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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
第二章 探索
22/142

21話 魔石

ママドゥはオーク達の死体を見て驚いていた。

「ファルスカン、さすが月の人だ。あっという間に4匹ものオークを倒してしまうとは。」

「魔法で上手く仕留められたからな。接近されたら判らん。それで、これはどうする?穴に埋めるか?」

「そうだな。放って置いたら腐るからな。だがその前に胸の中から魔石を回収しよう。」

「魔石?ああ、確か胸の奥にあるんだったな。」

「そうだ。ちょっと待て。」

ママドゥは炎に炙られたオークの胸の中心に短剣を突き立て切り開き、ぐりぐりと中を穿(ほじく)る。

そして青色の小石を取り出した。

「魔獣やオーク共の身体には大なり小なり、この魔石が心臓の横にある。

これを神官様に届けると通貨と交換してくれるんだ。

オークのこの魔石は銀貨1枚になるぞ。」

「これが魔石。」


6角錐を上下に張り合わせたような2cm程の青銀色に鈍く光る塊だ。

(大尉、これはナノマシン塊ですね。)

(そうだな。)

レギウス星人は3歳の頃に体内にナノマシンを大量に投与される。

体内に取り込まれたナノマシンは心臓付近にナノマシン塊を作り出す。

これは体内におけるナノマシン収納庫である。

つまり、俺たちの胸の奥にも魔石がある、という事だ。


「ママドゥ、この魔石はお金になるんですね。そして、そのお金で買い物をする。」

「そうだ。俺たちの村は小さいからお店なんてなくて、巡回店の連中が物を売りに来た時しか使わないがな。

部族長の村は凄いぞ。お店がたくさんあるからな。武器屋、服屋、道具屋がたくさんある。」

貨幣経済か。

神官たちが銀行も兼務してるのか。

「神官様たちは魔石を集めて、何に使ってるんでしょうか?」

ホークが続けて聞いた。

クリスとパメラが2頭のオークの胸から魔石を取り出している。

レイチェルとリサは氷漬けを前に相談している。


「さあなぁ、詳しくは知らないが、道具屋で売ってる魔道具の魔石は神官様から提供されているって話だな。」

「先日、私達の船で話していただいた魔道具ですね。」

「ああ、そうだ。魔石の付いている木製の道具だ。火を点けたり、明りを灯したりする。」

「そうですか。ありがとうございます。」

道具屋は神官から魔石を仕入れているのだろう。

通貨をばらまくだけでは意味がない。

きちんと回収しないと、貨幣価値が無くなるからな。

これも7大陸に共通の仕組みだろうか?


魔法で穴を掘り、死体を埋めた。

氷漬けのは穴の中で燃やして魔石を取り出した。


金貨1枚=銀貨10枚=銅貨100枚。

銅貨4枚で1食喰えるそうだから金貨1枚は凄いな。

ホークとレイチェルは金銀銅の鉱脈が存在するとか、貨幣製造所があるのか、とか言ってるな。

金の鉱脈。

見つけたいものだ。地上観測衛星の完成が待たれる。



さらに道を進み、夕暮れが近づいた頃に宿営地を決めた。

ママドゥとしては隣村まで行きたかったそうだが、行軍速度を落としてもらったからな、すまん。


ママドゥの指導の元、薪となる枯れ木を集めて焚火を炊く。

火熾こし、水、携帯食料の準備に時間が掛からないから楽ではあった。

俺たちは携行食、ママドゥは村から持ってきた保存食を食べた。

ママドゥは余った時間で弓の作り方を教えてくれた。

しなりのある枝を見つけ、短剣で形を整え、つる草を弦として張る。

同様に矢も枝を元に作るが、これを作るのが難しい。

綺麗にまっすぐに作らなければ、まっすぐ遠くまで飛ばない。

ママドゥの村でも弓は作るが、矢は購入しているそうだ。


とりあえず、メティスに定時連絡を兼ねて報告し、ついでに弓の取り扱いについての参考映像を送ってもらった。

どうやら、他の皆は既にリクエスト済みだったようだ。

歩きながら映像見てたな。


ママドゥが俺たちがマントを持っていない事にも驚いた。

さらにリサ達が背嚢から取り出したヘルメットにも。

そうだろうな、背嚢に入るサイズじゃないからな。

しかし、マントか。良いな。部族長の村で買えるかな。


2時間の交代制で見張り当番を決めて俺たちは眠りについた。

だが、ここで一つ問題が発覚した。

この惑星の夜は13時間ある。

普段は個人用ポッド内で睡眠時間が調整されているので、時間通り眠っていたが、

野営で眠ると、俺たちの身体には6時間睡眠が身に付いていた。

(ファルス、どうしよう。暇だぞ。)

(フリーズ訓練だと思って、頑張るか。)

(見張り当番を残して、森で訓練しませんか?)

(そうですねぇ。少し離れれば、音を立てても大丈夫でしょうからね。)

(よーし、弓の練習しようぜ。)

(では、大尉。我々は訓練に行きます。次の交代までよろしくお願いします。)

(行きましょう。)

良く寝ているママドゥと俺を残して、皆、飛んで行った。

交代まで1時間。

朝まで7時間、夜は長いな。

俺はメティスが送ってくれた弓術指南の映像を見て過ごした。



1時間後にパメラが交代で来てくれた。

「カン大尉、交代します。」

「ありがとうパメラ、こちらは異常なしだ。皆は?」

「東へ1000m。ちょうど良い広場がありました。

明りが見えますから、すぐ判りますよ。

今は射的ゲームで得点を競ってます。」

「そうか、行ってくる。」


上空に上がると広場はすぐに判った。

闇の中の光一点、だな。


皆は横一列に並んでいる。

前方50mに土壁があり、そこに的が掘られていた。

これが射的ゲームか。

「大尉、大尉は最初の30mからですね。今、的の土壁を作りますね。」

リサの横に降り立つと練習の用意を始めた。

「ファルス、ルールは簡単だぞ。10本打って的の中心に多く当てたら勝ちだ。」

「そうか、じゃあ、弓の用意をしないとな。」

「ここに用意しておきましたぁ。矢も用意しましたが、これを使いますかぁ?」

「うん?使わせてもらうが、皆使ってるんじゃないのか?」

「最初は使ってましたけどぉ、クリス大尉以外は魔法矢を打ってますよぉ。」

「魔法矢?」


「大尉、これこれ。パメラが考えたんですよ。」

リサが手に氷の矢を持って見せた。

「飛行する時に防御フィールド張るじゃないですか、あの防御フィールドを形造るイメージで矢を作るんですよ。」

「氷の矢と土の矢は簡単でしたよぉ。炎の矢は難しいですねぇ。」

「そうか、魔法矢な。」

「これなら矢の在庫が要らないですしぃ、矢の連射速度も速いですぅ。」

「ふ、ふ、ふ、私とレイチェルは10本の矢を一度に放つ事に成功しました。」

「で、クリスはこの木の矢のままなのか?」

「魔法矢は重量感が無いからな、私はこの矢だ。」

クリスの矢は、それは棒だな。


「お前、それを飛ばしてるのか。」

「ああ。習うより慣れろ、だ。早くやろうぜ。ファルス。」

「ホーク、この矢はずいぶん綺麗に出来てるな。」

「はい、太い枝や木の幹から作り出しました。」

「そうか。その手があったか。」


ドゴーン!!

的の方から弓矢の着弾とは思えない音が届く。

クリスの棒矢が土壁に刺さった音だ。

あれで獲物を射たら、肉は残らないんじゃないか?

ビシュシュシュン。

パシュシュシュン。

レイチェルとリサの氷の矢も束で飛んで行った。

レイチェルは収束しての着弾。

リサは拡散しての着弾。

なるほど、使い分けできれるのは良いな。


俺も矢を(ツガ)えて放つ、が、矢は的まで飛ばなかった。

後ろから見ていたホークから声が掛かる。

「大尉、右足をもう少し下げて体を開いた方が安定します。

弓はやや寝かせて、矢を弓に載せる感じで番えます。

左腕をまっすぐ伸ばし、右腕の引きと視線を一致させます。」

ピシュン。

的はそれたが、土壁までは届いた。

ホークは自分の場所に戻って行った。

後は自主練だな。

とりあえず、100本ぐらい打っとくか。

魔法矢は弓矢のイメージが身に付いた後だ。


その後も練習を続け、最後の交代の時に引き上げた。

1時間程仮眠しないと昼間の移動でばてるからな。


俺たちが朝食をがっつり食っていたので、またしてもママドゥを驚かせた。

月の人は小さいのに良く食べる、と。


次回22話「豚か鹿か」

旅の楽しみは食事ですね。

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