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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
第五章 ウの国
113/142

111話 それぞれの戦い

「リサ、チームを3つに分けてくれ。

こちらは俺とクリス、アレクとマルビンとベンソン、ブライアンとマルクスとパトリックとラザロス。

アレクとブライアンはチームリーダーを任せる。

大広間に突入し、上空から先制する。

上層部の連中を俺とクリスで押さえる。

できればリーダー格一匹は捕虜にしたい。

その後は殲滅戦だ。」

「では、サイモンはカンチームと、ジェリー、サラ、ノエルはネロチームと、私がシャトフチームと行動します。

先制攻撃は魔道具アーマーブレイカーで行います。

雷撃のような範囲魔法で、起動から発動までは30秒です。

初撃の後、サイモンがカン外政官に合図しますので、突撃してください。」

「では、シャトフチームは土魔法で壁を作っていこう。大広間を区切って奴らを分断する。」

「では、我々は護衛しつつ攻撃を加えていきましょう。」

「全員準備は良いな。相互の位置確認を密に、行くぞ!」

「おう!」


クリスを先頭に、通路を飛び、燃え落ちた吊り橋から先の通路に飛び込む。

大広間の出口のところにオークの死体が2体ある。

回収しなかったのか。

下方からは吼え声と足音が轟いてくる。

(全員いるな。サイモン。)

(はい、魔道具の準備良し。いけます。)

(よし、やれ。)

サイモンは手にした魔道具をレーザー銃の様に構えた。

銃身部分には円盤状の魔道具が乗り、弓状の射出装置が、それを遠方へ飛ばす。

通路出口から大広間の中へ狙いを定め、引き金を引くと、円盤状の魔道具が大広間中央に飛んで行く。

バシュッ!

バシュッ!

バシュッ!

3個の円盤状の魔道具をそれぞれ3方向に飛ばした。


(発動は射出後30秒です。)

待つと長いな。

(5、4、3、2、1、カン外政官、突入を!)

(突入!)

大広間からは一瞬の輝きと、オーク共のうろたえた様な声が聞こえてくる。

悲鳴ではないな。

ベンソンの映像で確認した上層部の連中の椅子がある場所に向けて飛ぶ。

俺たちの姿を見て指差し、吼えてくる。

真ん中にいる赤い服を着たオークが目標だ。

周囲の連中も手をあげ吼えているが、その手に武器は持っていない。

魔道具アーマーブレイカーの効果で消失したのだろう。


目標の周囲の連中が、俺とクリスの弓矢とサイモンの石弾で倒れていく。

一気に距離を詰めると赤服オークの足にクリスの土矢が当たった。

倒れる奴を、俺はロープで縛り上げ、担ぎ上げる。

(クリス、サイモン、こいつを通路に運ぶ。フォローを頼む。)

(了解。)

俺たちは通路まで飛んで戻る。


その頃には大広間は土壁で分断され、アーマーブレイカーの範囲外にいた武器を失っていないオークやゴブリンを相手にアレク達が上空から矢と魔法を浴びせている。


俺は捕虜にした司令官と思われる赤服オークを通路に運び込んだ。

「どうするんじゃ、ファルス。」

「話を聞いてみたいが、今は時間が無い。俺が穴掘りが得意なのは知っているだろ。」

「ああ、そうじゃったな。」

土魔法で通路の床に穴を開け、そこに赤服オークを投げ入れる。


「サイモン。あの魔道具アーマーブレイカーは、屋敷の剣と同じ物か?」

「いいえ、ウの国の屋敷の地下にあった魔剣の魔法陣を改造した物です。雷撃の魔法と組み合わせて周辺の鉄分子を集めるようになっています。」

「集める?」

「はい。魔道具は今、集められた鉄の塊の中心にあります。不純物の入っていない鉄ですから、忘れずに回収しないと。」

なるほど、それは貴重品だ。


俺たちは大広間に戻り、オーク共を仕留めに掛かった。


■■■


アレクサンデル=シャトフの戦い。


サイモンが魔道具を射出した。

(まずは大広間を5m四方で区切っていく。マルビンは左、ベンソンは右だ。弓矢に注意しろ。)

(了解。)

(じゃあ、私は一足先に反対側に行きますね。大広間からの出口を塞いでおきます。)

(任せる、リサ。)

リサさんが俺にウィンクを返す。

くっ、かわいいな。

(アレク班長、リサ外政官お一人でよろしいのですか?私が付きましょうか?)

(大丈夫だ、ブライアン。反対側で合流、状況確認後に次の指示を出す。)


(突入!)


(突入!)


ファルスの合図を復唱し、俺は大広間に飛び込む。

上空にリサさんが先行している。後方にブライアンのチーム、サラがこちらに寄ってサポートしてくれているな。

左手前方にファルス、クリス、サイモンがオークのリーダー達を目指し飛んで行く。

(土壁!)

下方に向けて魔法を放つ。大広間の床から土壁がせり上がり、5m四方の部屋を作り出す。

壁の高さは2m。簡単には越えられない高さで、俺がいつもイメージしている壁だ。

魔法はイメージが大切。と始めに教わったリサさんの言葉はいつも脳裏にある。


左右に展開したマルビンとベンソンも次々と土壁を生成し、オーク共を区切っていく。

中央のオーク共はアーマーブレイカーによって武器を失っているが、壁際の連中は武器を手にしているな。


下方から飛んでくるのは弓矢だ。

おそらく、木の弓で木の矢を飛ばしているからアーマーブレイカーの効果外だったのか。

俺の周囲はサラの持つ風魔法の杖により矢の軌道が逸らされる。


土壁を作りながらの移動になるので、速度は遅かったが、1分程で反対側まで辿り着いた。

リサさんは作った土壁の前で待機している。

上空を見上げていたので、飛行してきた俺を見つけて手を振ってくれた。

俺も手を振り返す。

やや遅れてマルビンとベンソン達も合流する。

ファルス達は赤い服のオークを捕えた様だ。


(武器を持っているオーク共から仕留める。弓矢に気をつけろ。ブライアンは左から、俺は右に行く。)

(了解。行くぞ!)

(おう。)


■■■


パトリック=フランシスの戦い。


俺の手に握られているのは簡易クロスボウだ。

クリス外政官が入手したものを生産部で複製したものだが、弦の巻取り機を省略している。

というか、弦は張られていない。

俺は攻撃系魔法が苦手だった。

砲身となる筒をイメージして、その中に作成した弾を詰めて、飛ばす。

石弾は難なくできた。周囲の土から石を作るから、イメージしやすい。

それを飛ばすこともできた。

だが、なにか違和感があり、それは威力不足となって現れていた。


砲手として任官していた時期が3年あり、俺の射出イメージには砲身が必要だったのだ。

それに気が付いたのは、まさにこのクロスボウの試作品を手にした時だった。

これを構えた時、俺の中のイメージが鮮明になった。

空想の砲身ではない、実体のある砲身。


(パトリック、前方の弓兵を仕留めろ。)

(了解。)


俺の前方に位置したマルクスが下方に向けて剣を振っている。

剣に風切の魔法を乗せて飛ばしているようだ。

下方の弓兵と、石礫を投げてくる連中を仕留めている。

俺は弓、奴は剣。

俺たちが魔法を上手に使うには、なにかしらの助け、補助具が必要だ。


まったく、司令部のエリート共は。

奴らは、無から有を作り出す。

それも大量に、高精度で高威力で、一瞬で敵を殲滅する。

周りの皆は喜んで参加するが、俺はそうじゃない。

奴らとの共同作戦は自分の拙さを確認させられる。


だが、自分の成長も確認できる場だ。

まずは出来る事を積み重ねていく。

俺はクロスボウを構え、弓を持ったオークを捉える。

石弾! 初弾は弓の持ち手を狙い、弓の破壊を狙う。

石弾! 2発目は頭部だ、これで奴は昏倒する。

さて、次だ。

素早く2匹目を捉え、石弾を放つ。

しかし、一体何匹いるんだ、このサル共は。


■■■


ベンソンの戦い。


下方の敵はアレク班長とマルビンの魔法で打ち倒している。

俺は上方から降って来る矢と石礫を避けながら、大広間の壁面の穴にいるゴブリン共を石弾で狙い撃つ。

伸ばした左腕を向け、伸ばした中指と人差し指で狙いを付ける。

親指と薬指で作った輪の空間に石弾の感触がある。

「石弾!」

指の間から石弾が飛び出し、腹に穴を開けたゴブリンが壁穴から落下する。

「次弾装填。」

左手の中に石弾の感触が戻る。

一方的とも思える狙撃だが、やつらの数は多い。


(アレク、リサを借りるぞ。俺たちは大広間の外に出た連中をやる。大広間は頼む。)

(分かった。)

ファルス外政官たちがアレク班長に声を掛け、後方に飛んで行く。


(マルビン、ベンソン、集中しろ。確実に仕留めていくぞ。)

(了解。)


それにしても数が多い。

2発撃っても、狙いが1匹では、倒すのも1匹だ。

ファルス外政官の雷撃は凄かったな。一度に50匹ぐらいを仕留める。

あれ、俺にも出来ないかな。

検知して、俺の狙った相手に雷撃を、だったな。

で、あれば。


俺は壁穴を見た。今見える範囲で6匹が弓を構えている。

俺は両手を差し出した。

「石弾、6発装填!、狙いは6匹、撃てー!」

左右の手から6発の石弾が飛んで行く。

5発命中した。3匹が落ちてくる。


やってみるもんだ。


俺は次の獲物を探す。

範囲を絞って、検知を掛ける。

反応は8匹だ。


「石弾、8発装填!検知した奴ら目掛けて、撃てー!」

石弾8発が狙ったゴブリンに向けて飛んで行く。

が、2発は途中の岩に当たり、3発は当たったものの威力が足りずにゴブリンは倒れなかった。

仕留めたのは3匹だ。

反撃の矢が飛んでくる。


くっ、同時攻撃は精度が落ちる。

やはり、一つ一つ確実に、か。

いや、数をこなせば、精度も上がる。

敵の数は多い。試行には十分すぎる。

「石弾、6発装填!、狙いは6匹、撃てー!」


■■■


サラ=スールの戦い。


無数にいるオーク共は半分近くに減っている。

やっかいなのは壁面にいるゴブリン共だ。

私はネロ副長からシャトフ班長のチームサポートに廻るように言われたので、班長チームの後方に付いている。

私が持つ風魔法の腕輪と杖の効果で4人の周囲に風の防壁を築いて矢の軌道を逸らすことでゴブリン共の攻撃を無効化する。


「フリーズ!」


数度試したが、この魔道具の扱いが大変だ。

発動のタイムラグはほとんど無いが、効果時間が5秒程しか持たない。

風の腕輪は効果範囲が狭いので、チーム全体のカバーは無理だ。この様な移動中ならなおさらだ。

風の杖の効果は狙った軌道上に強風を起こす。


「フリーズ!」


この風には風切の魔法のような切断効果はない。

腕輪と杖を使ってゴブリン共の矢の軌道を逸らしていたが、矢の数が多い。

5秒間隔という発動タイミングも問題だ。

私は早々にあきらめた。


「フリーズ!」


私は水が好きだ。

カッシーニ81内にシャワー室があるが、そこに浴槽がある。

私はそこで水に浮かぶのが好きだった。

艦内重力の中で無重力空間に浮かんでいるような感覚だ。

だから、レギウス村でも、北の大レギウス湖で泳ぐことを楽しみにしている。

そう、私は水が好きで、だから、得意な魔法は水と氷の魔法だ。


「フリーズ!」


第四惑星に降り立った私達は不安だった。

これからどうなるのかわからない、漠然とした不安。

目の前の甲板修復作業に没頭し、集中し、余計なことは考えないでいた。

支えてくれたのは、初めて見た海の美しさと、ジェリー副長の言葉だった。


「フリーズ!」


そして、船を離れた司令部の連中の冒険映像。

その中でも私に強烈な印象を与えたのは、氷漬けにされたオークの姿だった。

醜いオークの姿なのに、表面の氷に光が反射して煌いていた。


「フリーズ!」


生物の体内の半分以上は水分だ。

これが凍れば、生命活動も停止する。

全身でなくてもいい。

重要な器官は、頭、心臓、肺、だ。


「フリーズ!」

私の視界にいたゴブリンが倒れる。次だ。


次回112話「まだ準備中だ」

なので引き続き待機していてください。えっ、いつまで?

さて、いつまででしょう。

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