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落ちこぼれヒーローの英雄譚  作者: 吉見里香
二章,ようこそ、ロアドクレイへ
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2,荒れる会談

世界でもトップの実力を誇る首相達がヴィリオただ一人の殺気に飲み込まれ、静まり返る中、ただ一人の男は不適な笑みを浮かべて笑った。

「こわーい殺気!流石、スルタの里の生き残りは凡人とは気迫が違うな~。流石、あれだけの事件で生き残ることができたわけだ。そうは思わないか?ネイン」

ヴィリオの殺気に全体が静まり返る中、ただ一人、長髪の髪を靡かせる黒髪の男、ゼノンだけは不適な笑みを浮かべ、フードを被りながらも銀髪の髪を靡かせているネインと呼ばれる女性を横目見る。ゼノンは挑発するようにヴィリオを一目見ると、ゼノンは左手でネインの輝く銀髪、そして頬を順番に辿ろうと手を伸ばす。その瞬間だった。ヴィリオの横にいた人影が風となり、ゼノンとヴィリオの中間地点で、あたりが吹き飛ばされるほどの衝撃波が引き起こされた。ロアドクレイ、ヴァルドニア、フィリジアの三組織の六人は突如起きたその異様な光景に反応するも、事態の把握ができずにいた。ヴィリオとゼノンの中間地点である衝撃波の核は砂煙に覆われ、そこには地面がえぐられている様子や吹き飛ばされた調度品が垣間見える。突如の出来事に反応できなかった6人がようやく事態の把握できたのは、砂煙が引き、アユラが放った左足の攻撃を、ゼノンを庇うように両腕で受け止めたネインの姿が見えた頃であった。

「ゼノンには絶対に指一本触れさせないわ。」

アユラの全力で放った一撃はネインによって受け止められ、アユラとネインは全力の攻防の余韻を互いに受け流す。アユラはネインを交わし攻撃を続けようと足を踏み込んだが、隙を見せず圧倒的な殺気を放ち

睨みつけるネインにアユラは顔を歪めネインを見る。そしてそれ以上の攻撃を仕掛けてこないアユラに冷たい声で言い放ち、ゼノンを守るように前に立つ。

「下種野郎・・・」

アユラは顔を歪めると苦虫を嚙み潰すような表情を浮かべ、視線を外し、吐き捨てる。

「・・・やめるんだ・・・ユラ」

ヴィリオは悔しさを噛み潰すように拳を握るアユラの行動を引き留めるように声をかける。アユラはヴィリオの言葉で怒りに支配されていた思考が呼び止められる。アユラの動きは固まるようにとまり、アユラは静かに自分自身以上に顔を歪めているヴィリオを見て目を伏せた。

「・・・分かってる・・・」

アユラはヴィリオの言葉に自分の足がもう一度ネインとゼノンの方に動き出そうとしていたことに気付き、怒りを堪えるように大きく息を吐きゼノンとネインを睨みつけ、席についた。

「素直ないい子じゃないか。君はよく彼を躾できている。関心するよ。僕も君を見習わないとね。なあ?ネイン」

ゼノンは怒りを飲み込み、拳を震わせながら椅子へと座ったアユラに対して、挑発するように称え、大げさに手を叩き、楽しそうに笑う。ゼノンの行動はアユラとヴィリオの神経をどこまでも逆撫でする。挑発はとどまることを知らなかった。

「お前、それ以上ふざけたことをしてみろ?先のことなんてどうでもいい。僕はこの場でお前を確実に殺す。限界は通り越している。これ以上僕を刺激しない方がいい。そうでしょ、ゼノン」

ヴィリオはこれまで以上の強い殺気でゼノンを睨みつけた。ヴィリオの殺気と威圧感は、威圧感を向けられたものだけが対象では済まなかった。この会場にいる全員がヴィリオの放つ威圧感に苛まれた。その圧倒的な威圧感と殺気だけで、意識が遠のきそうになるどの息苦しさに苛まれる。冷や汗が止まらなくなってしまう。たった10代の少年がこの場にいる世界でもトップの実力を誇る人間が集まる会場でどの圧倒的な力で主導権を握ってしまった。

「・・・ネオ・エデュシアのお二方。殺気をお沈めなさい。ヴィリオ、あなたの殺気は強烈すぎる。ソルヴェイルのお二方もおやめなさい。先ほどわたくしの相方が申した通り、発言にはお気を付けなさい。この場はあくまでも平和的な世界を描くための場。武力行使をする場ではありません。私たちには対話という手段を用いて解決することができるのですから。」

ヴィリオとアユラのネオ・エデュシアとゼノン・ネインのソルヴェイルが互いに殺意を向け合い、一触即発の緊張感がこの場を支配する中、クレアの一言がこの場の進展に待ったをかけた。クレアはネオ・エリュシアとソルヴェイルの殺気にも怯むこともなく、堂々とした姿勢で4人の仲介に入った。

「・・・へえ?。あなたがそれを言うんだ。あなただけは、僕たちに対してそんな言葉かけられる立場じゃないんじゃないかな」

4人の間に仲介に入ったクレアにヴィリオは冷たい瞳でクレアを見下ろし嘲笑する。クレアは冷淡なヴィリオの言葉に視線を逸らし、応答することができない。

「ヴィリオ君、やめるんだ。先ほども話をしたはずだ。我々は、この世界を統べる五大組織の代表としてこの場に立たせていただいている立場だ。この場は僕たちは世界の代表として、協力し、争いのない世界を作るために、話し合いをするための場所だ」

ロイドはクレアに対して冷淡に嘲笑し、責める姿勢を崩さないヴィリオに対して立ち上がり、口を挟んだ。ロイドは知っている。このヴィリオの言葉がクレアの心の傷を深くえぐるということを。クレアがどれだけ自分を責め続けたかを知っている。だからこそ、ヴィリオのこの言葉がクレアに向くことだけは許せなかった。ロイドはヴィリオを睨みつけ、クレアを守るように態度を見せる。

「部外者は口を挟まないでくれないか。残念だけど、僕は君とは話してないんだよね、ロアドクレイの捨人。僕は君たちのような捨人と話をすることも、一緒の空間にいることすら吐き気がとまらないんだ。」

ヴィリオは口を挟んだロイドの言葉を遮るように殺気を含んだ視線で軽く睨みつけ、諦めたように大きくため息を吐いた。そしてヴィリオはクレア、ロイド、そしてソルヴェイルの二人からも視線を外し椅子に腰かけた。

「じゃあ、とっとと話を進めてくれないかい?僕は誰がこの会議を先導しようがどうでもいいんだ。僕たちは一秒でも早くこの汚い空間から立ち去りたいんだ。」

ヴィリオは椅子に座るとこれまでのやり取りや会話に興味がないとばかりに視線を外しながら会議の本題に移るように全体に促した。ロイドはヴィリオのこの発言で、これまでのヴィリオの態度とこの会議への姿勢の矛盾に違和感を感じてしまった。ヴィリオの武力者への嫌悪感は本物である。スルタの里のかの事件の一件はロアドクレイも断片的な情報は入手している。断片的な情報から読み取ってもヴィリオたちスルタの里の人間が自分たち武力者に対し憎悪の感情を抱いている理由はよくわかる。それにもかかわらず、ヴィリオについて理解できないことはなぜ、この会議に参加したのかということだ。これほどまでに武力者を嫌い、他の組織への関心もなかったスルタの里の生き残りの人間を軸に形成された組織、ネオ・エリュシアが今回の五大組織首脳会議に参加した。これは極めて異常なことである。五大組織首脳会議の鉄則として、1年に一度ほど定期的に開催される五大組織首脳会議は組織に入れ替わりがあった場合、1か月以内に緊急会議を開催しなければならない。だが、ネオ・エリュシアがアテナ帝国を滅ぼし、五大組織へと台頭して一年、ネオ・エリュシアも、そしてその後、他組織も代替わりや台頭したにも関わらず、この一年間一度も五大組織首脳会議は開催されることはなかった。だが、今回に限り、ネオ・エリュシアは五大組織首脳会議を促し、これまで五大組織首脳会議に参加することのなかった全組織が今回の首脳会議に全員揃って出席した。これはこれまでの他組織の対応を見るに非常な異常事態なのだ。そしてこれだけの一件があったにも関わらず、ヴィリオが会議にいまだに残り続け本題へと話を進める理由、それがヴィリオにロイドが感じた違和感といっていいとロイドは確信している。

「一年間、たったの一度も定例会議に顔を出すことがなかった孤高を気取った君たちが、今回の会議に限って出席した理由。この空間を嫌悪しながらもこの場から席を外さない理由、そこまで君がこの会議にこだわる理由を聞いてもいいかい?」

ロイドは自分に目線すら合わせる気配もないヴィリオから視線を離さない。ロイド達ロアドクレイの目的はこの世界から無駄な争いを失くすこと。能力者も武力者も種族関係なく、笑って暮らせる世界を作るためにも、憎しみに苛まれたスルタの里の子ども達と向き合うことは避けては通れない道なのだ。だからこそ、ロイドはヴィリオから逃げることはできなかった。だが、この質問はロイドの最大の過ちであった。ヴィリオはこの問いを待っていた。明らかにヴィリオとの態度に矛盾した行動。この行動への指摘から、自分自身に発言権を掴み取ることがヴィリオの最大の狙いであった。

「あなた!」

ヴィリオの狙いに気付いたクレアが席を立ち、急いでロイドの言葉を遮ろうとするも、遅かった。ヴィリオは口角を上げ、この会談に参加している全員にアピールするように立ち上がった。

「僕は大切な家族を取り戻すためにこの会談に参加したんだ!」

ヴィリオは大きな身振り手振りをして、五大組織の首相全員に自分の目的をアピールした。ロイドはヴィリオの発言でようやく、ヴィリオの目的を理解する。

「家族・・・」

ロイドはこの会談にくる前に届いたノブからの手紙を思い出す。ロアドクレイに入団することになった記憶を失ったスルタの里の生き残りの少年。スルタの里の人間は常人には想像もつかないような特殊な訓練を受け、特殊な才能を持った人間だけが住んでいる秘匿の里だ。彼らの里は滅ぼされ、彼らは自分たちを騙し、里を滅ぼした武力者を憎んでいる。だからこそ、そんな力を持った彼らの一人が偶然でも自分たちの組織に入団するという知らせを聞いた時には歓喜した。スルタの里の力があれば自分たちの理想に一歩近づくことができることを。そして、彼の力で他のスルタの里の人間も説得させることができる可能性を、期待した。だが、甘かった。スルタの里の人間の絆は自分の想像していたほど単純なものではなかった。

「そう。君たちが僕の家族を奪ったんだ。僕の家族が君たちの組織に攫われた。君たちは彼の記憶がないことをいいことに僕の家族をかどわかしたんだ。記憶を失っても、彼は僕たちの大切な家族だ。君たちの汚い思惑なんかに利用させるわけにはいかない。僕たちネオ・エリュシアは、君たちロアドクレイに対して、正式に彼を、ハルトを返還するように要求する。」

大げさなアピールをして全員の視線を集めた直後、ヴィリオはこの世界のトップ会談である五大組織首脳会議にたった一人の人間の返還を正式に要求してきた。この会議は世界の方針を決めるために、5つの組織で議論を交わすための場所。そのような場所でたった一人の人間の議題を持ち上げること自体が異常事態である。何より、ロアドクレイとしても、偶然手に入れたスルタの里の人間を失うわけにはいかない。そして他組織にも認識させるつもりもなかった。それほどまでにスルタの里の人間とは切り札と言える最強の手札なのだ。

「残念だけど、その問題は僕たちロアドクレイと君たちネオ・エリュシアの個人的問題だ。先ほどから言っている通り、この会議は世界の政策を決めるための会談。たった一人の人間のことなどこの場で触れるべき話ではない。その件はこの会議が終わったあとでゆっくり伺おう」

ロイドはこの話の流れを完全に断ち切らなければならないと直感した。クレアもこの会議の話の流れに焦りを感じており、ロイドの強制的な拒絶に口を挟む様子はない。この話の流れはそれほどまでにロアドクレイにとって不都合であった。

「五大組織首脳会議の掟その三。五大組織の首脳が取り上げた題材において、過半数の組織が賛成した場合、その題材はいかなる組織であろうと拒否することはできない。だったよね。」

ヴィリオが持ち出した家族の話はロアドクレイにとって都合が悪すぎた。話を切り替え、ネオ・エリュシアが持ち出したお題を中断しようとしたロイドの言葉に被せるようにヴィリオは冷静に話を続ける。ヴィリオはロアドクレイを逃すつもりは毛頭なかった。このロイドの明確な拒絶すら、ヴィリオの掌の上であった。

「五大組織、ネオ・エリュシアの代表として、五大組織首脳であるあなた方全員に問う。スルタの里の同胞であり、我らネオ・エリュシアの一員であるハルトは記憶を奪われ、ロアドクレイの手に渡った。我らネオ・エリュシアはこの一件について、ロアドクレイの首脳に強く抗議する。この件を追求することについて、賛成の者は挙手願いたい」

ヴィリオは五大組織の首相として正式な議題として追及するべく、突如これまでの口調を改め全員にアピールする。絶対に逃しはしない。突如向けられたヴィリオからの鋭い視線でロイドとクレアはロアドクレイにやって来た少年、ハルトへの根深い異常なほどの過激な執念のようなものを実感する。ロイドとクレアはこのヴィリオの勝ち誇った笑みから、自分たちが予想できる最悪の事態に陥ったことを察してしまったことに勘づいた。この瞬間まで、全て10代の少年、ヴィリオにより、仕組まれたものであったのだ。この一年間、緊急会議が何度開催が、参加を申請しようとも出席をすることがなかったこの4つの組織がこの会議で全員参加を決断したその理由、それは全てこの議題のためであった。ヴィリオのこのたった一言により、これまでに一切のまとまりのなかった五大組織がまとまった。ロイドとクレアを除く全員がこの議題に賛成の意を唱え、挙手をする。警戒したつもりであった。万全の準備を唱えてきたつもりであった。だがまさかたった一人の人間の動向で世界を動かす五大組織のトップがこれほどまでの行動に影響を及ぼすとは想像すらしていなかった。スルタの里の人間の社会的な認識、そしてスルタの里の同胞への執着を甘く見ていたロイドとクレアの失策であった。

「同胞の奪還を謳い、僕たちを敵に仕立て上げるとはね。恐れ入ったよ。でも、残念だけど僕たちはまだ君の要求に応えることはできないよ」

ロイドは少年の行動力と計画性、執着力に畏怖を尊敬を示しながらも大きく息を吐き軽く笑みを浮かべヴィリオを見る。ヴィリオの手段は見事であった。だが、彼は若い。ロイドとクレアはこのような会談に何度も挑み続けてきた。これくらいの修羅場は何度も潜り抜けてきたのだ。

「それは僕たちへの宣戦布告と捉えてもいいと?」

ロイドの発言にヴィリオは静かな凍てつく殺気で笑みを零すロイドを睨みつける。

「いいえ。そうではありません。残念ながら、私とロイドはそのハルトという人間を存じ上げないのです。我々がこの会談に赴くために、国を離れたのはちょうど二日前。少なくとも二日前まで、我が組織にハルトという人間は我が組織に存在していない。私達が認識していない、組織に在籍しているとも知れない人間についてこの公的な場でお約束なんてできないでしょう?」

クレアはヴィリオの挑発に対して、完全に話題を断ち切った。クレアとロイドはハルトの組織の入団について情報はノブから入手している。だが、偶然にもロイドとクレアは実際にハルトと面識があるわけではない。他者からの目撃情報という証拠がなければ、論点をすり替え、話を中断にもっていくことが可能になる。ハルトが組織に入団している事実が後から追求されようと、この現時点でハルトという人間が組織に加入している事実を認識していない、実際に面識しているという目撃情報がない限り、信用問題としても後の対処は容易いものである。ハルトが組織にいるという事実をとぼけようとも、真偽の確かめようがない限り、ハルトについてこれ以上の追求は不可能である。

「・・・あなたは相変わらず僕の邪魔をするんだね」

クレアの返答にヴィリオは鋭い殺気で声を低くして睨みつける。クレアの返答によってヴィリオはこれ以上この件についてこの場で追及することはできない。

「・・・私は、あなたの幸せを願っています。あなた方がその深い悲しみと憎しみから解放される日を、願っています」

ヴィリオの鋭く冷たい視線にクレアは目を伏せ、そして強くそして優しい瞳でヴィリオに視線を合わせる。ヴィリオはクレアの慈悲深いその瞳に一瞬視線を合わせるが、すぐに視線を外し椅子から立ち上がる。

「用は済んだ。帰るよ、ユラ。交渉決裂だ。もうこの会談に用はない。ロアドクレイの首脳、大人しくハルトを僕たちの元に帰しておけばよかったものを。君たちのとった選択はいずれ君たち自身の首をしめることになる。必ずその選択を後悔させてやる」

ヴィリオは椅子から立ち上がると一瞬だけロイドとクレアのに視線を向け、冷たく言い放つと同行していたアユラと共にこの会場を後にした。ヴィリオとアユラがこの会場を去った直後、会場は重い静けさに苛まれた。

「あーあ、帰っちゃったね。」

ネオ・エリュシアが会場から去り、重い空気が会場を支配する中、歯を食いしばるロイドとクレアを見ながら馬鹿にするように愉快に笑う。

「あたし達も帰るよ、ルシェル。もうこの会議は意味ないでしょ」

事の顛末を静かに見守っていたフィリジアのレイシアもネオ・エリュシアが会場を去ったことで大きくため息を吐き立ち上がる。

「そうだね、姉さん」

レイシアまでもが席を立ち、会場に背を向ける。ルシェルもレイシアに続き、この会場に立ち上がり、背を向けた。

「もう少し無様にあがいている姿を見たかったんだけどな~。ロアドクレイもこの程度か~。残念~。」

レイシアは扉へと向かい、ロイドとクレアを通り過ぎる際、小さく言葉を呟いた。その言葉は嘲笑している言葉ではなかった。落胆したようなレイシアの言葉がロイドとクレアにのしかかる。フィリジアの二人が扉を閉める際、ルシェルは扉が閉まるその最後の瞬間までロイドとクレアから視線を外さなかった。

「無様だな!ロイド!!俺たちも帰るぞ!クレイン!」

レイシアの言葉に歯を食いしばり、拳を静かに握りしめるロイドにライゼンは嘲笑するように笑い、クレインにぶっきらぼうに指示を出す。

「かしこまりました、ライゼン様。ロイド様、申し訳ございません。またの機会に」

クレインはライゼンの指示にライゼンの荷物と自身の荷物を持ち、ロイドとクレアに深く頭を下げるとライゼンに続き部屋を出ていった。

「あーあ、みーんないなくなっちまったなあ?ロアドクレイの首相?帰っていいだろ?俺たちも」

ヴィリオたちネオ・エリュシアがこの会場から立ち去り、フィリジアの、ヴァルドが彼らに続きこの会場を去り、会場にはロイド達ロアドクレイとソルヴェイルの四人だけが残された。過半数以上がこの会場を後にしたこの状況で会談は成立することはない。ゼノンはその事実を理解しながらも嘲笑するようにロイドとクレアに視線を向け、改めて確認する。

「・・・構わないよ」

ロイドはゼノンの態度に悔しさに歯を食いしばるが、ゼノンに苛立ちをぶつけることなどできるわけがない。ロイドはゼノンの嘲笑に大きく息を吐くと気が抜けたように返事を返した。ゼノン達ソルヴェイルも会場を後にし、ロイドとクレアは誰もいない会場で力なく席に座り込んだ。会談の時間はわずか15分。会談の主旨も目的も果たすこともできなかった。ハルトの追跡からは逃れることができたとはいえ、この会談が成立した時点で、この会談の結末は決まっていた。五大組織首脳会議はロイド達ロアドクレイの敗北に終わった。

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします

はやいなあ~( ;∀;)

たくさんの名前と組織がでてきたのでここでもう一度整理します。

ロアドクレイ(共存主義組織):ロイド・クレア

ヴァルドニア(武力者主義組織):ライゼン・クレイン

フィリジア(武力者主義組織):レイシア・ルシェル

ネオ・エリュシア(能力者主義組織):ヴィリオ・アユラ

ソルヴェイル(能力者主義組織):ゼノン・ネイン

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