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314話

「あれ? あれれ?」


 今日はひとり寂しくお留守番。それくらいは我慢できるし、と強がっていたケティだったが、テーブルの上に置かれた箱を見つけた。命の次、の次の次くらいにお姉ちゃんが大事と言っていたタバコ。まぁ消耗品だから、このタバコというか概念なんだろうけど。


 その大事なものを置いていくだなんて。近くのスーパーに行くにも、わざと遠回りしてひと箱吸い終わったこともあるくらい、紫炎を燻らせることに定評のあるお姉ちゃんが。


「少しは健康を気遣い出したのかな」


 いや、それはないと思う。しかも今日はチェスの勝負。吸い溜めをしておかないとどうにかなっちゃう人。この時間、買うのも難しい。渡しに行こうか? いや、どこに行ってるのか知らないし。部屋から出るなって言われているし。


 相手のことを「弱い」と言っていた。たぶん、嘘。認めていたり、なにかしら憧れる部分があるとそういう強がりを言う。ということは、結構ヤバい感じなのかな。でもできることはない。


 部屋の電気を消す。静かだ。とても。昔はお父さんに色々と言われたりしていて、寝る時もお姉ちゃんと一緒じゃなきゃダメだった。今では成長して、ひとりでも眠れる。でもいてくれたほうがいい。寝つきもいい。胸元に彫ってあるタトゥー。読めないけど、字の如くぐっすりと眠れるらしい。


 自分はお酒もタバコもやらないけど。お姉ちゃんは最近はここにも帰らないで、どこかで泊まってくることも多くなった。他に恋人でもいるのかもしれない。でもそれは仕方ない。美人だし。料理も上手だし。もう大人だし。私もそろそろそういうのを許してあげなくもない。


 違法なチェスをしてるって言ってたけど、包み隠さず教えてくれてよかった。嘘はお互いに言わないって決めたから。だからずっと。良い子にしているから。このまま。このままずっと——。

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