8軒目:誰か正しい美少女(ロボ)との悪くない関係性を教えてくれ。
一章的な感じの何かが終るようです。
そして零人君がシリアス風味ですが……先に言っておきます。この物語はコメディです。
そして、次話は前回投稿させて頂いた6軒目がお引っ越ししただけですのでご注意を。
H29.7.23:本文を修正させて頂きました。
H30.2.24:本文を修正させて頂きました。
H30.2.25:本文を修正させて頂きました。
某年六月二日
何処ぞのアホな先輩がつけた冷房を一つ一つ消していく。
設定温度一八度に扇風機八台稼働って……バッカじゃないの!? 何してんのこの人っ!? いくら着ぐるみを着てるからって、物事には限度があるわ! ……いや、そもそも仕事中に着ぐるみを着るな!!
ホントに……何なんだこの人は…………
そう脳内ツッコミを繰り広げながら、着ぐるみの頭を脱いでいる先輩を見つめていると、本人は謎ピースを返してきた。うっわ、すっごい腹立つっ!!
「てか、先輩手伝って下さいよ! せめて窓開けて換気とか!」
「え〜っ!? 応募だよ、センくん!」
「それを言うなら横暴です! 何処に何の応募するんですか。ってか、先輩一応ここの番頭ですからね!? ちゃんと経営して下さいよ!」
「シロちゃーん、センくんが私に働けって言ってくる〜……」
先輩がよよよ、と言いながらシロの腰に抱きつく。
「最低ですね。」
「いや働けよ。何シロも同意してるんだよっ!」
僕叫ぶとシロが鼻を鳴らす。
「変態さんを陥れる為なら、マスターの一人や二人堕落させるなんて惜しくありません。」
「惜しめっ! どんだけ僕が嫌いなんだよ!?」
「ふーん、短い間に随分仲良くなったみたいだね! うんうん!」
先輩が腕を組み、首を上下に振って何か言ってるが、これが仲良く見えるとか正直言ってヤバイと思う。ていうか、アナタどさくさに紛れて働く云々を有耶無耶にしようとしてないですか?
おっと、そろそろ寒さも引いてきたな。先輩もいつの間にか着ぐるみ脱いでるし。
「まったく……こんなんじゃお客さん来なくなりますよ?」
床に置いていた自前のお風呂セットを拾いながら僕がそう言うと、先輩は「ん〜」という声を上げ顎の辺りに人差し指を当てた。
「それでもセンくんは来てくれるんでしょ?」
……あっけらかんといった感じで先輩がそう言ってきた。
本当に、この人は…………
「……なんで僕が来ればオッケーみたいな風に言ってるんですか。てかそうなったら僕も来ませんからね?」
「いーや、来るよ。センくんは。」
自身満々に胸を張って僕の言葉を否定してきた。何が彼女に自身を与えているのだろう……
「だってセンくん。私が居ないとダメ人間だもんね!」
それはアンタだ! アンタっ!! 超特大ブーメランがブッ刺さるぞ!?
…………先輩が居なかったら、か。
高校卒業時にも考えた事。先輩が居なくなったら僕がどうなるのか。
このキャラクターを続けるのか、それとも――
また、あの頃に戻るのか。
「別に、先輩が居なくても何とかやってけますよ……」
……いつものツッコミの筈だった。でも口から出た言葉は少し弱々しく、不貞腐れた子供の発言の様で……
いつもの返しを、期待していた。
「ダメだよ! 先輩めーれーです!!」
期待通りだ。その言葉で変に曲がった思考を消す事が出来る。
それは、僕が『答え』に辿り着く時間稼ぎにしかならないのかもしれないけれど。
「先輩に何の権限があるんですか! てか、ソレ高校時代の話ですからね!? 今は僕ら社会人ですから!」
「後輩は何時まで経っても後輩なの!」
「何ですかその親から見たら子は何時まで経っても子供理論!」
「じゃあ、人生の先輩命令!」
「それこそ人生の先輩に何の権限があるんですかっ!! そもそも僕が先輩に何か教えてもらったこと……なんて…………」
――センくんのペースでやれば良いと思うよ。人付き合い。――
「…………」
……今日の僕はおかしいな。何処かのロボと先輩の所為で疲れてるのかもしれない。
そうでなければ、振り切った昔の事なんて思い出す筈がない。
「? センくん?」
気付いたら先輩が不思議そうな顔でこちらを覗き込むようにして見つめていた。
「何でもないですよ。」
頭を二、三回掻きながらそう返す。
勿論嘘だ。だが先輩に話す内容じゃない。
そもそも人に話せるような悩みでもないし、話して問題が解決に向かったとしても僕が納得しないし理解出来ない。
傍から見れば滑稽な悩みかもしれない。愚かな行為だと蔑む人が居るかもしれない。
だが、残念ながら僕には解決法が見えなかったし、あの時はそれしか出来なかった。
『人の感情を汲み取る』なんて、僕には出来なかった。今だって……そうだ。
! 一秒程思考に没頭してしまっていたみたいだ。一度考え事から頭を切り離そう。
さっき目の前の問題に集中しようと決めたばかりじゃないか。僕の悩みは今悩んだって解決しないのだし、『演技』の事を悔やんだ所で過去は変えられない。
だから、今は前を向いていよう。
「そ〜お? じゃ、お風呂に行ってらっしゃいっ!」
先輩が僕に右敬礼を送ってきた。
「んじゃ、行ってきますよ。」
右手を上げ、苦笑いをしながら僕は男湯の方へと向かった。
*(テクニカル銭湯タイム)
脱衣所で服を脱ぎながら、これからの事を考える。
湯船に首から下が細身のターミネーターな銀髪美少女が浸かっていて、しかもそれと同居する事になった時の対処法なんて僕は知らないし、わかる筈もない。
正直言って、先輩がシロを押し付けてきた事にはキレそうになったし、シロも僕の事が嫌いなのだから同居なんてものは真っ平御免だった。
それに、対人関係というものが苦手な僕が人間そっくりな人工知能搭載ロボと上手くやっていける自身も無い。……後、現在進行形で家計が火の車だし。
ただ……何故だろうか。僕はシロと過ごした今日一日を悪くないと思えたし、それが日常になったとしても良いと思えた。
シロだって僕の事を嫌悪こそしているものの、大きな拒絶はしていない。
理由なんてそれだけで充分だ。別に仲良くしようなんて思わない。ただ、悪くない関係になれたら……それは良い事なんだと思う。
歩み寄ろう。近づこう。なんて、大それた事は考えない。ただ、先輩があのロボを引き取ってくれるまでは、離れない努力をしよう。
気持ちの整理がついた僕は衣類や下着、自分の荷物をすっかり定位置となったロッカーに放り込み、長年使うことでヨレヨレのタオルを持って風呂場の戸を勢い良く開け……
そっと閉めた。
既視感。その言葉が僕の脳裏に浮かんだ。
……浴槽に、ロボが居た。
うん、落ち着こう。落ち着いて歴代天皇の名前を列挙しよう。そうしよう。
「何で閉めたんですか、変態さん。」
僕が頭を抱えていると、そう銀髪ロボが扉を開けて声を掛けてきた。
「強いて言えば現実逃避かな?」
「なるほど遂に自分が存在している現象がおかしいと気付きましたかおめでとうございます死んで下さい。」
「原因は百パーセント君だよ! ロボが何で風呂に入ってるんだよ! しかも男湯! それも態々人が第一部完結的な雰囲気醸し出してた時にそれをブチ壊すなよ!!」
「キレられている理由の半分が理不尽な気がするのですが。…………ロボだってお風呂位入りますよ。場所が男湯の理由は……汚いお湯に女の子や淑女様方を浸からせるわけにはいかないでしょう?」
「女尊男卑反対! これからの世界は男女平等だっ!! てか、他の人に見られたらどーするんだよ、早く上がれ!」
僕は親指で自分の後ろを指す。
「安心して下さい、変態さん。」
僕の言葉に従わず、シロは笑みをこちらに向けてきた。
「見た奴の記憶は、消します。」
シロの右腕が変形する。昼間に僕に○○○したアサルトライフル。重厚感のあるそれを、彼女はそっと構えた。
「もう嫌だこのロボッ!!」
どうやら美少女との悪くない同居への道は、前途多難らしい……
因みにこの後、前に先輩の油トラップやゴキブリフィギュアトラップを食らった事のあるお爺さん(序参照)が乱入して来て、シロがアサルトライフルをぶっ放して記憶を消したのは…………また別のお話って事にしよう。うん、ていうか隠蔽しよう。
お爺さんは犠牲となったのです。
どうも、残機1LIFE0です。
今回は感想下さいなんて言いません。SSを差し込んどくので駄文が見たい方はどうぞ。
スクロールしただけの方はもう帰っても宜しいです。有難う御座いました。
以下、1500PV超え記念SSです。
本編にチラ見えした先輩と零人君の過去編をどうぞ。
楓花「センくんのペースでやれば良いと思うよ。人付き合い。」
零人「……そうですか。」
楓花「うん! 無理に人に合わせる必要は無いよ!」
零人「じゃあ、休み時間に教室に突入してきて無理矢理話しかけてくる先輩は人外って事でいいですか?」
楓花「……うにゅ? どういう意味?」
零人「…………何でもないです。」
楓花「うぇー!? 教えてよー、キャベ○太郎あげるから!」
零人「要りませんよ。てか、そもそもウチの高校って菓子類持ってきちゃ駄目なんじゃ?」
楓花「ふえ? そだっけ。」
零人「生徒手帳に書いてありますよ、ホラ。」
楓花「そんなものは春休み明け初日に無くしました!」
零人「…………ハァ。」
この後案の定、先生に見つかりました。
ふーかの次回予告!
楓花「次回はセンくんが月に行きます!」
零人「やめて下さいよ、作者が本気にしたらどうするんですか。」
楓花「でも次から二章だよ? スケール大きくしなきゃ!」
零人「リアルスケールは大きくしなくて良いんですよっ!!」
内容は予告なく変更される事が多々あります。




