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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
最終章 イの国
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129話 武器屋と魔道具屋

西の街に戻って来たが、まだ昼前だ。

冒険者ギルド前の広場の人通りは少ない。

広場に面して2軒の武器防具屋があった。1軒は皮製の防具を主に扱っている防具屋。

2軒目が武器屋で金属製の防具も扱っていたので、そちらに入った。


「いらっしゃいませー。」

8歳ぐらいの男の子が入口で出迎えてくれた。

レギウス村だと神の館で学習の時間だが、神の館の無いこの街では家の商売の手伝いをしているのか。


店の中は客が少なく、カウンターの中は女性が一人だけだ。


「何かお探しですか?」

男の子に声を掛けられた。

立派な店員さんだ。

「すまない。盾に魔石を嵌め込みたいのだが、加工の相談はできるかな。」

「加工の相談ですね。こちらへどうぞ。」

男の子は俺たちを先導して、カウンター内の女性の前に案内した。

「いらっしゃいませ。」

「こちらのお客様が加工の相談がしたいそうです。魔石を盾に装着したいそうです。」

「畏まりました。では、私がお話を承ります。」

「では、失礼します。」

男の子は女性に引き継ぐと、入口の方へ戻って行った。


「たいしたもんだ。」

「かわいいですねぇ。」

「うむ。」

「ありがとうございます。さて、盾に魔石を埋め込みたい、という事でしたか?」

「そうだ。盾はこちらの金属盾になる。魔石は、」

「この2個です。」

盾を渡し、カウンター上に魔石を2個置く。

「確認させていただきますね。」

女性は盾の表面に触れ、次いで魔石を手に乗せる。

「えっ、これは!?火竜の魔石ですか?」

「そうです。こちらが地竜の魔石です。」

「なるほど。では、魔法防御の盾を作るのですね。」

「はい。その予定です。」

「分かりました。加工担当者を呼んで参りますので、そちらの席でお待ちください。」


俺たちはカウンター内のソファに座って待つことになった。

奥から出てきた6歳ぐらいの女の子が、テーブルに茶のカップを置いて戻っていく。

「かわいいですねぇ。」

「うむ。」


待つこと暫し。

女性と共に書類を持った40歳ぐらいの男性が入ってきた。

ソファに座る俺たちの所に駆け足で来ると、テーブルに書類を置く。

「よく来てくれた。俺は加工屋のロキだ。魔法防御の盾を作りたいって?」

「そうだ。」

「くー。楽しい話だねぇ、旦那。じゃあ、早速だが、この図面を見てくれ。これは俺のひいじいさんの先代が作った魔法防御の図面なんだ。」

テーブルに広げられた紙には円形の盾の中央に5つの魔石が配置されている。

「魔石の防御力を有効的に発揮するには、盾の中央に配置するのが常識だ。

だが、複数の魔石を配置する時は、間を取らないといけない。

そこで、こんな風に中央に(かなめ)の鉄板を置いて、その周囲に魔石を配置するんだ。

バランス的に言えば5個か6個の配置が良いんだが、まぁ5個がお勧めだな。」

「そうなのか。だが、我々が持ち込んだのは2個だぞ。」

「今はそうだが、地竜と火竜の魔石だ。あんたら、次は風竜や水竜を狙ってんだろ?なら、今からそれを嵌める前提で考えないとな。

で、だ、旦那が持ち込んだ盾だが、あれには中央に綺麗な紋章が掘り込まれている。

残念だが、あの盾には魔石は埋め込めないな。」

「そうか。」

「盾の裏側に填め込む事もできるが、この魔石は魔獣の魔法攻撃に反応して効果を発揮するタイプだ。裏にあると発動する頃には衝撃で吹っ飛ばされてるぜ。

そこで、だ。同サイズの鉄の盾、銀貨20枚を半額の10枚で、魔石1個の加工賃が金貨1枚。締めて金貨2枚銀貨10枚でどうだい。」

「出来上がりはいつになる。」

「加工の仕事が色々入っているが、そっちを後回しにすれば明日の夕方にはできるな。」

「そうか。」

盾の完成を待っていては今日の午後と明日が一日潰れてしまう。

ここは魔道具の作成経験者に聞くか。

「リサ、どうだ?」

「良いと思いますけど、魔道具屋さんの意見も聞いてみましょう。」

「そうか。」

「はい。」

「では、盾の製作は保留にする。相談に乗ってくれてありがとう。」

「いや、そうかい。じゃあ、魔道具屋のペニーによろしくな。」


意気込んでいた主人の落胆した姿を背に、俺たちは店を出た。



「リサ、何か気になることがあったか?」

「ええ。さっきは盾に付けるのもいいかなぁって思ったんですけど、これは身に着けているだけで効果を発揮するんですよ。

でも、あの武器屋は魔獣の魔法に反応する、って言いましたよね。

ちょっと違うなぁって、思って。

たぶん奥さんはちゃんと分かっていたようですけど、旦那さんは途中で自分の作りたいものを作ろうとしてたんじゃないかな。」

「あの図面か。」

「そうです。それにクリスの身体強化はペンダントにすると良いと思うんですよね。」

「うむ、そうじゃな。リサ。」

「わかった。魔道具屋に行こう。」



魔道具屋の加工担当はペニーという年配の女性だ。

先程と同様の説明をすると鎖帷子を薦められた。

これに胸当ての飾り台を固定し、4個の魔石を嵌めるという。

この様式なら最大10個まで付けられると言うので、リサとクリスも推薦した。

俺に拒否権は無い。

鎖帷子のサイズを確認し。仕上がりは3日後。

クリスのペンダントは鎖と飾り台を選んで、明日の昼には仕上がるそうだ。



宿に戻り、嵐たちの様子を確認してから昼食にした。

「さて、午後はどうする?」

「時間ありますからね。でも街のお店も、目新しい物がなさそですよ。」

「そうじゃな。菓子屋や普通の服屋が無い。ここも冒険者の為の町じゃな。」

「店の女性は綺麗な布の服を着ていたぞ。」

「装飾が少ないので、普通ですね。」

「うむ。」

「そうか。ドレスを売っている様な街ではないよな。」

「東の都にいかないと無いかも、ですね。」

「では、風竜の魔窟に行ってみるか。」

「はい。」

「うむ。」



風の魔窟の入口で受付を終わらせ、第一階層に入る。

外に出たのか?と見間違えるような草原だ。

天井は高く、明るく輝いている。

周囲は灰白色の石壁だ。

中央に一本の樹が生えている。

ベア族の土地にあった一本木の丘のようだ。


その木が枝葉をザワザワと揺すり、太い根をうねらせ、こちらにゆっくりと接近してくる。

太い幹に目と口の様な窪みがあるな。

「あれは魔獣なのか?」

「トロントって言う森林の奥地にいる魔獣のようですね。」

「ふむ。炎弾!」

クリスが火球をトロントに放つ。

トロントはそれを枝葉で受けた。

何事も無い様に、接近を続ける。


「なるほど。枝葉が腕の代わりなんだな。」

「攻撃はどうするんじゃ。枝を振ってくるのか?」

その時、足元の土がもこもこと動きを見せた。

「下か!」

飛びのいた俺たち目掛けて土中から根が伸びてくる。

さらに、枝の中からツタが伸びて来た。


俺は抜いた剣でツタを払いつつ樹に接近する。

ドッ!!

剣は幹に食い込んだが、振り抜く事はできなかった。

そして、抜くこともできない。

俺は食い込んだ剣を残したまま距離を取る。

樹を切り倒すには斧が良いんだったな。

バキィ!

クリスの鉄棍も幹の表面に打撃跡を残すだけで、ダメージは少ないようだ。


「風切乱舞!」

リサが枝葉を切り落とし、根を切り刻む。


「ファルス=カンが命じる。雷撃!」

バッッシィィィ!

今回はバッテリーは無しだ。

これで駄目ならバッテリーを使うが、どうだ?


幹に食い込んだ剣を目掛けて撃ち込んだ雷撃はトロントの幹を裂き、内部に炎の揺らめきと黒煙を生じた。

「我が腕輪よ。敵を燃やし尽くせ!炎壁!」

クリスの発した炎の壁がトロントを焼く。

炎壁の炎ならその場に留まって対象を焼くので、燃えにくいトロントにも有効だろう。


炎壁が消えた後もしばらくの間、トロントは黒煙を上げながらも枝葉を動かしていたが、やがて光に包まれて、その姿を消した。



「ファルス、剣が焦げたのではないか?」

「ナンドゥール製だ。大丈夫だろう。」

「えっ、いくらナンドゥール製でも熱には弱いですよ。切れ味落ちたんじゃないですか?」

「そうか?」

俺は鞘に入れた剣を抜いて刃を見る。

わからんな。

「鑑定。」

剣の情報が頭に入ってくる。

切れ味の項目はないが、状態の項目を見ると熱による一部変性あり、とあった。


不味いか。

背嚢の中に砥石が入っているはずだが、ふと、魔法でできないか、と思いついた。

剣の状態、切れ味を良くするには。

「ソードリペア」

新しい魔法を唱えると剣が淡い光で包まれた。成功のようだ。

そのまま剣を鞘に収める。


「仕舞っても大丈夫なんですか?」

「ああ、時間が掛かるので仕舞っても大丈夫だ。そう、頭の中に通知が来たな。」

「ナノマシンは頑張ってくれますね。」

「ああ、世話に成りっ放しだな。」

「鍵の改変も終わりましたよ。」


リサが手渡してくれた鍵の刻印は50となっている。

俺はそれを奥の壁にある鉄扉の鍵穴に挿し込んだ。



階段を登った先の木の扉を開けると、周囲を岩壁に囲まれた場所にでた。

正面が開けた場所で、いかにも鳥の巣の有りそうな場所だ。

天井は無く、青空が広がっている。

そして、そこに一匹の竜がいた。



次回130話「風竜」

ファルス達には道中を楽しむという概念が薄いようです。


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