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部活~青春は爆発する~

これは、止むことのない雨の下で、という作品の二部にあたります。よって、一部を見ていないと登場人物や内容が分からなかったりするので、一部を読んでから読むことを推奨します。

春・・・それは出会いと別れの季節。人生を変えてしまうほどの出会いもあれば、同時に人生を変えてしまうほどの別れもある。その出会いと別れが多くひしめきあう春は、人生の転換期と言っても過言ではないのかもしれない・・・。



「・・・とは言え、今の人間の平均寿命を考えると、七十回ぐらいは春を迎えるんだけどねぇ・・・」

まだまだ寒い時もあるとはいえ、それなりにポカポカとしてきた春の日差しに照らされながら、月夜はそう呟いた。

「何ぶつぶつ言ってるの?」

月夜の隣を歩くのは、きれいというよりも可愛いという表現が似合う、お馴染みの楓だ。

「いや、朝なんかテレビでそんなこと言ってたな、とね・・・単なる独り言だから気にしないでくれ」

「変な月夜・・・」

首をかしげながら、楓は呟く。

「それにしても・・・」

月夜は何かに想いを馳せるように、言葉を続ける。

「早いもんだよな、気づけば俺らも二年生か・・・」

月夜は長いようで短かった一年間のことを思い出す。家族が殺されたり、変質者に襲われたり、妹が出来たり、天使とかのたまうおっさんに襲われたり等々・・・。

(あれ?全く良い思い出がないような気が・・・)

頭を抱え出す月夜を、楓は不審な目で見る。

「どうしたの?さっきから変じゃない・・・?」

「ん・・・いや、春の陽気にでも当てられた、とでも思ってくれ」

「あはは、何言ってるのよ」

ころころと笑う楓を見て、いや・・・悪いことばかりでもなかった、かな?と月夜は思う。悪いことが多かったとはいえ、一年前と比べれば月夜と楓の関係は親密になっている。

(でも・・・強いて問題点をあげるなら・・・)

学校関連の思い出がない・・・。

授業中よく寝ている月夜だが、平和な日常を大切に思う彼にとって、それはある意味重大な出来事だった。文化祭や体育祭、音楽祭やマラソン大会など多々ある行事に参加出来なかったわけではないが、何分時期が悪かった。秋から冬前後に行われたそれらの行事は、暴走妹やら記憶喪失兄貴への心労のため、月夜は積極的に取り組むことが出来なかった。夏前に予定されていた遠足など、どこぞの変態の誘拐騒ぎのせいで、行われさえしなかった。これらの理由により、月夜は深い溜め息をついた。

「はぁ・・・」

「もー、今日の月夜はやっぱりおかしいよ」

いつもおかしいけど、と思う楓だったが、それは口には出さなかった。

「いやさぁ・・・なんていうのかなぁ・・・もう少し、こう・・・事件に巻き込まれない体質だったら良かったな、と思ってね」

朝っぱらから暗い雰囲気の月夜の頭を、楓はペチペチと叩く。

「そんな調子じゃだめだよ!せっかく留年しないで二年生になれたんだから、もう少し前向きに行こうよ」

「分かってはいるんだけどな・・・って、なんかその台詞、まるで俺が留年しそうだったみたいに聞こえないか?」

納得いかない、といった感じの月夜に、楓はからかう様に言う。

「だって、それはほんとのことでしょ?」

「うぐ・・・」

月夜は言葉に詰まった。実際、勉強は出来る月夜だったが、日頃の授業態度と出席日数の関係上、追試を受けてようやく二年生に上がれたのだった。出席日数だけなら楓もほとんど大差はないが、楓は元々真面目なので追試はなかった。

「それはほら、不可抗力だよ」

「不可抗力なんかじゃないでしょー?身を以って分かったのなら、少しは真面目に授業受けたら?」

楓のもっともな言葉に、月夜はぐうの音すらでない。

「分かった分かった・・・ったく」

しぶしぶと、溜め息をつきながら月夜は頷く。

「それに、留年したら困るのは月夜だけじゃないんだからね」

「ん?どういう意味だよ?」

「・・・教えてあーげない」

不機嫌そうにそっぽを向く楓だが、その顔は仄かに赤くなっている。

「なんだよ、教えてくれよー」

「知らない知らない・・・月夜の唐変木ー!」

「んだとこるぁー!」

「キャー!」

痴話げんか?と見る者に思わせるようなやり取りをしながら、二人は桜の花びらがひらひらと舞う道を、歩いて行った。



クラス変え・・・一年に一度ある(ない場所・場合もある)新学年でのイベント。それにより新しい出会いが芽生えたり、友好関係が変わったりするものといっても過言ではない。


「いやだからさ・・・実際そこまで大層なもんでもねーよな・・・?何この顔ぶれ」

「何をぶつぶつ言ってるんだお前は?」

「朝からそんな調子なんだよねー・・・」

「春って怖いわね」

始業式も問題なく終わり、その後の軽いホームルームが終わった後、月夜の周りには楓・利樹・紫のいつもの顔ぶれが集まっていた。

「朝テレビでそんなこと言ってたと思ってな、大丈夫だ。もう気にしないことにしたから」

月夜は溜め息をつきながら答えた。周りを見渡せば、いつもの三人だけではなく、一年の時に同じクラスだった者の顔が多々見受けられる。放課後なだけあって、教室に残って喋っているのは約七割方ではあるが、その内の六割は見知った顔だった。帰った者を含めれば八割は超えてそうだ。

「なんか、失礼なこと言われてる気がするのは俺だけか?」

「間違いなく利樹だけじゃないと私は思うわ」

うんうん、と月夜を除いた三人は頷きあった。

「誰もそんなことは言ってないけど・・・折角春なんだからさ、新しい出会いの一つや二つはあっても良いと思うんだよね」

人付き合いが苦手な月夜のその言葉に、三人は戸惑いと驚きの表情を浮かべた。

「月夜・・・大丈夫?熱とかないよね?頭打ったりしてないよね!?」

楓は月夜の額に手を当てて心配そうな顔をする。本気で心配そうにしている辺り、かなり失礼な娘である。

「やっぱり春の陽気に当てられたのね・・・あの月夜君が利樹みたいなことを言い出すなんて・・・」

紫に至っては、気の毒そうな目で月夜を見ている。失礼とかそういうものを通り越して、更にたちが悪い。

「おいおい紫、そんな俺が年がら年中頭春です、みたいに言うなよ。・・・それにしても、確かに月夜がそんなことを言い出すのは珍しいな」

三者三様の反応に、月夜は不機嫌そうに言う。

「お前らは俺のことを日頃どう思ってるんだ?」

「「「不器用な一匹狼?」」」

三人にはもられ、月夜は頭を抱えたくなった。

「新しい言葉を作るな・・・大体からなんじゃそりゃ、不器用だから一匹狼なのか。それとも一匹狼なのに不器用なのか、どっちか分からないだろうが」

「「「前者」」」

再度はもられ、月夜は今度こそ頭を抱えた。なんていうか泣きたくなった。間違ってはいないからこそ、月夜は哀しくなったのだ。

「わわわ・・・そんなに落ち込まないでよ、ちょっと驚いただけだから、ね?」

ちょっと・・・?どこが・・・?楓のフォローも虚しく、月夜はしょんぼりとしたままだ。そんな月夜の肩を、利樹はガシガシと叩く。

「まぁなんだ、気にするなよ。第一、珍しいとは言え良い方向への考え方だろ。月夜が新しい出会いを求めたいって言うのなら、今度俺となんぱでもしに行こうぜ!」

刹那、にやけた笑いを浮かべながら言う利樹のみぞおちに、紫の拳がめり込んだ。ぐはっ、と呻き声を上げながら、利樹は膝をついて体を丸める。

「そうね、確かに良い方向かもしれないわね。友達や知人が増える分には、見解や視野も広まるし悪いことではないと思うわ」

冷静に言う紫の横で、利樹は、むぎゅぅ・・・と潰れた蛙のような声を上げている。相変わらずだなこの二人も・・・いや、更にパワーアップしてる?と思いながら、月夜は何かを考えながら呟く。

「お前らと一緒にいるのも楽しいし、別に友人増やす必要もないかなー、とは思うんだけど・・・」

計算式が解けない子どもみたいに悩んだ顔をしながら、月夜は続ける。

「やっぱり何か足りないと思うんだよね。なんだろ、学校での張り、っていうか・・・」

「私たちと一緒じゃ、もうつまらない?」

少しだけ哀しそうに言う楓に、月夜は慌てて手を振りながら答える。

「違う違う!そういうんじゃないだって!・・・なんていうのかな、まぁ、それも分からない状態、なわけなんだけど」

自身の中に起きつつある感情が、月夜にもよく分からなかった。今の四人の関係に飽きたわけではない、かといって友達を増やしたいわけでもない。なら、俺はどうしてそんなこと思うんだろう?と、頭の中で色々考えてみたものの、答えは出なかった。

「それなら・・・まずは、行動してみたら・・・どうだ?」

よろよろと立ち上がりながら、利樹はそう提案した。

「例えばそう・・・部活とかどうだ?俺もこの四人でいるのは楽しいけど、部活には部活のまた別の楽しさがある」

この四人の中で唯一部活に所属している利樹からの貴重な提案だった。

「部活か・・・そう言えば全く何もやってないな俺」

「私もやってないなぁ・・・興味ないわけじゃないけど、帰って家事やらないといけないしね」

さりげなく不憫なことを言っている楓に、月夜はちょっぴり罪悪感を感じた。

「・・・ねえ?一ついいかしら」

なんとなく不機嫌オーラを放ちながら、紫がぽつりと呟く。

「私も部活入ってるんだけど?」

「「「え?」」」

紫以外の三人の声がはもる。月夜と楓はともかく、利樹が驚いた顔をしていることに紫は軽くイラッ、とした。

「一応文芸部にね、幽霊部員みたいな扱いにはなってるけど・・・確か、利樹には言ってあったと思うんだけど?」

「そ、そうだったっけか?」

冷や汗を流しながら、利樹はとぼけたように言う。再度そのみぞおちに紫の拳がめり込むのは、正に一瞬だった。利樹は声もなく、床に崩れ落ちた。どうやらとどめだったようだ。

「馬鹿なやつだったな、利樹・・・」

「うん、そうだね・・・」

遠い目をしながらまるで死んだ友に言うように、月夜と楓は呟いた。利樹からのツッコミはない、本当に気絶しているようだ。

「と、とにかく、部活ってのはありだと思う。うん」

場の雰囲気を流すように、月夜は言う。いまだに不機嫌オーラを放っている紫が怖かったからだ。

「そ、そうだね、案ずるより産むがやすし君、って言うもんね」

楓もまた、間違ってはいないが、おかしなことを口走っていた。

「ええ、そうね。月夜君は何かやりたいこととか興味があることとかあるのかしら?」

紫の言葉に多少びくつきながら、月夜は考えた。

(んー・・・力なしだと運動系はきついよなぁ?つか下手に力使った日にゃ世界記録すら余裕だろうし・・・文系っつうと何があったっけか・・・?)

「か、科学部なんてどうかな!?」

「そうか、科学部なんていうのもあったか・・・ん?」

突然月夜の思考を遮るように響いた声に、月夜は疑問の声を上げながらその声の主を見た。紫も楓も同様に、驚きながらいきなり現れたその声の主に視線を向ける。

「か、科学部なんてどうかな!?」

もう一度その少年は叫んだ。身長は150の半ば程。髪は鼻の先辺りまで伸びていて、切りそろえられた髪は今時珍しくおかっぱになっている。そして髪の毛の下、度の強そうな眼鏡のその更に下には、幼さの残る瞳が覗いている。手足は細く、月夜より貧弱そうで、典型的文系少年っぽかった。

「か、科学・・・」

「「「誰?」」」

少年が三回目を言う前に、三人は異口同音にそう聞いた。止めなければずっと同じことを言ってそうな少年は、少しだけもじもじとした後、思い切ったように口を開いた。

「・・・同じクラスの、新倉(にいくら) (たもつ)と言います。よろしくお願いします!」

同い年のはずなのに、なぜか敬語の保は丁寧に頭まで下げた。

「あー、えっと・・・よろしく・・・?」

「えーと・・・よろしくー」

「私は木曽根紫、よろしくね。・・・ほら、二人とも、名前言わないとだめじゃない」

突然のことで焦っていた月夜と楓は、一人冷静になっていた紫にそう促される。

「あ!だ、大丈夫です!如月月夜さんに如月楓さん、ですよね?」

月夜と楓が言う前に、保がそう叫んでいた。

(確か彼とは面識ないし一年のクラスも違ったはずだけど、なんで知ってるんだろうなぁ・・・)

月夜はそう思って、すぐに気づいた。サーシャの事件以来、学校内では自分が有名になっているということに。もちろん、そんな月夜とずっと一緒にいる楓も有名だった。

「で、その新倉君がなんの用かな?」

楓にはともかく、月夜に話しかけてくる人間は早々いない。それだけ、怖がられているということだ。

「あ、あのですね!ぶ、部活の話をしてましたよね?」

保の喋り方が、初めての相手に対する緊張からなのか、それとも怖さからなのか、どっちとも判断つかない月夜は、それでも気にせずツッコンだ。

「立ち聞きしてたのか?」

直後、保は、あわわわわ、と慌てながら顔を赤くする。どうやら、ただ単純に恥ずかしがり屋なだけのようだ。

「ご、ご、ごめんなさい!別に悪気があったわけじゃないんです!ただ部活に興味があるのなら、科学部にどうかな、なんて思っただけなんです!」

明らか挙動不審気味な保だが、なぜか愛嬌があって可愛らしかった。

「どうして、科学部に、って思ったんだ?」

「え、えーと・・・それは・・・」

「こらこら、あんまり質問攻めにしちゃ可哀想でしょ?」

何やら焦りながら説明しようとしている保に、楓が助け舟を出した。

「俺に話しかけるなんてよっぽどのことがない限り無理だろ?」

それに、と月夜は続ける。

「なんか反応が面白いし」

「ていうかそっちが本音でしょ?」

図星だった月夜は、楓にそう言われて誤魔化し笑いを浮かべた。

「あっはっは、なんのことだか・・・」

紫と楓の二人にジトーとした目で見られて、月夜は素直に謝った。

「分かった分かった、俺が悪かったって・・・で、からかう云々はともかく、話聞かせてもらえるかな?」

「は、はい!」

事の成り行きを見守っていた保は、矛先が再度自分に戻ったことを知って微妙に焦りながら頷いた。そして、たどたどしい感じで説明し始める。

「実はですね、その・・・今、僕たち科学部は、大変人材不足でして・・・春休み中の部活見学に来た新入生も一人もいなくてですね、えと・・・」

本当に困っているような感じで、保は続ける。

「二年生も僕を含めて二人しかいなくて・・・もし一年生が入らないまま、先輩たちが引退してしまったら部がなくなってしまうんです」

喋っている間に、たどたどしさは消えていた。

「ふーん・・・で、なんで俺らを勧誘するんだ?二年生増やしたところで、結局何も変わらないんじゃないか?」

「そうね、普通なら一年生を勧誘しに行くべきじゃないかしら?それをしないってことは、まだ理由があるのよね?」

紫の的確な指摘に、保は頷いた。

「計算上ですが・・・僕らが一年生を勧誘したとしても、増やせる人数はおそらく1.6人程です。現状を考えると、一人二人じゃ足りないんですよー・・・」

どうやって計算したんだろうなぁ・・・と月夜は疑問を感じたが、口には出さなかった。

「その計算と月夜を勧誘することに何の関係があるのかな?」

楓にそう聞かれ、保は恐縮しながら答えた。

「来月の初めに行われる部活動説明会に、ぜひ如月さんの力を貸して欲しいと思いまして・・・」

「月夜でいいよ、如月だと楓と被るし」

マイペースな調子で、月夜は言う。

「は、はい!月夜さん、部活動説明会までの間でいいので、うちの部に力を貸していただけませんか!」

丁寧ながらも、強い調子で言う保に、月夜は頭を悩ませた。

「とは言ってもなぁ・・・」

「人選ミスだと思うよ。口下手な月夜を部活動説明会に出したって、なんの意味もないと思うけど・・・」

さりげなくひどい言い方をしている楓に、保は強い調子を崩さずに鬼気迫る様子で言う。

「新入生はともかく、二、三年生の間で有名な月夜さんならなんとかしてくれると思ったんです!」

「んー・・・」

月夜は困ったように頭をかいた。有名、とは一言で言っても、別段何かを出来るわけでもない。月夜の力は破壊は出来ても、そういうところじゃ全く役にたたないのだ。かといって、月夜は断るのも気がひけた。保とは会ったばかりではあるが、自分の大切な物の為にまっすぐ真摯になれる彼に、月夜は好感を覚えたからだ。

「俺いても、なんの役にもたたないと思うけど・・・」

でも、そうだな。と月夜は呟く。

「協力してもいいよ」

「ほ、ほ、本当ですか!?」

月夜のその言葉に、保は目を輝かせながら月夜に迫り寄る。月夜はそれを両手で制止ながら、叫ぶ。

「近い近い、とりあえず落ち着け!」

「それじゃあ早速!今から化学室に来てもらえますか!?」

人の話を聞かないたちなのか、保は懐いてる子犬のように月夜に身を寄せてくる。しかし、すぐに。

「あ!それじゃ今いる部員を化学室に集めておきますね!!」

と言いながら、嵐のように教室を出て行ってしまった。

「・・・なんか、疲れたな」

後に残された月夜はぽつりと呟く。

「どうしたの月夜?私てっきり断るものだと思ってたけど・・・」

今まで呆然としながらことの成り行きを見ていた楓が、月夜にそう問いかける。

「んー・・・そこで倒れてるのがさっきも言ってただろ?」

月夜はいまだ床に転がっている利樹を指差しながら、続ける。

「まずは行動、ってね。元々なんの部活入るのかも決まってなかったし、なし崩し的とはいえそれもありかな、って思ったんだよ」

どうやら必要とされてるみたいだしねぇ、と月夜はのほほんと呟く。

「ほんと、月夜君はマイペースよね・・・それが、良い所でもあるんだろうけど」

そう言った後、紫は倒れている利樹の顔をペシペシはたいた。どうやら起こしているようだ。

「つっても、何も出来ないだろうけどさ・・・んじゃま、待たせるのも悪いし、俺は行って来るよ」

月夜は立ち上がり、歩き出す。

「あ、私も行くよ」

その後ろにくっついて、楓もとてとてと歩き出す。

「それじゃ、紫またねー」

「またなー」

「頑張ってらっしゃい」

紫に見送られ、二人は教室を出て行った。


化学室に向かう最中、月夜は隣を歩く楓に聞いた。

「どうしてついてきたんだ?先帰ってても良かったのに」

「月夜一人じゃ心配でしょ」

平然と言う楓に、月夜は軽くムッとしたが、本当のことなので言い返せなかった。

「それに・・・月夜が科学部に入るなら、私も一緒に入りたいなぁ・・・って」

仄かに頬を赤くして言う楓に、月夜は照れたように聞く。

「ど、どうして?」

「一緒の時間、減るのやだもん」

部活に入るのがそんな動機でいいのか?といつもの月夜ならツッコミそうなものだが、今の月夜はそんな楓の熱に当てられ、赤くなって金魚のように口をぱくぱくとさせている。

「部活でもなんでも、月夜との思い出増やしていきたいんだもん」

楓は顔を赤くしながら俯き、月夜に身を寄せる。微かに体が触れ合う程度だったが、どちらもかなりドキドキしていた。

(くそ・・・反則だよ、ほんとに、ほほ、ほんとに・・・)

動揺しながら、そんな意味の分からない考えが月夜の頭に渦巻く。その後、お互い黙ったまま・・・月夜はただ単に喋れなくなってただけだが。とにかく目当ての化学室に着いたのだった。



化学室の中は、お世辞にもきれいとは言えなかった。広さは教室の四分の一程度で、棚や机が置いてあるため狭く見える。床や棚には雑然と物が散らばったりしているため、ひどく汚く見えた。

「お、やっと来たみたいだね、待ってたよ」

部屋の中心部の四角い机に座っていた四人の生徒、その中で一番体格の良い男子が笑いながらそう言った。

(待ってたも何も、十分もたってない気がするんだけど・・・)

そう思った月夜だったが、各々がまるで、元旦にお年玉を待っていたような子どもの目をしていたため、口にすることはしなかった。

「あ、どうも、初めまして」

「初めましてー」

「まぁまぁ、立ち話もなんだから座ってくれ」

会釈をしながら挨拶をする二人に、席を指しながら体格の良い男はそう言った。二人はおずおずと、入ってきたドア側の二席に腰掛けた。

「さて諸君、色々話もあるが・・・まずは自己紹介から始めるとしようか」

体格の良い男は各々を見回しそう言った後、自己紹介を始めた。

「俺は猪熊 浩二(いのくまこうじ)、三年生だ。見ての通り、科学部の部長をやっている」

見ての通り・・・?身長は180を超えていそうで、体格が良い彼は、科学部の部長というよりも空手部や柔道部の主将といった感じだった。スポーツ刈りのまん丸頭が、尚更それを強調している。

「すぐに引退になるが、短い間よろしくな!」

がっはっは、と豪気に笑う彼は、熊ですら倒せそうだった。浩二は、次、と言いながら右斜めにいる生徒を指差す。

「うい、僕は鹿山 鋭治(かやまえいじ)、部長と同じ三年生。どうやら副部長なんてものをやらされてるよ。短いけどよろしく」

身長は170後半程、すらりとした体でスタイルが良く、科学部より軽音楽部などのほうが似合っている。髪は茶髪で、利樹から真面目さを抜いたらこんな感じになりそうだった。

「次!」

「えーと僕は・・・」

「以下省略!」

「ええ!?ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」

必死でそう言っているのは、貧弱そうな男子だった。身長は160程で、体はもやしのように細い。髪は肩程まであり、ぼさぼさになっているため不衛生っぽく見える。先の二人よりは科学部、という印象が強い男子だ。

「冗談だよ冗談、ほら、早く進めろ」

浩二にそう言われ、うう・・・と半泣き状態で彼は口を開いた。

「僕は鳥沢 太郎(とりざわたろう)、君達と同じ二年生です。よろしくお願いします」

ふかぶかと頭を下げる彼は、どうにもいじめられっ子のような雰囲気を醸し出していた。

「つーぎー!!・・・はぁ、もう自己紹介とかどうでもいいんじゃね?」

唐突にやる気がなさそうに、浩二はぶっちゃけた。その態度の急変ぶりは、まるで人が変わったかのようだ。

「ああ、それ、僕も思う」

副部長である鋭治ですら、投げやりな調子だった。なんなんだこの部は・・・と、月夜は溜め息をもらす。

「実際な、なくなったらなくなったでいいと思うんだよ。卒業しちまったら関係ねーし」

「それ、僕も思う」

もはや部長と副部長の台詞には思えないようなことを、二人は言い始めた。そこで突然、バンッ、と机を叩いて立ち上がった男子がいた。

「何言ってるんですか!二人がそんな調子だから、部がなくなっちゃうんですよ!!」

そう叫んだのは、先ほど月夜たちを勧誘した保だった。彼はさっきのようなおどおどした様子はなく、まくしたてるように怒鳴る。

「大体から、先輩方はやる気なさすぎるんですよ!!卒業してった先輩たちが、あれ程部を頼む、って言ってたじゃないですか!?」

「つってもなぁ・・・別に部長なんかやりたくてやってるわけじゃねーし?楽そうだから、ここ入っただけだし」

「それ、僕も一緒」

あまりにもひどい二人の言葉に、保は頭に血が上ったようだ。

「な・・・っ!前々から思ってたんですけどね、先輩方は・・・」

「うっせーよお前、化学だか科学だかしらねーけど、こっちは色々忙しいんだよ!」

「それ、僕も一緒」

もはや逆切れみたいなものだった。副部長の鋭治に至っては、先ほどから反応が薄いかと思えば、いつの間にやら片耳にヘッドホンをつけている。

「今日も用事があるっつうのに・・・俺、帰るわ」

「それ、僕も同意」

二人はだるそうに立ち上がると、部屋を出て行こうとする。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」

服を引っ張り、引きとめようとする保だが、うぜぇ!と言われ、体格の良い浩二に突き飛ばされた。危うく机に激突しそうになった保を、月夜がしっかりと抱き止めた。

「大丈夫か?ったく・・・なんなんだあいつらは?」

二人が出て行ったドアを見つめながら、月夜は忌々しげに言った。今まで黙って見ていた月夜と楓だったが、あの二人の傍若無人な態度に、内心イライラしていた。

「・・・ごめんなさい、折角、来てくれたのに・・・」

ぽろぽろと涙をこぼしながら、保は謝罪の言葉を述べる。

「って、泣くなよ・・・!どうやら、なんか事情があるみたいだな」

「みたいだね、さっきの人たちを見る限りじゃ・・・私、あの人たち嫌い」

月夜以外には温厚な楓ですら、怒りが湧いているようだった。

「まぁとりあえず、一旦落ち着いて・・・事情、聞かせてもらおうか」

月夜から離れた保は、先ほど自身が座っていた席についておずおずと言う。

「こんな状況になったのに・・・怒らないんですか?」

「怒るもくそも、お前は悪くないんじゃないか?それに、乗りかかった船、だしな」

正直、面倒事はごめん被りたい月夜だったが、何やら事情がありそうな保を放っておけるほど月夜は冷酷ではなかった。

「そうそう、新倉君は悪くないよ。・・・実は乗りかかった船は豪華客船でした、ってオチでも」

なんとなく湿っぽくなっていた雰囲気を盛り上げるために、言い馴れないギャグを言った楓だったが、逆に場が静まった。

「・・・氷山に当たって沈みます、ってか?」

月夜がぽつりと呟く。

「はい、ごめんなさい」

楓は素直に謝った。


保の話によると、科学部がなくなる危機がある、というのは間違いではないらしい。理由はいくつかあるが、まず五人以上いないと部の存続は認められない。二年生が二人、三年生が三人(一人はほぼ幽霊部員らしいが)のぎりぎりの状況のため、三年生が引退することを考えると最低でも三人は一年生、もしくは二年生が必要になってくる。次に、やる気のない部長と副部長の存在だった。彼らが積極的に行動しないため、人も増えないし、何より新しい人が入ってもやめてしまうそうだ。保が一年生の時、保と太郎以外にも数人いたらしいが、二人の傍若無人さややる気のなさに嫌気をさし、やめていった行った人がいるらしい。そして最後に、部活動説明会が問題だった。保いわく、「それで人の目をひけるようなことをしないと人が増えない」、とのことらしい。効果の程は分からないが、元々部活のことなど知らない月夜よりは保のほうがその辺は詳しいのだ。その部活動説明会、間違いなくあの二人は出ないだろう、ということだった。太郎と保は人前で話すのが苦手で、うまいアイディアも考えることが出来ず、学校で有名である月夜に頼ることとなったのだ。


「話は分かった、けどさ、さっきも言ったように、俺何にも出来ないよ?」

科学の結晶と言っても過言ではない生まれの月夜だが、本人はそこまで科学が好きなわけでも得意なわけでもない。勉強自体は出来るが、何かを発明したり作ったりなどのアイディアは、持ち合わせてはいなかった。

「でもでも、月夜さんならなんとかしてくると思ってます!前に変な人に学校が襲われた時だって、みんなを助けてくれたじゃないですか!」

「いや・・・あれは・・・」

保が言っているのは間違いなくサーシャのことだった。しかし、あれは月夜がみんなを助けたわけじゃなく、みんなを巻き込んでしまった、という方が正解だ。その証拠に、サーシャは学校にいた全員を人質にした上で月夜を呼び出したのだから。

(新倉って、人とちょっとずれてんのか・・・?まぁ、そう思ってるならそれでいいか・・・な)

罪悪感を感じながらも、尊敬するような目で見てくる保に真実を打ち明ける気にもなれず、月夜は黙った。

「ほんと、頼ってばかりですいません」

影が薄い太郎は、ペコペコと頭を下げる。なんにせよ、科学部をなんとかしないといけない状況になりつつある月夜は、頭を悩ませた。

「んー・・・要は、周りに興味を持たせたり、目に付くようなことをすればいいんだよね?」

楓の言葉に、保は力なく頷く。

「はい、それだけ・・・それだけのことなんです。でも、たったそれだけ、が僕らには出来なくて・・・あの二人のこともありますし」

沸々と湧いて上がるような怒りのオーラを、保は体から立ち昇らせている。

「新倉は、この部活が大事なんだな・・・」

「はい、もう卒業してしまった先輩方が、僕たちに託してくれた大切なものですよ。だから・・・だからこそ、僕は中途半端な気持ちでやってるあの二人が許せないんです」

中途半端・・・か、俺もそうなのかもしれないな・・・。と月夜は胸の中で申し訳なさそうに独りごちる。とりあえず行動、それを基準に動いた月夜は、やっぱり中途半端なのかもしれない。でも・・・

「なら、何がなんでも守り抜かないとな。廃部にさせるようなまねはしたくないし、あの二人は更生は無理だとしても、引退するまで大人しくしててもらうか」

例え中途半端だとしても、自分の出来ることをやり通したい。知り合って間もない保ではあるが、その真剣さは月夜にそう思わせた。

「だけど、部活動説明会の方はいい考えが思い浮かばないなぁ・・・」

「新倉君と・・・鳥沢君だっけ?何か科学部らしいことをやればいいんじゃない?」

楓にそう言われた保と太郎は、困ったように顔を見合わせた。

「目に付くようなこと、何か出来たっけ・・・?科学は確かに素晴らしいものだけど、理解されないんじゃ意味ないし・・・」

くだけた感じで話す保に、太郎もくだけた感じで返す。

「拙者にも何も思い浮かばぬでござるよ・・・せめてあれが完成してれば良かったのに」

くだけた、というよりも怪しい口調になっている太郎に、月夜は問いかけた。

「あれってなんのこと?」

待ってました、と言わんばかりに、胸を張って太郎は口を開いた。

「ミニチュアの機械人形でござるよ。あるアニメの機体を正確に模写して、精密に作り上げたんでござる。まだ製作段階でござるが、完成すればノーベル賞も夢ではないでござる!」

アニメやら機械人形やら太郎の話し方はともかく、ノーベル賞級というのに月夜は驚いた。

「それはすごいな・・・」

感嘆の声をあげる月夜に、保は申し訳なさそうに説明した。

「ごめんなさい、太郎はちょっと言い方が大げさなので・・・確かに良い出来ですし、男のロマンを感じさせる物ではあるんですが・・・ノーベル賞は絶対無理ですから」

「何を言っているんだ保氏!男のロマン・・・男だけが満足するだけで、この三次元では半分も支持を得られるのですぞ!!ノーベル賞どころか、国一つ建てられてもおかしくはないのだよ!」

色々な喋り方が混ざり、熱い口調で語る太郎。正直言ってることは間違ってはいない気もするが、月夜には言ってることの半分も理解出来なかった。楓に至っては先ほどからハテナマークに埋もれている。

「分かった、分かったからとにかく落ち着いて・・・」

「分かってはおらぬでないかー!」

どうにか落ち着かせようとしている保、何やらテンションが上がりすぎて熱暴走でも起こしそうな太郎。両者を見ながら、二人は止めることなくいまだ目を点にしている。勢いの弱い保が劣勢かと思われた瞬間、事態が急変した。

「・・・・・・」

スッ、と無言のまま、保は眼鏡をとり机に置いた。丸くて小動物のような小さな瞳が一瞬見えたかと思うと・・・その瞳が、殺気を帯びたように鋭くなった。

「黙れつってんだよこのクソ野郎!!」

急変した保に恐れをなすように、太郎は恐縮してビクビクと体を震わす。刹那、軽く跳び上がって放たれた保のケリが、太郎の首の後ろ、延髄にのめり込んだ。

「む、無念・・・」

謎の言葉を残し、太郎はその場に崩れ落ちた。ドシャッ、という崩れ落ちる音よりも早く、保は罵詈雑言を口にする。

「うざってぇんだよ!こっちは静かにしろつってんだろうが?あ!お前はアレか?人の話が聞けない低脳なのか、おい!!その生ゴミが詰まった脳みそ、体ごと焼却炉にほんなげてやろうか!!?」

百八十度性格が豹変した保を、月夜と楓はポカーンと口を開いて呆然と見ている。今までの丁寧さや大人しさ、そんなものは全く皆無に等しかった。

「ったくよ!大体から・・・」

そこまで言ってから、保は何かに気づいたように動きを止めた。そして、機械のように、ギギギギ、という擬音が合いそうな動作でゆっくりと月夜と楓に顔を向ける。鋭くなっていた瞳は、既にいつもの丸いものに戻っている。

「・・・えーと、見てました・・・よね?」

「「うん」」

二人がいまだに動揺しながら頷くと。保は申し訳なさそうな顔で言った。

「すいません、癖なんです・・・下手したら地なのかもしれませんが・・・」

本当に申し訳なさそうにペコペコ頭を下げた後、保は眼鏡を再度かけなおした。

「じゃあ、えっと・・・今日はこの辺で、はい」

おずおずとそう切り出した保に、二人は頷いた。

「ああ・・・うん。分かった、それじゃ」

「あ、えと・・・そうだね」

ぎこちなく喋る二人に、保は身を縮こまらせる。今まででも何度かその癖のせいで、知り合いや友達にそんな感じの態度をとられたことのある彼は、切なそうな顔をしていた。それの行き着く先は、人が自分から離れていくことになる、それを、彼は身を以って知っているからだ。

「僕・・・その・・・」

もじもじと何かを言おうとしている保に、月夜は怪訝な目を向ける。

「ん?どうしたんだそんな顔して。まぁ俺もうまくやれるか不安っちゃ不安だけど・・・まぁ、なんとかするさ。お互いがんばろうぜ」

「私も色々考えてみるよ、あんまり頭良くないからだめかもしれないけど・・・がんばろうね」

二人の言葉は、保から離れていく者のそれとは違っていた。それでも、保は確認するために弱弱しく聞く。

「あの・・・お二人とも、僕のこと・・・その、怖がったりしないんですか?急に性格変わったりして・・・気持ち悪いとか」

きょとん、とした顔をした後、月夜と楓は笑い出した。

「最初はびっくりしたけど、まぁ個性的で面白いんじゃないか?あのむかつく先輩方にも、そんな感じで言ってやればいいのに」

「私も最初はびっくりしたけど、月夜程のびっくり人間じゃないし」

楓の言葉に月夜は反論する。

「いや俺もそこまでびっくり人間ってわけじゃないんだけど・・・」

「えー?爆発したり常に寝てたり死んでみたり生き返ってみたり・・・」

冗談にならないような本当のことを、楓は指を折りながら数える。それに月夜がツッコンだり、逆に楓が月夜の頭をペシペシたたき返したり、そんなコントみたいな光景を見て、保はつい笑ってしまった。

「あはは、二人とも、よく変わってるって言われません?」

「「こっちが」」

月夜と楓はお互いを指差しながら、異口同音に口にした。

「似たもの同士なんですね・・・なんかちょっと、羨ましいです」

保の言葉は、ちょっと、ではなく、本当に羨ましい、と言った感じだった。

「羨ましいか?」

「そんなに欲しいならあげるよ?これ」

「はい、これから相方としてよろしくー・・・って違うだろ!?」

自分を指差す楓に、月夜はノリツッコミを入れた。このまま放っておいたら、いつまでも夫婦漫才を続けそうな二人だった。

「あははは・・・」

そんな二人を見ながら、保は笑いをこぼす。心にあいていた穴が、何かに埋められたような・・・そんな、嬉しい気持ちを感じながら、保は微笑んだ。


個性の塊のような科学部の部員たち、そしてそれと同じ様な月夜と楓・・・彼らは果たして、部を存続させることが出来るのだろうか?

(どうでもいい)歴史が再び動き出す。

・・・はい、ごめんなさいorz

なんで投稿したんだろう・・・と自分でも本気で悩みますが、まぁやってしまったからには最後までいきます。最後まで付いて来てくれる人がいたら・・・嬉しいなぁ。

どうなるんだろう科学部(´・ω・`)

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