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新章のアウトレイジ  作者: ぶい
2/3

B・A・D

「目が覚めたッスか」

 赤い服を脱ぎ捨てたテスタの前に、1人の火ネズミが姿を見せた。特徴的な話し方の彼は、罰怒ブランドとマスター契約を果たした火文明のマスターを連れて来た、ダチッコ・チュリス。

 ダチッコはテスタの体が変化したことは置いておいて、どうしても気になっていたことについて訊ねる。

「おまえは覚えてるッスか?やられた時のこと」

 しかしテスタは目覚めたばかり、記憶が戻ったばかりで、その記憶は混乱していた。自分の仲間が倒されたことさえ覚えていない。

 首を横に振ったテスタに、「そうッスか……」と残念そうに答えるダチッコ。

「DMの文字に心あたりはないッスか?」

 彼らのダイイングメッセージを伝えるもテスタには心当たりがない。

「ごめんなさい」

「おまえ、そんな喋り方だったッスか?」

 テスタがこれまでと違うのは姿だけではないと気付くダチッコ。あまり関わりはなかった2人だが、ダチッコは火文明の仲間のことを忘れることはない。

「僕は元々はこんな喋り方だったんです。普段が作っていた、というわけではないですけど」

「そうッスか」

 姿が変わったことがなんらかの影響を及ぼしたと察したダチッコだが、それは言わずに黙っている。すると、今度はテスタから質問が出される。

「あの、僕はどうやってこの姿になりましたか?」

 姿の変わったテスタを、かつてのテスタ・チュリスだとわかっている様子のダチッコに、変わるところを目撃したのだろうと予測したテスタはそこを訊ねる。

「そうッスね。倒れてたおまえから炎が巻き起こって、気付いた時には……って感じッス」

「ありがとう」

 挨拶を済ませたダチッコは、彼のダチの下へと戻っていく。

 1人になったテスタは、自分を倒した誰かについて思い出そうとする。しかしそれを思い出すことはできない。

 思い出すのをやめて、テスタは力を確認する。

 その何者かとはまた戦う、そんな確信が、テスタにはあった。


 アウトレイジの力が戻ったテスタ・ロッサ。しかし、今の仲間たちはアウトレイジではない。ならばと、テスタは罰怒ブランドの下へと向かう。

 罰怒ブランドのもつ力を、自分も身につけようというのだ。

 罰怒ブランドの居場所はわかっている。

 長いこと眠っていて火文明の状況を知らない彼は、それまで休んでいた施設を出ると、その見たことのないクリーチャーたちに驚く。

 不思議なクリーチャーたち。しかし彼らに敵意も悪意もない。それどころか、普段から騒がしかった火文明がさらに騒がしくなっている。

 そんな異様な様子に驚きが隠せず固まっていると、ミラーボールに体を生やした小さなクリーチャーに絡まれる。

 咄嗟に距離をとってしまうテスタ。それに驚きそのクリーチャー、パーリ騎士(ナイッ)も後方へと跳ねる。

 テスタはそんなパーリ騎士の様子に、少しの戸惑いを覚える。それもそのはず、テスタがかつて戦っていた敵、オラクルの神とよく似た文明だったのだ。

 他にも何体かいるが、テスタにはパーリ騎士しか見えていない。

 テスタはそのクリーチャーが危険でないことを確かめるかのように、何度か頭を指で突っつく。

 しかし彼はその手を拒むこともなく、なされるがままだ。そしてテスタが突っつき終えると、パーリ騎士は騒ぎながらテスタを騒いでいる仲間の下へと連れて行こうとする。

 テスタは謝りパーリ騎士の腕を解くと、パーリ騎士は少し残念そうな様子でテスタに手を振る。

「彼らは何だろう?ゼロ文明ではないようだけど……」

 そしてテスタはブランドの下へと急ぐ。


「ダメだ。ここを通すわけにはいかねぇ」

「お願いです!僕には、どうしても力が必要なんです!」

「なんと言われても通すわけにはいかねぇ。DBL(ダブル)のヤツの報告通りなら火文明はヤベェって話じゃん?だから、罰怒のアニキにこれ以上手間かけさせるわけにはいかねぇじゃんよ」

 そう言って通そうとしないのは、ラウド“NYZ(ノイズ)”ノイジー。

 テスタはその報告の内容を考える。その火文明のピンチについて。それはテスタにも心当たりがあった。チュチュリスを探して走った果てに、テスタはそれを見ていたのだ。

「力がほしいなら、この俺が協力してやるよ」

「へ、覇道(ヘッド)のアニキッ⁉︎」

 そう進言したのは、火文明の中で最高クラスの力をもつ、勝利龍装(しょうりりゅうそう)クラッシュ“覇道(ヘッド)”だった。

 彼もまたブランドの編み出した“技”を扱う。

「ジョーカーズに真似れて俺たちが使えねえんじゃ示しがつかないだろ?」

 ジョーカーズという初耳の言葉に、テスタは首を傾げる。その様子を見てノイジーが指を指す先に目を向け凝らす。

 そして映ったのは、さっきテスタに絡んできたミラーボールの小人たち、今までに見たことのないクリーチャーたち。

「彼らが?」

「ジョーカーズ。彼らは新文明ジョーカーズのジョーカーズという種族で、俺たち火文明の力を取り入れた、火文明ジョーカーズなんてものまでいる。今は仲間だ」

 そう説明したクラッシュ覇道は、本当に仲間であるかのような視線を送る。

 その協力関係は、火文明に勢いを与えている。

 この勢いをより増幅させたいクラッシュ覇道は、テスタにもう一度誘いの言葉をかける。

「強くなりたいんだろ?なら、俺が教えてやるよ。オマエが欲しがっている力。B(バッド)A(アクション)D(ダイナマイト)を」

 そして、テスタは地獄の特訓することとなった。

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