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悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第六章(最終章)
69/75

9

 私の様子を見て、五十鈴部長が仕方なさそうな顔をして、「泣きすぎだろう」と言った。


「だって……やっと、やっと知り合いと会えたんだ……私は……安心したら、急に……」慌てて手で自分の涙を拭いたが、ずっと途切れもなくボロボロと溢れ出した感じだった。


 (……情けなすぎる。)


「うるさい!仕方ないもん!」涙が止まないから、私は直接自分の顔を隠した。


 (泣くなとは言ってないぞ。)


「知っているよ!だからうるさいと言った!」


「はは……彼と会話しているな。新鮮だな、他人の視点で見たら。ほら、これ使ってください。」と五十鈴部長が笑いながら、ハンカチをくれた。


「ありがとう……」ハンカチをもらって、軽く涙を拭いた。ハンカチから少々安心な匂いがする。


 私はこの匂いが気になって、「……これはアリエスさんの?」と言った。


「ええ。でも気にせんでええよ。彼女もあげたかったから。ツンデレ君の外見も整っているし、たぶん彼女がちょっとキュンってなって――ああ、違うよね。ごめん、ごめん!」


 (なんだ、キュンって。)やっと涙の溢れが少し落ち着いた。ロードルフ子爵に返事するより、私は直接五十鈴部長に言った。


「……言っておきますが。この男、好きな子がいます。」五十鈴部長なら、きっとわかる。


「だってよ。残念だったな。ああ!失恋しても私に怒るなって……違うっていうことがわかったって!」


 (なるほどな……)


 コホンと、隣のウィリアム侯爵が注目を引き寄せた。その目は少し怒っている感じがする。


 たぶん私たちがいじりすぎた……


「ごめんなさい。再会が嬉しすぎて、雰囲気にのまれてしまってつい……」


「気持ちはわからなくもないが、少々控えてくださいね。それと、五十鈴様、君は一番の問題児だ。よくアリエスちゃんをからかっただろう。彼女も困るであろう。」


「すまん、すまん。」


「大体――」どうやら説教モードに入ったらしく、ウィリアム侯爵はしばらく五十鈴部長に説教し続けた。私が強引に口を挟んだらおかしいから、メリー伯爵に視線を送って、助けを求めた。


「説教中に申し訳ございませんが、ウィリアム侯爵様。ここは二人に任せてほしいですが。」


「おっと、申し訳ない。最初の頃とだいぶ違ったが、普段から五十鈴様はああいう感じだったので、つい熱が上がってしまって……」


 最初の頃、そういえば……


「いいえ、大丈夫ですわ。」メリー伯爵はどうぞという意味の動きをした。


「でも、五十鈴部長があまり変わらなくて良かった。たしか噂では二年前だよね?事故に遭って、淑やかなお嬢様は暴力傾向があるとか……あれは五十鈴部長がやったの?」風の噂だから、全部本当ではないかもしれないが、少し気になる。


「ああ――そういえばそうだったね。言ってもいい?」五十鈴部長がアリエスと会話している。


「はい、わかった。うん……」そして、さっきのことがあるからだろうか。なぜかアリエスと会話している五十鈴部長、少し頭が上がらない感じがする。


「さな子。君はさっき事故って言っただろう?あれは確かに私がやったのさ。」


「五十鈴部長が突然身体に入って何が起きたのか?それとも他の事故とか……もっと詳細な事情がないの?」


「ああ、ええと……」「私の背中を叩きました、だな。」とウィリアム侯爵が口を挟んだ。


「はい。あの時、私は友達みたいにウィリアム侯爵の背中を叩きました。いや、うっかりでね。」五十鈴部長がすらすらと言っていた。


 自然に言っているが、少し不自然な感じがする。何か隠している……


 (はっ!時間帯の部分を誤魔化したな。きっとこのことをやったに違いない。嘘じゃない。だが俺たちには事件の“順序”がわからない。そこは曖昧なままだ。)なるほど……


「そうか。でも――」


「噂のことあまり気にしないで。今君と出会えることにとても嬉しかった。それでいいじゃない?」


 (もうそっとしておこう。さっきあの侯爵も協力した。恐らく、噂に関して三人が協力体制を取っている。だったら、今噂のことはどう聞いても答えが変わらないだろう。)そうか……


「……そうだね。わかった。」


「そんなことより、私に会いたいのは、単純に私に会いたいだけじゃないだろう?」


「あ、はい!実は聞きたいことが――」私が話の途中、ポン!と交流室の窓が開いた。


 全員驚いた様子で窓の方向に見ていた。特にカイルと相手の護衛が警戒強く窓の近くに調べたが、誰もいなかったようだ。


 どうやら風に吹かれて開かれたようだ。人影が見えない。それに、ここは二階だ。窓を調べた結果、風が強かったと判断した。


「風……」メリー伯爵は何かが考えている感じで言った。


「風じゃないと思うの?」


「ええ、少しね。でも、こうやって話すことができるのは30分だけでしょう。今は気にせず言いたいことを言ってください。護衛も仕事に集中してくださいね。」


「はっ!」「はい!」


「窓はそのままにしておきましょう。いいでしょうか。ウィリアム侯爵様。五十鈴部長様。クロイ様。」


「ええ。構いません。」「はい。いいですよ。」「はい。いいと思います。」


「では」メリー伯爵はまたどうぞという意味の動きをした。


 私は再び五十鈴部長の顔を見た。さっき五十鈴部長も驚いた様子だが、すぐメリー伯爵みたいに考えこんでいた。ウィリアム侯爵はただ警戒している。


 もしかして、さっきの窓は……いや、それならおかしすぎる。領事館はこっちの領地のところだし。仕掛けできるのはむしろこちらのほうだ。だからウィリアム侯爵は警戒しているだろう。


「それで、聞きたいことは?やはり、どうすれば帰れるか知りたいか?」五十鈴部長が話しかけてきた。


「……はい。五十鈴部長は二年前でアリエスさんの身体に入っただろう。では、どうすれば帰れるかって、何か見当がついているじゃないか?」


 五十鈴部長は一瞬だけ戸惑う様子をしたが、すぐ笑顔の表情に変えた。


「そうだね。見当か……あるにはあるが、信じてくれる?」


「うん。信じ――」また話の途中で、事故が起きた。今回本棚から一冊の本が落ちた。


「失礼します。」レイヤーがあの本を元の場所に戻した。


「メリー伯爵様。これは正常なことですか?」


「いいえ、正常なことではありません。しかし、何が起きたのかわたくしもまったくわかりません。」


「本当でしょうか。」


「本当だと思うよ。」と五十鈴部長が言った。


「どうして君が?」「信じてくれる人に失礼ですが、わたくしも同じ考えです。」


「帰る方法と関係していると思うから。」


 こう言いつつ、五十鈴部長は送った密書を取り出して、机の上に置いた。それは三人がくれた密書、私と五十鈴部長しか読めないもの。


「密書ですね……どうして密書がさっきのことと関係があるでしょうか?」メリー伯爵が言った。


「恐らく、これは『条件』だと思う。」条件……


「どういうことですか?」


 五十鈴部長はメリー伯爵の言葉を無視して、私に話しかけてきた。


「さな子。さっき言いかけたが、君は信じてくれるか?私の見当を。」真剣な眼差し、真剣な顔つき……


 何秒の間、部屋が静かになった感じだが、私は「うん。信じる。」と返事した。


「でも、五十鈴部長。メリー伯爵様の言葉を無視しないでね。私を助けてくれた人ですから。」


「ごめん、ごめん!直接見せた方が早いと思ったから。」


 何だろう。五十鈴部長の動きが変だな……そういえば、返事はしたか、視線はずっとこちらを注目している。メリー伯爵のことを無視したがっている。


「ごめんなさい。」私はメリー伯爵に謝った。


 私の謝りにメリー伯爵はしょうがない顔で返事した。


「……仕方ありませんわ。元々君たちのために設けた場所ですから。ウィリアム侯爵。これでわかるでしょう。これは私たちが仕掛けたことではありません。」


「……わかりました。しばらく信じましょう。」


「では、さな子。私と一緒にこの密書の紙を触ってみて。」五十鈴部長がこう言って、人差し指で密書の一部を触った。私は少し迷ったが、五十鈴部長の言う通りにした。


 一緒に密書を触った途端、密書が微かに光り出して、ゆっくりと上空に浮いた……私はこの奇妙な光景に驚かされて、他人の反応も気にする余裕がなかった。


 ただ、「浮いた……」(浮いた……)とロードルフ子爵を含めて、みんなの声が聞こえた。


「ひ、光は?」(あ?なん――)と次の瞬間。


 私はまるで浮いている感覚で、次の景色を見ていた。


 ****


 “「翔君、これはやめたほうがいいじゃない?たぶん部長しかわからないことだと思う。」と伊原千美が言った。”


 “「そうか?でも、さな子さんはあの時も見ていたし、気にしていると思うけど……」と軽井翔が言った。”


 “「いや、さなちゃん意外と抜けている部分があるから、興味がないものは少し忘れっぽいところがある!」と前田良奈が言った。”


 “「そうか……でも、良奈さん。その合宿のことはさな子さんが言ってあげたことだね。かなり美化されていたというか……」”


 “「え、でも、彼女は楽しかったと言ったよ。」”


 “「それは嬉しいが、部長にとってはどうだろう……」”


 “「ああ……部長はあの時、かなり忙しかったね。演劇部と兼部しているから、両方にずっと頑張っていたから。何をやっていたか忘れるくらいにね。」”


 “「そうか……」”


 私と部長のことについて、三人が話し合っている。


 もしかして、この状況は……あの時と同じだ。半年前の時と同じだ!一瞬だけの現実!でも……


 時間が少し飛んできた。三人がまた集まっていた。


 “「四ヶ月だな。この時間がすぎたら、もう誰も死なないと思う。」”


 “「そうか……良かった。」ふーと前田良奈は安心したように長い息を吐いた。”


 ……


 “「そうそう、この……『メリー』というキャラクターの勢力だね。最初で赤に塗りつぶされていたところ。」と前田良奈が言って、指で指した。”


 ……


 “「なら、この騎士隊長はさな子さんの可能性もあるんだね?」”


 三人がまだしばらく話し合っていた。


 そして……


 “「じゃあ、さなちゃんと部長の行動は?」”


 “「待ってよ……『外交』と『護衛』、なるほど!ロードルフに密書を渡して、護衛するつもりでさな子に会うだろう。進行方向もそのようにした。」”


 “「えっと、つまり、二人は出会うの?」”


 “「ああ!多分そうだ。密書は成功に伝えたんだろう!」”


 “「本当に……成功した?」”


 “「たぶん……いいや、きっとそうだ!」”


 “「じゃ、じゃああとは……」”


 “「ずっとできることを探すだけだ。この二人を助けるために!」”


 “「そう、ね。そうだね!絶対……」”


 “「「「絶対、二人に帰らせる!」」」”


 三人が決意した様子。


 私はまだ泣き出そうと感じた。でも、不思議と泣き出せない。今私の身体がないから。


 “「どう?」”何となく、五十鈴部長の声がした。しかし、その声はとても薄れていて、虚ろな感じがした。今にも消えそうに……


 “「どうって……これは一体?」”私は周りを見てみたかったが、視覚情報が働いていない。五十鈴部長の様子が見たかった。


 “「さっきも言ったよ。『条件』だって。」”


 “「『条件』って帰る『条件』なの?」”


 “「ええ、帰る『条件』だ。」”


 しばらく静かになった。


 “「……ごめん。でも、聞きたいことがある。疑っているよう――」”“「いいよ。疑っても全然いい。」”


 “「……『条件』を隠すつもりはないの?」”


 “「ないね。最初からそのつもりがない。」”嘘じゃない。


 “「どうして私を騙して一人で帰るつもりはないの?」”


 “「それはひどすぎる。できないし、したくもない。」”嘘じゃない。


 “「なら私に騙されてもいいの?実は私は黒井さな子じゃない可能性を考えてなかったの?」”


 “「騙されてもいいからね。だから君の正体はそんなに大事じゃない……でも、君は黒井さな子だ。これは確定できる。」”嘘じゃない。


 “「どうして言い切れるの?」”


 “「密書の日本語が読めるし、私たちしかわからない情報もわかっている。また結果論だが、こうやって会話することもできる。

 それに出会えた後、もっと確定できる。君は泣いただろう。君は泣き虫で、ちょっと臆病な女の子だからな。」”嘘じゃない……


 “「前半の理由がわかった。でも、後半の理由は、実はあの男の演技だったりして……」”


 “「それならすごいな。あのツンデレ君が私を騙すために、あんな演技をしたなんて、かなり悪いやつだな。」“嘘じゃない……


 “「じゃあ、どうして密書の『条件』がわかるの?」”


 “「私が推測した結果だ。間違わなくて良かった。実は少しビビったよ。」”これも嘘じゃない。


 “「なら、推測した材料は?」”


 この質問だけ、彼はしばらく考えていた。


 “「質問の意味が曖昧なら変える。君はどのことで密書は帰る『条件』だとわかっていたの?」”


 同じく考えていた。でも、今回は……


 “「詳しい事情を話すつもりがないよ。でも、君なら遅くない。それだけ言っておく。」”嘘じゃないが、はぐらかした。


 “「遅くないって君も遅くないだろう。どうしてもう帰れないみたいに言っているの?」”


 “「ああ、そう感じたの?ならその感覚が違う。ただその密書は一人だけ帰らせると思うんだ。だから少し寂しい感じがしただけ。」”言葉が少し曖昧になった。


 “「……嘘じゃないよね。」”


 “「ええ。嘘じゃない。」”


 ……


 “「では、密書は二人で帰れないの?」”


 “「できないと思う。」”嘘じゃない。


 “「その根拠は?」”


 “「ないが、間違っていないと思う。」”嘘じゃない。


 “「それも君の推測?」”


 “「ええ。確定に近い推測だ。」”嘘じゃない。


 “「では、密書があれば君も帰れるよね?もう一通の密書があれば。」”


 “「うん。できると思う。」” 嘘じゃない、でも……


 “「どうしてずっと確定じゃない言い方だよ!」”


 “「だから推測だって。」” わざと別の意味で捉えた。それでも嘘じゃない。


 “「違う!君は……帰りたくないの?」”


 “「帰りたいよ。これだけが言える。」” これも……嘘じゃない。


 “「では……君は、帰ることができないの?」”


 長い沈黙。とても、とても長い沈黙。


 “「いや、帰れるよ。君は何を心配していたの?バカだな。心配しすぎたよ。ツンデレ君に言われたことがなかった?余計なことを考えすぎたって。」”


 大事なのは答えの部分。


 “「……信じるよ?君は帰れるって。五十鈴部長が帰れるって。その言葉、信じるよ。」”


 “「……ああ。信じていいよ。」“


 “「じゃあ、約束して。」”


 “「いやあ……はは!約束できないな。死亡フラグみたいになるから。」”


 “「やっぱり、嘘だね。」”


 “「それは、君が誘導尋問していたからだろう……」”


 “「じゃあ、二年の時間って本当なのか?」”


 “「……ああ、本当だよ。二年だ。」”何の二年か聞いてこない……意識している。わざと曖昧なままにしていた。


 “「この二年の間はアリエスさん。二年前はどの人に?」”


 “「……質問の意味がわからないね。どの人って?」”


 “「わかった。質問を変える。君が知っている『情報』は二年だけだと多すぎる。それは二年の量ではない。つまり、アリエス一人だけではない。君はもっと経験した人数があるだろう?」”


 “「うん……なんか言い方がスケベな感じだな。」”はぐらかした。


 “「はぐらかさないで、質問に答えて。」”


 “「……それは君の推測だろう。君の推測の質問に答えるつもりはない。」”黙秘。


 “「私に疑われても?」”


 “「最初言っただろう。疑っても全然いい。」”


 これは効かない……


 “「なら、私に嫌われても?」”


 “「ああ、なんなら恨んでもいい。」”


 むしろ好都合なのか……そこまで覚悟したの……


 “「……なあ、何を心配しているんだ?俺はただ君より遅く帰るだけだ。帰らないわけじゃない。」”嘘だ。


 “「嘘つき。」”


 “「嘘ついてない。」”嘘だ。


 “「じゃあ、何で約束できないの?」”


 “「そんな約束何の意味もないだろう。保証できないし、できるかどうかもわからない。だったら、しないほうがいい。わかったか?何の意味もないんだよ。」”


 大丈夫。これはわざと怒らせるだけ。


 “「わかった。」”


 “「そうか……言ったよ。恨んでも全然いいって。」”


 “「恨まない。」”


 “「そう……じゃあ、帰る方法を教えるよ?」”


 “「うん。教えて。疑うのはもうやめます。疲れた。」”


 “「……散々質問しておいてこれ?ないわ。」”


 “「早く教えて。」”


 “「わかったよ。」”


 そして、五十鈴部長がその方法を教えてくれた。


 “「……そんな簡単に?」”


 “「簡単じゃないから。」”嘘じゃない。


 “「どうして簡単じゃないと言い切れる?」”


 “「……質問はなしじゃない?」”


 “「なら答えなくてもいい。」”


 “「なら、そうする。それに、そろそろここから離れた方がいい。」”


 “「わかった。」”


 “「じゃあ――」”


 “「待って、最後だけ、一つ質問させて。」”


 “「なんだ?推測とかの質問なら、ノーコメント。」”


 “「ううん……関係ないこと。漫画のことが聞きたいだけ。」”


 “「漫画?」”


 “「うん。」”


 “「どうだろう。言ってみたら?」”


 “「『何のために』やっていたら、『意味ないもの』も『意味あるもの』になる。これはどんな漫画のセリフなの?」”


 長い沈黙。


 “「ああ、そうか……もう前提が知っているんだ。なら、知っても知らなくても、どっちに答えても同じだ。でも、無関係な質問だろう。このセリフはアレだ。OO漫画の主人公が言ったセリフだ。」”


 やはり……嘘つき。


 “「嘘つき。」”


 “「恨んでもいいよ。だが、君だけは絶対帰らせる。これなら約束できる。」”嘘じゃない。


 だからこそ恨む。一緒に帰りたい。


 “「私は――」”


 私はもっと何が言いたかったが、パチと……


 ****


 交流室の風景が広がった。


「さっき……紙切れが浮いてましたね。」とメリー伯爵が言った。


「あ、ああ……」ウィリアム侯爵も言った。


 さっきのこと、誰もわかっていなかったようだ。あの三人がやったこととか……私と五十鈴部長の会話とか……時間もあまり経っていないようだ。


「どうだ?密書の紙が浮いた。そして、さっきの窓と本、それは私たちを迎える合図だ!つまり、私たちの友人が教えてくれたサイン!信じてくれる?」まるで五十鈴部長の言う通りに、ポン!と今度は机が大きく震動した。


「ほらね!」


「なるほど……」ウィリアム侯爵が信じている様子。


 でも、メリー伯爵は少し疑っている様子。


「嘘だ!あれは嘘!五十鈴部長がそんなことを知らない!メリー伯爵様。信じないでください!」


 恐らく私の態度が豹変したから、少々驚いただろう。メリー伯爵は少し驚きの表情。


「え、ええ。信じていませんよ。しかし、クロイ様の友人でしょう?いいですの?」


「いいです。大丈夫。その前に、あなたたちに聞きたいことがあります。ロードルフ子爵も答えてくださいね。」


 強引に繋げるなら、私もできる。


 (なんだ。さっきの問題か?光?)


「さっき、この密書が浮いた時。光っていた。あなたたちは見えました?」


「光?」全員見えなかったようだ。

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