テスタ・ロッサ目覚めの時
そこは世界を繋ぐ柱の最下層に位置する街。火文明が暮らすそこにはたくさんの火ネズミと猿人が暮らしている。彼らはビートジョッキーと呼ばれている。
そこでは毎日がお祭り騒ぎ。その少年も例に漏れず、ドリンクとセットでバッドドッグを頼む。しかし彼は騒いでいたが、ただ遊んでいたわけではない。
彼、テスタ・チュリスは、謎の使命感に駆られて今日も今日とて修行を積み重ねる。
彼は一緒に騒いでいたナグナグ・チュリスとともに、ドリンクとバッドドッグを飲み込む。
疲れて流した汗を流すため、炎のプールにみんなで飛び込む。近くをキュルキュルと音を立てて、歯車じかけの戦車が走る。
しかしそれはいつもと違う。誰かが欠けている。そう誰かが言ったが彼らは、なんだろうと気付けない。
彼の頭に知らない誰かの声が聞こえた気がした。それは知らないはずなのに、ひどく懐かしくて涙が伝う。
ナグナグたちが彼を心配するが、彼はそれにも気付かないほど、声の主を気にしていた。
彼は今日も今日とて、とはいかず、欠けてたものに気付き、一緒に修行していた仲間を探しにいく。ナグナグたちにはそれを伝えて出てきた。そこはしっかりしているテスタ。
欠けていた仲間それは一番隊 チュチュリス。
自分も走りには負けてない!と意気込んで、走り出したはいいものの、彼は足りない脳ミソなのでチュチュリスとは真逆の方角へと走り出してしまった。
しかし、どこまで行っても見つからない。
彼は行く先行く先で食べ物を調達し、ひたすらに走り続けて、そうして彼は足を止めた。その先は黒い何かで押し潰されていて進むことができなかったから。
「あれ?誰もいない」
そんな独りぼっちのことばが、誰もいない空間に響いた。
帰ってきたテスタは、その疲れにしばらく休んでいたが、「罰怒」なる集団が来ていると聞いては居ても立っても居られない。慌てて家を飛び出してそこへ向かう。しかし、その途中で足を止める。
(なんだか嫌な予感がする)
その不安を払拭するためにも、彼はいつもの修練場へと向かった。そこで目にしたものは、倒れる仲間たちとデカいムカデと対峙する、立っていることがやっとの仲間だった。
頭の悪いテスタにだってわかる。これは、戦ってはいけない敵だと。しかし、燃え上がる闘志を止めることはできない。
感情の赴くままに、彼はムカデに挑んだ。
そして彼は…………
…………
……
…
死んだ。
しかしタダでは死なないのが彼だ。
大きな体に大して効果はないであろう拳を、たった一撃、しかし一撃を入れることができた。
彼は声を聞いて、そして跳ねるようにベッドから飛び起きる。
体は無事。
しかし窓に映る姿は、火ネズミの姿でも、かつて戦っていた時の姿でもなかった。その姿は、同じ文明の猿人にも似た、しかし、それとは明らかに異なる顔立ちをしていた。それは、彼がまだ熱き思いを秘める前の姿。かつて、オラクルとして神を信仰していた時の姿。
なぜ生きているのか、なぜこんな姿なのか、足りなかった脳ミソは、やはり足りないままだが、テスタにはそれが、なんとなく分かった。
かつてと同じように、その力で神を逆立たせる。現在着ている赤い服を脱ぎ捨てる。彼はまだ記憶が戻ったばかりで混乱しているが、それでも一つだけ確かなことがある。
「俺は、テスタ・ロッサ。アウトレイジだ」
テスタ・チュリス
種族 ビートジョッキー
3マナ
パワー2000
このクリーチャーが破壊されたとき相手のパワー3000以下のクリーチャーを一体破壊する。