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ダンジョンの中で

ダンジョンは本当に不思議で外観ではかなり小さくしたピラミッドぐらいなのに、中に入ると外観からは想像もつかないような広い場所に出た。なんだかじめっとした洞窟みたいだ。


ついにダンジョンに入ってしまったことを実感して、憂鬱な気持ちが掻き消える。


俺はいつ魔物に襲われるか分からずに戦々恐々としていた。そんな俺にあいつらがちょっかいをかけないわけもなく


「おいおいまだビビってんのかよこのチキン野郎がよぉw」


「「「ぎゃはははっ!!」」」


…チキンなのは否定しない。でもこんな大声だして本当に大丈夫なのか…?


そんなThe・チキンなことを考えていると、、、


「ギャァァ!」 「ギャッギャッギャッ!」


ほら言わんこっちゃない…俺の命もここまでか…。


蛮族のような格好をした少し俺たちより小さい魔物、いわゆるゴブリンに遭遇した。これから起こることを想像して身を震わせていると佐久間たちが動き出した。


「せっかくの俺様の初陣がゴブリンかよ!」


「全くだぜ〜w」


「てか臭くな〜い?w」


「確かに汚らしいわね」


そんな風に文句を言いながらもゴブリンをばったばったと切り倒してく佐久間たち。うわっ胡桃沢のやつ魔法使ってる…初めて見たわ。


なんて俺がぼーっとしてるうちに10体以上いたゴブリン達は全て倒れていた。


「ゴブリンなんて小型の魔石しか落とさねぇじゃねぇか!」


「それな〜」


佐久間たちが魔石ーー石油などの従来のエネルギーの代わりを担う新たなエネルギー資源ーーを拾っているとき、女性陣は俺の陰口、いや悪口を言っていた。


「てかチキン君ゴブリン如きにビビってたの〜?w」


「本当にチキン野郎ね」


…悔しいけど何も言えない。自分に力が無いことを理由にしていまの現状を許容している自分が情けない。…なんで俺の職業は発現しないんだよ…


いやそんなことをいま言っててもしょうがない。まずはこのダンジョンを生きて出ることが最優先。それならあいつらが強いことは喜ばしいことだ。


そう自分に言い聞かせないと劣等感で押しつぶされそうになる…。




◇◆◇




その後も特に問題も無く第4階層も楽々突破してボス部屋がある、第5階層にたどり着いた。


なんだか雰囲気がさっきまでと違う気がする。ボス部屋があるからそう感じる…のか?


「さっさと行くぞ!」


佐久間は何も違和感を感じてないっぽいな。なら俺の勘違いなのかも。とにかく今回の依頼は第5階層までの調査だからここを凌げば帰れる!


そう楽観視している時にふと前にいる()()()()()()()佐久間を見た。


…え?


腕が…え、うでが


「ギャアアァァァァァァァァ俺の腕ガァァァァァァ!!!?」


突然すぎた。あまりにも理不尽な暴力。原因はすぐ目の前にいた。一言で言い表すなら巨大カマキリ。


こんな魔物見たことも聞いた事もないぞ……!ここはEランクダンジョンじゃないのか!?


いや今はそんなことはどうでもいい。逃げなくては!俺がそう考えている時にはすでにみんな行動に移していた。


無我夢中で逃げ出している途中に神咲が転んでしまった。っつなにやってんだよっ!助けるべきか助けられるか、そんな無駄な事を考えている間に胡桃沢が助けに入る。


「瑠花っ!」


「有栖っ!…来ちゃダメよ逃げて!」


クソっそうこうしているうちにカマキリが追いついたぞ!おいおいあいつらがやべぇってのになんでこいつらは平気で逃げられるんだよ…お前ら仲間じゃねぇのかよ。俺は仲間じゃねぇけどお前らは違うだろ!


そう俺は別にこいつらの仲間じゃねぇ…。


「きゃあああ!やめて!こわいよぉ!!」


「ううぅぅうぅ!!誰か助けてよぉ!」


別にこいつらの仲間じゃ…。


「ひっ!目合っちゃったよぉぉ!」


「うぇぇぇえ!!…もう…駄目だわ…ぐすっ!」


………。


……。


考える前に体が動いていた。


おい俺なんで戻ってんだ!あいつらは散々俺を虐めてきたんだぞ!あいつらのせいで俺の高校生活はお先真っ暗だ!あいつらとのいい思い出なんて何もねぇ!出来れば顔も見たくねぇ!今日だって無理やり連れてこられた。何度こいつらが居なくなれば、こいつらと出会ってなければって考えた……。


だけど、


「目の前で見捨てるなんて出来ねぇよっ!」


気づいたら巨大カマキリの前に立っていた。何の装備もせずに丸腰で。正直怖い。足の震えが止まってくれない。なんで戻ってきたんだって考えてしまう。


すぅ〜…はぁ〜…


ネガティブな考えを追い出すように息を吐く。


腹くくれ俺。俺を助けてくれたあの人のように、俺だって人を助けられるような英雄(にんげん)になりたいんだ!


「おいカマキリ!ここからは俺が相手だ!」




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