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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
最終章 イの国
129/142

127話 魔窟

朝食後、俺たちは別室に案内され、支団長オスカル君と会った。

「おはようございます。皆さん。昨夜はお休みになれましたか?」

「はい、お陰様で寛がせていただきました。」

「それは、良かった。

さて、本来であれば、今日は我々魔法兵団について説明をさせていただき、その上で、皆さんを我が魔法兵団の一員にお誘いしようと考えておりました。」

オスカル君はゆっくりと俺たちの顔を順に見る。

「ですが、昨夜の皆さんのお話を聞き、私は皆さんをお誘いするべきではない、と判断しました。」

「それは、なぜでしょうか。」

「ふふ、皆さんの冒険の話が楽しかったのです。私まで冒険者となって各地を巡りたくなりました。

ですので、皆さんをここに留めるような申し出はいたしません。」

「そうですか。」


俺たちは魔法兵団の建物を出て、西の街へと下り坂を進んだ。



「さて、振られてしまったが、どうする?冒険者ギルドに行ってみるか。」

「ネイマー支部長の紹介状は返してもらったのであろう。では、行ってみようではないか。ファルス。」

「そうですよ。せっかく来たんですからね。」

「では、宿をとったらギルドへ行こう。」



「ほう、あのネイマーが大層な褒めようだな。」

西の街冒険者ギルド、ギルドマスターの執務室に通された俺たちは、彼の執務机の前に並んで立っている。


「だが、入国時はDランクだったのだな。つまり、素質はあるが冒険者としては未熟なのか?」

「その通りだ。」

「では、下でクエストを受注してくれ。君達の活躍を祈っているよ。」

「そうさせて貰う。」


どうやらネイマー支部長は俺たちの冒険者ランクの事は紹介状に書かなかったようだ。

そして、受付係りもギルドマスターも俺たちの冒険者カードを確認しなかった。



「指名依頼は貰えんかったのう。ファルス。」

「ちょっと態度が尊大でしたね。」

「まぁ、あれぐらいなら、貴族に良くいるタイプだ。」

「そうじゃな、いちいち気にしていると、こちらが疲れるだけじゃ。」

「私たちの活躍を祈ってくれましたしね。じゃあ、掲示板をみてみますか?それとも、この辺の説明を聞きますか?」

「説明を聞くか。」

「そうじゃな。」



受付カウンターの職員と西の街ガイドブックに拠ると、この周辺には主に6つの探索場所がある。

北の森、これは西の北村の黒蜘蛛の森に繋がる森林だ。

南の森、こちらは街の西から南へと続く森で、西の南村の先まで続く。

霧の沼地、南の森の山脈側にある。薬草採取に適している場所だが毒持ちの魔獣が多い。

火竜の魔窟、地下へと潜る洞窟。地下50階が火竜の棲みかになっている。

風竜の魔窟、頂上へと登る宮殿。50階に風竜がいる。


火竜と風竜の魔窟のクエストは無く、魔窟での拾得物を冒険者ギルドが引き取る。


俺たちは火竜の魔窟に向った。



「おはようございます。魔窟に入られるのでしたら、こちらに冒険者カードを置いてご登録ください。」

魔窟入口にある受付で職員の案内で手続きを行う。

冒険者カードをステータス判定機の様な石版の上に(かざ)し、石版が光ると終わりのようだ。

「はい、皆さんの登録が終了しました。では、行ってらっしゃいませ。」

「申し訳ない、我々は魔窟に入るのは始めてなんだ。なにか説明はあるか?」

「初めてでしたか。失礼しました。では、簡単に説明させていただきます。

この魔窟には階層主という魔獣がいます。この階層主を倒すと鍵を落とします。

この魔窟は階層構造になっていて、奥の扉を階層主の鍵を使って開けると次の階層に進む事ができます。

反対に入口側の扉を開ければ、地上に戻れます。

階層主の鍵を持ち帰れば、次に魔窟に入る時に使うことで地上から目的の階層に行く事ができます。

最後に、この魔窟で行方不明になっても捜索隊はでません。無理せず、引くときは引いてください。」

「わかった。ありがとう。」

「行ってらっしゃいませ。」


魔窟入り口は装飾された鉄の扉だ。

鍵穴が付いているが、これは階層主の鍵を持ち帰った時用の物だ。

俺は扉を押し開けて、洞窟へと踏み込んだ。



火竜の魔窟は洞窟という説明だったが、通路の壁と天井は凹凸のある岩肌だが、床は綺麗に均された石畳だ。

通路は幅3m、高さ3m。

地竜の洞窟は自然の洞窟だったが、こちらは人工の洞窟だろう。

壁には5m間隔で光の魔石ランプが配置されている。


最初の通路は10m程で木の扉で遮られている。

俺は木の扉を押し開けた。

足元の石畳の床が無くなり、俺たちは5m程下に落下した。


「あ、いたー。」

「いきなりじゃな。」

「すまん。大丈夫か。」

「魔窟に入って10mで落とし穴に落ちるなんて。私達、素人ですね。」

「その通りじゃな。」

「あの木の扉が罠だったのか?」

「たぶん、そうでしょうね。」

「リサ、お主ならば、途中で気付いたのではないのか?なぜ、落ちておる。」

「えっ、落とし穴ですよ。落ちないと体験できないし、楽しめないですよ。」

落とし穴の四方は石壁だ。

5m上まで戻らないとならないが、飛べる俺たちには問題ないな。


通路に戻ると、さらに前方に木の扉がある。

「これも、罠か?」

「調べて見ましょう。」

リサが扉の表面に左手を当てる姿勢をとった。

「トラップ・サーチ。」

リサが魔法を唱えると、扉の取っ手が淡く光った。

リサはそこに左手を向ける。

「トラップ・リジェクト。」

カチリ

扉から鍵が開く様な金属音が響き、扉が開いた。

「これで大丈夫ですよ。」


「リサ、その魔法は?」

「これは探索魔法の中の罠探しと罠解除の魔法です。」

「探索魔法、か。」

「魔法の系統確認をしないと、頭の中に出てこないんですよね、これ。」

「そうなのか。確かに俺の頭の中には。」

探索魔法を頭の中で考えると、魔法の種類として認識し、その系統として罠探しと罠解除が知識として浮かび上がってきた。

その他にも"マッピング"とか"気配検知"や"追跡"なんて魔法もあるな。

「魔法知識に関しては、私達の頭の中に知識はあるんですけど、認識をしないと浮かび上がってこないのが、問題ですよね。」

「これは、前に教わった生活魔法と同じ問題じゃな。リサ。」

「そうです。この世界のルールだと、冒険者として経験を積む事で段階的に開示されるそうですね。」

「生活魔法もあるのか。しかし、リサはどうしてその知識を、そうか、管理者レベル6か。」

「まぁ、そうです。」

「それは便利そうじゃな。うちもレベル6に成れるのか?」

ゴソゴソ


「うーん、よく分かんないんですよね。私は知識の無い状態で重力魔法を使用した事がレベルアップの要因の1つだったみたいです。」

「重力魔法。カッシーニ81を浮かせたやつだな。」

「そうです。引越しの時に活躍したでしょ。」

「それなら、うちの飛行も重力魔法じゃな。」

ギリギリ


「そうなんですよね。だから知識としてあると駄目なのかな、と思ったんですよ。」

「待て。クリスの飛行魔法は風魔法じゃないのか?」

ドシュ

グゥゥ

ドサッ


「違うぞ、ファルス。風魔法じゃと細かい機動が出来んからの。しかし、そういうファルスの飛行も風魔法ではないぞ。」

「何!?」

「やっぱり。意識せずにやっていたんですね。だからSSランクに成れたのかな?」

「そうじゃったのか。」


「そうなのか。」

「ファルスさんが飛ぶときのイメージって、どんな感じですか?」

「飛ぶときは、戦闘艇のイメージだな。」

「そうじゃろうな。岩の下でオーク共を相手にしていた時の動きはシャープじゃったからの。」

「そう言われてみれば、最初の頃は身体の周囲に風を起こして風に乗るイメージだったが、最近は風を意識していなかったな。

だが、重力魔法での飛行となると、どうなっているんだ?」

そう疑問を口にすると、頭の中に身体と、身体を包む防御フィールドと、その周囲に浮かぶ球体のイメージが浮かぶ。

なるほど。

「その顔は、魔法の仕組みが分かりましたね。」

「ああ、分かった。魔法については時間を作って確認した方が良さそうだな。」

「うーん、かなり広範ですし、似たような魔法も多くありますよ。それより、イメージですよ。

明確にイメージすれば、ナノマシンが応えてくれますからね。」

「そうだったな。イメージが大切、だな。」

「はい。」


「話は終わったか?ファルス。リサ。」

「ああ、終わった。すまんなクリス。」

「ごめん。」

「まぁ、トロール1匹じゃからな、問題ない。それより、箱が出てきたぞ。ファルス。」

「箱?」


リサが開けた扉の先は四角い部屋で、ここも壁に掛けられた光魔石ランプで明るい。

中央にトロールが立っていた。

扉の所で俺たちが長話をしていると、手にした石斧を振り上げて威嚇していた。

それをクリスが弓で一撃したのだが、トロールが倒れると身体は消え、一つの箱が現れた。


「これが、宝箱か?」

「開けてみましょう。」

「ああ。いや、待て。」

箱には鍵はついていない。ただの蓋だ。

俺は右手で箱に触れた。

「トラップ・サーチ。」

箱は光らなかった。

「罠はないな。」

「うむ。さすがじゃな、ファルス。」

箱の蓋を開けると中には鍵が一本。

鍵の持ち手の四角い飾り部分に”2”と刻印されている。

「2階への鍵、か。」

「壁の鉄扉が先へ続く扉じゃな。」



鉄扉の中央に鍵穴があるが、取っ手は付いていない。

俺が2階への鍵を鍵穴に差し込むと、鍵が鍵穴に吸い込まれ、鍵穴を塞ぐ形になった。

どうやら鍵は取り外せないようだ。

鉄扉の表面に光の魔法陣が描かれる。

カチリ

ギィィィ


扉が開き、下へと続く階段が現れた。



次回128話「火竜」

火トカゲの鱗で作られた盾があると火焔放射を防ぐ事が容易です。


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