あとがき
『スキンゴレムズ』、完結いたしました。
ここまで拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます。
洞藤空二の物語はとりあえずここで一区切りがつきますが、予定では彼はあと幾つかのエピソードを挟んで、父親と再会することになっています。
しかし、そのこととゴーレムたちの夢が叶うことがイコールであるかはわかりません。
何百年も彷徨い続けるゴーレムたちのその後の物語を書くかどうかは、今の段階では決めていないのです。
もっとも、今作を執筆中に思いついた次のエピソードというものがあるので、少し紹介させてください。
まず、空二の高校に、ロシアから『古参』にあたるゴーレムの美少女が転入してきます。
一方、『エル・ポエップ・ダエッド』にもイスラエルから二人の来客が訪れます。
一人はモサド所属のナチ・ハンター、もう一人はユダヤ秘儀回収執行班の魔術師。
それぞれ目的は違えど、せっかく落ち着いたはずの空二の周辺は、またもきな臭さを増していくことになるのです。
…とまあ、こんな感じの導入部を考えていました。
予定していた作品内キーワードは、「ソ連」「ユダヤ系魔術」「イスラエルによるナチ狩り」「フットサル」「星の王子様」です。
改めて並べてみると変ですね。
ついでに制作秘話も少しだけ。
本来、この物語は華さんという登場人物を思いついたことから派生したものです。
華さんは私の他の作品にちょっとだけ謎の人物として顔を出していましたが、新作の構想を練った際に深く設定を組み上げ、主人公として抜擢しようとしました。
ただし、ゴーレムの設定を考えた時点で、ストーリーがあらかた出来あがってしまい、空二の護衛役というポジションに立ち位置が変わります。
しかし、よくよく考えてみると、今のチャコたちの立ち位置に華さんが入って、読者さんが楽しめるかという疑問が生じ、急遽、店のマスコットだったチャコとウォータと入れ替えることにしました。
空二が女の子なら最初の構想のままでも良かったのかもしれませんが、私の女性主人公には血が青いくらいで悩むタイプはいなかったので、必然的に男性にならざるをえず、この変更は維持されることとなりました。
これらが結果として成功したかは読者の反応次第ということになります。
あと、反応が気になるキャラクターとしては『凶手』が一番ですね。
実は空二よりも容易に産み出せたことと、悪役としてはわかりやすいという点で、非常にお気に入りの人物です。
海外のサイコ・スリラーが好きなので、もう少し厚く表現したかったのが残念です。
もっとも、彼が何を言っているかはよくわかりません。
まあ、主人公たちも時折着地点のはっきりしない会話をしているので、そのへんは作者としてはどうかと思わざるを得ないのですが…。
今後の改善点ですね。
それでは、失礼します。
次回作をまたよろしくお願いいたします。