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181話

 ドイツでは、夜出歩くことがとても危険な地域が多数ある。というのも、必ずといっていいほどに麻薬の密売人がいるため、声をかけられる恐れがある。だが、ギャンブルと同じで政府は禁止と抑えつけるのではなく、適度に楽しむぶんには見逃している。


 女性は結局、コカイン中毒によりまもなく死んでしまった。何度も何度もサーシャの体を求め、隣人から声について注意されてもやめることはできず、花火が最後に強く燃えるように、派手に命の花を散らしていった。


 その際、徹底的に女性の喜ぶポイントを教えられた。「男だけはやめておくように」という言いつけは守ろう、とその後は女性にだけ声をかけた。もちろん違法な性行為だというのは相手も認識しているが、美しさと妖しさを兼ね備えたサーシャに抗うことはなかった。


 少しずつ、少しずつではあるが体も成長し、小児性愛というよりかは小柄な成人、程度に扱われるほどに。相手からしても罪の意識は薄れている、もしくはないだろう。顔つきなどはまだまだ子供だが、年齢も明かしていないため、そのあたりにも拍車をかけた。


 最初はご飯と寝床の対価、という程度だったが、サーシャを手にした女性は自慢をしたくなってしまうようで。容姿、テクニック、従順な性格。それらを他の同じ趣向の友人達に紹介する。すると、金銭で次の出向先が決まり、向かうよう指示される。


 到着すると快楽の道具として。一般人であれば拒否するような、かなりエグめの趣味や道具にもサーシャはNGを出さずに全て受け止める。痛みにも嫌な顔ひとつしない。


 そんな関係は二〇人を超えたあたりからは数えるのをやめたが、絶えることなく口コミのように広がり、仲間内だけで秘密裏に順番待ちができているほど。『みんなのモノ』として携帯なども支給され、時と場所を選ばずに女性の相手をし続ける。


 時折、新顔の女性からの「動物園に一緒に行きたい」なんてお願いもあり、喜んでサーシャは快諾するが、結局は途中から体の相手ばかりさせられる。呼ばれて行ったら複数人いて、全員が満足するまで帰してもらえなかったり、と人間のような扱いはほとんどされなかった。


 それでも嬉しかった。親からも必要とされず。必要としてくれた人は死んでしまい。心の穴を埋めてくれるのは『誰かに必要とされること』。誰でもよかった。体を売ればそうなれるのは僥倖だったのかもしれない。そこだけは産んでくれた親に感謝。


 暴力的な求められ方も。甘く恋人のような求められ方も。そこにはその人なりの愛があって。

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