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215話

「最初から拒否権はない。裏の賭け金なども必要ない。子供から金を取るつもりはないからな」


 必要なものは勝ちと価値。せいぜい利用させてもらう、というリベレは自身の運の良さを再度、神に感謝。


 撮影しているものはドイツの運営に生中継として引き渡され、もちろん本国でも賭けの対象。最初に優勝者を予想する賭けとは別で、それぞれの対局に賭けられる。そのベットは本人達には伝わらないため、不正はできない。


 本来であれば、まだ始まったばかりの一回戦や二回戦程度であれば、力量が不明なため、あまり賭けが盛り上がることはない。だが、すでに悪役であり道化師のような立ち位置の『毒蜂』と『丸罰ゲーム』は、話題が先行しており視聴者も賭けも他との比にならない。


 負けても失うものはない。元々ないと思っていた蜘蛛の糸。元から肩に力を入れることはないサーシャ。失うものはなくても、得るものはあって然るべき。


「それはどうも。じゃ、僕は『僕とギフトビーネの夕食代。ここのレストランの高いものから五つずつ』でどう?」


 そこまで調べてある。ここはフロアの奥にレストランがあること。中二階のものより設備のいいバーも。なら利用してみたいでしょ?


 明らかな不満顔で睨みつけるリベレ。一方的に不利な条件。


「……私は無しだと——」


「それはそっちのルールだ。こっちは了承していない。ていうか、突然来られても困るよ。何時に終わるかもわからないし。それに負けるつもりはないんでしょ? ならいいよね」


 捲し立てて、話に入り込む隙間を与えないサーシャは、すでに勝ったあとのことを考える。夕食代が浮く。つまりシシーに褒めてもらえる。えへへ。


 だがたしかに。負けるつもりはないため、考える必要のないこと。リベレも納得。


「いいだろう。好きなだけ食えばいい」


 まぁ、自分が勝ったあと、軽食くらいならご馳走してやらないこともない。少しの出費は覚悟。


 食の都パリ。本格的なレストランではないが、本格的でないからこその味がある。違法カジノのレストラン。肉にしようか魚にしようか。サーシャはそのことで頭がいっぱい。


「よかった。気になってたんだよね、ここのレストラン。人のお金で食べるご飯はより美味しいからね」


 姉にはお土産話がまた増えた。やはり僕は。運がいい。

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