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閑話:神咲 瑠花①


「はぁ…」


私、神咲 瑠花はせっかくの休日だというのに動く気力が全く湧かず、ベッドの上でため息をついてしまう。


こんな風になった原因は分かっている。主な原因は過去の自分への怒りと自分がとってきた行動への後悔によるものである。


「はぁ…」


過去ばかりを見ていても意味がないということは頭では分かっている。それでも体は動いてくれない。


「はぁ…」


ため息を三度。ため息ばかりついていては駄目だと頭では分かっていても無意識に出てきてしまう。


昔のことを思い返すことも、無意識に何度行っただろうか…


私の後悔の記憶は、現在(いま)より少し遡る。




◇◆◇




高校入学の前日、急にビビっとした感触が体中に走った。その瞬間、私の頭の中に色々な情報が流れてくる。


「私、職業持ちになったんだ…しかも『治癒師』」


私はとても喜んだ。将来、医療系の仕事をしたいと漠然と思っていたことと、

半年前に体調が悪くなって病院へ行き、詳しく調べると職業未発現状態になってることが分かっていて、

普通この未発現状態になると、少なくとも体調が悪くなった日から1ヶ月で職業が発現すると言われているのに、全く音沙汰が無くて少し不安だったのだ。


翌日、るんるん気分で入学式に臨んだ。結構、自分の職業がいつ発現するか想像以上に悩んでいたのか、胸のつっかえが取れたみたいで心の中は晴れやかだ。


そして翌週、早くも友達ができてその友達たちがそのままよく遊ぶメンバーとなった。少し口が悪いがリーダーシップのある佐久間くん、お調子者だが周りを明るくしてくれる兵藤くん、ギャルみたいな格好だけど私とウマの合う有栖…そして少し暗めな時任くん。


この学年にはなんと、新人類が私たちしかいなくて、自然と私たちがよく話すメンバーになった。


私の高校生活はいいスタートを切れた。しかしここから雲行きは怪しくなっていく…。


私たちがよく話すようになってから1週間。時任くんが未だに職業未発現だと打ち明けた。


最初はただ自分の他にも職業未発現状態が長く続いている人がいることに驚いた。有栖も驚いたような顔をしている。でも男子は違った。


なんとなくだが元々、性格が合わない節はあった。しかし同じ新人類同士ということで我慢してたのだろうか、それからというもの男子達の時任くんへのあたりは強まっていく。


最初は軽い八つ当たりから始まったが、次第に暴力やパシリなどを行い、しまいには有栖も参加しだしそこからクラスを巻き込む集団いじめになった。


私も時任くんの自信無さげなウジウジした態度は嫌いだったため、口を出さなかったが、もう見ていられなくなり、注意をしようと決意した。


しかしその翌日、佐久間くんから衝撃的な話を聞くこととなる。


翌日の放課後。いつもなら今からいじめが始まる。私は隣にいる佐久間くんに注意しようとしたら、先に向こうが口を開いた。


「お前の妹は時任に弄ばれているぞ」


突然すぎて、注意しようとしてたことなんて一瞬でどこかにいってしまった。


…そんなはずは無い!私の妹ーー美來は男嫌い&人見知りでとてもじゃないけど異性と会話できるはずが…


美來は一つ下の少し生意気だけど、とても可愛い妹だ。もし、本当に弄ばれていたらと思うと気が気じゃない。


急いで家に帰り、美來から話を聞いてみなくては。


みんなへの別れの挨拶もそこそこに私は家に向かって走り出した。





今になって考えれば、もう少し冷静に考えればよかったと強く思う。…まぁもう遅いのだけれど…



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