8軒目.売店:誰か正しい幼馴染のからかい方を教えてくれ。
6.5話的な感じで出してた物をお引っ越ししました。本当に申し訳ございません。
※シリアスみたいなものの解説回です。読み飛ばしても何ら支障はありませんが、ラブコメ風味はここでしか味わえないと思って下さい。
コメディ(?)要素はPV1000突破記念だと思って下さい。
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僕の名前は有須川 恵。大学生一年生(地域によっては一回生とも呼ぶのかな?)で性別は女性、年は十八。趣味は読書と人間観察、あとヘタレな幼馴染をからかう事。最近の悩みはそろそろからかうネタが尽きてきた事だ。
さて、二〇一五年時点では約七三億人もの人口を誇る地球人である諸君。僕は今、全く必要の無い、誰に発しているのかすらわからない自己紹介を、一人で脳内再生するぐらい上機嫌だ。
何故かって? それはね――
「くっそ、わかってたよ! お前がマトモに俺に弁当を作ってくれない事はわかってた! だがなぁ! 幼馴染が少し顔を赤らめつつ『仕事……ご苦労様だね。』とか言いながら弁当箱差し出してきたら男として期待するだろ!? それが現実はどうだよ! 何だお前、弁当箱にコンビニ弁当詰めて持ってくるってお前、どうせならコンビニ弁当そのまま持ってこいよ! 使い捨てプラスチック容器の存在意義を奪うなよ! 男の夢を壊すなよぉぉ!!」
――某幼馴染にコンビニ弁当入り弁当箱を渡した時のリアクションが実に予想通りだったからさ。
期待通りだ。彼の反応は何時見ても飽きない。
「いや、済まない。君のその顔が見たかった。……ブフッ!」
おっと、つい吹き出してしまった。
「何? お前主人公の仲間を平気で殺す系のラスボスなの? 俺、お前に何かしたっけ? なあ?」
君が告白してきたら僕はイタズラを控えめにするんだがね。尤も、止めることは無いが。
「いやぁ、笑わせてもらったよ。これはお詫びだ。」
そう言って僕は予め用意していたもう一つの弁当箱を差し出す。
「そっちは僕用に買ってきた物だ。こちらが君のお望みの……」
言葉を途中で切り、僕はそっと微笑む。
「……マジで? え、期待しちゃって良いやつ?」
我が愛すべき幼馴染は僕の手からそれを取り……恐る恐る開ける。
完全に蓋が取り払われ中身が露わになった後、彼の動きが静止した。
「なあ恵、これって……」
「某弁当屋の幕の内弁当だが?」
「変わってねぇよ! さっきの嫌がらせと何一つ系統が変わってねぇよ! そして少しでもお前を信じてしまったさっきの自分を殴りたい衝動に駆られたわっ!!」
「でも松だぞ?」
「そういう問題じゃねぇっ!!」
どうやら幕の内弁当はお気に召さなかったようだ。やれやれ。
「ハア……しがない一人暮らしの大学生には松弁当も高級品だというのに。流石、坊っちゃんは庶民とは価値観が違いますね。」
「……おい、流石にその物言いは怒るぞ?」
「おっと失礼、思ったことは直ぐに口にしてしまう性質でね。」
……今のは反省だね。言い過ぎな気がしないでもない。
「でもまあ、お前の言う通りかもな、買ってきてくれただけでも嬉しいわ。……ありがとな。」
僕がこんなことをした後でも礼が出来る京也には、ある意味尊敬出来る部分がある。嫌いじゃない。真似したいとは思わないが。
「どういたしまして。と、言えばいいのかな?」
二人でニヤリと笑い数秒程見つめ合う。そこにロマンスなどは無いのだけれど。
「わざわざ弁当箱に移し替える所行は、悪意があるとしか思えないがな。」
「逆に悪意以外の何があるんだい?」
「せめて否定してほしかった……」
「それは無理だ。嘘はあまりつきたくない。」
そう言って僕はケラケラと嗤う。僕の顔を見て彼は少し困った様な顔をしたが、それは好意の目線にも感じられた。ドMなのかな?
「さて、僕のコンビニ弁当はともかく幕の内弁当は温かい内に食べないと味が落ちてしまうからね。少し早いが夕食にしようじゃないか。」
「何故にお前が俺の晩飯の時間を決めようとしているのかは謎だが、まあ異論は無い。」
*
店の二階の居住スペースにお邪魔して、僕らは弁当を食す。
フム、中々小奇麗でいい部屋だ。
「お茶も買ってきた。受け取るがいいよ。」
「いや、飲み物とかは普通に常備してるんだが………………!?」
おや、気付いた様だ。ペットボトル内のお茶が少しだけ減っていることに。
さあどうする九条 京也。そのまま口を付けるか、ヘタレて僕に言うか。
「〜〜〜っ!!」
お、口を付けた。今回はヘタレなかったね。その勇気に敬意を払い、重要な事実を教えてあげよう。
「因みに僕は別の容器に移して飲んだから、間接キスにはならないよ。良かったねぇファースト(間接)キスを僕に奪われないで。」
「くっそ! わかってたけど! わかってたけどっ!!」
机に肘を付け、頭を抱える仕草もいいものだねぇ……嘲笑えるよ。
「何だい? したかったのかい? そんなことあるはずがないよねぇ、君のタイプはセクシーなお姉さん系統だものね。君が買うグラビアはいつもその系統だからねぇ……」
「おまっ!? 何処でそれをっ!?」
「テレパシーさ、相手の煩悩が視える系の。」
「!?」
「冗談だ。部屋の鍵はキチンとかけたほうが良いよ。」
「今、一番入られたくねぇ奴に入られたとこだよ……」
……可哀想だから少しフォローをしておくか。
「安心してくれ、グラビア写真集とエロ本以外は何も見ていない。神に誓うよ。」
「フォローになってないフォロー有難う! ……いや、待てよ? つまり、アレは見られてないって事じゃ……」
アレ、というのは僕とのツーショット写真の事かな? 本棚の奥に随分と厳重にしまわれていたから逆に目に付いたよ。
僕はあまり写真に写らない人だから、随分前の写真だったねぇ。おそらく小学生位の時のやつかな? よくもまあ持っていたものだねぇ……
「ハア……まあ良いや、いや良くはねぇけど。」
やっと立ち直ったようだ。ここで写真を見たといったらどんな顔をするだろうか……いや、止めておこう。もう少し彼を弄んでいたいからね。変なフラグが立ったら困る。
そうと決まれば話を変えようか。
「そういえば、此処にくる途中で仙台 零人と今話題のアンドロイドと会ったよ。」
僕がそう言うと京也も思考をそちらに切り替えた様で表情が少し硬くなった。
「そうか、どうだった? お前から見てあの二人は。」
「どう、とは?」
「仲が良さそうに見えたかって聞いてんだよ。つか、わかってて聞き返しただろ今。」
「君の考えている事の全てを僕が網羅していると思わないでくれよ。」
僕は君ではないんだからさ。まあ、今の質問の意図はわかっていたけれど。
「……仲が良さそうに見えたかって? まあ、何だかんだで上手くやっている。といった感じじゃないかな。これからもその関係が続けられるかは、わからないけどね。」
「そうか……」
京也が僕から視線を外し、ペットボトルに入った緑茶を口に含む。……お茶を飲む時は箸を置いたらどうだい?
「そんなに彼の事が気になるのかい? 目の前に顔立ちは整っている方の幼馴染がいるというのに、つれないねぇ……」
「茶化すな。……零人は対人関係とかは苦手だったからな。気になったんだよ。」
「……ああ、そうか。君は知らないんだっけか。」
「は?」
お前は何を知っているのか。といった様な顔をしているね。
「いや、別に何も無いよ。」
……哂って見せたが、彼はそれでは納得しないのであろうな。
「お前がそう言った時は重要な何かを知ってる時だ。何か知っているのなら教えてくれ。」
「どうしてそこまで仙台 零人に構う? 只の友人だろ?」
「……友人だから構うんだろ。」
ダウトだ、九条 京也。
「……大方、楓花さんが『構っている』からなんだろうね。あの人は天然人助けだから。」
『九条 楓花という人間が自分から近づく人間には何か悩みがある。』九条家のジンクスである。あの人は悩みを持つ人間に知らず知らずの内に引かれ合い、そして救ってしまう人間だ。それを京也はわかっているのであろう。
――そして、未だに九条 楓花が仙台 零人に付き纏っているという事態の異常さについても。
大抵の人間は長くても一年程で救われて楓花さんと只の友人や先輩後輩等の関係になる。が、仙台 零人の場合は楓花さんが明らかに彼に付き纏っている。それももう三年以上も。
極めつけには自分のアンドロイドを預けるときた。普通なら弟である京也に預けるのが妥当であろうに、態々他人である仙台 零人に預けるであろうか。いや、楓花さんだからと言われればそれまでだが。
まあ、そんなこんなで仙台 零人がとても重い悩みを抱えているのではないかと心配しているのであろうね。優しき我が幼馴染さんは。
「……わかってんなら教えてくれ。付き合いは短いとはいえ友達だ、ほっとけねぇよ。」
「心配しなくてもいいよ。彼の悩みは高校卒業時に既に解決済みだ。んぐんぐ。」
うむ、コンビニ弁当は美味いな。小学生の時より美味しく感じられるのは何故だろうか。貨幣価値がわかってきたからか?
「恵、俺は真剣に「悪いが事実だ。彼に悩みらしい悩みは存在しない。いや、存在していないも同じ、と言ったほうが正しいか。」…………解りやすく説明してくれ、頼む。」
僕が言葉を遮った事で少し落ち着いたのか、京也が声を荒らげる事は無かった。が、僕の発言にまだ納得はしていない様だ。
「恐い顔をするねぇ……わかったよ、為になるかはわからないが説明しようじゃあないか。」
「……ありがとうな。」
僕の言葉に京也は少し申し訳なさそうな表情をした。
「ここでお礼を言える君のそういう所は嫌いじゃないよ。」
まあ、見習いはしないが。
「それはそうと、飲み物を貰えるかい? 少し喉が渇いてしまったよ。」
「……お茶買って来たんじゃなかったのか?」
「ああ、君の分はね。」
「それを早く言えよ馬鹿! コンビニ弁当食ったら喉渇くに決まってんだろ!!」
京也が冷蔵庫から二リットルペットボトルに入った冷えた麦茶を出して、グラスに注ぐ。
「……てっきり仕返しに僕が買ってきた方を差し出すのかと、少し期待していたのにねぇ。」
「その手があったか!!」
*(スーパー麦茶タイム)
「さてと、仙台 零人の悩みだったかな?」
「ああ、できるだけ噛み砕いて説明してくれると有り難い。」
フム、じゃあお望み通り噛み砕いて説明してあげようか。
「仙台 零人は数年前まで……空気が読めない人間だった。」
「……は?」
京也の目が点になる。
「人の感情が理解できない、とでも言うのかな? まあ、他にも彼には問題があったが一番はそれだった。でも彼、当時はそれを問題視してなかったみたいだけどね。」
「いや、まてまて。アイツが?」
京也が到底信じられないと疑いの目を向けてくる。心外だなぁ。
「君が彼と知り合ったのは高校一年の冬頃だっけ? 鈍い人間なら気付かないだろうね。あの頃の彼は完璧に『演技』をしていたからねぇ。」
「演技?」
眉を寄せる京也の顔を歪めたい衝動に駆られるが、今は我慢しようか。
「そう、演技だ。三年前、仙台 零人は楓花さんと出会ったことで少なからず影響を受けた。人とマトモに関われるようになりたいと思ったのさ。だが、いきなり人の感情を理解できるようになる、なんて器用な事は彼には出来なかった。……それで彼はどうしたと思う?」
「どうしたって言われても……」
わっからないかぁ。まあそうだろうね、彼のやった事は常人の発想じゃない。もっと頭がおかしい奴の行動だからねぇ。
「演じたのさ。本や映画等の登場人物の行動パターンを調べて、その全てを完璧に演じたんだ。」
「…………!?」
京也の顔が理解できないといったような表情をする。だが事実だ、彼の頭のスペックならそれが可能となる。
「ちょっと待て……俺が接してきたアイツはアイツじゃなかったのか?」
なるほど、そこに思考が行き着いたか。
確かに京也にとっては大事なことだろうね。君は個人の感情を大切にする人間だから、そんな行動を許せないんだろう。
「……君が今まで接してきた人間は紛れもなく仙台 零人そのものだよ、不器用な彼が彼なりに人と関わろうとした結果だ。彼は自分の感情を上手く伝える為にそうしただけで、感情を殺したりなどしていない。」
「そうか……」
少し安心したのか、京也が椅子の背もたれに体重をかける。
「……まあ、結局その行動も長くは続かないんだが。」
そう言いながら喉を潤す為に麦茶を口に含む。……麦茶はあまり好きな部類ではないな。
「……相手がパターンだけじゃ対処しきれない行動に出たとかか?」
「正解だよ京也君、ご褒美にたくあんをあげよう。」
「ワーイウレシイナー。」
随分と棒読みだねぇ。それでも何も言わずたくあんを食べる京也は嫌いじゃないよ。
「そもそもパターンだけで『あの』楓花さんに関われるわけがないからね。仙台 零人の作戦は失敗に終わったよ。」
「それ、暗に姉ちゃんの事非常識人間って言ってない?」
「京也がそう言っていたと本人に伝えておくよ。」
「やめて!?」
必死に阻止された。面白そうなのになぁ。
「……ん? 零人の行動が失敗に終わったんなら、なんで姉ちゃんと普通に付き合えてるんだ?」
気付いたか。
「そこが今回の本題だよ、京也君。」
僕が薄型フレームの眼鏡をクイッと中指で押し上げると、京也はゴクリと喉を鳴らす。
「『演技』を使わないで仙台 零人が楓花さんと付き合える理由。君は何だと思う?」
「…………さっぱり見当もつかん。」
京也の反応を見て僕はわざとらしくヤレヤレと首を振る。
「そんなんじゃあ、いつまで経っても独立なんて出来ないぞ。」
「別に探偵目指してるわけじゃねぇし! てか、話の腰をへし折るのやめねぇ?」
「わかったよ。」
流石に真面目にしようか。話が進まないのにも飽きてきた所だしね。
「仙台 零人が楓花さんと付き合えている理由は単純明快だよ。それはね……人の感情を理解できるようになったからだ。」
「はぁ?」
おっと、ワケワカラン顔頂きました。
「え、待って。え? え?? 数年前、零人は人の感情が理解できない人間だったんだよな?」
「そうだね。」
ふむ、コンビニのたくあんは意外に美味しいものだったんだな。コンビニクオリティを侮っていたよ。
「……『努力しても理解するのは無理』だったんだよな?」
「正確には、『直ぐには成果を出せなかった』だ。」
何だ、後もうこれだけか。意外にも量が少なく感じたな。もう少しお握りとか買ってくればよかったよ。
「……悩み、無くね? 姉ちゃんが構う理由、無くね?」
「そうだね。」
総合的にはやはり焼き鮭が一番おかずとして美味しかったな。コンビニ、やるな。
「ねえ待って、美味しそうにコンビニ弁当を食べてないで教えて恵さん?」
「さっき君が麦茶取るときに見えたんだが、冷蔵庫の中にエクレアがあったよね?」
「お前、割と図々しいね? いやまあいいんだが。」
「麦茶とエクレアは合わないよね。」
「…………コーヒー用意するから、食べながら教えてくれ。」
「僕はミルクティーが良いねぇ。」
「マジで図々しいな!?」
*(ウルトラミルクティータイム)
「で、仙台 零人の悩みだったかな?」
「わあ、何だろうこの凄い既視感。」
既視感? 僕には見覚えが無いね。だってコレは麦茶じゃないものね。
「僕が最初に言ったことを覚えているかい?」
「『彼に悩みらしい悩みは存在しない。いや、存在していないも同じ、と言ったほうが正しいか。』……の事か?」
「一言一句覚えているとは恐れ入った。ちょっとした狂気を感じるよ。」
「お前程じゃねえよ。」
いや、本当に恐い。真面目に。
「少し話が長くなったが、さっきまで言っていた通り傍から見れば彼には悩みらしい悩みは存在しないんだよ。」
「じゃあ何で姉ちゃんは零人に構ってるんだ? この十八年生きてきて姉ちゃんのあの妙な力がバグった事は一度も見たことがねぇぞ?」
「問題は、彼が自身が変われたことを認識していない事だ。」
「……ああ、そういうことか。」
どうやら京也も理解できたようだ。
「仙台 零人は自分が変われたことを認識出来ていない。寧ろ、まだ演技を続けていると思いこんでいるのさ。彼は自分がなりたかった存在を『演じるフリ』をして、まだちゃんと自分のことが見えていないんだよ。」
実に滑稽なことだ。まあ、最初の彼よりかは幾分も『人間らしく』て面白いけどねぇ。
「本人に「駄目だよ、京也。」……っ!」
「これは彼の問題だ。……それに、君がそれをどうやって伝える? 本人が君の言葉を素直に受け入れると思うかい?」
自分の不甲斐なさからなのか、京也は唇を噛んだ。
「まあ、彼は大丈夫だよ。その為のアンドロイドだろう?」
ただの人間には無理だ。なら、コミュニケーションをとれる何かなら、あるいは……
「! まさか姉ちゃん、これを狙ってシロ……ねぇな。」
無いね。口には出さないけども。
「……まあ、あまり色々な物を背負い過ぎないでくれよ? 君に倒れられたりしたら……」
「恵、お前……」
「僕はこれから一体誰をからかえばいいんだい!?」
「知ってたっ! お前がそういう奴だって知ってたけどもっ!!」
何だい? 僕にとっては死活問題だよ。
「まあ、気を付けるわ。」
そう言って幼馴染は頭をボリボリと掻いた。……絶対にわかってないんだろうね。
「それじゃあ僕はそろそろ帰るよ。エクレアごちそうさまだね。」
「おう。そんじゃあ送ってくわ。」
「有り難いねぇ、心許無いボデーガードさんは。」
「ひっでぇなぁ……」
そう言って京也はもう一度、頭をボリボリと掻いた。
*
帰り道、というものは何処か別れや決別を連想させる。そんな気がする。
「……もう此処でいいよ。」
「そうか?」
……何で少し名残惜しそうな顔しているのかな? と、言おうとして止めた。余計なフラグは建てない。
「じゃ。」
そう言って、京也に背を向けて軽く手を挙げる。
数歩歩いた所で、僕は一つ言い忘れていた事を思い出した。
「ああ報告が遅くなったけれども僕、四月からバイトを始めたんだ。」
「報告遅っ!?」
「それでね、資格とか色々取って偉業を成し遂げたんだが……」
「お、おう。何の仕事かはわからんが……ともかくおめでとう?」
「ああ、それでさ。」
「……何だ?」
皆もこういう機会があったら、少し間を置いてから言うといい。相手が絶叫してくれる。
「――たった二ヶ月で幕の内弁当を作れるようになるには、案外努力が必要なんだねぇ。」
「………………そういうことは先に言えよぉぉぉぉお!! 最後の方、適当に食っちまったじゃねぇかっ! クッソ、もっと味わって食っときゃよかったっ!!」
夜道に轟く声は、少しだけ嬉しそうだ。
そうだよ京也、その顔が見たかった。
どうも、後から後書きを追加していく残機1LIFE0です。
何で本編以外でラブコメ(?)した上に7000文字も書いているのか、それにはちゃんとした理由があるのです。
その理由とは…………ノリです。
いや、書くしかないでしょう? 有須川さんと京也の絡みは。だって本編では書きにくいですし。
というわけで前半3900字はノリで書かせていただきました。ごめんなさい。
まあでも、読まなくていいって前書きに書いてあるので、マトモに読む人なんて居ないですよね!




