39軒目:誰か正しい雑談の内容を教えてくれ。
売店を読んでいない方、お待たせしました。
色々話す雑談回だぜ! 只それだけッ!!!!
R1.11.7:本文を修正させていただきました。
某年六月二十八日
ピークタイムも終わりを告げ、束の間の休憩時間に突入した僕は先輩と話していた。
「でも意外でしたよ。先輩接客出来たんですね……」
「当たり前でしょ、センくんっ! 私は一応先頭の番頭なんだよっ!」
「いや、『代理の』でしょう?」
胸を張って自信満々に言っているが、本当の番頭は先輩のお祖父さんである。
「それでも、お祖父ちゃんの代わりにキチンと働いてるもんっ!」
「毎度行く度にドッキリを仕掛けてくるのはしっかり働いているの内に入るんですね、知りませんでした。」
「センくんが意地悪するぅーっ!!」
ついうっかり軽率な発言を口走ってしまった事で先輩はすっかりヘソを曲げてしまう。
が、正直日頃の行いが悪いのは先輩であって僕は何もおかしいことは言っていないのである。只客観的事実に基づいて話しているだけなのである。理不尽。
「そういう事言ってると人に嫌われるよっ!」
「じゃあそういう事を言っても大丈夫な人とだけ友達になりますよ。」
僕がそう言うと、先輩は虚を衝かれたかのように押し黙ってしまった。
何か、ちょっとした冗談のつもりが、そんな真面目に受け取られると気まずいというか……
「あー、いや。勿論全く関わらないっていう訳じゃありませんし、ある程度のコミュニケーションは取るといいますか……」
その僕の発言を遮るように、先輩は首を横に振った。
「――ううん、センくんはやっぱりそのままで良いと思うな。」
「えぇ……?」
何を言っているんだこの人は。貴方が自分のペースで人付き合いをすれば良いと言ったんじゃあないか。
だから僕は自分から他人と歩み寄ろうと……
「上手く言えないけど……センくんはシロちゃんと話してる時に、私と話す時とは違う感じで喋るでしょ?」
「いや、それはシロがボケたりするからで……」
「でも、センくんは別にシロちゃんが望んでるからツッコミを入れてる訳じゃないでしょ?」
「…………まあ、そうですね。」
どちらかと言えば、の話だが……僕は僕が楽しめるからシロとの会話で漫才的なノリをしているのだろう。
その場の雰囲気や、シロの事を全く考えていない訳ではない。が、然し、それ以前に僕自身がそういうシチュエーションを悪くないと感じているのだ。
「私は、遠慮して真面目に喋っちゃうセンくんも嫌いじゃないけど、シロちゃんとか店長さんと話してるときのセンくんは……なんだろうねー、いつもと同じ様で違う笑い方をしていて好きだよ。」
そう言って先輩は、ニコリと笑った。
「勿論、それを続けるのは難しいけど……一日に少しだけでもセンくんのそういう顔が見られると、私は嬉しいかなーっ?」
……何で、この人の事を嫌いになれないのかを、今思い出した。
この九条 楓花という人間は、僕がどれほど酷い事を言おうが、どれだけ酷い仕打ちをしようがそんな事お構いなしに、愚直に、否が応でも、只貴方と話したいんだと突っ込んでくるんだ。
遠慮というものが必要ない存在。親しくなくても礼儀なしと言わんばかりにそちらの都合を押し付けてくる割には、此方の要求にも本当に望むのなら応えてくれる。都合が悪くも良い人物。
僕という『個人』を受け止めてくれる存在。
そして今、僕の周りにもう一人、同じように殆ど遠慮のいらない人物が居たことを思い出した。
「先輩は、何でシロを僕の家に……」
そこまで言って口を噤んだ。
そんな切っ掛けなんてどうでも良いんだ。そんな事を言っても『先輩は何も考えていない』んだから大した理由なんて出てこない。
「先輩は、どうしてシロを家に迎えてあげないんですか。」
そう聞かなければ気持ちが悪かった。
「もう一ヶ月ですよ、先輩。只単に親に言い辛いなんて言い訳は苦しいんじゃないですか。」
彼女の為とかではない。只、僕が気になったのだ。
「センくんは、シロちゃんと暮らすのは嫌……?」
「違うんですよ、そうじゃあない。そんな事を言っているんじゃないんだ!」
シロとの生活は悪くはない。寧ろ楽しいとさえ感じ始めている自分が居る。だけれども、だ。
「結局は、いつかは終わるじゃないですか……」
シロは今の場所に留まる理由が無い。この暮らしは仮初めで、彼女は先輩と暮らしたいとそう願っているのに。
「センくん。」
先輩は少し悲しそうな笑みを浮かべながら言った。
「シロちゃんは、私と一緒に暮らしたいって言ってくれた?」
「そんなのいつも言って……」
そこまで言って気づいた。彼女は『僕と暮らしたくない』としか言っていないのだ。
「ね?」
「いや、いやいやいやいや。そんなまさか。記憶に残ってないだけですよ。」
そうだ、人は覚えようとしなければ物事を記憶出来ない。それは僕の場合は顕著に現れ、不必要であると判断して短期記憶は直ぐに忘れてしまう。
だが、そんな僕の思考を否定するように先輩は首を振った。
「シロちゃんと最初にあった時、急に抱きついたり、わざとじゃないけど油をかけちゃったりしても、シロちゃんは微動だにしなくて……だから、センくんと元気に喋ってるのを見た時は嬉しかったなぁ……」
「……それで、僕の所に預けようと?」
「ほえ? 預けた理由は大量支出がお父さんとお母さんにバレるのと怒られるからだよ?」
えぇ……何だこの人。今までの話なんだったの? 時間の無駄だったの? 馬鹿なの?
「センくんは、駄目とは言ったけど無理なんて言ってないからねー。つまーり、程々に余裕はあるとこの聡明な楓花先輩は考えたのですっ!」
「何処の世界線に聡明な先輩なんて居るんですか。シュタイ○ズ・ゲートにも存在しないですよ。」
この人は、本当に軽々とそういう事を言うんだ……
「要するに、シロを『無駄遣い』にならない程度の存在にしろって事でしょう?」
「そんな上から目線な言い方してませんっ!」
「本音は?」
「センくんなら私と違ってシロちゃんと対等な関係だし子供にも優しくできるしきっといい感じになるだろうなーって。」
「駄目だこの先輩フリが通じない。」
……とか言ってしまっている僕は、短い間に随分とシロに毒されてしまったんだなぁとつくづく思う。
「フリ?」
「なんでもないですよ。」
何だか恥ずかしくなった僕は、先輩から視線を逸らした。
シロに出来ることねぇ……僕はそんなにご立派な人間じゃあないと思うんだけれども。
でも確かに、僕が個人的な理由で彼女に言いたい事は沢山ある。お節介とか正義感とか、そんな感情ではなく、本当に我が侭な感情だけれども。
「ホラホラ仕事だぞ仕事しろよ仕事だ仕事仕事っ。働け働けェッ!」
雰囲気ブチ壊しおまいう案件を披露ながら、サングラスをかけアサルトライフルを担いだ店長が入ってくる。
「仕事もせずに何してんだアンタは。」
「仕事していないのは君たちも同じだろうに。」
「今の今まで休憩中だったんですよっ! ていうかなんですかその格好……」
そう、店長はいつものエプロン姿ではなくシャツの上に蒼いロングコートを羽織り、髪を解いて下に降ろしていたのである。コートには袖を通していないのだが、肩パッドや素材がしっかりとしている為かずり落ちる気配は微塵もない。
「店長さんかっこいーっ!」
「そうか、わかるかこの勝負服の素晴らしさがッ!」
「いやわかりませんよ。なんですか勝負服って。」
僕の冷静のツッコミをガン無視し、店長はサングラスの奥の目を見開き言葉を続ける。
「いいかッ! これより数日、貴様らの安息日は来ないと思えッ!!」
「いやいや、一体今日何が起こるって言うんですか……」
「取り敢えずレイレイにはコレをやろう。」
ズボンのポケットから取り出したメモ帳が僕に向かって放り投げられる。
慌ててキャッチすると、先輩もそれが何か気になったようで僕の横に立ち、覗き込んできた。
「……『未経験の志願兵でもわかる! 人智を超えた存在との格闘法っ!』? センくん闘うの?」
「いや、何ですかこれ。」
「目だけでも通しておけ。覚えるだけなら数秒で出来るだろう?」
「出来ますけど……あんまり非日常には足を踏み入れたくないんですが。」
「今更遅いだろう。九条 楓花に愉快な仲間たち、オマケに銀髪美少女で本人は常識的な範疇を越えた演算能力を持っている。いっそ今の状況を楽しんだ方が得というものだ。」
……一理あると思ってしまったのがとても悔しい。
「そして九条 楓花。いや、臨時バイト戦士楓花よッ!」
「何でしょうか店長さん!」
「違うっ! これより私の事は隊長、もしくは閣下と呼べッ!」
「一体どっちなんだ。」
「イエッサーッ!」
「順応早いですね先輩っ!?」
「いいか阿呆の子暴走アルバイター楓花よ、貴様にはこれより私の横で賑やかしになってもらうっ! 精々この戦乱の世を色づけるがいいッ!!!」
「イエッサーッ!!」
「最早何が言いたいのかよくわからない。」
そして最敬礼をしている先輩が楽しそうなのはもっとわからない。
などと考えていると不意にガラスが砕けたような音が――
パリーンッゴゴゴゴ「アクセルタァーンッ!!」「待ってそれ二人乗りで室内でやる技じゃなワッハァアアアアアアッ!!!!?」ドグワシャアッ! ガコンガコン! ガガガガガガガガ!!! キャーオキャクサマコマリマス!! ドゴゥンバキィッ! ニャーオ「死んでくださいませマイマスターッ!」「待ってつい後ろから胸をもんでしまったのは反省も後悔もしていないし謝る気なんてサラサラないけどシールド展開してなかったら今の衝撃で死んでるからお互い様って事で。」「成長の無いゴミクズは存在すら許してはいけないとママから教わりませんでしたか?」「母親の顔もロクに覚えてないのにそんなこと言われてもなぁ……ってゴメン僕が悪かっt――」ゴギャッ!!!!
……それどころじゃなさそうだ。
「面倒事の予感しかしないんですが……」
「面倒事? とんでもない、お祭りだよ。」
「お祭り……? 楽しそうっ!」
いや絶対面倒事でしょうこれ……
向こうから聴こえる衝撃音と店長の持つ火器から不穏な雰囲気を感じながらも、僕は貰ったメモを暗記するのだった。
ハロハロー? 皆さんバラレットラ! 話したい事は大体言えた残機1LIFE0ですっ!
作中、シロさんが「楓花と一緒に住みたいです……」とかメチャ可愛い事を言っていたらそれは間違いか偽物ですので感想欄や誤字報告、Twitterなどで報告していただけるとありがたいですっ!(他力本願)
いやでも、つまりはこういうことですかね……
「……いや、ちょっと待ってくださいよ先輩!僕の住んでるアパートはどう考えても一人用ですし、先輩と違って僕は忙しいんです。ロボを養う暇なんてありません!」
「この男と同意見なのは誠に遺憾ではありますが、私もこんな変態とひとつ屋根の下なんて御免です。それよりも私はマスターと暮らしたいですっ!」
「シロちゃん……」
「マスター……」
「楓花。」
「え……?」
「楓花って呼んで?」
「ふ、楓花……!」
「シロちゃーんっ!」(抱きしめっ
「何だこれ百合の当て馬にされたんだけど。」
……みたいなっ! そんな世界線はどこですかっ!? ああくそっ、男の方の主人公邪魔だテメェどけぇっ!
そういえば今日10月20日はヘアブラシの日ですが髪をときあっているペアっていいですよね。え、勿論京也と有須川さんの話ですよ?(え?)
まあ、シロさんと零人君の関係はここからですよっ! 漫才とか漫才とか理不尽の押し付け合い(一方通行)とか漫才とか……あれ? 漫才しかしていないっ!?
やはり漫才は世界を救うんですね!(論理の飛躍)
誤字脱字報告、作者への質問及び苦情、小説の感想、「この小説を読んだらバイト先の店長がゲームの裏コマンドを纏めたメモを渡してきた」等の報告は感想欄もしくはTwitter及び質問箱へっ!
今なら抽選で店長直筆サイン入りアサルトライフルをプレゼント!(嘘)
え、要らない? そうですか……私は欲しいですっ!(この流れ久し振りですね)
ではではまた次回っ!
・花
シロ「私達にはモチーフというか、イメージフラワーがありますよね。」
零人「先輩なら楓とか?」
シロ「私はお気に入りなので普段は着てませんが月下美人のワンピースがありますし。」
零人「そうだね。」
シロ「変態さんは置いといて、京也さんには何かないんですか?」
零人「何で僕は置いておくんだ……」
シロ「だって変態さん、有須川さんに『葦以下のクソつまらねぇ生命体』って言われてたじゃないですか。」
零人「アレは比喩表現であってキャラそのものを表してるわけじゃないからっ!」
シロ「うるさいですねぇ……そもそも変態さんは生物の底辺なんですからこれがイメージなんて言ったらそれだけで風評被害でしょう。」
零人「酷いなぁ……で、京也のイメージフラワーだっけ? あるにはあるらしいけど、男性陣の設定を開示してもなぁ……って感じらしいよ。」
シロ「なるほど、納得なんでもういいです。」
零人「結局聞かないのかよっ!」
シロ「だって正直男キャラの設定を開示するより私みたいな超絶美少女をくまなく調べる方が誰もが喜ぶでしょう?」
零人「何処からその自信は出てくるんだ……そして前々回の謎のプログラムにビビっていた君は一体何処に……」
シロ「私は「恐怖」を克服する事が「生きる」事だと思う……世界の頂点に立つ者は! ほんのちっぽけな「恐怖」をも持たぬ者ッ!」
零人「何処の吸血鬼だ、そして君は生き物じゃない。」
シロ「だが美少女はこの真城だッ!! 依然変わりなくッ!」
零人「君のその突き抜けたナルシストさには脱帽だよ。」
次回予告
京也「あのキャラ、最後にチョロッとだけ出たな……」
有須川「作者もやっとあの話を書けるとワクワクしているよ。更新は遅いがね。」
京也「ほぼ今回4000文字だからそこは許してくれよ……」
有須川「何にせよ、やっと折り返し地点って所だから僕らも気を引き締めていきたいね。」
京也「おうっ!」
有須川「キャラが増えて出番が少なくなる可能性もあるらしいけどねぇ……」
京也「……まあ、負けず劣らずの個性で対抗すればそこは何とか。」
有須川「さて、次回もバイト編だ。」
京也「火炎と爆音は次回に持ち越しだとよっ! 良ければ見てくれれば嬉しいぜッ!」
内容は予告なく変更される恐れがございます。




