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81話

 促され、少年もイスを引く。そして選んだシシーの右手からは、黒いポーン。後手だ。


「カッコいいね。あとさ、最後にもう一個だけ聞いていい?」


 ドカッと座り、テーブルに肘をついて、不敵に顔を近づける。


「なんだ? どうでもいいことだったら帰るぞ」


 シシーも引かずに対応する。息がかかる距離だが、お互いに視線を外さない。


「ライチのいい香りだ。好きだよ、香水の趣味も合うね僕達」


 少年が、その艶のあるシシーの髪に触れようとする。口を開き、舌を出し味わおうとしているのか。


 その手をパンッ、と冷徹な目をしたシシーが払いのける。


「他に合っているところがあったか? で、なんだ聞きたいことは?」


 仕切り直し、と少年がイスの背もたれに寄りかかる。


「チェスでさぁ。人って死ぬと思う?」


 瞬きもせず、笑いもせず、普通に考えれば意味不明なことを、問いかける。


 しかし、それすらも日常のひとコマであるかのように、顔色も変えずにシシーは対応した。


「死ぬだろ。簡単に」


「ハハッ!」


 答えを聞き、笑いながらイスの背もたれに少年は身を預けた。求めていたもの。きっとこの女性は持っている。やっと巡り会えたかもしれない。だから、早くやらなきゃ。彼女の化けの皮が剥がれてしまう前に。シンデレラの魔法が解けてしまう前に。


「……最っ高だ」

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