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合流地点が割と遠い

まさか2話目書けるとは思わんかった。

 テぺ丘だったな、集合場所早く行くか。


 それにしても、レベル1辛いなぁ……イツマドラさん本当クソ。天災級は、伊達じゃ無かった。即死だもんなあのブレス。


 何より辛いのが、レベルリセットじゃ無くて、スキルリセットなんだよな。熟練度方式だから、一度失うと最初から熟練度上げをやり直さないといけない。特殊職や、専門職のスキル構成の人は、地獄のようなそれを、もう一度繰り替えなさいとならない。攻略サイトも情報サイトも、未来のパーフェクトAI様が管理してるので、絶対に存在しない。


 現実に、魔法とスキルの情報量を加えた、鬼の様なゲームだ。一度ロストすれば、二度と同じキャラは作れないと、思っていた方がいい。世界を掌握してるゲームじゃ無きゃ、一回死んだら絶対にプレイしない自信がある。


 天才たちの言い分としては【万物は流転する。例えデータと言えど、同じものは存在せず】だそうだ。俺らみたいな、一小市民からすれば、ご高説痛み入る。とは、まさにこのことだ。勿論嫌味だ。



 さて、そろそろテぺ丘だな。『テペッツェの丘』と呼ばれる、俺達がよく集まる小高い丘だ。モンスターも殆ど湧き出ず、出てきてもスライム相当。しかも一度倒すと、再度出てくるまでの時間が非常に長い。


 主要ポータルからも割と遠く、ステージとしての旨味が全く無い為、個人ポータルに設定してる人も少ない。少ないと言うよりは、居ないと言った方が適切だろう。何年も毎日やってるのに、俺ら以外のプレイヤーを、一度も見たことが無い。


 個人の移動ポータルが有るなら、なんで俺歩いてんの?と思わずには居られないが、死ぬとポータル登録も解除されるからな。確かに、産まれたばかりの赤ん坊が、その場所を知ってるはずが無いからな。仕方ないんだが、正直七面倒臭いを通り越して、最早八面倒臭い。


 八面倒臭いってなんだよ。因みに七面倒臭いは、元々ひちめんどくさいから来ていて、ひちは強調の接頭語で、甚だしいって意味だ。うん。どうでもいいな。伝わんねーかなぁ……要するに、そんな説明をするぐらい面倒臭い訳ですよ。


 いつもポータルで移動して、一瞬で着く道程を、歩かなきゃいけないとか、ストレスがフル過ぎて死ねる。



 そろそろ着くはずなんだが、遠いので賢者達の偉業の一つを上げよう。着いたら止めるけど。


 先ず、世界から強盗が無くなった。ゲーム内マネーは、現金化出来るが、現金はゲーム内マネーに変換出来ないからだ。加えて、食事等は、現実でする必要が有るが、現金を扱ってる所など今では殆ど無いしな。


 開発当初は混乱を避ける為に、現金が使われていたが、今ではサモン・オンラインをして無い人間を探すのは、ツチノコを探すより難しいと言われている。要するに、ゲーム内マネーで現実で食事が出来るのだ。


 キャラメイク直後の初期ステータスでも、倒せるモンスターは居る。現実で強盗をする必要性が皆無なのだ。


 農業、林業、漁業は賢者達が、未来技術で全自動化した。じゃあ、調理も機械化しろよと思ったんだが、十二人の中の一人が、「料理は、作り手の心をいただくものである」の持論の為、止めたらしい。



 偉業続き。ゲーム内設定は、人間と魔族達が、覇権を争っていると言う設定の為、同じプレイヤー達に攻撃しても全てすり抜ける。PK(プレイヤーキラー)が、不可能な仕様なので、争いが少ない。しかも、交換機能は等価でないと交換不可の為、虐めなんかもない。


 虐めて掠めようとしても、その分の対価は払わせられるし、フレンドリーファイアーが不可能なので、痛めつけることも出来ない。


 商人等のジョブは、未来AI様が、売りと買いの適正金額を勝手に固定するので、ぼったくりとか、買い叩かれるとかも無い。


 ステータスは自分に向いてるものだと、ガンガン上がっていく。熟練度システムなので、自分がどれだけ上手く強くなったのか目に見えるのだ。それにゲームだから、全く向いてないものでも、やる気さえ有れば熟練度は上がる。そう、AIに支配されてからの自殺者は、全世界で0人だ。



 十二人賢者の宣言通り、我々人間は、完全にゲームによって支配されてると言っても過言じゃない。この人工知能は、先に言った第一次産業の管理もしている。もし、機能が停止すれば、人類滅亡寸前まで追い込まれるだろう。


 未来技術の獲得の為に、全世界は賢者達にミサイル等を差し出したので、AIに本気で攻撃しようものなら、頭上に核ミサイルが寸分違わず落ちてくる。


 食糧も、健康管理も、脳波も、生殺与奪まで機械が管理してるのだ。きっと、失踪した賢者達は何処かで、この風景を見ていることだろう。


 皆が希望に満ち溢れ、食糧難は無く、努力すればしただけステータスに反映される。完璧な理想郷だ。


 反抗的な者、世界(AI)に仇なすものは粛清され、食糧難が無いイコール人口管理が完璧な訳で、悍ましいと言えばそうだが、夢の様な世界でも有る。


 犯罪者や犯罪行為には厳しく、一度目でも、悪質な場合は奴隷落ち。そうでなくとも、二度目には奴隷落ちだ。


 奴隷落ちは正直、現実で死ぬより厳しい。ゲームでは、NPCには基本的に無視され、経験値上昇、熟練度上昇はストップ。両手足に枷が付けられ、一目で犯罪者だと分かる。


 そして、現実では勿論捕まって牢屋な訳で、自殺も出来ない。試みようとしただけでも、AIに気付かれ、看守に押さえつけられるので、不可能だ。



 そして、昼飯時と夜には強制ログアウトさせられる。健康的な生活を強いられるのだ。だが、ゲームなのでログインは強いられない。形だけは、だが。


 世界中の人間が、ログインしてるのに、自分だけログインせずに何かする気になれないし、金を稼ぐのもゲームの中だ。ほぼ全ての娯楽と、魔法やスキルを使って遊べるプレイスポット等が有るのに、わざわざ現実で遊ばないといけない理由が分かんないしな。



 アルカディアを創り上げた天才達には、感謝している。やり直しさえ、ここまでクソじゃ無ければ。


 まあでも、弱くても馬鹿にされないし皆よく死ぬので、死んだら寧ろ、皆がレベル上げとか手伝ってくれる。ほぼ全ての人間が、やり直しをキャラメイクから痛感しているし、辛さを理解しているので、揶揄されたりもしない。



 お、やっと着いたか。


「おーい!待たせてスマン!イツマさんにやられたは」

「あー。それは御愁傷様で」


 最初に口を開いたのは、忍者。同級生、男だ。ゲーム内での接触が殆どだし、皆忍者としか呼ばないので、本名は忘れた。何とこのゲーム名前表示が無いのだ。外見でしか、個人を識別する術が無い。


「天災級のモンスターが、街襲って来るとか、あのイベント正気じゃねーよな」


 コッチも同級生、男で、重鎧戦士だ。恵体の為、最初から体力と筋力のパラメーターが、高かったらしい。


 因みにこの集まり、女性は居ない。理由は何故かって、そりゃ三人ともモテないからに決まっている。


 今更だがこのゲーム凄くて、基本的に外見とか性別は弄れないんだが、AIが自動判断して、性同一性障害の人は異性の外見のアバターになる。しかも、ある程度自由に体型や顔も決められる。極端に本人から乖離した容姿は無理だが、誰がどう見ても、その性別にしか見えない。多分そう言う人達の為にも、名前の表示は無いのかもしれない。


 ほぼ全ての、日常で考えうる差別的な事に対応しており、このゲームの世界だけでは、絶対に不自由させないという、天才たちの執念が垣間見える。


 差別的な言動も、当然のごとく監視されて居るので、一定数が不快に感じる言動を取ると、そのプレイヤーは脳波を乱され酷い呼吸困難に陥る等の制裁が下される。勿論、未来AIのゲーム内制裁による死者は、存在しない。理想的な言論統制と言って良いだろう。



「じゃあ、お前今レベル1か!」

「どうする忍者?レベル上げする?」

「重鎧も手伝ってくれよ!」

「任せろ!突っ立ってるだけでも、最初のレベル帯の所なら無敵だからな!」


 当の本人で有る俺は、まだ一度も話に加わって無いのだが、俺のレベリングが確定した。


「取り敢えず、移動しようぜ。流石に、ここでのレベル上げは無い」

「忍者本当にな。ここでレベル上げしてたら、レベル2が来年になる」

「いや、お前流石にそれは言い過ぎだろ!」


 重鎧にツッコミを入れられ、重鎧と忍者と笑いあっていると、べリスがポップした。


 ちっこい悪魔型の魔物で、めちゃくちゃ弱い。本来というか現実では、ソロモン72柱の中でも強力な存在として書かれ、地獄の公爵で、儀式を司る地獄の大司祭だ。それが、なんでどうしてこうなった。


 真実は神のみぞ知る。まあ、知ってんのは賢者達とAIだけだけどな。


 レベル1の俺が適当に突っついていると、「ギャピ!」と言う声を上げて消えた。俺は、1のゲーム内マネーと、2の経験値を獲得した。因みにゲーム内マネーの単位は"シル"だ。紀元前30世紀は金より、銀のが価値が高かった事と、銀のシルバーから来てるらしい。詳しい事は、賢者を見つけて聞いて欲しい。

主人公「俺達の冒険はこれからだ!」

重鎧「打ち切りかな」

忍者「打ち切りだな」

主人公「いや、違ぇよ!?まだまだ続きます!」

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