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206話

「自分で言うのもなんだけど、かなり目ざといからね、俺は。注意深くて思慮深いだけだ。気にしないでくれ」


 フォローを入れつつシシーはコーヒーを飲む。うん、たまにはカプチーノもいい。


 肺に満たされた気体をグウェンドリンは全て吐き出す。そのまま重力に任せ、頭を垂れる。降参。参った。ならば。


「……モンフェルナとケーニギンクローネ。レティシア・キャロルとシシー・リーフェンシュタール。二大美女、秘密の密会。からの、初めてのパリ散策。っていうことなんですよ」


 白状します。追いかけていたことを。


 だが、シシーの脳には正しく情報が入って来ない。なんですよ、と言われても。


「……話が読めないね。別に俺はいいけど、レティシアさんはどう思うかな。キミは彼女のファンかなにかかな?」


 それほどまでに彼女が美しいのは認めよう。ベルリンまで連れて帰りたいほど。


 離れて会話するのも申し訳ない。そう感じたグウェンドリンはシシーの対面に移動。


「そうです。スナップで撮られる前から、一般人で収まる器ではない、と感じていました。そしてシシーさん。それはあなたにも」


 ゆえにちょっとだけ追っかけ。これもファンに近い。少し迷惑気味な。


「買い被りすぎだね。俺は普通に普通だ。それに、ケーニギンクローネであれば、リディアもアニエルカさんもユリアーネさんもいる。みんな可愛いよ」


 俺なんかよりも純粋で。清廉で。謹直で。いや、一名違うか。ともかくシシーとしては注目されるのはありがたいが、やりたいこともある。サーシャ……もダメだ。悪いけど、二人に押し付けるか。だが。


「あ、じゃあ写真を見たって言ってましたけど、モンフェルナで可愛いと思う人を挙げてもらっていいですか? どんなところが? 付き合うならどの人です? 性格の良さそうな人は? 男だと誰が一番クールですか?」


 ひとつ断られると、わらわらと他の質問の弾を補充するグウェンドリン。それほどまでに、このベルリンから来た女王に惹きつけられるものがある。直感は信じる派。


 一応全て聞き取れたわけだが、すぐには答えづらいシシー。というかそんなこと考えてもいない。付き合うとか。男とか。


「……まるでヒドラだな……」


 首を切り落としても増えて生えてくる神話上のアレ。断ると質問がマシンガンのように増量して返ってくる。


「自分は終わりませんので」


 と、テーブルから身を乗り出して会話を続けるグウェンドリン。朝まで喋りそうな勢い。

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