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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
第二章 探索
23/142

22話 豚か鹿か

3時間程歩くとゲオル村の畑が見えてきた。

2つの丘にまたがる広い村で畑作が盛んだという。

ここでママドゥから注意があった。

「月の人よ、ここに長居するつもりは無いんだ。

だが、あなた達は目立ってしまう。

彼らとは私が話すから、あなた達は話さないでくれるか。」

そうか、昨日は夜のうちに通り抜けたかったんだな。

「そういうことなら、俺たちは空を飛んで村の先まで行っているぞ。」

「おお、それはありがたい。お願いする。」


俺たちは100m程飛び上がった。

これなら下からも気付かれないだろう。

(私たちを紹介しないのは、なにかあるんでしょうかぁ?)

レイチェルの呟きに皆が答える。

(隣村と仲が悪い。)

(独占欲?)

(単に時間的理由では?)

(そうですね、予定より遅れていますから。)

(そうだな、俺たちは飛んだ方が速い。ちょっとママドゥと相談するか。)

(予定では今日の夕方には着いてますからね。)

(カン大尉、ママドゥが丘を抜けます。)

単独だと、ママドゥの歩行速度はやっぱり速い。

俺は村はずれでママドゥに合流し、移動時の別行動、昼食と夕食または部族長の村の手前での合流を確認し、別れた。



俺たちと別れたママドゥは速かった。

彼にするとずいぶんゆっくりとした進行だったようだ。

(ファルス、狩りに行っても良いか?)

今は1020。昼の1400まで3時間半ある。

(皆で行くのは、まずいな。2組に分かれるか。

一組目は1200戻り、後発2組目は1350戻りだ。)

(では、レイチェル、パメラ、行くぞ!)

(えぇっ、行くのぉ?)

(行きましょう。レイチェル中尉。)


(大丈夫かな?)

(連絡は取れます。大丈夫でしょう。)

(聞こえてるぞ、ファルス。心配するな。)

(そうか、ナノ通信は繋がってんのか。これ、混線しそうだな。)

(皆さん、通信チャンネルのイメージです。

通信チャンネル0は6人全員。

チャンネル1は第一司令部。

チャンネル2は第二司令部です。

きちんとイメージしたら、チャンネルをオンです。)

(これで大丈夫か?ホーク、リサ。)

(はい、大尉。聞こえます。)

(大丈夫です。上手くいきましたね。)

(そのようだな。よし、ママドゥを見失わない様に行こう。)

(ホーク中尉、ママドゥさんとその周辺探知をお願いできますか。

私は空中の広範囲索敵をします。)

(了解。)

やはり、リサは魔法面では頼りになる。

第一司令部の3人もレイチェルとパメラに索敵と周辺警戒は任せられる。

良い組み分けになったな。


懸念していた大型飛行生物とも合わず、ママドゥの歩みも順調に進んだ。

交代時間になり第一司令部の3人が戻って来た。

クリスが手を振っている。

そうか、チャンネル0をオンだ。

(・・ス、聞こえるか?)

(おかえり、クリス。どうだった?)

(ファルス、やっと繋がった。やったぞ、イノ豚を2匹だ。)

(そりゃあ、大したもんだ。)

(ああ、パメラが見つけた奴を、レイチェルが土壁で追い込んで、私が仕留めた。

見事な連携ができたぞ。ファルス。)

(よし、じゃあ俺たちも負けてられないな。)

(大尉、お待ちください。)

(なんだ、ホーク。何か来たか?)

(いえ、ママドゥ周辺は問題ありません。交代の件です。)

(なんだ?)

(はい、ママドゥ周辺に問題が生じた場合、我々が駆けつける事になりますが、第一司令部は、まだママドゥとの信頼関係が十分に構築できた、とは思えません。)

(あー、そうだな。)

(ですので、もしもの時の初動に遅れが生じる可能性があります。)

(そうだな、そうすると、)

(はい、大尉はここに留まるべきと考えます。)

(そうなるな。)

(よし、ホーク、リサ、私に続け!行くぞ!)

(では大尉、行って参ります。)

(行ってきまーす。)

まぁ仕方ないか。

(じゃあ、レイチェル、ママドゥとその周辺の地上警戒を頼む。

パメラは空中警戒だ。半径3000mで飛行生物を警戒してくれ。)

(了解。)

(カン大尉、チャンネル3でよろしいですか?)

(そうだな、パメラ、レイチェル。

3人をチャンネル3でイメージしてくれ。

チャンネル3オンだ。

聞こえるかレイチェル、パメラ。)

(ばっちりですよぉ、カン大尉。)

(はい、聞こえます。カン大尉。)


眼下の地表から視線を前方に向ける。

これまでの丘陵地帯を抜け、平原が広がっている。

ママドゥの歩く道もカーブが少なく、まっすぐ伸びて行く。

そして、大きな川に差し掛かった。

俺は一度ママドゥに合流した。

「ママドゥ、順調か?」

「おお、ファルスカン。どうした、昼食にはまだ時間があるぞ。」

「ああ、この先に広い川がある。見たところ橋は掛かっていないが、どうやって渡るんだ。」

「はっはっはっ、それはジャカ川だ。あの川はこの時期は水の量が少なく歩いて渡れる。

問題ないぞ。」

「そうか、要らない心配だったな。」

「いやいや、ありがとうよ。まぁ、問題なく川を渡るから見ていてくれ。

川を渡った先に一本木の丘がある。そこで昼食にしよう。」

「わかった。」


川を渡っているママドゥを見下ろしていると、3人が狩りから戻ってきた。

今回は鹿が獲れたそうだ。

ママドゥも川を渡り終わった。

前方に1本の樹が生えている丘が見える。

先に行って、焚火の用意をしておこう。


俺たちが丘の下で枯れ枝を集めているとママドゥがやってきた。

「ファルスカン、待たせたか。」

「いいや、大丈夫だ。

それより、ママドゥ、イノ豚の肉と鹿の肉はどっちが好みだ?」

「なに?イノ豚と鹿か。それなら鹿だな。だが、なんでそんな事を。」

「リサ、鹿だ。」

「はい、こちらが私たちが仕留めた鹿になります。」

リサは背嚢から鹿を取り出し地面に置いた。

仕留めたままだ。

わき腹に大きな打撃痕がある。クリスの棒の痕だろう。

「ママドゥさんに処理の方法を教わろうと思いまして、まだ何もしていないんですよ。」

ママドゥは両手で頭を抱えている。何か自問しているな。

「うん、月の人だからな。」

そんなつぶやきが聞こえた。

「ロープはあるか?鹿を捌くには木に吊るすんだ。それと水が要るぞ。」


昼食は鹿肉のあぶりだ。


しかし、収納魔法は便利だな。

入れた物をそのまま出す。

この鹿も鮮度を保ったまま保存できていた。

そして、背嚢の見た目以上の収納容量。

他にも保存食にヘルメットに作った弓矢に、そうだ交換用の老廃物収納ポッドも入れてもらっていた。

中はどうなっているんだろうか。

別空間?

亜空間とかいう奴か?

ジャンプゲートの教習で出てきたな。

んん?ジャンプゲートは宇宙船を入口ゲートから出口ゲートに出す。

何光年も離れて、だ。

想像してみよう。

背嚢に穴が二つ空いている。

背嚢の長さが10mあれば、10m離れた場所で出し入れ自由だ。

では背嚢の長さが10光年なら?

10光年離れた場所で出し入れ自由になるのか?

背嚢の収納魔法は魔法、すなわちナノマシンが実現している。

そうだ、リサがカッシーニ81を浮かせた時、ナノマシンは重力制御を行ったようだった。

あの時、重力子機関にナノマシンが内包されているのでは?との疑問を持った。

ジャンプゲートは12基の制御装置、重力子機関で制御していた。

ありうるのか?

そうなのか?

だとすると、ジャンプゲートの再建ができるのか?


だが、

そうだ、

再建できたとして、何処へ行くんだろうな。


次回は23話「部族長の村」。

部族長にファルス達がご挨拶します。


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