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落ちこぼれヒーローの英雄譚  作者: 吉見里香
一章,動き出す歯車
9/19

8,守りたい存在

1話になっちゃいました。魔法の呪文は難しい。皆どうやって決めるんだろ。変わるかも?いつか・・・

『爆環』

ジンはジンを苦し気に見上げるハルト達を見て不適に笑い、右手で一指し指を立て、環を描きハルト達に対して円を放つ。その円は巨大な灼熱となり、ハルト達を覆うほどの大きさへと巨大化した。

『させない!』

突然に放たれた強い炎の魔法にハルトは反射的に反応した。ハルトはジンが売ってきた巨大な炎の環に天李や侍女や衛兵の前に出る。巨大な炎だ。ハルト一人でなく、この場にいる全員を狙った強大で卑怯な魔法。全員を巻き込み傷つける野心を隠すこともない。ハルトは自分の大切な存在だけは傷つけるわけにはいかなかった。この全員を巻き込むことを厭わないこの男に絶対にこの場にいる誰も傷つけない方法。それは、一人一人を覆いこむ防御結界を張ること。大きな炎がハルト達に直撃し、煙が舞い、砂埃も舞う。ジンが放った攻撃による煙や砂埃が落ち着くころには傷だらけのハルトの姿と一人一人が氷の結界で覆われた天李達の姿があった

「へぇ~!そいつらを守るために結界をね~?だが、攻撃の威力を相殺するためにもお前自身には結界を張れなかったわけか。ボロボロじゃねぇか。なぁ、ハルト様?」

ジンの攻撃の火力は凄まじい。ハルトはこの場にいる全員に強力な結界を張った。だが、それでもこれだけの威力の攻撃を何度も浴びせられたらこの結界は持たないだろう。それだけの威力の技である。たった少しの可能性でも、大切な存在が傷つくということがハルトには許せなかった。自分自身にまで防御結界を張れば自分の放出する攻撃魔法すら届かなくなってしまう。ハルトは全員に防御結界を張り、彼らへの負担を減らすために自身の防御を捨て、炎を相殺する水を放出した。だが、それでも所詮水は炎の影響で熱湯へと変化する。自分自身に結界を張っていなかったハルトは全身が火傷で覆われてしまった。皮膚と肉が焼けただれた左腕を抑えながらハルトは大きく息を乱し、ジンを睨みつける乱した息は少しずつ荒くなっていく。ジンは火傷を負ったハルトを上機嫌に笑い見下ろした。

「ハルト!私はいい!!ハルト!!!ここから出せ!!!お前怪我を!!!出せ!!!私も一緒に戦う!」

ジンとハルトの睨み合いは続いている。いつどちらかがしかけるかも分からない張り詰めた緊張感が漂う中、天李はハルトの覆った氷の結界で護れらていた。ハルトが軽減させたとはいえ、これだけの威力の炎で傷をつかないほど強力な守護魔術。それをこの場にいる全員に一人一人に貼り続ける。それはどれだけのマナをハルトは使い続けることになるのだろうか。天李は分かっている。ハルトは自分たちを守るためならば命すらもかけるということを。こんなにもボロボロなのに、ハルトはジンに背を向けることもなく、天李達を守る姿勢を崩さない。だが、それが天李には何よりも苦しかった。ジンは強く異常者だ。そしてジンと一緒にいるもう一人も得体のしらない強さをもっている。ハルト一人で自分たちを守りながら二人を相手に戦えるはずがない。天李は氷の球を内側から強く叩き、大きな声で叫ぶ。守られるだけの存在になるのはごめんだった。

「その女何か言ってるぜ?いいのか?そんな小さなもんに閉じ込めて。可哀そうだぜ?ハルト様よ~」

大きな声で叫ぶ天李を見て、ジンは口角を上げて馬鹿にするようにハルトを見下ろす。愚の骨頂。弱いものが集まったところで何もできることはない。どんなに声をあげたところで、何もできない人間は無様で愚か。ジンは天李を心の底から侮辱していた。ハルトは分かっていた。このジンという男はハルトにとって、そして天李にとってお互いがどれだけ大切な存在かということをこの短時間で理解している。この結界を解除することでジンは天李を集中的に狙ってくるだろう。だからこそ、何があっても、絶対に天李の結界だけは解除することはできなかった。天李はハルトを大切に思ってくれていることを知っているから。何があっても命をかけて絶対にハルトを守ってくれることを知っている。ハルトは必至に叫ぶ天李に優しく微笑みもっと結界にかけるマナの割合を増やした。

「お前は俺に勝てない。お前は弱く、愚かな愚図。そうだろ?落ちこぼれ」

ジンは自分を睨みつけてくるハルトを馬鹿にしたような態度で見下ろし笑う。落ちこぼれで、愚図、弱い。その言葉はハルトはなぜか胸に残る。自分は落ちこぼれで弱い。それは間違いないだろう。その言葉は記憶のないハルトにも府に落ちる言葉であるのだから。思い出したくもない記憶。その記憶はハルトが落ちこぼれであったころのものだろう。

「反論しないか。愚図は愚図でも弁えている奴は嫌いじゃない。弁えているなら俺様に反抗すんな、落ちこぼれ。ったく、なんであの方はこんなやつのためになんかねえ?」

ジンはに乗ったまま地上へと降りてきてぶっきらぼうにハルトを見る。何度見ても理解ができない。ジンは自分の組織のボスを崇拝している。だが、そんな自分が崇拝しているボスはこんなさえない落ちこぼれにご執心だ。この男にボスが執着するだけの魅力や理由がある男には到底思えなかった。ハルトはボロボロの傷だらけで天李達を守るように立ち、自分に対して弱いながらも睨みつけている。弱い力で自分の力以上のことで粋がる人間、それはジンが嫌いな人間だ。

ハルトはジンたちが自分が狙う理由についても記憶がないため心当たりもない。このジンも記憶が消えてしまう以前に出会っていたかもしれない。だが、ただハルトは平穏に生きたいだけなのだ。記憶を失い、すべてを失った自分が取り戻した幸せな日常。それを、今また壊されようとしている。それならばハルトは許せない。それだけだった。

「断る!お前は天李に、皆に、この国に手を出した。俺はお前を知らない!お前のいうあの方だって知らない!ただ俺は俺の大切な存在を守り通す!この国を傷つけるお前たちは、俺の敵!それだけだ!それにお前、数時間前、町に放火した犯人だろ?」

ジンの言葉にハルトははっきりと拒絶する。記憶がない昔の自分が何をしたかなんてハルトは分からない。そうであれば、今、大切な存在をハルトは守り通したい。そう考えた。そして気になることは先ほどのジンの攻撃、やつの攻撃は奈々が巻き込まれた火事の炎の特徴とマナの特性がよく似ていた。

「あ~、あれか。目障りなものを消した。それの何が悪い?弱い者が悪い!世の中は弱肉強食の世界だ!弱いやつは死ぬ。それだけだ!甘ったれた生活をしているやつらに現実を教えてやっただけさ!幸せ?ふざけるな!世の中は憎しみと苦痛で回ってるんだよ!」

ハルトの問いにジンは認めながらも耳をほじりながらあくびをする。自分が傷つけた人間に興味がない。そんな人間なのだろう。自分の行いに反省も後悔することもなく、当然のようにジンはハルトに言ってのける。そんな言葉がハルトに許せるはずがなかった。

「お前の火事で、小さな女の子の命が消えるところだった!俺はそんなやつの仲間に手をすつもりも仲間になるつもりも毛頭ない!」

ジンの言葉に改めてハルトははっきりと拒絶する。許せるはずがない。無実の国民、そして天李達を巻き込んだこの男とその仲間を。ハルトだけならまだいい。だが、大切なこの国を巻き込み、傷つけることだけはハルトが許せる一線を越えていた。

「・・・お前ごときが手を貸す?仲間になる?調子に乗るなよ?落ちこぼれ!!!!お前、何様のつもりか?身の程ってものを教えてやるよ、落ちこぼれ」『満ちろ・煙霧』

ハルトの言葉はジンの神経を逆撫でするのに十分すぎる言葉であった。ジンにとって組織のボスであるあの方はジンの全てだ。あの日、アテナ帝国やその同盟国を滅ぼした姿を見たその時からジンはボスに魅了され、ここまで慕ってきた。そんな憧れの存在はジンの存在を見ることもない。あの方が見ているのはハルトだけだ。それが何よりも許せない。それにも関わらず、虚弱に吠えるハルトはあの方に目をかけて頂いているにも関わらずあの方の温情を拒絶した。許せるわけがなかった。ジンは怒り、青い煙を放出した。その煙は一瞬であたり一帯を覆いつくした。

『薙ぎ払え!』

この煙はまずい。ハルトは即座にジンの出す炎に反応した。一瞬で青い煙はハルトを覆い、城全体を覆うほど満ちてしまう。この煙の危機を瞬時に察し、ハルトは急いで強力な風を放出し、煙を追い返すが遅かった。

「遅ぇよ」『導火』

ジンが呪文を唱えた瞬間、その青い煙に炎は着火した。その瞬間、一気に炎は煙が舞ってる全体へと着火し、大きな衝撃爆風、劫火が防御もないハルトを襲った。

〈いや!!!助けて!!!〉

熱い。こんな光景を見るのはハルトは初めてではない。この光景をハルトは見たことがある。全てが燃え去り、大切な存在が苦痛の悲鳴を上げ、助けてと叫んでいる。何度この夢を見たのだろうか。毎日のように見る悪夢。その光景が今、目の前にある。天李達は無事だろうか。まだ、魔力は切れていない。結界にかける魔力をあの爆発の瞬間、もう一段階上昇させた。皆に傷はないはずだ。あの悪夢の光景を繰り返さないためにも、ハルトは自分の大切な存在を守るためには手段を択ばない。ハルトはゆっくりとボロボロの状態で炎の中を突き進む。黒い炎と熱風、煙、すべての熱さで身体も脳もおかしくなりそうだ。城全体にも着火した炎は城をも飲み込んだ。

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