、地下の廊下を進み扉を開けた。

そこはファルス=カン少佐の映像にあった魔剣が並べられている部屋だ。

床にはふき取りきれていない血痕が残っている。


「奥にも部屋があるのか。」

「はい。魔剣の在庫が置かれています。」

扉ではなく布が垂らされただけの出入口が奥の壁にある。キルスティンが布をめくり、奥を調べた。


「他に部屋はあるのか?」

「いいえ。地下はこの部屋だけです。」

「ふむ。この魔方陣で城にカルーの遺体を送ったのだな。」

「そうです。ですが、カルー様のお体を遺体とは呼ばないでいただきたい。」

「なぜだ?首を切り離されただろう。」

「カルー様はまだ生きています。そのお体は傷ついても復活します。」

「そうか。カルーはいつ復活する?」

「それは、私にはわかりません。」

「では、以前はどうだったのだ。どれ程の時間で復活した。」

「正確な時はわかりません。

カルー様が復活の器に入られて、我々も残りの日々を過ごした後、眠りに付きます。

そして、復活したカルー様によって、起こされるのです。」


「つまり、イシュターハル、お前もクローンなのだな。」

「クローン?なのですか?」

「我々はそう呼んでいる。」

「そうですか。私たちは特に意識していません。私たちはカルー様の従僕です。」

「上の男達も従僕なのか?」

「いいえ、彼らはこの村の男達です。この屋敷を準備するに当たり、屋敷の世話役として雇いました。」



全員が玄関ホールに戻った。

「マルクス。館内の様子は?」

「問題なしです。ほとんどが空き部屋。魔剣製作用の作業部屋と思われる部屋も準備中って感じです。」

「カルーはいなかったのだな。」

「はい。こちらの男たちだけです。」

「そうか。地下も映像で見た通りだった。」


メラニーはイシュターハルを見た。

「イシュターハル。この後はどうするのだ?」

「この後、ですか。今日はこの館の荷物を片付けます。仰られた通り、荷物は少ないですが。」

「そうか。我々がしばらく滞在しても邪魔にはならんか。」

「ここに居るのですか?」

「ああ。我々の別働隊が城に居る。彼らの用が終わるまで、この屋敷に居させてもらう。」

「判りました。ではこちらの部屋へどうぞ。」


次回92話「カルー少佐の城の地下」

本丸の様子はどうでしょうか。


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