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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
サイドストーリー
140/142

SS 9話の後 ナンドゥールの外壁回収作業

この話は9話「ナノマシン通信」でファルス=カン、ホーク、リサの3人が連絡艇で初上陸した時の話です。


1308。


バシュ

バシャーンン!

外殻装甲板が吹き飛び、艦体右舷の海上に着水し水没した。

私、甲板制御コンピューターナンドゥールはその座標をマークした。


カン大尉以下3名を乗せた脱出艇は前方の陸地に向かって飛行を開始した。


私は、昨夜より用意していた工作機2機を起動し、格納庫出入口に設置したクレーンを使って海中に降ろした。

甲板内の構造上の問題で、この出入口は左舷側にある。

その為、海中に降りた2機の工作機は、これより船体を半周し右舷側に回り込んでの外殻装甲板回収作業を開始する。



昨夜。

ホーク中尉の工作機講習終了後の要請により、脱出艇内に個人ポッド3基を収納した。

これは脱出艇を翌日以降に利用するためだ。


そこで、私は運用に関するシミュレートを実施した。

惑星上での脱出艇の運用に問題は無い。

設置した個人ポッドも問題無い。

脱出艇の発進、着艦にも問題無い。


このシミュレーションでの想定される損失は、外殻装甲板である。


本艦カッシーニ81は現在惑星上にあり、甲板区画には多大な損害が発生している。

これらは復旧作業の必要がある。

復旧作業には部材が必要である。

よって、失われる予定の外殻装甲板の回収作業の検討は必要な事である。


私は検討し、準備し、作業計画案をホーク中尉に送信した。



工作機の操作は、人間がマスターポッドを使用して行う。

これは工作機の作業環境が宇宙空間であることを想定しているからだ。

小惑星上での作業の場合は、指令船に載せたマスターポッドから3000m以上離れた工作機を電波通信で遠隔操作している。


この作業は私も可能だ。

しかし、通常であれば甲板内での作業全般の実行制御に私のリソースが使用されている為、同時に複数台の工作機を制御することは難しい。

だが、今の状況では、私のほぼ100%のリソースを使用する事も可能だ。


海中に降りた工作機2機は現在船体前方を右舷に進行中だ。

当初は艦尾方向に進んだが、足場が悪く海底の傾斜もあり進行を断念し艦首方向に進路変更した。

さらに海水の抵抗が想定以上にある為に工作機の運動能力が低下し、予定時刻を30分以上オーバーしている。

私は作業予定時刻を修正しつつ、工作機の操作を進めていく。



右舷より水没した外殻装甲板までは75mの距離と想定されている。

2機の工作機は、その落下地点まで10mまでの所まで接近している。

だが、いまだ金属探知センサーに反応が無い。

どうやら着水から海底に着くまでの間に移動したようだ。

現在地での水深は20mだが、その先は海底が下り坂になっている。

さらに周辺動体探知レーダーにはいくつもの動体が検知されている。

どうやら海中生物がいるようだ。


私は工作機の移動速度を減速し、ゆっくりと進めた。



船体から120m、水深32m地点で外殻装甲板を発見した。

工作機2機が左右の端に位置し、装甲板を持ち上げる。


想定外の重量を検知し、主腕の過負荷警告が発せられた。


対象物に間違いは無く、これは外殻装甲板だ。

動体探知レーダーによれば、外殻装甲板上に乗り上げてる様な物は無い。


私は少し混乱したが、工作機の動作が海水の抵抗に拠って負荷状態にあることと同様の状態に外殻装甲板があると推測した。

私は "外殻装甲板の運搬" を "外殻装甲板の牽引" に計画変更し、工作機へ指示した。

この程度の計画変更は私の裁量で可能だ。


作業予定時間は大幅に伸びているが、工作機の動作可能時間にはまだ余裕があるので大丈夫だ。



1730。


海底での外殻装甲板の牽引作業は予想以上に時間が掛かっていたが、ようやく船体左舷の出入口付近まで辿り着いた。

クレーンから牽引フックを降ろす準備を始めたところで、突然"異常重力波検知"の警報が発令された。


私は全ての作業を停止し、甲板区画内の状況確認、安全確保の作業を優先した。



中央管理コンピューターメティスとのデータリンクの結果、今の異常重力波はリサ=メンフィス中尉が実行したもので、その結果として本艦カッシーニ81の現在地は陸上にあるという事が判明した。

私は2機の工作機の現在地を確認した。

カッシーニ81の移動前の位置は浜辺より艦首が約100m、工作機出入口は約400mの位置であった。

だが、工作機2機の現在地は艦尾より800m離れた右舷後方の海中にいた。

さらに1機は右腕損傷の警告が発生している。

どうやらカッシーニ81が浮上した際に発生した水流に拠って海中を移動し、その際に外殻装甲板に接触したようだ。


私は、2機の工作機に外殻装甲板牽引作業を指示した。


2機は、その後もゆっくりと海底を移動し、海中から外殻装甲板を浜辺に引き上げた。

だが、そこで動作を停止した。

時間切れだ。


私は外殻装甲板および工作機2機の回収作業が必要だと判断した。

これは私の裁量での計画変更範囲を超えている。


私は回収計画案を検討し、準備し、作業計画案をホーク中尉に送信した。


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