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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
第四章 カルー少佐
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90話 審議

レギウス村に戻った俺はすぐに村長の館に行った。

だが、マクレガー村長は不在で、留守番の者に聞くと、畑の防風林の整備に行っているという。

俺はナノ通信でマクレガー村長を呼び出した。

(マクレガー村長、よろしいですか?)

(む、カン外政官。どうした。)

(緊急でお話がございます。今は畑ですか?)

(そうだ。畑の東、山側の防風林にいる。)

(では、馬でそちらに向かいます。よろしいですか。)

(わかった。)


俺は馬溜りでくつろいでいた"嵐"に跨り、畑に向かった。



「何かあったか?カン外政官。」

マクレガー村長とリンダがいた。

他に数人の村人と工作機1機が動いている。


「はい。先ほどオの都でカルー少佐と接触しました。」

「何!?」

「会談の様子はカメラに収めていますので、後でご覧になってください。」

「わかった。確認しよう。」

「そして会談の終了に際し、私ファルス=カンはカルー少佐の首を切り落としました。」

「なんと!」

「私は殺人犯となりましたので、身柄を拘留し軍法会議にて処分を下すべきです。」

「うぅむ。法に則れば、そのような扱いをせねばなるまいな。

では、ファルス=カン外政官。貴官の職務及び権限を停止する。個人ポッド内にて謹慎するように。

リンダ君、証人として、この記録にサインを入れてくれ。

誰か呼ぶかね?」

「いえ、それには及びません。

では、ファルス=カン。これより謹慎いたします。」


俺は"嵐"に跨るとカッシーニ81に戻った。



個人ポッドに入る頃には情報パネルにマクレガー村長発の緊急メッセージが2通届いていた。

最初の1通目は、俺がカルー少佐と会談した映像を見るように促したものだ。

2通目は俺がカルー少佐殺害の疑いで職務停止処分と謹慎処分となったこと。それに伴い裁判を行うので全員集合すること、となっている。

外出を楽しんでいる連中には申し訳ないが、仕方ない。

裁判は明日の夕食後に行われるようだ。


通常であれば謹慎中の個人ポッドは艦内ネットワークへのアクセス権限が制限され情報取得は制限されるが、マクレガー村長は現在艦内の権限を失っているので、その操作はできない。

艦長代理である俺に対しては副艦長であるクリスが権限を持つ。

まぁ、あいつのことだから、面倒くさいと言ってやらないだろうな。


個人ポッド内の端末を操作し、カルーとの会談内容を再確認する。

その後はメティスが纏めた情報などとの照合作業を行う。

さらにリサとサイモンが纏めている魔道具のレポートも読んでおくか。


俺は、本来なら没収される背嚢からコーヒーを取り出すと作業を始めた。


■■■


「ファルスめ、ナノ通信を切っておる。」

「あらー、まじめに謹慎してるんですか。」


オの都、レギウス邸。

クリスとリサは今夜のパーティー出席の為の用意をしている最中だ。

レギウス邸に詰めている村娘2人、カーラとアンナにも手伝って貰っている。

「カン外政官なら、お昼前に服を置いて、着替えたと思ったら飛び出して行きましたよね。」

「そうそう。今日もご活躍なさったんですか?カン外政官。」

「また、街の噂になるのかしら。」


「いや、今回は噂にはならないな。」

「あれ?そういえば、ここに戻ってきてましたか?」

「私たち、お昼の後は買い出しに行ってましたから。」

「お昼からはダリルが下におります。聞いてまいりましょうか。」

「いや、よい。今は村におるようじゃからな。夜に戻ったら話を聞くことにしよう。」


■■■


ピ、ピ、ピ、

パシュー

俺の個人ポッドの扉が開いた。

睡眠中だった俺の意識は強制的な覚醒措置で意識を取り戻す。

扉を開けて中を覗き込んでいるのはクリスだ。

「ファルス。」

「クリスか、何時だ?」

クリスの格好は薄い水色の布の服だ。

今夜はオの都のどこかの貴族のパーティーに出ていたはずだ。


「夜遅くだ、ファルス。遅くなったらポッドで休めと言っていただろう。」

クリスはポッド内に入り込み扉を閉めた。

一人ではゆとりあるポッドだが、ふたりだとゆとりが全く無い。

「そう言ったが。それは自分のポッドの事だ、ってことは判ってるよな。」

「ふふふ、当然。」

「クリス、お前、酔ってるな?」

「うん。お酒飲んだからな。」

酒を飲めば酔う。だが、ボディスーツを着ていれば右腕の体内情報パネルが体内に取り込まれたアルコールを検知して体内ナノマシンに分解を促す命令を出す。

クリスはドレスのままで着替えていない。

なので、未だ酔っている。

クリスは俺に覆いかぶさっている身体をくねらせ、俺の横に入り込んできた。

「ほら、忘れ物じゃ。ふふふ、おやすみ。ファルス。」

「あ、ああ。おやすみ、クリス。」

クリスは目を閉じ、眠りについた。

俺の手に、緋色の腕輪が戻ってきた。



朝になり、クリスは俺のポッドから出て行った。

「よくやった。」

というのが彼女からの評価だ。


朝食の差し入れはリサが担当してくれた。

笑顔で「謹慎中の方とは会話できませんよ。」と言う。

リサは背嚢を持っていった。


その後は情報パネルに向かい、メティスとのやり取りを楽しみながら過ごした。


夕食の差し入れを持ってきたリサに「呼び出しは50分後の予定です。」と言われる。


俺は呼び出しに来たジェリー第一班副長と共に食堂に向かった。



食堂はテーブルの配置が変えられ、俺は壁面パネルを背にした席に座らされた。

皆は俺の正面に座っている。

俺の左手には進行役のアレクと壁面パネル操作役のジェリーがいる。


「では、これより、輸送艦カッシーニ81艦長代理ファルス=カン少佐、レギウス村外政官の処分について審議を行う。

判定員はカッシーニ81乗員27名。3名欠席。

被告ファルス=カンの容疑は元レギウス軍所属カルー少佐の殺害。

では状況説明を、ホーク大尉。」


俺の弁護役はホークが担当か。


「まず、行動にいたった経緯を、被告ファルス=カンのカメラ映像で確認いたします。」

壁面パネルに昨日の映像が流される。俺がオの都の店に入った所からだ。

「では、次に、被害者とされているカルー少佐について、これは資料をご覧下さい。」

壁面パネルに資料映像が表示されているようだが、俺には確認できない。

「先ほどの映像では、被告ファルス=カンは、相手をカルー少佐と認識して会話をしておりますが、相手の男は終始仮面を付けており、その顔を確認できません。

しかし、行為に使用された剣に付着したDNAにより、その肉体がカルー少佐のものであると確認されました。

さて、被告ファルス=カンの容疑は"カルー少佐の殺害"です。

我々は本日、事件現場となったオの都の武器屋を訪れましたが、店は閉ざされ、店内は片付けられ、転送の魔方陣もありませんでした。

映像ではカルー少佐の首が切り落とされ床に転がっておりますが、死体の確認ができていない現時点では審議を中断し、被告は処分保留とすべきと考えます。」


「反論を、ブライアン曹長。」


「はっ。映像解析結果、映像に細工された痕跡はありません。

よって、カルー少佐の首は切り離されたと断定し、この時点でカルー少佐は死亡したとみなせます。」


「ホーク大尉。」


「彼、カルー少佐は、現地において1万2427年間活動しており、その肉体は彼の研究成果であるクローン技術によって交換されています。

よって、彼の死は肉体の死と同一とみなすことができないと思われます。」


「ブライアン曹長。」


「ありません。」


「では、採決を取ります。審議中断または審議続行を選択してください。」


全員が票を入力し、結果が壁面パネルに表示される。


「全員の投票結果、審議中断とします。被告ファルス=カンの処分は保留。

現時点で謹慎処分は解除されますが、職務および権限の制限は継続します。

また被告ファルス=カンは本艦カッシーニ81からの外出を禁じます。

審議再開は規定では72時間後ですが、現地第四惑星の時計を採用し、86時間後とします。

以上、解散。」



解散を宣言した後、テーブルの後片付けなどが始まった。

その作業の間にマクレガー村長、マーカス村長代理、リンダが帰っていく。

ホーキンス生産部管理官は「俺は立場があるからな。」と言って俺の肩を叩いて帰って行った。


残りは皆、残っている。

パメラも帰らず残っているな。

そして、片付けをしていたはずのテーブルの配置は変わらず、俺の席だけがアレクの隣に移っている。


アレクに変わり、ホークが俺の横に付く。

「さて、カルーの死体確認作戦の検討を始める。

サイモン、カルーの城の状況はまとまったか?報告せよ。」

「は、はい。」


サイモンがホークの横に来て、壁面パネルに情報を表示した。

城の内部構造図。映像。音声。いくつもの情報が並ぶ。


次回90話「エアステの館」

いや、名前を付ける時に無線LANルーターが目に付いたもので・・・。


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