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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
最終章 イの国
127/142

125話 西の街へ



冒険者ギルドのいつもの部屋。

「支部長。こちらが鑑定結果です。」

「ご苦労。」

「では、失礼いたします。」


ネイマー支部長に巨大蜘蛛退治と窪地の洞穴の封鎖について報告した。

3匹の蜘蛛が落とした輝石は今回も、鑑定作業が必要だった。

「ふむ。身体強化の輝石、金貨8枚。魔法攻撃力増加の輝石、これも金貨8枚。

そして、風魔法無効の魔石、火魔法無効の魔石、水魔法無効の魔石、土魔法無効の魔石、各金貨10枚。

全部で金貨56枚。

売るか?今なら金貨60枚でどうだ。」

「支部長。」

「ステラ、これは素晴らしい物だぞ。」


俺は鑑定結果の書類を一読し、それをリサに渡した。

「身体強化の輝石はクリスが所持するとして、他の物はどうだ?」

「そうですね。これは、売ってもいいですね。」

「そうか。」

「売ってくれるのかっ!」

「えっ、いいんですか。」

「はい。」

「では、魔法無効の魔石を4個と魔法攻撃力増加の輝石を1個。金貨48枚だな。」

「うむ。ステラ、売買契約書と金貨を用意してくれ。」

「はい、すぐに。」



宿に戻り、遅めの昼食を摂る。

「リサ、あの魔石は売っても良かったのか?」

「ええ、問題ないです。」

「しかし、魔法無効というのは捨てがたいと思うが。」

「えーと、魔法にはレベルがあるんですよ。あの魔石の無効対象はレベル3までの一般的な魔法に対しての物なので、私達には不要です。」

「うちのファイヤーストームはレベル幾つの魔法なのじゃ?リサ。」

「あれは魔法としてはレベル3ね。威力はレベル4ぐらいかな。」

「それじゃと、無効化されてしまうのぉ。」

「うーん。無効化っていうのが、正確な表現じゃないよね。レベル3までの威力は防げるけど、それ以上の威力は防げない、が正解に近いかな。

なので、レベル3までの魔法の威力を防げる魔石、ですね、あれは。

普通の人が普通の人の放つ魔法を防ぐなら、あれで十分ですけど。

なので、クリスのファイヤーストームの威力はレベル4相当だから、相手にダメージは与えられるよ。」

「なるほど。」

「ファルスさんの雷魔法の最大出力ならレベル5以上あるでしょうから、全然役に立たないですね。」

「そうなのか。」

「はい。」

「ふむ。威力はファルスが上か。」

「クリスは身体強化があるでしょ。注意しないと宿の扉とか、その辺りの物も壊しちゃうんじゃない?」

「む、それは普段から注意しておるぞ。リサ。」

「そういえば、ダンスの相手の腕を・・・。」

「あ、あれは最初の頃の一度だけじゃ。それに断ったにも関わらず強引にうちの手をとったあ奴が悪い。」

「そうだっけ。」

「そうじゃ。それより、ファルス。この後はどうするのじゃ。」


「そうだな。1日早いが、宿を引き払って、西の街に行くか、勇者パーティーがいるという北の街に行くか。」

「うむ。旅の資金も手に入ったからの。うちはそれで良いぞ。リサはどうじゃ。」

「私も賛成です。もう、黒蜘蛛の森には近付きたくないです。」

「では、西か北か。」

「北じゃな。」

「そうですね。」



「そうか、行くか。残念だな。それで、私が紹介状を書けばよいのだな。で、どんな紹介をされたいんだ?」

「北の街の冒険者ギルドでも指名依頼を受けたいと思う。なので、この西の北村での指名依頼達成の事を書いてくれれば良いと考えるが。」

「分かった。私の紹介状なら北の冒険者ギルドマスターも無碍にはしないさ。用意するので待っていてくれ。」


俺たちは受付カウンター前のテーブルに座り、ギルドマスターの呼び出しを待つことにした。

ステラさんも同席している。

「そうですか、皆さん北の街へ行かれるんですね。」

「ステラさんには世話になった。ありがとう。」

「いいえ、こちらこそです。北の街でも皆さん、ご活躍なさるでしょうけど、無理はしないでくださいね。」

「分かった、ありがとう。」


ゴトゴト

バタン

ギルドの前に2台の馬車が止まり、4人の男女がギルド内に入ってきた。

皆、揃いの衣装だ。

特徴的な青いマントは右前から背中を覆う形で、左腰の剣を抜くときに邪魔にならないような形をしている。


俺たちが座るテーブルを過ぎて、まっすぐに受付カウンターに向った。

「魔法兵団・・・。」

ステラさんがつぶやき、俺の顔を見て、リサの顔をみた。


「魔法兵団西の街支団の者だ。ネイマー支部長にお取次ぎ願いたい。」

カウンター内のギルド職員が対応に動いている。


「ファルス、逃げるか?」

「逃げる?」

「あれは、我々のスカウトであろう。じゃとしたら、北の街へは行けなくなるぞ。」

「そうですよ、ファルス=カンさん。」

「そういえば、ステラさんが言ってましたね。」

「はい、彼らはスカウト部隊だと思います。」

「そうか。・・・。話を聞いてみるのも面白いかもな。」

「そうですね。逃げれば追われますけど、話を聞けば味方が増えるかも、ですよ。」

「リサよ。楽観しているようじゃが、あ奴らの狙いはお主じゃぞ。」

「えっ?」

「そうですよ、リサさん。SSSじゃないですか。」

「ああ、そうか。あれ、その結果はどうして知られたんでしょう。」

「おそらく、あのステータス判定機に通信機能が仕込んであったのだろうな。」

「ああ、なるほど。」


俺たちが会話している最中に、魔法兵団の4人は奥へと通されて行った。


やがてステラさんが奥に呼ばれる。

そしてステラさんは、俺たちを呼びに戻って来た。



いつもの部屋。

ソファの一つにネイマー支部長が座り、もう一方のソファに魔法兵団の男女2人が座り、残り2人はその後ろに立っている。

俺たちが部屋に入る時には4人ともが起立して迎えてくれた。


ステラさんが声を掛けて、椅子が3脚、部屋の中に運び込まれ、俺たちが着席した。


「すまんな。こちらの魔法兵団の方々が、是非にというもので、少し狭いが我慢してくれ。」

「問題ないです、ネイマー支部長。それで、お話とは?」

俺の問い掛けに、ソファに座っていた男が、再度立ち上がった。

「私は魔法兵団西の街支団所属のカーバインと申します。

支団長オスカルより、オの国よりいらっしゃいました御三方、

リサ=メンフィス殿、ファルス=カン殿、クリスティン=サワー殿に、

是非、我が西の街支団にお越しいただきたい、との申し入れでございます。」


「わかった、受けよう。」

「ありがとうございます。移動には我々が用意した馬車がございますので、そちらにお乗りください。」

「いや、我々には馬がいるのだが。」

「では、馬はギルドが預かろう。」

「いえ、ネイマー支部長。彼らは我々の友人ですので、西の街へ行くならば、共に行きます。」

「そうか。それは申し訳なかった。忘れてくれ。」

「では、馬は我々の馬車と共に連れて行きましょう。準備が整い次第出発したいのですが、よろしいですか。」

「問題ない。我々も西の北村を離れる準備を終えたところだ。

ネイマー支部長、お願いしていた紹介状ですが、」

「ああ、それなら書き上げて、こちらのカーバイン殿に渡したよ。

オスカル殿に渡してくれるのだろう?」

「はい、オスカル支団長にお届けいたします。」


こうして俺たちは西の北村を離れ、街道を南下し、西の街に入った。



(ファルス、魔法兵団といえば、ジャミルとテレーザじゃが、二人のことは秘密なのじゃろ。)

(そうだな。あの二人は俺たちが月の人だと知っているが、こちらの人間に俺たちの事を吹聴したとも思えん。それにあの二人も元国王夫妻だ。おそらく偽名で生活しているだろうから、表には出てこないだろう。)

(では、内緒ですね。)

(うむ。)

「あの、どうかいたしましたか?」

「いや、綺麗な町並みだと感心していました。」

「うちは、少し腰が痛いな。そうじゃ、オの国ではスプリングクッションという物が流行っておる。この国でも取り寄せるが良いぞ。」

「そうですか。」



西の街に着いたのは日が落ちる頃だった。

街は石塀に囲まれた城砦都市のような姿をしている。

通りは石畳で整備され、建物も石造りの3階建て、4階建ての建物が並んでいる。

2階以上は木造だった他の国々とは違うな。


通りは人々が行き来し、店からは食事の匂いと人々の話し声が聞こえる。

冒険者ギルド前の広場は今日のクエストを終えた者達が集まっている。

その広場には噴水があった。

これは、初めて見たな。


俺たちの馬車はその広場を通り過ぎ、高台への上り坂を進む。

その先には王城のような石塀に囲われた建物がある。

カーバインの説明によると、この高台は西の街の行政区画だそうだ。

その区画の一つが魔法兵団の西の街支団になっている。

所属団員は50名。団員以外の従事者も200名程働いているそうだ。

基本的に団員は住み込みで、従事者は通いだそうだ。


俺たちの馬車とすれ違い町へと降りていく馬車には多くの人が乗っていた。

仕事帰りの人々だ。


なるほど、乗り合いの通いの馬車か。

レギウス村にもこの仕組みを作れば、農地を広げた時に農民の引越しを減らせるんじゃないか?

レギウス本星や基地にあった軌道車両を馬車で実現する。

これはホークと連絡が取れたら提案してみよう。


馬車は魔法兵団の屋敷に着いた。

俺たちを正門前で魔法兵団の団員が迎える。

「お待ちしておりました。ようこそ魔法兵団西の街支団へ。支団長のオスカルです。」

俺たちを出迎えたのは身長130cmほどの小柄なカッツェ族の少年だった。



嵐たちを厩舎の者に頼んだ後、俺たちが通された部屋には食事の用意がされていた。

堅い話は食事の後で、という事で、まずは食事をしながら、魔法兵団の話を聞く。


本部は東の都にあるが、そこは事務処理部隊が主で実働部隊は置かれていない。

兵団長は北の街支部にいるそうだ。

西の街は支団長と副支団長の下に2部隊がある。

魔法兵団の目的は地域的な広範囲に及ぶ危機に対する事。

なので、部隊が動くのは数年に一度くらいしか無い、という。


「皆さんは、これまでは、どのようなご活躍を?」

「我々は元々オの国で冒険者として活動を始めたのですが、その後隣国のエの国、さらにウの国に渡り、そしてここ、イオタ国まで来ました。」

「そうですか。各地を渡っておられるのですね。」

「ええ、ですが、このイオタ国は他の国とは違いますね。」

「そうなのですか。」

「例えば、我々は西の北村でトロールを倒しましたが、倒したトロールの体は消えてなくなりました。

今までは、倒した肉体は残っていましたよ。」

「へぇー、そのような違いがあるのですか。他にもありますか?」

「他は、まだ2日ほどしか活動していないので、」

「今朝の蜘蛛はどうじゃ、白い奴は初めて見たぞ。」

「あの巨大なサイズも初めて見ましたよ。」

「白い蜘蛛ですか。」

「そうじゃ。下半身は普通の蜘蛛じゃが、上半身は白い人型での、一匹はそこに鉄の兜を被り、剣と盾を持っておったぞ。」

「それは、私も聞いたことが無いですね。」

「じゃあ、10mを超える大きな蜘蛛はどうですか?茶色のまだら模様で赤い目がたくさん付いているんですよ。」

「10m超えですか。そこまで大きいのは見たことも聞いたこともないですね。蜘蛛は小さいのがたくさんいるのが普通のイメージですね。」

「そう、ね。思い出しちゃったわ。」

「リサは、蜘蛛が苦手じゃからの。」

なるほど、クリスとリサはカッツェ族のオスカル君と話したかったのか。


その後は飛竜退治やゴブリン退治の話を、この大陸のどこかで、他の冒険者パーティーと共に、空は飛ばずに、馬で移動しながら、活躍した話をした。


色々隠すのは疲れるな。


次回126話「悪夢」

ナノリサが周辺ナノマシンとの会話をしていましたが、その結果・・・。

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