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悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第六章(最終章)
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 「光?」誰も疑問を感じた表情。全員わからないようだ。


「ええ。微かに光った。私と五十鈴部長が触ったと途端、微かに光ったの。これは見間違いではない。」


 全員少し考えこんでいた、少し納得できない様子。ここでメリー伯爵は言った。


「言っている意味がわかりました。しかし、さっきわたくしは光など見えていません。他の方は?」


 全員否定した。


 (俺も見えていないよ、光。)


「うん。ロードルフ子爵様も否定した。これでわかるだろう。五十鈴部長が嘘をついた。」


「待てください。クロイ様でしたね?」とウィリアム侯爵が言った。


「はい。」


「このことで五十鈴部長が嘘をついたと言ったが、その関連性がわかりにくい。もう少し説明してください。」


「では、まず前提を知ってほしい。今、この身体の中に、ロードルフ子爵様がいる。そして、私たちには『共有感覚』がある。このことはわかる?」


「身体の感覚が共有していますね。これなら五十鈴様に説明してくださることがあります。」


「うん。では、ロードルフ子爵は私と感覚が共有している。つまり、私の視野で光を見えていないなら、『密書が微かに光った』ことは私と五十鈴部長しかわからない情報だ。必要でしたら、確認してくださいね。」


「どう……?まあ、見えていないよ。」まるでもう結果がわかった感じで、五十鈴部長がしょうがない顔で言った。


「では、このことで一つ確定できる。それは五十鈴部長が『知ったふり』をして、『嘘』のことをあなたたちに教えてあげたのだ。」


「なるほど。いいでしょう。とりあえず、『密書が微かに光ったことを見た』の情報を信じましょう。そして、クロイ様とイスズ様の代弁の発言も信じましょう。

 しかし、このことでイスズ様が『嘘』をついたとは……いささか強引ですね。もっと大事なことがあるでしょうか?」とメリー伯爵が言った。


 ……


「ええ、もちろんあります。さっき三つの『現象』、五十鈴部長が迎える合図と言ったが、それは『迎える合図』ではない!ただ無関係な『現象』を無理やり繋げた『嘘』だ。」


 少しの沈黙。でも、説得できた感じがする。


「よく思い出してほしい。さっき、三つの『現象』は何なんだろうか?

 1.突然窓が開いた。

 2.本棚から一冊の本が落ちた。

 3.机が大きく震動した。


 そして、それぞれの現象は、このように解釈できる。


 1.風が強かった。

 2.本棚の本がよく置いていない。

 3.誰かの足が不意にぶつかっただけ。


 五十鈴部長が無理やりこの三つの『現象』を『合図』と解釈して、嘘をついた。」


「なるほど。理屈が通っていますね。」とメリー伯爵が言った。深く追求しなかった。私の味方……と見たほうがいいだろうか。


 しかし、ウィリアム侯爵はこうはいかなかった。


「確かに理屈は通っていますが、仮に1と2の現象はそのままにしてもいいです。だが、3の誰かの足とは、一体『誰か』ですか?」ウィリアム侯爵は少し獲物を見るような目をしている。


「噂」の「協力関係」がわかっているが、ここで迂闊に触るつもりはないよ。


「当然、五十鈴部長自身がやったのだ。」


「ほう?」


「では、ここで聞こう。机が大きく震動した時、五十鈴部長の動き、誰が注目したのか?」


 沈黙。


 よっし。


「つまり、誰も注目してなかったね。私は見たよ。五十鈴部長が足で机を移動したこと。」


 罪悪感。


(お前……まあいいだろう。こうやりたい理由があるだろう。さっきここから離れた時、何が起きたのだろう。)


 ごめん。そして、ありがとう。


(ふん。だが俺に期待するなよ。俺が出る時、真実を話す。あと15分くらいだろう。)


「わかりました……しばらくその言葉を信じましょう。五十鈴様。説明してください。」


 五十鈴部長は肩を竦めた後、自然な顔で言った。


「まあ。私は机を移動したかどうか証明できないもんね。でも、一応否定しておこう。私はやっていない。このことはアリエスさんも証言できるが……一心同体みたいなもので、しばらく無理だろう。」


「ええ。君は嘘をついたから。」


「どうしてもその方針で行く気ね……いいだろう。では、認めよう。私は確かに三つの『現象』が起きることがわからなかった――」


 ここは口を挟むべき!


「ほら、そうだろう!それはたまたま起きたことだ!今、君に『合図を送ってくれて』と言ったら、絶対証明できないだろう!」


「うん。証明できないね。どんなにここで言っても、サインを送っても、仲間は察知してくれないだろう。これは確かだ、」


「そう、だから――」今回彼が口を挟んだ。


「しかし、それでも私が嘘をついた証拠にならない。」


「それは……何でだ。」私は悔しく五十鈴部長の表情を見た。彼はまるでわがままな子供を見ているような表情だ。


 正直、ずっと強制の手段で阻止したかったが……でもそうしたら、言葉の価値が下がる。さっきまで言ったことは全て意味がなくなる。


「よく思い出してほしい。私は『合図』のことを言っている時、最後の言葉は『信じてくれる?』だよ。つまり、『現象』はあくまで私の『推測』だ。私はただ『本当の推測』を言っただけだ。『嘘』にはならない。」


 ……ダメだ。この部分はいい感じの反駁ができない。


「……でもその『推測』が本当かどうかわからない。間違えた情報を与えた自体が『嘘』になる!例えるなら――」


「おっと、私の話をこっそりすり替えないでくれる?一言目はいいが、私が『判断した本当の情報』が『間違えても』普通のことだ。

 情報が間違えてもただ間違えた情報を与えただけ、どんなことがあっても嘘にならない。

『嘘の情報』と『間違えた情報』は違うもの。例える必要はない。すり替えないでくれ。」


 (ふん。彼女の方が理屈があってるぞ。)


 わかっているよ。


 彼女……代弁……ダメだ。アリエスを攻撃したら、ウィリアム侯爵の不興を買ってしまうし、代弁のことを言ったら、私まで攻撃される。


「言いたいことがわかった。では、その言葉遊びはしばらく放っておこう。とにかく、私が言いたいのは情報の『信憑性』が疑う余地がある。」


「そうね。君は私が足で机を移動したと見たことと同じだ。疑う余地がある。」


 ぐ……


「……しかし、君はやはり嘘をついたんだ。これだけは何も変わらない。」


「証拠は?」


 どれとどれを強引に繋げたら……


「……ちゃんとあるよ。」


「言ってみて。」


「さっき私たちがこの身体から離れて、私たち二人だけの『会話』だ。」


「しかし、私たちの会話はこの人たちは知らな――」


「待ってください。ここはまずみんなに聞いたい。ここにいる全員、私と五十鈴部長の代弁、信じてくれるだろう。」


 五十鈴部長と私はみんなを見渡した。全員頷いた。


「では、先にロードルフ子爵とアリエスに聞こう。私たちは少しの間、この身体からいなくなっただろうか?」


 (ああ。いなくなった。)


「ロードルフ子爵様は返事した。いなくなったと。」


「……ええ、アリエスさんもいなくなったと。」


「では、私たちは確実に二人で会話した。この前提は崩さない。いい?」


 肯定。


「そして、ここで一つ提案をしよう。」


「……提案とは?」


「私たちの会話内容を再現しよう。」


 これなら、強引に――


「……断るね。」


「な……なんで?」


「意味がないから。」


「意味あるよ!だって証拠なら――」


「さっきも言ったよ。『証拠は?』って、その意味はもっとわかりやすい『事実』だ。私たちの『会話内容』は証拠にならない。だって、たとえ完璧に再現しても、結局結論は二つになる。

 会話内容を『信じる』か『信じない』かだ。

 認めるよ。私たち二人は確かに『身体から離れて会話した』。この『事実』は確実にあった。

 しかし、ここにいる人たちにとって、『再現の内容』はいくらでも『付け加える』。『絶対性』じゃないものなら意味がない。」


 先手を取られた……


「でも――」


「では、こうしようか。私たちの『会話内容』が聞きたい人がいるか?聞きたい人がいるなら、手をあげてください。」


 ダメだ、会話の流れが……


 五十鈴部長の提案に手を挙げた人は二人、メリー伯爵とレイヤーだけ。それにどう考えてもあの表情は少しの好奇心と溢れていた同情……やめて……


「二人ね……どう?ロードルフ子爵様は?ちなみにアリエスさんは反対だよ。」


 (俺を加算しても構わんぞ。)


「……どっちでもいいって。」


「じゃあ、賛成にしよっか。三人か。それでも半数以下。しない方がいいと思う。全部再現したら、時間が長いし、君にも良くないよ。」


「ま、まだだ!まだ時間がある!」あと何分だろう……わからない。


 でも、諦めてはだめだ。


「わかった。最後まで付き合うよ。」


「……メリー伯爵様。」私は俯いたまま、メリー伯爵に話しかけた。もう頭があがらない。それでも、彼女は返事してくれた。


「はい。クロイ様、何でしょうか。」


「五十鈴部長に変わるから……一目でいい。君をちゃんと正視したことがある?」


「確かにありませんね。」


「気に……なる?」


「少しなら、確かに気になります。」


「では――」


「正視しないには私の理由がある。だが、それを『嘘をつく』ことに結びつけるのは強引だ。」


「だが、その理由は嘘をつくための『理由』かもしれない。」


「ただ『理由』を隠しただけだ。」


 もはや屁理屈合戦と化していたこの状況、メリー伯爵は口を挟んだ。


「申し訳ございません。二人とも。一つだけ聞きたいですが……」


 私はもう返事する気力が湧かなかった。何も言えなかった。


「何でしょうか。」と五十鈴部長が言った。


「ずっと君たちの会話を聞いていましたが、気付いていました。イスズ様はずっと『私は嘘をついてない』という意味ではありません。むしろ、状況を理解できるように、分析していますが、それはつまり……」


 はは……と、五十鈴部長は無力な笑いをした。


「そうね。ごめんなさい。あなたたちにこの茶番を見せて……ええ、私は確かにあの二人の会話で『嘘をついた』。嘘をつく理由は、さな子を傷つけたくなかった。それだけだ。」


「でも、イスズ様はクロイ様を傷つけました。『嘘をつく』ことで。」


「……ああ。」


「イスズ様。アリエス様に聞いてちょうだい。そして、ウィリアム侯爵様。あなたにも同意してほしいですが……わたくし、イスズ様に手をあげてもよろしくてよ?」


「……アリエスの身体です。彼女に聞いてください。」


「いいですって――」


 パチ!


「……では、クロイ様。」


 メリー伯爵は近づいた。


「もう泣かないでください。ちゃんと、話し合っていてください。」


 メリー伯爵は優しく抱いてくれた。優しい匂い、少し安心できる。


「うう……ごめん、ごめん。私は……私は本当は見ていなかったです。その足とか……

 ただただ貫太郎君にも一緒に帰ってほしくて……もしかしたらみんなで一緒に説得してくれたら、なにか奇跡が起きるじゃないかと思って……友達は何がやってくれるじゃないかと思って……どうしても、どうしても……」


「イスズ様。あなたが言った『嘘』は何でしょうか。」


「……『俺も帰れる。たださな子より遅くなるだけだ。』」


 知りたくない残酷な事実が優しい嘘に包まれ、私にはどうしようもなかった。


「つまり、『イスズ様はもう帰れない』、そうでしょうか。」


「……ああ。そうだ。」


 悲しい、悲しい……心が、痛い……


「なら、とても痛かったでしょう。ちなみに、帰れない理由は?」


「……馴染みすぎてしまったんだ。この世界に。信じてくれる?実はメリー伯爵様、あなたと面識があるよ……たぶん覚えていないだろうが。なぜなら、あの時あなたはまだ赤ちゃんだからね。ずっと見ない理由もそれだ。」


「なるほど。少し意味がわかりませんが、信じましょう。」


 あ……身体が――プルプル


 (変わろうか。良かったな。君今までの心配は無駄ではなかった。本当に馴染んでしまったら、帰れない。)


 あんな心配、無駄であってほしかった。


「もう離れてもいいぞ。メリー様。」「あら。では」メリー伯爵が離れた。


「それと君、隠れてもいい。少しでも休憩しろ。」


 (このままでいい。隠れたら、余計なことを考えてしまう。)


「そうか。」


 メリー伯爵はウィリアム侯爵と五十鈴部長に向かって、次の言葉を話した。


「少し予想外のことが起きてしまいましたが、その寛容な心に感謝いたします。」


「いいえ。こちらこそ。五十鈴様、アリエスに。」


「はーい。」「……こちらこそ、クロイ様に申し訳ございません。」


 (そんなに気になさらず、私もただ……八つ当たりです。五十鈴部長も悪くありません。元々私のせいでここにいた……)「――だってよ。」


「私はここにいるのも君のせいではない。もし君のせいにするやつがいたら、それは加害者の暴論だって五十鈴様が言ったよ。」


 そうか……そうだね。彼はずっと優しいから、うっ……また泣きたい、けど泣けない。


 ロードルフ子爵は少し深呼吸をした。


「では、今日ここでお開きにしましょう。たしか二人も三日滞在ですね?」


「ええ。」「そうです。」


「最後の日はクロイ様を帰らせます。だから、その前の二日間、ロードルフ様。アリエス様……」


「わかっている。」「任せてください。」


「二人のために、いい思い出を作りましょう。」


 三日、いい思い出……もうすぐ帰れるのに、心は大穴が開いてしまったような感じだった。嬉しくなかった。


「では……失礼いたしました。」


「失礼しました。」


 こうして、全員が交流室を出て、領事館を後にした。


 私も三日後を迎えるために、少しでも……少しでも、この二日間で大穴を埋めるに準備した、


あと2話です。

ヒミツの小話も使用人一つと、黒井さな子の友人たちだけでした。

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