あおいとりとかわのさかな
はじまり
あるひさかながひとりでおよいでいると、うえからとりがこえをかけてきました。
そのとりはあおいはねをもっていました。
さかながあいさつをかえすと、あおいとりはおそらのはなしをしてくれました。
そのはなしはかわのさかなをたのしませました……
青い鳥が羽ばたく。そして僕から溜息が落ちていく。
窓の外を見ているとふと思い出した。雲ひとつない暑い夏の、特別な日のこと。
……君は、知ってた?
青い空の下にたくさんの真っ直ぐな針が植えてあること。だからね、裸足のみんなは足の裏が血に塗れて固くなってしまうんだよ。
そう、彼のことを。
かなしいね。
そう言って微笑んだ彼のことを。
「……おい、聞いてるか?」
少しだけノイズ。
「聞いてなかったろ、やっぱりな」
彼の足は柔らかそう
「そんなお前のために要点を言うとな、俺はやっぱり、えーっとな、告ろうとおもうんだ、…おい、そんな興味なさげな顔すんなって」
目を見て。彼は話し出す。
「ま、なんでかって言うと、俺ってこんなんじゃんか」
僕は彼の姿を目に焼き付けようとして。
「だけどあいつといると楽しいし、あいつがいてくれるから生きてるって感じがするんだよ」
脆くてすぐ壊れそうな彼。
「それにほらあいつ世話焼きじゃん」
気にしなくていいんだよ。
彼の服は風にはためいている。
「俺も結構好かれてるって分かってるから卒業してあいつがいなくなったのとか考えられないんだよ」
彼は僕の前で、光を放っているように見えて。
「それなら俺とあいつが一緒にいれるのって付き合う以外ないじゃん?」
もう彼と会うことはないんだな。
「だから真面目に話そうと思ってるんだ、花とあと、少しプレゼントでも持ってさ」
話すこともないんだな。
「これから誘おうとおもってんだ」
そう思うと寂しくなって。
「おまえはどう思う?」
僕は正解を出せないから。
「応援するよ。」
彼を。
「そっか!…えへへ、ありがとな……!俺、行ってくる」
硬い音のあと少しずつ小さくなるノイズを見送れない。風のない空にカーテンを掛けて、僕は光から目を逸らした。
ほら、私は鳥だから。ゆっくりでいいんだ。
目を開くと、僕はその声に呑まれていた。もう彼と目を合わせることも出来なくなっていた。もう全部が終わっていて、僕は一人ぼっちで、全身が穴だらけ。
そして、彼の、うたが、、すぐに、。。。
君を助けるのは君の涙だけだよ。
それとも君のために泣いてくれる人なんているのかな。まあ、きっとその子も君なんかのために流す涙なんかないんだろうけど。
青い鳥は幸せを呼ぶけど、それは君のための幸せではない。
もし君が青い鳥を見て、幸福になっても、不幸を忘れても、それも結局は青い鳥が幸せになるための過程だから。
……あるひ さかながひとりで およいでいると うえから とりがこえをかけてきました。
そのとりは あおいはねをもっているうつくしいとりでした。
さかながあいさつをかえすと、うつくしいあおいはねを もつとりは おそらのはなしをしてくれました。
そのはなしは いっぴきの かわのさかなを たのしませました。
ともだちのいないさかなは とりと つぎのひも あうやくそくをしました。
つぎのひ、さかなが きのうとおなじところで うきうきしながらまっていると とりが こえをかけてきました。
さかなが あいさつをかえすと あおいとりは ちかづいてきた おさかなを ひとくちでたべてしまいました。
おしまい。
読んでくれてありがとうございます。
高校2年の時に書いたのを軽く直したのですが読みにくかったらごめんなさい。
性別も歳もわからない、とろけた世界観が好きなので彼らに性別はありません。
この話の前、さかなは3匹で泳いでいました。
いつまでも落ち続ければいいのに。