33軒目:何方か正しいユーモアの形を教えて下さい。
一ヶ月以上かけて書きました。割と本当です。もうすぐ二周年だというのにまだ三十三話です。
……本編三千文字未満、後書き四千文字超えです。
R1.8.19:本文を修正させて頂きました。
某年六月二十一日
「ということでこちらの大学に来た訳です。用務員さん的な方に落とし物は渋々渡し用事は終えましたがお金がありません。なのでお昼を奢っていただけないでしょうか。」
事情を話し終えた私は大学のキャンパスのド真ん中で我ながら見事なまでのフォームの土下座を繰り広げます。銀髪美少女というタダでさえ目立つ容姿をしている私に更に注目が集まりますが気にしません。
「……君にはプライドというものがないのかい?」
「そんな変態さんの食料にもならないファイルはクラウドサービスの底に置いてきました。プライドっていうのは何か大事なものを抱えている者が持つものであって、何にも抱えてない一般庶民が取得しても只偉そうな害悪にしかならないってのが世の摂理ですので。」
「過激発言だけれどもその意見には概ね賛成だね。で、そろそろ立ってくれないかい? 僕は気にしないが僕の評価が下がると心配する人間も居るからねぇ。」
そう言って有須川さんは頭を地につけた私に手を差し伸べてきます。が、此処で引いては武士の名折れッ!!
「奢って頂けるまでこの面を拝ませる訳にはいきませんねぇ。」
「何の脅しだいまったく……わかったわかった、英世までなら出そうじゃあないか。」
「諭吉……」
「只の一人暮らし大学生に無茶な要求をしないでくれるかい? これでも譲歩してるほうだしねぇ……あんまり言うと、百円な○ックにするよ?」
「いや別にそれでいいんですけど。」
「だったら最初からそう言ってくれないかなぁ!?」
あ、マズいですね……今の有須川さんの叫びで更にモブな方々から注目されてしまいました……
うむむ、「有須川が人を土下座させてる……」とか要らぬ誤解が生まれてしまっていますね。これは奢られる身の私としてもいい気分ではないです。
と、いうわけで。
「『端的に言えばお金借ります姉御アザースッ!!!!』」
コミュニケーションロボ七十八奥義の一つ全力の大声ッ! 因みに本当に本気を出すと近くの人の鼓膜が吹き飛ぶので実際は全力の手加減バージョンッ!!
「いや状況を悪化させるのやめてくれないかいっ!?」
そう言われた瞬間、私は跳ね起きてグイグイと有須川さんの腕を引きます。
「よしじゃあ行きましょう直ぐに行きましょうワンコインでもなんでも良いんで。寧ろ砂でも良いんで。」
「スルー!? というかもうその域までいくと僕が奢る必要性が皆無なんだけれどもねぇ!?」
「うるせえですよさっさと一円でいいので金を出しやがれ下さいっ!!」
「謙虚なのか横暴なのかどっちかにしてくれないかいッ!?」
「じゃあ金なんか出さなくてもいいから飯を食いに行きますよオラァッ!!」
「土下座の件の必要性ッ!!!」
……そういえばこれは言っとかないといけませんね。
「……あ、途中で○ニメイトに寄る予定ですがいいですか?」
「そのネタこの前やったよねっ!?」
「あ、バレました?」
……何故その場に居なかったのにこのネタをやったと知っているんですか、有須川さん?
*(さっさと飯屋に以下略)
「さあ、やって来ましたは某コーヒーチェーン店!」
「既視感が凄まじいねぇ……ていうかそれ京也の台詞じゃあなかったかい?」
「こまけぇこたぁいいんですよ!! 大事なのはノリと勢い、そして勢いとノリですッ!」
そしてやっぱり何でその場に居なかったのにそのネタを……ってその時は店内に居ましたね。
「何故同じ事を二回も……」
「大事なことなので。」
流石に店内なので大声は自重しつつ、私は目的の卵サンドにかぶりつきます。ドヤ顔のまま。
うわっ、卵ファッフワやん。おっと、ナチュラルに関西弁が……イントネーション間違えると方言ポリスが来るので気をつけなくては……
「……本当に美味しそうに食べるねぇ、君は。」
ニヤニヤと此方を見つめる有須川さんから私はつい目を逸らします。
「褒めても何も出ませんよ。私のアホ毛が立つぐらいです。」
ほーれ、ピョコピョコっと。
「髪の毛って自分で動かせるものだったかなぁ……ま、君はアンドロイドだから人間らしさを求めるのはお門違いかもしれないけれども。」
「……そうですよ、私は人間を超、越せし最強のコミュニケーションロボで、す、の、で!」
と、格好をつけつつもう一口ガブリっと。
「はぁー、一緒に挟んであるレタスもシャッキシャキで堪らんですねこれは。ガッツリ系のカツサンドとは対照的に繊細な味付けッ! このクオリティーで四八〇円って安くないですか? これは次来た時何を注文するか迷いますね~。」
「まあ、回転率の低いゆったり出来る場所作りをしてる割には安い方かもねぇ。」
のほほんといった口調では玉子サンドをパクリと……玉子サンド?
「あーっ! それ私のぉっ!」
気がつけば皿の上のサンドウィッチは全て無くなっており、有須川さんは実に満足そうな顔で最後の一つを咀嚼しているではありませんか。
「良い度胸ですねゴルァアッ! 表出ろやァッ!!」
そう憤る私を片手で静止する有須川さん。
「突然だがシロ君。僕は一度食べた物を無から生成する事が出来る。」
は? 何を言っているんですかこの人類は。
今貴方の行為によってわたしの怒りは有頂天になったんですよ。この怒りはしばらくおさまる事を知らないってぇやつですよ???
「その証拠に、ちゃあんと皿の上にサンドウィッチがあるだろう?」
「へ?」
恐る恐る視線を落とすと、皿の上には大量の玉子サンドがっ!?
「な、何ィー!? 私は今有須川さんの能力をほんのちょっぴりだが体験した。い、いや……体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……あ……ありのまま今起こった事を話すぜ! 『玉子サンドが有須川さんに食べられたと思ったらいつの間にか増えていた。』な……何を言っているのかわからねーと思いますが私も何をされたのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった……催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……」
「リアクションタイムが長いよ。」
ヒラヒラと片手を振りながらカフェモカに口をつける有須川さん。
「いやでも、えぇ!? ま、まさか本当に魔法を……!?」
「そんな訳ないだろう? 視線誘導を使った簡単なすり替えさ。協力者も居たし簡単だったよ。」
ヒュッ、と有須川さんが指差した先には、お盆で顔を半分隠しながら恥ずかしそうに手を振る女店員さんが……どちら様ですか。
「……いや、あの顔には見覚えがありますね。確か……以前この店に京也さんと来た時に注文を取っていた、かの有名な名も無き女店員さんッ!!」
「有名なのに名もないとはびっくりだね。」
一体何故彼女が協力を……はっ、さては有須川さん……積みましたね!? マネーをっ!!
「君の中で僕のイメージはそんなに酷いかい? ラテアートを習った時に知り合っただけさ。」
「ラテアート……?」
「僕は京也をからかう為なら妥協はしない女だからね。」
あぁ……詳細はわかりませんが納得してしまいました。これ以上聞くと、面白そうですがブラックコーヒーが欲しくなりそうなのでやめときましょう。
「それで、何故唐突なマジックワンマンショーを?」
「ん? そうだなぁ……」
背もたれに身体を預けた目の前の友人はニヤリと嗤い、
「人生にはユーモアが必要だと思ってね。」
そう言った。
そんな彼女嘘を私は鼻で笑い飛ばし、
「ダウト。」
と、聞こえる位の声量で呟いた。
昼下り、いつもと違う心地良い日常。
おはこんばんちわッ!!!!! 寝ると偶に歯が全部抜ける夢を見る残機1LIFE0です! リアルでは上下共に生え揃って健康です! 多分!!
上顎側切歯‹残像だ
なっ、いつの間に私の歯は自立をッ!?
※側切歯―犬歯の一つ内側、前から二番目の歯。肉等を噛み千切るために使用される。
いやー、それにしても中々四章が終わりませんね! 次回位でビシッと決めたいんですが……先輩を出す予定なので中々収拾がつかなくゲフンゲフン。
銭湯回に、なるといいね!
ペンガリヲン‹残像だ
なっ、いつの間に謎のペンギンは自我をッ!? ていうか全く関係ないよね!?
そういえば、今回有須川&京也の甘々ラテアート回想シーンへの布石みたいなのがありましたが一切書く気はありませんっ!!
この物語の主人公は九条 真白ことシロさんと仙台 零人君なので!!
まあ、でもそうですねぇ……多分想像ですが……
「そういえば京也、まだコーヒーの勉強はしてるのかい?」
「ああ、今ならジャコウネコや猿、象から育てられるぜ?」
「あ、あー……努力の方向性が最早迷走とかいうレベルに収まってないねぇ……」
「冗談だ、イッツアジョーク。でも恵をアッと言わせれる位には上手くなったとは思う」
「ま、僕も専門的には学んだことはないからねぇ……(僕の為に)躍起になって猛勉強した京也に敵う気はしないさ」
「じゃあ、そんな俺の特製コーヒーを飲んでみたくはないか?」
「し、か、し、だなぁ京也。君も知っての通り僕は負けたら泣き顔になってしまう楓花さんにも本気で勝ちに行ってしまう程の負けず嫌いだ」
「一回負かして拗ねた姉ちゃんを全力で愛でた後にバレないように勝ちを譲って喜んでる姿を愛でたいだけだろ」
「流石は僕の幼馴染だ。ちゃんと理解しているね」
「いや、そこは胸張ってエッヘンするとこじゃねぇよ?」
「京也……僕は君が負けて悔しがっている姿が見たい!」
「サドかッ!」
「違うんだ……君たち姉弟が絶望しない程度に悔しがっている姿はとても素晴らしいんだ!!」
「サドだなッ!?」
「君たちが屈辱を味わっている姿が好きなんだッ!」
「今月始まって最ッ高に嬉しくない好きだわッ!! ……で、本音は?」
「勉強して一ヶ月と経たない京也とまともに戦って万が一負けたら僕の精神が保たない」
「じゃあ戦おうとするなよ!? 無理にリングに上がって来なくていいよッ!!」
「これまた冗談さ。最近修行を積んできたから披露したいと思ってね」
「バトル漫画的なノリかよ。で、その修行というのは?」
「高校時代僕がメイド喫茶でバイトしていた事があったろう?」
「あぁ、あの恵だけ俊敏でガチメイドして浮いてたやつな……」
「あのオムライスの経験を活かしてラテアートをだね……」
「いやオムライスにケチャップで文字書くのとラテアートは違うと思うなぁ!? ていうかお前なんか変な模様書いてたよな!?」
「模様じゃない、ジャワ語だよ。リクエスト通りに『ご主人様萌萌キューン』としっかり書いていただろう?」
「日本語で書いてくれよッ! どうして零人といいお前といい、俺の周りには変に国際的な奴らが多いんだッ!!」
「まあ、兎に角ラテアートを互いに作って飲み合おうと言うわけだよ。」
「おけ理解」
「『おk』
だ
にどとまちがえるなくそが」
「面倒くさいからイエローは出てくんな。後ネタとわかってるとはいえ辛辣だなオイ」
(閑話休題)
「そういえば用意したはいいけど、模様の指定とかはするのか?」
「なんだい? 日頃の感謝を込めてハートでも贈り合いたいのかい?」
「! その手があっ……ゲフンゲフン。いや、まあ……な? 恵さんには色々とお世話になっているしそれも……ありー、かな? いや判定的にもな、同じのを作った方がわかりやすいしな! うん!」
「(予想以上にがっついていたねぇ……) じゃあそれでいいよ。罰ゲームとか決めとくかい?」
「好きだよなぁ、罰ゲーム……じゃあ、俺が負けたら何でも奢ってやるよ」
「全てを金で解決する男、京也……」
「人聞きの悪い事を言うなよッ! じゃ、じゃあお前は何してくれるって言うんだよっ!!」
「そうだねぇ……僕が出来る範囲で君の欲しいものを何でもあげよう」
「な、何でもって……」
「文字通り何でもさ。良ければこの貧相な身体でも差し出そうか?」
「ッ! ……お前、それ他の男には言うなよ……? 本気にされるぞ?」
「(本気にしても支障の無い人にしか言わないけれどもね……) ハイハイ、独占欲の強い男は困るねぇ」
「だから人聞きの悪い事を言うなッ!!」
(閑話休題)
「出来たッ!」
「僕の方も丁度仕上がった所だよ」
「じゃあ冷めない内に俺から披露しよう。これが俺の実力だァッ!!」
「……なるほど、たった数日学んだ割には凄まじい出来だと感心するよ。少し歪んでるけれどもね」
「グゥッ……そこは、だな。初心者だから多目に見てもらう事は」
「真剣勝負な上に僕も初心者だからねぇ……ま、僕も少し失敗してしまったから、人の事は言えないけれども」
「そ、そうだぞ! お前のヤツも見せてもらおうかッ!!」
「いいとも、それじゃあじっくりとご堪能あれ」
「……何これ」
「見てわからないかい? 流石に誰が見てもそう見える様には努力したつもりなんだが……」
「いや、うん。『何か』はわかるんだよ……でもさ、これどう見ても……」
「『白熊』だね。正確には動物界脊索動物門脊椎動物亜門哺乳類ネコ目クマ科クマ属のホッキョクグマだね。大分デフォルメってやつを施したけれども」
「ルールガン無視かッ!? お前それ学校で国語の先生から宿題出されて算数ドリル持ってくるみたいなもんだぞ!?」
「フフッ……懐かしいね算数ドリル」
「しかもこれ泡で作ってあるよな!? そんな様子全く見てないしどっから出したとかいう疑問はこの際いいとして、これラテアートじゃねぇよな!? ラテアートってのはミルクを注いでその流れで作るもんだよな!? これデザインカプチーノじゃんっ!! 知らないで勝負してきたならまだしもお前今必死に口元抑えてニヤニヤしてるから多分確信犯だよな!?」
「な、なんだい京也……ブフッ、僕からのハートを期待してたのかい?」
「し て た よッ!!!! 何だよ悪いかよッ!? 長年一緒に過ごして半ば家族みたいな感じだし意識なんて微塵もされてない事は理解してるけどそれでも女子からのそれっぽい感じはいつだってドキドキさせてくれるもんなんだよッ! アオハルしたいんだよッ!! それが何だよ『白熊』!?
カワイイよッ!!!!
でもそうじゃないんだわかるよなぁ!? 言うなれば寿司屋に行ってマグロ食べようと思って注文したらとろサーモン出てきた感じだよッ!! 今はお前のそういう意外とある女子力の高さを認識する事ではなく本人が意識してるかしてないかわからない……いや多分してないだろうけどそういうラブコメ要素を味わいたいんであってだな!? とろサーモンを食いに来たわけじゃないんだよ! なッ!?」
「ブフッ、クク……うん、君の気持ちは十分に受け取った。その上で一言いいかい?」
「……どうぞ?」
「君のその顔が見たかった」
「この確信犯がァッ!! (とろサーモンも良いよね!)」
(閑話休題&コーヒーブレイクッ!)
「ま、僕からルールを破ったわけだしね。素直に負けを認めるよ」
「そういうとこ潔いよな、恵」
「君には嫌われたくないからね」
「……サラッと恥ずかしいことを」
「からかい甲斐があるからねぇ」
「ホンットそういうとこだぞ!?」
「冗談さ……で、罰ゲームはどうするんだい?」
「……ん?」
「罰ゲームだよ、何でもするって言ったろう? ああ、今この場で決めてくれよ? 後で有耶無耶になっても気分が悪いからね」
「え、いや。えぇ…… (いや何でもってどんだけ意識されてないんだ俺……ここは思い切って『そういう』事でも言ってみるか……? …………いや、) 決めたわ」
「何だい?」
「弁当! 今度はしっかりと普通に持ってきてくれッ! なんなら箱用意するからッ!!」
「…………フフッ、手料理とかじゃあないんだね?」
「えっ? ……いや、弁当だ! 手料理は何回か食べた事があるしな!(下手に変えると罠に嵌められるしな!)」
「お弁当だって何回か作ったことはあるじゃないか」
「毎回ネタに走ったり食べてる間にからかってきたりしすぎなんだよっ! 俺は! 普通に! お前の作った弁当が食いたいッ!」
「(いつもなら言えない様な台詞を言ったことに自分でも気づいてなさそうだねぇ……) わかった。真面目に、君の事を考えて、からかわず、茶化さず、君の為に弁当を作り、そして食事は妨害しない。これでいいかい?」
「ああ! 男に二言は何とやらってな!」
「なるほど、ね……じゃ、僕は君の素晴らしく美味しい一級品のコーヒーも堪能した事だし、そろそろお暇するよ」
「今日は早いな?」
「そりゃあ君の事をしっかりと考えて作らなきゃいけないものができたからねぇ……今から献立でも考えてくるよ。期待しておいてくれ」
「お、おう……」
「……あぁ、一つ言い忘れていた事があった」
「な、何だよ……最後の最後にやっぱなんか……」
「いや、僕はルールを破ってしまったからね。しっかりと伝えておかなければと思っただけさ」
「……?」
「いつもありがとう、君には色々助けて貰って感謝しているよ」
「……ッ!!? 〜〜〜ッ! お前そういうとこだぞッ!! そういうとこォッ!!!!」
みたいな感じなんじゃーないですかねー? ハッ、いつの間に私は本編より長くSSを!? しかも本編より制作時間が圧倒的に短いッ!! なんですかこれは! まるで主人公が有須川さんみたいじゃないですか!! 違いますからね!? 零人くんとシロさんの物語ですから!!
ええ、そうです。皆様ご存知ストーリーが決まってると書きにくいアレです(ご存知ない)(言い訳乙)
はい、そういうわけできょうきょ苦情が来る前にお別れしましょうとんずらぁ!(誤字ではない)
次回予告
京也「俺らのSSで大分尺とってるから巻で! 次回、銭湯にいってなんやかんや!」
有須川「内容は予告なく変更される恐れがあるから注意してくれ。次回も見ていってくれると嬉しいね」




