19話 決戦前編
俺は「闘技場の破壊者」と話した後、決戦まで気持ちを切り替えながら控え室で休むことにした。
「ルーク選手、決戦です。」
「...よし。」
会場に向かう途中。
「ルーク。」
「...。」
「ルーク!」
ルスカが話しかけてきた。
「!!...ああ、なんだ?」
「なんか様子が変だぞ緊張してるのか?」
「...まぁ、そんなとこだ。」
「今更か?」
「...色々あるんだほっといてくれ、勝てれば問題ない。」
「だが...。」
「もう行く。」
俺が会場に入ると観客席から今までに無い程の歓声が会場を包み込んだ。
それから少しして司会がメガホン片手に大声で色々話した始るが、ほとんど内容が入ってこない。
そんな事を聞く暇など無いからだ。
「...いつも通りやるだけだ。」
気持ちが完全に切り替わった。いつも通りだ。
「互いにとっての良い試合にしよう。」
「...あぁ。」
倒すべき敵をしっかり見据え、全身を魔力で強化する。
「それでは、始め!!!」
審判の合図と同時に奴は高速で距離を詰めてくる。
「ふん!」
奴は左手で俺を殴ってきた。
俺はそれを奴の後ろに回り込むように回避し背中に蹴りを入れる。
「...ぐっ!」
奴は少し体勢を崩すもすぐにこちらを向き反撃をしようと構える。
「遅い。」
俺は高速で奴の顔面目掛けて殴りかかるが、ギリギリでかわされ、それと同時に奴は前蹴りをしてくる。
(思ったより速い、なら。)
俺は結界を正面に張り蹴りを防ぎ、少し飛び上がりかかと落としを喰らわせようとするも腕で防がれる。
(ここ。)
防がれた足に魔力を集中させて無理やり押し込もうとするが。
「やるな!」
「!?」
奴は腕を振り俺を押し返して弾き飛ばしてきた。
「うおぉ!」
「...っ!?」
空中で距離を取りながら体勢を立て直そうとしていると、奴は最初とは比べ物になら無いほどの速度で距離を詰めて勢いのまま殴りかかってきた。
「くっ!」
「くらえ!」
俺は腕をクロスさせて奴の拳を受け止める...が。
(しまった!)
身体中に凄まじい衝撃が走り、俺は高速で場外に向けて飛ばされた。
(どうする。)
俺は本能的に場外ギリギリで結界を造りだして自分の体を受け止めた。
「ぐっ...。」
結界に体を強く打ち付け、少し呻きながら体勢を立て直す。 奴が先程と同じ勢いで距離を詰めてくる。
「...あまり舐めるなよ。」
俺は手から魔力や能力を阻害する鎖を無数に射出して奴を縛り付ける。
「なっ!?」
「よし。」
それを掴み空中に飛び上がり勢いを付けて地面に叩き付けた。
「がっ...あ。」
「さて。」
そして空中から魔力の塊を大量に落とし爆発させて、メイスを生成して急降下しながら奴の頭を強く殴打する。
「ぐっ...。」
(よし、いける。)
奴がふらついた所で俺はメイスで奴を何度も殴り付ける。
(もう少し...。)
奴は血まみれで今にも倒れそうだ。
(終わらせるか。)
俺はトドメを指す為に腕に力を込めて奴の頭にメイスを振り下ろし、それは奴の頭に直撃する...が。
(...な!?)
奴は倒れなかった。
「おおおおお!!」
そして奴は全身に力を込めて鎖を純粋な筋力だけで引きちぎった。
(まずいっ!)
奴はその勢いのまま俺の顔を掴み地面に叩き付け、腹を貫くが如く殴ってきた。
「っ...がふっ。」
奴の能力による衝撃を逃がしきれず、大量に吐血する。
そして全身から力が入らなくなった瞬間、今度は腕を持たれ地面に投げつけ体が地面から跳ね返った所を全力で蹴飛ばされる。
「ぐっ...う。」
俺はなんとか着地して再度奴を見据える、追ってくる様子はない。
(死ぬかと思った...まぁ相手の強さは大体分かった、これならもう少し力を上げてもまだ死なないか。)
俺は潰れた内臓を治し、メイスを構え先程よりも強く魔力で全身を強化した。
奴もふらつきながらなんとか体勢を整え再び構える。
「さて、続きをやるか。」
「こんなにも...強い者がいたのか。お前程の力が俺にあれば皆を守れただろうな。」
「...そんな御大層なもんじゃないさ、特に俺の力は。」
奴は不思議そうな顔をする。
「あぁ、すまないこっちの事だ。...まあ決着を付けるか。」
「よし!いくぞ!」
俺と奴は再び距離を詰め戦いを再開した。




