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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
最終章 イの国
126/142

124話 3匹の蜘蛛

目の前の白い壁が切り裂かれ、10mほど先にいる3匹の蜘蛛の姿が見えた。

中央に薄茶色と濃茶色のまだら模様をした巨大な蜘蛛が、大小複数の赤い目をこちらに向けている。

頭だけで3mぐらいありそうで、腹と足の全ては見えない。

その左右に人と同サイズの蜘蛛がいる。

右にいるのは、俺が見た白い人型だ。ただし、下半身は蜘蛛だな。

左にいるのも、同じく上半身は人型で、下半身は蜘蛛だ。

但し、左の奴は、盾と剣を持ち、頭には鉄兜を被っている。


何だ、こいつら。


白い奴が魔法を撃ってきたのか?

鉄兜は剣撃か?

でかいのは、動くのか?


「ファルス、右の白いのをやれ。リサはでかいのを押さえろ。左はうちが倒す!」

「了解。」

俺が躊躇ったので、クリスが仕切って、左の奴に肉薄する。

左の奴が応じて動いたが、何だ、あの動きは。

蜘蛛の八本足の動きは、素早く、滑らかで、軌道が読めない。

「ファルスさん、来ますよ!」


リサの声に視線を前に戻せば、俺の正面に位置取った白い奴が腕を動かし、なにやら唱えている。

声も出せるらしい。

空間がキラキラと輝き、これは氷矢か!


俺の構えた盾に氷矢が突き刺さる。

が、再び淡く光ると、盾から氷矢が飛び出していく。

白い奴は、素早い横移動でそれを避けた。


速いな。


白い奴は再び足を止めて、腕を動かし始めた。

俺は一気に距離を詰める為に飛んだ。

盾を正面に構えれば魔法は防げる。

こいつは魔法を撃つ時は足を止める。

ならば、勝機はここだ。


俺の接近に気付き、白い奴は素早い横移動で位置を変えるが、飛んでいる俺はその動きを追う事ができる。

間合いだ。

俺は右手の剣で白い奴の首を刎ねた。


だが、白い奴は動きを止めない。

後方に下がりつつ上にジャンプすると、尻から白い糸を吐き出す。

それは俺の正面で網状に広がった。

「火壁!」

ゴォォォォ


咄嗟の事で使用禁止の火魔法を放ってしまった。

「火を消せ!ディープフォグ!」

俺の周囲に濃い霧が渦巻き、火壁の消火に当たる。


白い奴を見失った俺は、後方に下がり周囲を確認する。


いた。

左手前方に白い奴が腕を動かして魔法の準備をしている。

頭部はない。

だが、魔法の詠唱の様な声が聞こえてくる。

そうか。奴は蜘蛛だ。

ならば、下半身の蜘蛛が本体か。


俺は再び盾を構え、白い奴に向けて飛ぶ。

この盾の効果は知ったはずだ。

その魔法を発動しても無駄だ。

俺が奴なら、発動タイミングをずらして、躱してから撃つ。

右か、左か。

奴は蜘蛛だ。

ならば、上だろ!


俺が盾の上から突き出した剣は、ジャンプした白い奴の下半身、蜘蛛の頭部を貫いた。



■■■



「左はうちが倒す!」

でかい蜘蛛を見て動きが止まったファルスに叱咤をかけて、うちは左の鉄兜に向った。


相手は鉄兜に剣と盾を持つ重装備。

うちを敵と認めて左右に身体を動かしながら接近してくる。

左手の盾は身体の正面にある。

こいつは逃げない。

ならば、先手必勝じゃ。


右手に持った鉄棍を大きく振りかぶって鉄兜の正面に向けて放つ。

背嚢を身体の正面に廻して、弓を取り出した。

ガッゴォン!

鉄棍が鉄兜の盾に当たった。

さすがに刺さりはしないが、鉄兜は大きくバランスを崩しおった。

背嚢から、木の矢を取り出し、素早く弓を構える。


鉄兜は動きを止めて、体勢の崩れた上半身を立て直している最中じゃ。

下半身は柔らかそうじゃのう。


バシュウゥゥゥン

ズッドォォウゥ

弓から放たれた木の矢は見事に鉄兜の下半身に突き刺さり、その脚と肉の何割かを引きちぎりながら、突き抜けた。


穴の開いた下半身目掛けて、2本目の木の矢を放つ。


鉄兜は動きを止めたが、ファルスはどうじゃ。仕留めたか?

なんで火の魔法を放っておるのじゃ。

うむ、すぐに消火したな。よしよし。


■■■


はい、リサ=メンフィスです。


私の担当は、まずは睡眠の魔法です。

でも、この3匹には効きません。

効果なしです。

コンマ3秒で分かりました。


でかいし、白いし、その装備はどこから持って来たのって感じの3匹です。


クリスが相手を割り当てたので、私の担当は茶色まだらのでかいのです。

クリスの相手の鉄兜が動き出しました。速いけど、クリスなら大丈夫よね。

ファルスさんの相手の白いのは、腕を動かして、魔法を放つのかな。

えっ、ファルスさん、反応してない。視線がクリスを見てる!


「ファルスさん、来ますよ!」


もう、しっかりしてくださいよ。


さて、茶色まだらの様子はどうかな。

えっ、いなくなった。

あっ、違う。

脚を伸ばしたから視界から消えたのね。

頭がかなり上方にありました。

あの口みたいな所にあるのは、牙じゃなくて、腕なのかな?手が尖ってる。


おっ、私目掛けて、その口が降りてきました。

腕がワシャワシャ動いてるぅ。


はい、これに入るかなぁ。

私は背嚢から取り出したゴブリン袋を広げて待ちます。


茶色まだらの腕が接触すると、ズルズルとゴブリン袋の中に入って行きます。

そのまま頭部も入って行きます。

ううぅ、その並んだ赤い目が気持ち悪いんだよねぇ。

でも、それらもズルズル入って行きます。


前足が入って、胴体が入って、脚が入って。お腹がさらに大きいなぁ。

はい、終了です。


ゴブリン袋の口を閉めて、振り返ったら、こちらを見つめるクリスとファルスさんの姿。

うん、二人とも無事に相手を仕留めた様ですね。


■■■


俺は、今、何を見ているのだろう。

でかい蜘蛛が、リサに覆い被さっているように見えたが、その上半身が見当たらない。

リサは両手で背嚢を持っている。

茶色まだらのでかい蜘蛛は、その袋に入っている、のか?


ズルズルという重いものを引きずる音が収まると、蜘蛛の姿は消え、背嚢を手にしたリサがこちらを振り返る。


「リサ、でかい蜘蛛は、その背嚢の中か。」

「はい、ゴブリン袋の中です。自分から入ってくれたので、こっちは楽でしたよ。お二人は大丈夫ですか?」

「ああ、俺は大丈夫だ。クリス?」

「うちも問題ない。ファルス、火魔法を使ったであろう。減点1じゃぞ。」

「ああ、すまん。咄嗟に撃ってしまった。」

「そう言われると、ほのかに焦げ臭いような。」

「消火はできているから、火事になる事はない。大丈夫だ。」


「そうじゃ、鉄兜もゴーレムと同じ輝石を落としたぞ。」

クリスの言葉に、俺は白い奴の倒れた場所を見ると、すでに蜘蛛の身体は消失し、光り輝く丸石が落ちていた。

「こっちもだな。」

「でかい蜘蛛の輝石も大きいのかな?」

リサが屈んでゴブリン袋の口を地面に向けて振ると、ごろん、と丸い輝石が転がり落ちてきた。

カチャ

そして、小さな音を立てて割れた。


「えっ、割れた。あっ、中に石がありますよ。」

「色付きの石じゃな。色が揺れておるように見えるの。」

「そんな感じですね。緑、青、赤、黄色の4つですね。」

「白い奴の輝石だ。リサが持っていてくれ。」

「了解です。」

「こっちは鉄兜の輝石じゃが、不思議な事に、これを持っていると力が沸いて来る感じがするぞ。ファルス。」

「ならば、そういう効果を持つ石なんだろうな。」

「ふむ。身体強化の効果じゃな。」

「じゃあ、それはクリスが持っていればいいんじゃない。」

「うむ。そうしよう。」



周囲の蜘蛛はリサの睡眠の魔法で沈黙している。

俺たちは3匹の蜘蛛がいた窪地に降りて、奴らが現れたという洞穴を調査し、塞がなくてはならない。

その前に、窪地を埋めている蜘蛛の糸の始末をしないといけないな。


「さて、これはどうしましょう。」

「リサのゴブリン袋は、動かないものは入れれないんだったな。」

「そうです。なので、私達で蜘蛛の糸を切り離して、袋に詰めないといけません。」

「燃やそう。ファルス。」

「すぐに消火すれば大丈夫か?」

「先程やったようにな。窪地であるし、周囲の白い壁とは空隙がある。」

「そうだな。範囲を絞って少しずつ進むか。」


そして、徐々に窪地の底が見える様になってきた。

半分ほど処理できた時、地面が動いた。


「なんだ?」

「こ、これは、だめぇーーーーー!!」

「リサ!」


ワサワサワサワサワサ

リサが空中に飛び上がり、俺とクリスがそれに続いた。

窪地の底、蠢く子蜘蛛の群れが、窪地の壁を伝って、森の中へと消えていく。


「大丈夫か、リサ。」

「うううぅ、この森ってば、こんなのばっかりだぁ。うううぅ、ナノリサの睡眠魔法の範囲から外れていたなんて~。」

「でかい奴の子か。あれらもやがて、親のようにでかくなるのかのぉ。」

「うううぅ、もうこの森は来ないですよ~。」



窪地の壁と底の一部に掛けて、5mから8mぐらいの幅がある洞穴が開いている。

暗い内部からは冷たい風が吹いてくる。


「深そうですね。」

「そうだな。西の山脈の下に続いていそうだ。地竜の大洞穴に繋がってる可能性もあるのか。」

「あのオークの岩穴みたいなもんじゃな。ファルス。」

「どうします?」

「興味はあるが、依頼された内容は洞穴の封鎖だ。」

「そうじゃな。」

「では、塞ぎますね。」


ズズズズズゥゥゥン

振動が収まり森の一部が陥没したが、穴は塞がったな。


俺たちは村の入口に転移した。


次回125話「西の街へ」

指名依頼を終えたファルスたち。次に向かうのは。

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