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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
サイドストーリー
142/142

SS 64話の後 サイモン、偵察機の作成に取り組む

64話「城の地下 後編」の後の話です。


サイモン=ロバーツ二等兵はあまり他人との会話を楽しむタイプではない。

与えられた任務を遂行する。

指示された作業を行う。

集中してデータ分析に取り組む。

ひとりで。

それが、サイモンの性格だった。


砂浜での魔法練習の後、カッシーニ81に帰る時に、ふと横の草むらの中に何かが見えた。

なんだろうと思い近付いてみると、低木の枝の間に細いひもで作られた模様があった。


これは蜘蛛の巣だ。


頭の中で知識が読み込まれた。

なるほど、ナノマシンによる新しい知識は魔法以外のいろいろな物を教えてくれる。

だとすると、蜘蛛が、いた!

体長1cmほどの茶色の蜘蛛。

細長い足は1cm以上の長さがありそうだ。


サイモンは慎重に蜘蛛を両手で包み込む。


捕獲に成功した。

でも、どうしよう。

両手の隙間から逃げ出さないうちに、なにか容器にいれないと。


サイモンは艦内に戻り、甲板を見渡す。


「サイモン。どうした両手を組んで。」

「パトリックさん。蜘蛛を捕まえたんです。なにか小さな物を入れる蓋の付いている容器はありませんか?」

「蓋付きの容器?うーん、作った方が早いな。」

「そうですね。でも、」

頷くサイモンの閉じた両手の拳をパトリックも見る。

「作ってやるよ。10cm四方で、深さもそれぐらいでいいのか。」

「あの、できれば中が見られる透明性が欲しいです。」

「了解。」



「サイモン。何してるんだ。」

「お、さっきの蜘蛛か。」

サイモンの席にパトリックとラザロスが通りかかり、声を掛ける。

サイモンは蜘蛛の入っている箱の周囲と上部に5台のカメラの設置をしているところだ。


「そうです。蜘蛛の動きを撮影してみようと思いまして。」

「でも、こいつ動いてないな。」

「そうですね。さっき少し動いたので、そのうち動くと思いますけど。」

「しかし、歩かせるなら、もう少し広い容器が良かったな。」

「とりあえずはこれで。この撮影の後に必要であれば、今度は事前に作っておきます。」

「そうだな。おっ、動いたぞ。」


サイモンが箱を見ると、蜘蛛は反対の角まで動いて、そこで止まった。


「今の撮れたか?」

「確認します。はい、撮れてますね。」

「それで、サイモン。これを撮ってどうするんだ?」

「多脚の動きを解析してみようと思いまして。」

「なるほど。」

「頑張れよ。」

「はい。」



その後、この蜘蛛の観察と動きの解析と、それを元にした駆動装置の設計をサイモンは進めた。

複数の細い脚が連動し、間接が動き、脚が縮んで伸びる。

その動きはとても興味深く、それを自らの設計で再現する楽しみがサイモンに芽生えた。

だが、カッシーニ81が引越しをし、レギウス村の開発で忙しい日々を過ごした。


ある日、蜘蛛は箱の中で死んでいた。


サイモンは自分の迂闊さを悔やんだ。



第一班のスティーブンとダニエルがサイモンの横の空いている操作席に座った。

サイモンは石切り場の工作機の作業を終えて休憩中だった。

第一班は今日は休暇の予定だ。

二人は何をしているんだろう。

サイモンは二人の会話を聞いた。

もっとも、特に集中して聞こうとしなくても、この元気な二人の会話の声は周囲に響く。


座席にはダニエルが座り、その横にスティーブンが立ってモニターを覗き込む。

「さて、城の測量用の機械っていうと、ベースモデルは強行偵察機か小惑星探査機になるのか?」

「いやいや、ステフ。そんなコストは掛けられないし、機体が大きすぎるって。」

「じゃあ、工作機の距離測定機に足だけ付けるのか?」

「いや、それでもサイズが大きいって。人が住んでいた城の内部の測量だからな。つまりこの船の内部を測量すると考えるんだよ。」

「ああ、なるほど。外側の測量だけじゃ駄目なのか。でもそうすると、俺たち用の工具になるよな。」

「対物センサー式の測定器を持って、城の中を歩き回るか?」

「なんか小型で自走するモデルはあるかなぁ。」

「うーん。そうだ。艦内の掃除ロボットはどうだろう。」

「お、いいんじゃないか。」


二人はモニターに掃除ロボットの設計図を呼び出した。


サイモンは、その二人のやりとりを聞いて考えた。

「なるほど、人の住居の内部の測量か。」

レギウス村に建てている建物はカン外政官ら外政部の人たちのカメラ映像からナンドゥールが設計図を作成したと聞いている。

測量機があれば、その作業は素早く正確なものになるだろう。


艦内掃除ロボットも良い案だが、移動には整地された平面が必要だ。

村の住宅には段差も階段もある。

それに、重量があると、特に二階では、床が壊れる可能性がある。


足があって、軽くて、自走できる。


サイモンは自分のモニターに蜘蛛型ロボットの設計図を呼び出した。

まずは80cmぐらいで試作機を作ってみるのはどうだろう。

それで部品の設計精度を高めて、積載重量の確認をして、バッテリの駆動時間の算定をする。

後はサイズの小型化を何処までできるか。


サイモンは集中し、作業を始めた。


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