16話 ルスカ 前編
準決勝...だが。
「どうしたものか。」
トーナメント表を見る感じ間違いなく次はルスカと当たる。
(あいつが負けるわけないし、手加減するような奴でもないし、真っ向勝負では絶対勝てない。)
と、考えていると、後ろから元気な少女の声が俺に話し掛けてきた。
「よう、ベジタボー!」
振り返るとそこには水色髪の獣人の少女が立っていた。
「あぁ、ルスカか、あと今は色々あって偽名を使っているからルークって呼んでくれ、少なくとも他の人がいるときは。」
「ルーク?あっ!準決勝の相手お前なのか、お前の名前がないのにお前が戦ってたから何かと思ったぞ。」
そのあとは色々聞かれたので答えられる範囲で答えた。するとルスカは納得した様子で最後に恐ろしいことを言って去っていった。
「まあ、事情は分かった、だが!オレは手を抜く気はないぞ!偶然でも知り合いに会ったんだ。勝ちを譲る気もない!」
「だろうな。」
俺が入場すると、会場は異常な盛り上がりをみせていた。
「さあ、準決勝です!!今から戦うのは、相手の攻撃を一撃も喰らわずここまで勝ち上がった、ルーク選手!!!そして相手の攻撃を全て受けて無傷のまま勝ち上がった、ルスカ選手!!!それに両者は初出場だそうです!!!」
粗方紹介が終わったのか司会は審判と入れ替わり...。
「では、始め!!!」
審判の合図と共に、俺は肉体を魔力で強化しながらルスカに言った。
「本気でいくぞ。」
「ああ!いくぞ!!」
俺は高速でルスカとの距離を詰めながら、剣を生成し斬りかかった。ルスカはそれを素手で掴み俺を空中に投げ飛ばした。
「くっ!」
「空中戦だ!」
ルスカは空中に投げ飛ばした俺を追うように高速で飛翔してきた。
「おらぁ!」
そしてそのまま殴りかかってきた。俺はそれを回避し距離を取りながら自分の周りに大量の魔法陣を生成しそこから無数の魔力の塊を射出してルスカはそれを全て受けた。
(だろうな。)
俺はルスカに着弾した際に発生した煙に紛れて、生成した長槍を投げ、それを追うように近づき斧を思い切り振り下ろした。
ルスカは槍を弾き落とし斧の一撃を片腕で防いだ。
「やるな!」
「ちっ!」
俺は距離を取ると今度はルスカがあり得ない速度で距離を詰めて俺の腹を殴ってきた。俺はギリギリで反応し咄嗟に結界を張り防ごうとしたがルスカの拳はそれを容易に貫き、俺の腹に突き刺さる。
「がはっ...。」
俺は血を吐きながら飛ばされながら体勢を立て直すが...。
「まだまだ!!」
「っ!!」
ルスカはそれに軽く追い付き殴打や蹴りなどの連撃を放ってきた。俺はなんとか反応し回避したり生成した武器で防いだりするが、防ぎきれなかった拳が頬の肉を抉り、その血で一瞬視界が隠れる。
「そい!!」
ルスカはその隙に俺を地上に叩き落とした。
俺は地面に叩き付けられるより先に空間を少し歪ませ衝撃を緩和し着地した。
「ぐっ...。」
だが、叩き落とす際の蹴りは緩和しても尚、防いだ腕の骨にヒビをいれていた。
ルスカは追撃を入れるために地上に急降下してきた。
俺は傷を治しながら大剣を生成し、落ちてきたルスカを最低限の距離で回避しながら斬りかかった。
「ほい!」
ルスカはそれを拳で叩き割った。
(それを待ってた。)
俺は砕かれた大剣の大量の破片を浮遊させルスカに飛ばした。ルスカは当然それではダメージをくらわないが、視界は狭まる。俺はその合間を滑り込むように脚を払った。
「うぉ!」
ルスカはバランスを崩し、俺は魔力を脚に集中させ顔面を思い切り蹴り、そのまま地面に叩き付けた。そして俺は巨大なハンマーを生成しルスカを殴り付けた。石畳が大きく砕けクレーターのようにへこむ。
「はぁはぁ...。」
(さすがに気絶くらいは。)
...ルスカが起き上がった、しかも無傷で。
「やっぱり強いな、ベジタボーは!あ!すまんルークだったな。」
「マジかよ...。」
俺は下手な殺し合いより命に危機を感じていた。




