表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第四惑星  作者: ブルーベリージャム
最終章 イの国
119/142

117話 冒険者ランク

冒険者ギルドの入口は扉が開け放たれて営業中である事を示している。


中に入れば、受付カウンターに依頼書の掲示板にたむろする冒険者達。

どこも雰囲気は同じようだ。

この時間は依頼達成報告の連中がカウンター前にひしめいている。

たむろしている連中は、その仲間達だろう。


俺たち3人はカウンター端に座る女性に声を掛けた。

彼女の前には客がいない。

「いらっしゃいませ。どのようなご用件でしょうか。」

「俺たち3人は今日オの国から来た。こちらで申請すると聞いたが。」

「まぁ!外の国の方ですか。ようこそ、イオタ国冒険者ギルドへ。

では、最初にこちらの申請書にお名前などを記入していただいて、冒険者登録証をご提出願います。」

渡された書類は冒険者登録申請書となっている。

俺は名前と年齢と性別に出身はオの国と記入して冒険者登録証を添えた。

俺は場所を空けて、続けてクリス、リサが書類を記入する。


「はい、ありがとうございます。では、手続きをして参りますので、少々お待ちください。」

彼女は書類と俺たちの登録証を持って、奥へと移動した。


振り返ると、たむろしている連中からの視線があった。

余所者は注目の的だな。


「お待たせしました。」

受付の女性が戻ってきた。

「こちらの冒険者登録証はお返しいたします。そして、こちらがイオタ国の冒険者証ですので、お持ちください。」

これまでの冒険者登録証は銅板だったが、新しく3枚の白いカードがカウンターの上に置かれた。

サイズは一緒だが、これは強化プラスチックカードか?


「冒険者ギルドは国が違っても中身は一緒だと聞いていたが、ここは違うのかな?」

「あ、基本は一緒です。本部は外の国の冒険者ギルドと連絡してますよ。

ただ、ここはイオタ国。別名、魔法国ですからね。魔道具に関しては、外の国とちょっと違いますよ。」

「えっ、このカードも魔道具なんですか。」

リサが食いついた。

「そうです。こちらの冒険者証は最初は白いカードですけど、持ち主の魔力を登録すると、その魔力に応じたランクと色になります。

お持ちの登録証はDランクとなっていますけど、このイオタ国では魔力に応じたランク付けがされますので、これまでと同じランクになるとは限りません。

あ、今回は外の国からの移籍扱いですので、登録料は不要です。」

「なるほど。」

彼女の説明に俺は頷いた。

「えっ、魔力の量、ですか。」

「色が付くのか。赤はあるのか?」

「あります。赤色はAランクですね。他に、Bランクはオレンジ色、Cランクは黄色、Dランクは緑色、Eランクは青色、Fランクは紺色、となっています。」

「赤はAか。Sランクは何色じゃ。」

「Sランクは、七色に光輝く虹色です。勇者様だけがお持ちになられる、最強のカードですよ。」

「ほぉ。」


わくわく顔のクリスと違い、リサは困惑顔だ。

(どうした、リサ。何か心配事か。)

(ええ、心配です。私達の魔力量って、この世界基準では普通じゃないですよ。)

そうだったな。

俺たちは王都ミラルダでSランク判定を受けていたな。


「で、このカードに魔力を登録するには、どうすればよいのじゃ。」

「クリスティン=サワーさんのカードは、こちらですね。手に持っていただいて、カードに魔力を流していただくだけですよ。」

白いカードには、既に名前、年齢、性別、出身国が記載されている。

クリスが自分の白いカードを手に持った。

すると、白いカードは七色の光を放った後に白く輝いている。

「ほぉ、SSとなっておるぞ。ファルス。」

「えっ!!」

「そうか、Sランクを超えたか。」

「ええっ!!」

受付の女性は、驚いて、動きが止まっている。

それはそうだろう、外の国からきたDランク冒険者が、いきなりSランクとか、SSランクとか言っているのだから。


「次はファルスじゃ。ほら、手に持って登録してみよ。」

「ああ、俺のはこっちだな。」

俺のカードも虹色の光が収まり、白く輝いた。ランクはSSだ。

「一緒じゃな。ファルス。」

「そうだな。これ、ずっと光っているのか。」


「次はリサじゃな。」

「ううぅ。」

乗り気ではないリサがカードを手にすると、虹色から白く輝き、そして光が収まった。

リサのカードは黒い輝きを放っている。


「ええっ、黒なのぉ。」

「なに、黒か。それも良いのぉ。それで、ランクは何じゃ、リサ。」

「えーと、SSSですね。6ってなんだろ。あっ、管理者レベルか。」

「管理者レベル?」

「あっ、えーと、それについては、えー、内緒です。」

挙動不審のリサだが、俺は自分のカードを見た。

白い輝きは、角度を変えると金色の様な輝きにもなるな。

SSの文字が浮かび上がっている。

その下に小さな文字もある。

レベル5。

「リサ、俺とクリスは管理者レベルは5だそうだ。」

「あ、あー、そうですね。SSランクなら、そうなりますね。」

「で、この管理者レベルとは何なのじゃ、リサ。」

「えーと、それ説明すると長いんですが、うーん、とりあえず、魔法が自由に使えるって感じです。」

「そうか、わかった。」

「あ、それでいいんだ。」

そんなやり取りをしている間に、受付の女性が席を離れ、奥に行ったな。


俺たちは何時、宿に戻れるのか。



「あ、あの、すいません。支部長が皆様にご挨拶させていただきたい、ということですので、こちらにお越しください。」

受付の女性がカウンター横の扉を開けて、俺たちを奥の部屋に案内した。

部屋の中にはテーブルを挟んで向かい合った3人掛けソファが置かれている。

そこに座り、俺たちを迎えたのは40代ぐらいの女性だ。

綺麗な顔立ちだが、左ほほに一条の傷跡があり、彼女の左手はひじの所で袖が留められている。

赤毛の髪を後ろでまとめ、紺色のスーツのような布の服を身に纏った彼女は、立ち上がり、丁寧にお辞儀をした。

「ようこそ、おいでいただき感謝する。私はカーラ=ネイマー。この西の北村の冒険者ギルド支部長を任されている。」

「ファルス=カンという。こちらはクリスティン=サワーとリサ=メンフィスだ。」

「クリスじゃ。」

「リサ=メンフィスです。」


俺たちはソファに座り、テーブルにカップが置かれる。

ほのかに香るお茶の香り。

受付の女性はネイマー支部長の前にカップと、板状の魔道具を置いた。

王都ミラルダの冒険者ギルドで見たランク判定機と似たような物だな。

この後の話の流れが想像できる。


「さて、こちらのステラが言うには、クリスティン=サワーさんがSランク以上とか。」

「そうじゃ。ファルスも同じくSSランクじゃ。」

そう言って、クリスは自分のカードをテーブルに置いた。

ネイマー支部長がそのカードを凝視しているので、俺もその横にカードを置く。

リサも、そっと黒いカードを置いた。

ネイマー支部長と、横に立っている受付の女性、ステラさんが息を呑む。


「ネイマー支部長。こちらのカードに間違いが無いか、そのお手元の判定機で再確認しようか。」

話を進めるために、俺から提案する。

「あ、ああ。そうだ。すまないが、こちらの判定機、いや魔力測定器に右手を置いてくれないか。ああ、皮手袋は脱いでくれ。

ファルス=カン、これを知っているのか?」

「ああ、エの国の冒険者ギルドで見せてもらった。遺跡から発掘された魔道具を元に開発された物だと聞いたな。」

「そうか、外の国にもあるのだな。」

「ネイマー支部長。皮手袋を脱ぐという事は素手になれ、という事か。」

「そうだ、クリスティン=サワー。魔道具の影響を受けていない状態が望ましいからな。」

「そうか。では、少し、失礼するぞ。」

クリスはソファを立ち上がり、マントをはずし、左手の篭手をはずし、右手の手袋をはずし、服のボタンをはずしてゆく。

「ネイマー支部長。この確認作業は俺とリサもした方が良いか?」

「ああ、できるならお二人にもお願いしたいが。な、何をしている。脱ぐのは手袋だけだぞ。」

「そういう訳にもいかんのじゃ。少々面倒なのじゃ。」

ポイポイとはずしていく装備をリサがまとめて受ける。

「では、俺も失礼するよ。」


クリスは上半身が白いボディスーツ姿になり、情報パネルを操作すると、パシュ、という音がして、右袖が肩口からはずれる。

「待たせたな、支部長。では、これに手を載せればよいのじゃな。」

「ええ、そうです。」


俺とリサが装備を外している間にクリスが魔力測定器を使った。

白い輝きが溢れ、SSの文字が浮かぶ。

さらに細かい文字が羅列されているようだ。

床に外した装備を置いて、俺とリサもソファに座り直した。


「凄いな。」

「凄いですよね。魔力って1万超えるんですね。」

ネイマー支部長のつぶやきにステラさんも相槌を打つ。


「次はファルスじゃな。」

「ネイマー支部長、よろしいですか。」

「あ、ああ。ちょっと待ってくれ。今、初期化する。」

ネイマー支部長は魔石を1つ取り出し、それを測定器の上に置いた。

すると、測定器の光が収まり、表示されていた文字が消える。


「どうぞ。」

俺も右手を乗せ、SSの表示が出た。

詳細内容に違いがあるようだが、気にすることでもない。

さて、リサだ。


「では、乗せます。」

やや緊張気味のリサだが、測定器の表示は黒い輝きを放ち、SSSの文字を浮かび上がらせる。

「・・・」

ネイマー支部長は氷ついたようだな。


「はい、終わりです。初期化しましょう!ね!」

リサはネイマー支部長の手元の魔石を奪うと測定器を初期化して表示を消してしまった。

「なんじゃ、リサ。良いではないか、綺麗な黒の輝きじゃぞ。」

「いいんです。こんな物、見せびらかすものでもないです。」


「貴方たちは一体、何者なのですか?外の世界で、勇者だったのですか?」

問い掛けるネイマー支部長だが、どうしたものか。

「いや、普通の冒険者だ。」

「普通の・・・。」

「そうだ。もう、装備を着けても良いかな。」

「ああ、どうぞ。それは、白い鎧なのか?」

「そうだ。」

クリスとリサは外した袖を戻さずに上着を着ている。俺もそうした。

緋色の腕輪だけは着けておく。


「それで、ファルス=カン。明日からはどうするのか?この西の北村でクエストを受けるのか?」

「実は、まだ決めていない。そういった事を食事をしながら決めようとしているが、俺たちはこのイオタ国の通貨を持っていなくてな。

それで素材交換をしようとしたのだが、ここでの申請が先だと言われたのだ。」

「そうか。では、時間を取らせたな。ファルス=カン、明日の朝、また話したいのだが、いいだろうか。」

「ん?特に問題はないと思うが。」

「そうか。少し、この地域の状況と、できれば指名依頼をさせてもらうと思う。よろしく頼む。」

「指名依頼?」

「そうだ、いくつか問題のあるクエストがあってな。君らの実力ならば、問題ないだろう。」

「ほほう、それは面白そうじゃな。」

「興味がおありか、クリスティン=サワー。」

「うむ。明日を楽しみにしよう。」



支部長と別れ、ステラさんに案内されて素材買取所に戻り、陸亀の甲羅の鱗を渡した。

こいつは大陸亀の一種だそうだ。

鱗の色から水属性の霧吹き大陸亀だという。

俺たちが出会った亀と特徴が一致しているな。

だが、結界の話は違った。

その特性については初耳だったらしい。

俺たちは遭遇地点と、対処方法を知らせた。

ステラさんと買取所の男は、不思議そうな顔をしたが、肉を食わせたお礼の品がこの鱗だ。

傷のない美品だ。

鱗は1枚につき銀貨2枚。俺たちは12枚分の銀貨24枚を手に入れ、宿屋に戻り、部屋をとった。


「何で4人部屋なのじゃ。」

「あっ、まともなベッドですよ。綺麗だし。」

「ふふん。だが、クッション性はレギウス村に劣るな。」

「それはそうだよ、クリス。」


■■■


はい、ナノリサです。

困りました。

天使セリーヌと連絡がとれません。

うーん。

天使セリーヌを通して叡智の女神メティスからデータを貰っていたからなぁ。

そのルートが使えなくなったのは痛いなぁ。

リサと、その他のレギウス星人をサポートできるかしら?

個体名クリスティン=サワーは体内ナノマシンの追加処置を行っているから、レベル3までの事象には影響を受けないわね。

個体名ファルス=カンは体内ナノマシンが周辺ナノマシンを取り込み、さらに出力レベルが上がっているようね。

どうなっているのかな、これ?

機会があれば聞いてみたいわね。

こっちもレベル3までは問題なし。

大丈夫ね。


さて、周辺ナノマシンとの会話なんだけど、何かちぐはぐなのよね。

この子らバージョンが違うのかしら?


天使セリーヌは、問題解決には話を聞くこと、って言っていたわね。

よし、そこのナノマシン君、お話ししよう。

そっちのナノマシン君も一緒にお話しよう。


さて、君達の抱えている問題はなんだい?


次回118話「地竜の洞窟」

やっとファンタジー小説っぽい展開です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ