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300話

 薄暗い部屋で目を覚ます。電気も全て消えている。外の明かりが少し入ってくる程度。


「……ここ、どこだっけ」


 真っ直ぐ目の前には、自分の趣味とは合わなそうなペンダントライトが天井から吊り下がっている。買った記憶はない。ということは、ここは自室ではない。お酒も少し入っているらしい。お酒。そうだ、今、パリにいるんだった。そのホテルだ。


「……ていうか、シシーってどこ行ったんだっけ。帰ったのかな」


 一緒にいてくれたはずなんだけど。で、そうそう。さっきまでこうやって——


「……ふふっ」


 やっぱり。デュべの下は裸。夢じゃなかった。ところどころに痕もある。間違いない。


 なにがあったのか知らないけど。初めてなんじゃないかというくらい、熱く求められた。なんというかこう、発散するようであり、尚且つチャージする、みたいな。つまりは明日の夜も期待していい、ということだろうか。わざわざ追いかけてここまで来てくれた、っていうのが燃えたのかな。


「SNS更新しなきゃ」


 幸せな気持ちのまま。パリ最高。今後、シシーがアメリカだろうがアジアだろうがオセアニアだろうが、どこか行く時はついていこう。ついて行く、よりなにも言わずにこっそり行ったほうがいい? わからないけど。


 それか、あれか。新しい下着が効いた、とか。となるとまた買いに行ってこなきゃ。むしろ留学とか言っちゃってこっち来たのも、実は追いかけてきてほしくて、で本当に来てくれたから激しくなっちゃった? ひゃー。


 恋に焦がれて鳴く蝉よりも、鳴かぬ蛍が身を焦がす。最近覚えた言葉。日本のなんとかって人のドドイツとかいうのらしいけど、なんだか自分のことを言っているようで。本当に想っている人は、内側で想いを溜め込み、そして爆発させる。いつも一緒にいてはいけない、のかもしれない。


 わからないことだらけだけど。なにかあの子の役に立てているなら。それでいい。

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