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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
第二章 探索
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28話 ゴブリンとの戦い

緑の島。

さすが赤道下の島だ。

緑が多く、恒星は高く、その光は強い。

寝不足で長時間飛んできた俺たちは休みたかった。

「大尉~。探索より休憩ですぅ。寝ましょうよ~。」

さすがのリサもへとへとである。

体力勝負なら最下位の俺もくたくただ。

「そうしよう。宿営地を定めて休むか。」

「カン大尉。提案があります。」

「お、パメラ。どうした?」

「はい。周囲は見たところ密林地帯。まだ昼間ですので動物との遭遇も考えられます。」

「そうだな。」

「そうなると、不寝番が必要になります。」

「ああ、いつも通り交代制でやるか。」

「そこで、提案です。よろしいですか。」

パメラは俺に背を向け海に向かった。

「土壁!土壁!土壁!」

浜辺の波打ち際を幅8m、奥行き2mぐらいで区切った。

なるほど、海の寝床か。

「これで、最後に陸地側に壁を作れば、全員休めます。」

「レイチェル、ヘルメット!うちのヘルメットだして~。」

「はいはい、はい、クリスのヘルメット。」

「よし、寝るぞぉ。」

「波のベッドか。いいな。ちょっと早いが昼飯に、あれ?昼飯は喰わないのか?」

「大尉、食い気より眠気です。おやすみです~。」

「ふふふ、私たちは休みますねぇ。カン大尉。」

「カン大尉。最後の土壁作成をお願いします。」

女性陣はヘルメットをかぶり、海の中に入ってしまった。

土壁で区切られたエリア。左右は1m程海面から突き出しているが。海側は海面より10cm程の高さだ。

波が届いてる。

俺とホークの足元にはヘルメットと保存食が置かれている。

「ホーク、食うか。」

「はい、大尉。お供しますよ。」


俺たちは保存食を食べ終わった後に枯れ枝を集めた。

起きた女性陣が今度は食事だと騒ぐからな。

さて、俺たちも一休みするか。



海のベッドは体がふわふわと揺れて落ち着かないかと思ったが、直ぐに眠りに落ちた。

左腕の情報パネルからの目覚ましの振動で起こされるまで、ぐっすりだ。

浜辺で頭上から水のシャワーを出して、海水を洗い流し、背嚢や腰袋も洗い流す。

ついでにヘルメットを脱いで頭と顔も洗った。

さっぱりだ。

さてと、

「ファルス、夕飯にしよう。」

「あ、焚火の用意してくれてたんですね。さすがですね。ホーク中尉。」

「今夜は飛竜の尻尾にしましょうか。」

「いいな、脚が旨かったから尻尾も旨いだろうな。」

「大尉、装備お返しします。はい、剣と短剣。」

「おお、ありがとう。」

「じゃあ、私たちは夕食の準備しますね。

大尉、森の奥800mに11体いますから、こっち来たらよろしくです。」

「なに?」

「そうですね。10、11体ですか。かなり早い動きですね。」

言われて俺も意識を森の奥に向ける。

森の中を東から西へ11体の反応が動いていく。

「その先、西になにかあるのかな?」

「大きな生命体反応は無さそうです。少し検知レベルを下げると・・・小動物が多いですが、特に西が多いという事はないですね。」

「まぁ、こちらから離れるならいいか。ホークはそのまま西側を見てくれ。俺は東を見る。」

「了解。」


飛竜の尻尾は少し筋張っていた。

焼肉は固かったが、水炊きは柔らかく肉がほぐれて旨かった。


この島は本島が南北3800km東西2000km。

南西側に南北1500km東西2000kmの2つの島から出来ている。

島の間の海峡は最大幅100km。

俺たちの上陸地点は本島の北西側の浜だ。

ナノマシン発生機はここから南東に200kmの地点にある。

ナノマシン発生機確認後は、そのまま南東に進み南岸まで出る。


食事の後片づけも終わり、今夜の予定を立てる。

現在1830。日暮れまで3時間30分ある。

ナノマシン発生機到着まで十分な時間だ。

「森がざわついてますね。」

「そうですねぇ。生命体反応もかなり多いわねぇ。」

「それは、狩りの獲物が多いということだな。」

「明るいうちにナノマシン発生機を見ておきたいな。狩りはその後でどうだ。」

「問題ないぞ。ファルス。」

「よし、行くか。」

「大尉、高度はいつもより高く取った方がいいですよ。空も賑やかですから。」

「そうか、リサ、先導してくれ。レイチェルが後衛。周囲の大型飛行生物の警戒を頼む。」

「了解。」



南東に山地が見える。

ナノマシン発生機はその辺りだろう。

30分程、高度300mを飛行して行く。

下の密林は大きな広がりを見せている。

上空を鳥の群れが飛んでいく。

西に大きな川があった。

夕食前の集団は川に向かっていたようだ。


(大尉、11時の方向。距離2000。先ほどと同じ反応が、20体程集まっています。)

(さっきの11体の群れと同じ種か。)

(確認しますか?大尉。)

(ファルス、行こう。)

(そうだな。)


俺は軽い気持ちで答えて、進路を変えた。

やがて数本の川の流れと湖が見えてきた。

生命体反応は25体。

湖から流れ出る川の傍に集落を作っていた。

俺たちは川の対岸に降り、密林を進み集落を探った。

そこはゴブリンの集落だった。

(ゴブリンか。)

(空からは樹木が邪魔です。地上戦になりますね。)

(だが、奴らは素早い。遠距離から弓と魔法で狙うか。)

(ファルス、場所を変えよう。この川を利用すれば奴らを殲滅できる。)

(そうだな、一度湖まで戻って集落の南100mに降りよう。

20m間隔の横隊で半包囲して進む。

左翼にクリス、レイチェル、パメラ、ホーク、リサ、右翼は俺だ。)

(了解。)


俺たちは横隊を作り森の中を進む。

大人が8体、子供が17体。

木々の太い枝の上にねぐらを作っている。

俺とクリスが先行して囲いを狭めて行く。

距離30mから弓による掃射を行った。

樹上を移動するゴブリンは素早かったが、接近戦になる前に殲滅できた。

(大尉、ゴブリンのメスと仔。オスがいませんね。)

(そうだな、狩りに出てるか。)

距離的に夕食前の群れは、これとは違う群れだろう。

メス10匹にオス10匹、標準的な群れの構成なのか。

(ファルス、待ちか?)

(血の匂いで判るからな、ここまで来るかな?)

(カン大尉、西にゴブリン8体の反応。接近中です。距離1000。)

(1000mならまだ気付いてないな。)

(正面からいくか?)

(大尉、西ならば川沿いに来る可能性があります。対岸で待機してはいかがでしょう。

この川幅なら、即応できます。)

(よし、俺とクリスとレイチェルは待機。ホーク達3人は川を渡り待機だ。

奴らが来たら廻り込め。ホーク頼む。)

(了解。メンフィス少尉、クルーガー少尉、付いて来てください。)


ホーク達は対岸に渡り西へ100m程移動した。

ゴブリン達は10分後に60mまで接近した所で足を止めた。

(大尉。ゴブリン8匹。今、獲物を置いています。)

(来るな。ホーク、後ろを頼む。)

(了解。)

俺とクリスは剣を抜いた。

後方にレイチェルが控える。

俺たちは集落の中央にいる。

前方に空地があり木からは8m程距離がある。

奴らは樹上から空地に飛び降り、俺たちとの距離を詰めて来た。

手には短剣や棒を握っている。

ギィィーー!

ギャッギャッギャッ!

「氷の矢!」

俺たちの横をレイチェルの矢が飛んでいく。

俺の正面に2匹。

上段から左下に袈裟切りし、剣を持ち上げ一歩踏み込み右の奴の腹に突き出す。

クリスも2匹を仕留めた。

レイチェルの氷の矢で3匹が倒れ、最後尾の一匹は後方から来たパメラの矢で倒れた。



レイチェル、リサ、パメラが背嚢を利用してゴブリンの魔石を回収しながら片付けて行く。

ホークが空地の中央に穴を開けた。

その穴に入れてまとめて燃やす。


ゴブリン退治は終わった。

立ち昇る煙を見ながら、俺は思い出した。

ママドゥから聞いた話だ。

「仲間の心は煙と共に月へ行く。」

ゴブリンの心も月へ行くのだろうか。

だが、奴らは人間の敵だ。

そうだな。

だが、この島に人間はいないだろう。

やつらはこの島で暮らしていた。

やつらに襲われている人間はいない。

では、なぜ俺たちは戦ったんだ?


次回29話「戦う理由」。

ファルスの誓い

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