15話 技と業
試合が早く終わった俺は、控え室で休憩していた。
...すると。
「次の相手は君か。」
「!!」
一人の老人が話しかけてきた。
(いくら気を抜いていたいたとは言え、こいつが部屋に入ってきたことにすら気づかなかった...。)
俺は動揺を隠しながら答えた。
「ああ。よろしく頼む。」
すると老人は握手を求めるように手を差し出してきた。
「いい試合をしようじゃないか。」
俺は読心術を使いながら手を握り返した。
...すると。
「っ!!」
老人の手は動いていないのに 、俺の体がその場で回転...しそうになったので少し力を入れてその場に踏ん張った。
「おお、この技を初手で見切り対処するとは、やはり予選での戦いといい、さっきの試合といい、期待通りだ。」
そういいながら老人は控え室を出ていった。
(ああ、技量で戦う武術タイプか...。それもかなりの熟練者。)
「両者、入場。」
司会の合図と共にさっきの老人が反対側から入ってきた。
(やはり、武器は持っていない。まぁ...隠し持っている可能性もなくはないが。)
「それでは、始め!!!」
審判の声と同時に老人は笑顔で俺に握手を求めるように手を差し出してきた。
「いい試合にしよう。」
(なるほどな。)
「ああ、わかった。」
手を握った瞬間にさっきとは違う向きで力が加った。
(やはりな。)
...が、今度は何故か踏ん張れず、俺は空中で回転しながら投げ飛ばされた。
「っ!!」
「ほれ!!」
着地は出来たが、当然その隙に相手は距離を詰めながら複雑な軌道で殴りかかってきた。
(だが。)
俺はそれをギリギリで回避し、蹴りを放った。相手はそれを分かっていたように脚を掴んできた。
「そう簡単に蹴りを放ってはいかんぞ、小僧。」
(かかった。)
俺は相手が力を入れてくるより速く、脚を振り上げてそのまま石畳の地面に叩き付けた。
「ぐっ!」
観客には歓声で聞こえないが石畳からは確かに鈍い音が聞こえた。
(ヤバイ!!!)
相手は頭から血を流しながら立ち上がった。
それなりの勢いで叩き付けたので明らかにフラフラしている。
「はあ...はあ。全く、酷いことするのお。」
「よかった、死んでない。さて、続きだ。」
相手は構え直し、近接戦をしかけきた。
俺も相手の連撃を避けたり受け止めたりして対処した。
...が、相手の放った拳を掴んだ瞬間に下方向に凄まじいがかかり、おもわず地面に片手片膝を付いた。
「なっ!?」
「そこ!」
相手は体勢を崩した俺に蹴りを放ってきた。
「打ってきたか、あんたの敗けだ。」
「なに!?」
俺の言葉に相手は一瞬動揺し蹴りの速度が遅くなった。
そこで俺は石畳に付いた手を握り、散乱した石つぶてを掴み相手に投げつけた。
「ぐっ!」
(終わりだ。)
俺は相手が防いだ石つぶてに紛れて、そのまま手を伸ばし、胸ぐらを掴み、頭突きをしてふらつかしたあと場外まで蹴り飛ばした。
「そこまで!!!」
審判の声と共に老人は魔法で転送された。
俺は控え室で今回の戦いの反省をしていると。さっき戦った老人が話しかけてきた。
「ほっほっほっ、さすがに気づかれるか。」
「何の用だ?」
俺が適当に返すと老人は突然真剣な顔になり俺に訪ねてきた。
「小僧、いや、お主何者じゃ。」
「!?」
「お主からは、大量殺人鬼が赤子に見える程の殺戮の気配がする。」
「知ってどうする?」
「お主、少なくともまともな人ではない、そうだろう?」
「...。」
「...まぁ、良い、お主一つ忠告しておく。お主、ろくな死にかたせんぞ。」
そう言うと老人は控え室を出ていった。
「...まぁ、そう言う人生送ってきたからな。」




