20軒目:誰か正しい伝言の伝え方を教えてくれ。
記念すべき20話ァ! さあ、ここからが三章の本番だァ!! さあシロさんよ、ハイスピードで口を廻せェッ!! そぉしてぇ!! カオスを生み出すのダァッ!!!
注意:本編で登場人物が雨の中自転車を運転しておりますが、危ないので出来るだけやめましょう……出来るだけでいいですので。
H29.12.17:本文を修正させて頂きました。
H30.1.22:本文を修正させて頂きました。
H30.1.23:本文を修正させて頂きました。
某年六月十日
ファミリーレストラン『マスト』からの帰り道。雨の中合羽を着ながら、転ばないように気を付けつつえっちらおっちら自転車を漕ぐ。いつも通りの帰り道である。まあ、いつもと違う点を上げるとするなら――
現在、五時である。
普段なら夜遅くまで仕事して疲れて帰る僕だが、今日は違う。店長が「総員帰れ。私はそろそろこの店を『ヤツ』の為に『大魔改造☆BeforeAfter』せねばならん。客にはテイクアウト品を出しつつ返金するし店員はボーナスを出す。以上だ。」などとわけのわからない事を言って、客・店員問わず全員を店から追い出したのだ。
もう一度言おう――現在、五時である。
……いやわけがわからないよッ!!? 何だ『大魔改造☆BeforeAfter』って!? 理不尽過ぎるだろ!! 店員はまだ良いとしてもせめてお客さんはゆっくりさせてあげようよ!! そもそも私用で店を改造するなよ!! そこまでして店長が立ち向かいたい『ヤツ』ってどんな危険人物なんだよぉぉおおおッ!!!
……このごろ僕の運勢が急下降していないだろうか。やけに特定の人物に振り回されているというか、厄介事に巻き込まれているというか……先輩に高校の裏山に爆薬まで使って秘密基地を作るのを手伝わされていた高校生時代を思い出す……
因みに、その秘密基地(?)は立派過ぎるものが完成したのだが、完成直後に案の定先生に見つかり怒られた。頭を抱えた先生は、本ッ当にご苦労様だと思った。まあ、無理矢理とはいえ、僕も共犯なのだが。
……ま、運勢が何だと言っていても仕方のない事である。僕に今出来るのは、溜め息を吐きながら開いた午後の時間を内職で埋めれるかどうかを考えることくらいだ。そういえば、図書館で借りた本をまだ読んでいなかった気がする。作業が早く終わったら読もうかな……
そんなことを考えているとアパートに着く。階段を上がり、右から数えて六番目の角部屋、二〇七号室が僕……と、シロが住んでいる部屋だ。二〇四号室は四が不吉な数字だからという理由で付けていないらしい。まあ、割とよくある事だ。
学生時代から愛用のショルダーバッグから鍵を取り出し、ドアの鍵穴に差し込んで回す。開いていた。
シロが来てから一週間と三日。まあ、そこそこの時間が経ったが、この鍵が空振りする感覚は慣れないな……そう思いながらドアノブを回した。
「手加減はしません……! ここですッ!!」
「あーッ! シロちゃん指で弾くのはルール違反だよッ!!」
「フッ、ジェンガはルール無用の戦場……勝つ為には手段を選んではいられませんッ!!」
「いや、寧ろ弾く方が難しいと思うんですが……」
――そして閉めた。
ちょっっっと待とうか。神よ、僕に考える時間を三万時間程くれ。
状況を整理しよう。今現在家にはシロと何故か先輩と見知らぬ少年が何処からか持ってきたであろうジェンガで楽しく遊んでいる。いやまて、君は何者だ少年よ。少なくとも僕は一度も会ったことがないぞ……大丈夫か? 誘拐的なアレではないよな……?
男の子の見た目は座っていたから背丈がよくわからなかったけれども、おそらく小学校四、五年生ぐらい。髪はそれほど伸び散らかしてはいない……が、短くもない。ミディアムショートってやつかな……? って、今そんなことはどうでもいいんだよッ!!
――その時、玄関先で頭を抱える僕を現実に叩き戻すかの様に携帯の着信音が鳴った。
「うわっとぅッ!!?」
しまった! シロ達に僕が玄関先でウロウロしてるのがバレたか!? いやそもそもバレた所でなんだけど、やましい事をしているんじゃないかと、疑われる事が面倒くさいッ!!
思わず口を手で塞ぎ、扉から離れながら素早くポケットから携帯を取り出し、応答ボタンを押す。
「はい、もしもし?」
「…………家の前に居るならサッサと入って来て下さいよ、盗み聞きなんてやっぱり変態さんですね。そろそろ警察に突き出して良いですか?」
「良くないよ!? 後部屋の前に居たのも理由があってだねぇ!?」
「ウダウダ言ってないでサッサと入って楓花に顔を見せてください。そしてその後はどうとでも……富士の樹海にでも散歩に行ってくればいいんじゃないですか?」
「サラッと自殺の方向に持ってかないでくれる!? わかった、入るよ!! ちゃんと男の子の事とかを説明してくれよ!?」
*
「は、初めましてッ! 三日月 伊月と言います!」
背筋をピンと伸ばし自己紹介をする彼は三日月 伊月君、十一才。小学校五年生らしい。真面目で誠実そうな男の子だ。
一応念の為、こっそり確認したが、彼はシロがロボだという事は知らない。
「あーっと……宜しく。で、シロ。状況の説明を頼める?」
思わず苦笑いをしてしまいそうになる表情を抑え、コスプレ用スーツを着たシロに顔を向ける。
「有須川さんがこの子と楓花と共に伝言をポンッと置いて行ったので、暇だからジェンガ(ナイトメアモード)をして楽しんでいたハイテンションを変態さんが全てブチ壊しにしました。」
いや全てがわけがわからないよ……
「それはどうもすいませんね……ナイトメアモードって何なのかすっごい気になる所だけれど、有須川さんが残した伝言を聞かせてくれる?」
「…………日本語か英語かロシア語かヘブライ語、どれでですか?」
「一応全部わかるけれども日本語でお願い出来る?」
「何でわかるんですか!!」
「寧ろわからない言語で伝言を伝えようとしないでくれる!?」
まあ、ヘブライ語は日常会話しか出来ないんだけれどね。流石に専門用語とかまでは習得してない……と、いうか覚えれる機会があんまり無い……
「…………ー・ーー ・ー ー・ーー ・ー ー・ーー ・ー
ーー・ ・ ー・ ー・ー ・・ ー・ー ――」
開かれたシロの口からは、・とーで構成された電子音が流れてきた。
「モールス信号で喋るの止めてくれる!? 然もそれローマ字標記だよねぇッ!! どうせなら和音の方使ってくれよ!!」
「だから何でわかるんですかッ!! 」
一体何が気に入らなかったのか、シロは自分の髪を掻き乱した。
「だから相手がわからないように伝言を渡すなってっ!! 後、子供とはいえ人の目がある所で電子音を奏でるんじゃありませんッ!!!」
「貴方は私の母親ですか! ああもう気持ち悪いです汚物以上のゴミですねぇッ!! なんで私が人の役に立たない粗大ゴミの力にならなければいけないんですか体に悪寒が迸るゥッ!! この世界の害悪めッ、今すぐ私の拳で現世といわず存在そのものにまで別れを告げさせてあげましょうッッッ!!!!」
そう言ってシロは殺人的な拳を握り締め、こちらに狙いを定めてきた。
「今日は一段と酷いね!? 仮にも同居人っていうか養われてる身なんだからもう少し敬ってくれても良いと思うんだッ!! って、危なッ!?」
「養われたくて養われてるわけじゃありませんしそもそも楓花だって幾らか出して下さっているのを私は知っていますからね!? そういうのは自分一人の手で私を養ってから言いなさい低賃金プータロー変態妄想野郎ッ!! だから貴方は――」
「二人共やっめなさーいっ!!」
「ええっと、いつもこんな感じなんです、か……?」
拳を振り回すシロ、逃げる僕、それを止める先輩、そして困惑する伊月君……六畳一間で繰り広げられる混沌な状況は、この場の誰もが直ぐに収束させる事の出来る代物ではなかった…………
どうも、最近シロさんの毒舌シーンを書いている時が落ち着くとわかって変態だな、と自覚した残機1LIFE0です!!
さて、お気付きな方はお気付きかもしれませんが……今回のお話、零人君の成長が見れます……多分。
以下、UA3000突破記念SSです。突破したのかマジか……思わず「嘘やん……」っと言いながらスマホを掲げ崇めるぐらいには嬉しゔワァア゛ア゛ア゛ア゛!?
・入室前の一悶着
零人「わかった、入るよ!! ちゃんと男の子の事とかを説明してくれよ!?」
シロ「変態さんの指示に従うのは癪なのでお断りです、go!to!hell!」
零人「それ永遠と話が進まないヤツだッ!!」
シロ「煩いです。死ぬか、部屋に入って死ぬか、跡形も無く消え去るか、人に迷惑をかけずに自殺するか選んで下さい。」
零人「それどのみち死ぬパターンじゃんッ!! それなら僕は部屋に入らず逃げるを選ぶッ!!」
シロ「…………ですって楓花。」
楓花「センくん……逃げちゃダメだよッ!!」
零人「そんな事言われても命は何物にも変えられませんッ!! 何で脅威ではなく死にたくない思いと戦わなくちゃいけないんですかっ!」
楓花「大丈夫だよ、シロちゃん痛くないって言ってるよ!?」
零人「アレ!? 何か話が噛み合ってない気がするぞ!?」
次回☆予告
京也「今日も次回予告――って、なんだ『次回☆予告』って……まさかッ!!」
有須川「そうだよ京也。」
楓花「私、とーうじょーうっ!!」
京也「くっそぅ! 久し振りにまともに本編に出てきたからテンション上がってこっちまで乗り込んで来たのかッ!!」
有須川「これは誰にも止められないねぇ……」
楓花「さぁー次回の誰銭は〜! 本編最後のの『か☆お☆す』が収まった後のおはなしっ!! 次回もハイテンションで盛り上げて行くから良かったら皆見てね〜」
京也「くっそぅ、メチャクチャまともに次回予告を終わらせた上に自分の存在を前に押し出してきた……!」
有須川「取り敢えず最後に何か言ってキレイに纏めようとする姉思いな君の事、僕は嫌いじゃあないねぇ……」




