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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
第五章 ウの国
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108話 後片付け

消火活動、土壁の解除、オークの魔石回収作業。

諸々の後片付けをしていると、ホークから連絡が入った。


(お疲れ様です。)

(ホーク、村の方はどうだ。)

(少し混乱はありましたが、問題ありません。生還者は家族の家に泊まります。

明日からレギウス村に留まるか転居するかの選択が始まります。)

(家族の問題だからな。それぞれに事情や考えがあるだろうな。)

(はい。ただ、レギウス村を離れ、元の村へ戻ることを選んだ場合ですが、そちらの受け入れが可能か確認しなければいけません。)

(そうだな。しばらくはレギウス村とリベッタ村の行き来が発生するな。連絡艇を常駐させるか。)

(はい。私もお願いしたいと思っていました。)

(わかった。連絡艇2号機はしばらく常駐させよう。

こちらの村長との話がまとまり、転送門を設置させてもらうまでだな。)

(はい。)

(俺たちのオーク狩りも終わった。洞穴の調査もしたいが、一度リベッタ村に戻る。村長がいれば呼び出すぞ。)

(了解。)


夕日は空を焦がし、青みが深まった中空に月が浮かぶ。

後片付けも終わり、全員が集合する。

「カン外政官。オークの回収数は何体でしょうか。」

「27体だ。」

「と、いうことは、これで303体です。」

「あと2体か。」

「赤い布を着けたのを3体回収した。丸焦げの中に混ざっていなければ、残り2体は総指揮官と副官か。」

「洞穴の中か。」

「だが、部下達が帰還していません。不審に思って出てくると思いますが。」

「洞穴の広さ、深さが不明だな。」

「俺たちで見張っていよう。ファルスはリベッタ村に報告に行くのだろう。」

「そうだ。村長がいれば、村人の転居についても話をしないとならない。」

「ふむ。ではうちはアレク達と残ろう。」

「わ、私も残ります。レポートの提出は作戦終了後ですから。」



俺は上空の連絡艇に乗り込み、連絡艇をリベッタ村に向けた。

リベッタ村は村人の避難が終わったようで無人だった。

俺はオクターヌ村へと向かった。



オクターヌ村が見えてきた所で連絡艇を降ろした。

村の外、街道の脇に十数台の荷馬車が並び、人々が座り込んでいる。

焚き火を熾して、その火を囲んでいる者たちもいる。

彼らはリベッタ村の者だろう。

オクターヌ村に避難してきたが、村には入れてもらえなかったようだ。


俺は火を囲んでいる男達に近付いて声を掛けた。

「リベッタ村の者か。」

「そうだが。」

「あんた、その服。」

「月の人か。」

「そうだ。」

俺の姿を認めて、男達が詰め寄ってきた。

「オークはどうなった?いたのか。」

「オクターヌ村の連中に説明してくれ。あいつら俺たちを村に入れてくれないんだ。」

「落ち着け。オークは退治した。だが、洞穴の外に出ていた奴らだけだ。おそらく洞穴の中に100匹以上いる。そいつらの対処は明日以降になるだろう。

オクターヌ村には、これから行こう。」

「そ、そうか。ありがとう。」


男達から離れて村の入口に向かう。

男達は俺の後を追って付いてきている。

村の入口は簡易な木塀と木の柵で道が閉ざされている。

これならリベッタ村の住人でも回り込んだり、強引に突破できそうだが、それをやらないのは後の生活を考えての事だろう。

門番らしき男が2人、槍を手に、こちらを監視している。


「こんにちわ、俺は月の人、ファルス=カンだ。オクターヌ村の村長と話したいのだが、いるかな?」

「村長はいない。」

「待て、月の人だと。オークがいると言ったのはお前か。」

「そうだ。リベッタ村の人達が危険なので避難してもらった。」

「昼前に、この辺りに昔住んでいた連中を集めたのもお前らだな。」

「そうだ。」


門番の二人は顔を見合わせ、一つ頷くと木の柵を開けて、俺の前に立ち塞がった。

「おい、お前。何を企んでいるんだ。」

「企む?」

「ここいらじゃ、オークなんて出たことない。なんでお前らが村人より早くオークを見つけるんだ。」

「それも、戦える男達を攫った後だ。お前らリベッタ村を奪い取るつもりじゃないのか。」

「なに!?」

男達の声はやたらと大きい。

これは俺に言いつつ、後ろの男達にも聞かせているな。

さらにオクターヌ村の中にも声が届いたか。道に数人の男達が出てきている。


「おい、お前ら!お前らはこいつに騙されてるんだよ。」

「そうだ、そうだ。」

「そ、そうなのか。」

「しかし、ベルナル村には秋にオークが出たっていうぞ。」

俺の背後に付いて来ている男達から不審の声が漏れる。

避難したのは俺とクリスの説明を信じたからだ。自分達でオークの姿を見たり、誰かが被害にあった訳ではない。

俺は門番の男達に説明する。

「オークは北の森の外れの洞穴から出てきている。表に出てきたのは倒したが、この辺りにオークやゴブリンが出ないという話は過去の話だ。

それに、夜は冷えるし、獣に襲われるかもしれん。村人たちを中に入れてやれないのか。」

「ふん、オークはいない。お前らの嘘には騙されん。それに村長が不在だ。リベッタ村の連中を中に入れることはできない。」

「わかったら去れ。」


これは駄目だな。

俺は振り向き、後ろに居る男達に声を掛ける。

「表に出てきたオーク達は倒した。洞穴周辺は俺たちの仲間が監視している。今夜はリベッタ村にオークやゴブリンが襲ってくる可能性は少ないだろう。

どうする、リベッタ村に帰るか?」

男達は顔を見合わせ、荷馬車の方へ歩き去った。

やがて数台の荷馬車が動き出し、街道をリベッタ村に向けて動き出した。


「へへっ、帰っていくぜ。」

「どうやら、騙されていたと気付いたようだな。」

「他所から来たと聞いたが、リベッタ村とは仲が悪いのか?」

「あぁ?」

「冬の始まりの頃、オークに襲われてベルナル村が壊滅している。ブラウン村の者もオクターヌ村に避難したと聞いたが。」

「ああ、その連中なら村外れにいるぜ。」

「へへへ、村長の奴が置いてやったが、あいつらは冬の備蓄がなくて、こっちに物乞いにきた連中だ。

おい、月の人、あいつらも連れて行けよ。」


俺は二人に背を向け、リベッタ村の方へ歩き出した。

男達が何か言い。柵を閉める音が聞こえる。


代表者ではない彼らと、これ以上言葉を交わしても意味は無い。

村人同士の問題を抱えている事も分かるが、俺が解決すべき問題では無い。

レギウス村にしても、4つの村から集まった人々だ。

小さないざこざはあるし、けんかも起きている。

他所から集まった人間に、元々居た人間。

さらに冬の暮らしには食料問題が絡んでくる。

内戦の生還者である男達が俺たちの招集に応えてやってきたのも、口減らしになる事が関係しているのだろう。


「レギウス村から戻ってくるのは、大変そうだな。」



(そうですか。問題を抱えているんですね。)

(村長と話はできていないし、門番の男2人との会話だけだ。これが全員の意見ではないだろう。

しかし、ベルナル村は壊滅、再建はやり直しだ。ブラウン村は畑起こしから始められるだろうが、オクターヌ村やリベッタ村に避難している入植者達が戻るだろうから、問題が起こる可能性はある。

そして、リベッタ村とオクターヌ村は、既に入植者の物だ。こちらは確実に問題だ。)

(分かりました。生還者からも話があるでしょうが、私からも現状報告の中で村人に話しておきます。)

(頼む。)

ホークとのナノ通信を終え、リベッタ村に着いた。

村人達は、それぞれの家に戻っていく。


俺は村長の家の場所を聞き、今日のいきさつと話し合いの申し込みを手紙に書き、それを扉の下から差し込んでおいた。



「おっ、戻ったか。」

「夕食は残しておいたぞ。ファルス。」

「ありがとう、クリス。洞穴の様子はどうだ。誰も出てこないか。」

「いや、別れた後、すぐに1匹出てきた。話ができる奴だったんでアレク達が尋問したぞ。」

「そうなのか。」

クリスが差し出してきたスープを受け取りつつ、アレクを見た。

「話ができると言っても、話が通じた訳じゃない。まぁ、有益な情報といえるか分からんが、

"岩の下の王国はでかく、俺たちは強い。"

”俺たち”はオーク共の事だな。で、"人間どもを殺してやる。"って脅し文句だ。

なんでも伝説の大虐殺の時が近付いているそうだ。」

「伝説の大虐殺。それはリセットの事か。」

「そうかもしれん。奴には分からないようだが。」

「近付いている。いや、リセットまでは1100年はあるはずだ。」

「ただの脅しだろう。」

「そいつは、どこにいる。」

「死んだ。赤い布を着けた奴だったが、もう1匹は出てきていないな。」

「そうか。」


"伝説の大虐殺の時が近付いている"。

アレクの言うとおり、オークの苦し紛れの脅し文句ともとれる。

だが、そうでなかった場合は、どうだ。

リセットの発生は2000年毎だ。

次のリセットは1112年後。

だが、それ以前にもリセットは起こり得る。

ドラゴンを倒す。

だが、それは、いつ、起こるか分からない。

いや、起こる可能性は分かるのか。

誰かが城の地下を発見し、最下層の惑星開発メンバーを倒し、勇者の称号を授かる。

その後、ドラゴンを倒すまでに時間があるはずだ。

オーク共には、勇者が現れたことが分かるのか?


勇者。

勇者のパーティー。

そうだ!ジャミルはイの国で勇者パーティーに所属していたと言っていた。


すると、城の地下で称号を得た勇者がいるのか?

だとすれば、後はドラゴンを倒すだけだ。

だが、この大陸の城はカルーの城だ。

惑星開発メンバーは、奴の城の地下にいたのか?別の場所にいたのか?

カルーが言っていた。「安心しろ。フォース族は滅びない。」と。

それは、既に勇者がいたからか。


では、なぜ、奴は俺にドラゴンを倒すことを求めた?

奴もドラゴンを倒し、この繰り返しの世界を終わらせたい、とも言っている。

オレンジドラゴンはイの国の上空を飛んでいる。

なぜ、勇者はドラゴンを倒さない?

倒さない理由は何だ?


ドラゴンに挑む準備中なのか。

ドラゴンに挑んだが、負けているのか。

ドラゴンに挑む気がないのか。


ドラゴンに挑む、気が、ない。


ミリア中尉。

彼女はナノマシンチームの一員であり、この世界の創造主だ。

この世界は彼女の為に作られた。

もし、彼女がリセットの停止を望んでいなければ、勇者によるドラゴン退治を止めるだろうか。

ナノマシンに命じて、勇者の意識からドラゴン退治の衝動を除くことは可能なのだろうか。

カルーは催眠術で他人を操った。

ならば、ミリア中尉にも、可能なのだろう。


次回109話「岩の下」

地上のオークを片付けたので、洞穴の中に潜ります。

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