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「わかった。とりあえず、しばらく内容について考えよう。」
「ああ。」「うん。」
そして、前田良奈、伊原千美、軽井翔三人が深夜まで密書の内容を考えていた。何が起きたのかと確認しつつ、「騎士隊長」の騎士団の近くに置いた。
密書を置いて日から、三日が過ぎた。
この間、ずっと三人で見ることができないため、大体一人ずつ順番で見ていた。
三日が過ぎた今、三人が軽井翔の部屋に集まって、状況を確認している。
「四ヶ月だな。この時間がすぎたら、もう誰も死なないと思う。」
「そうか……良かった。」ふーと前田良奈は安心したように長い息を吐いた。たとえ確定ではなくても、その一言が不安を和らげる。
「それで、今反乱勢力がどんどん大きくなっていて、王国はほとんど反乱勢力のもの。今の勢力図はゲームを始めた時と同じだ。たぶんあと二ヶ月で王国が崩壊するだろう。」と軽井翔が言った。
「うん。特にこの反乱勢力が結成する初期、この辺が一瞬で赤に染まったね。他のところも結構速かったが、比べものじゃない。」
「そうそう、この……『メリー』というキャラクターの勢力だね。最初で赤に塗りつぶされていたところ。」と前田良奈が言って、指で指した。
「そうだね。たぶんキャラクターの『関係性』もあるからだろう。だから染まりやすい。」
「でも、一つ気になることがあるんだが……このメリーとロードルフは婚約があるよね。なんで未だに婚約のまま?」と前田良奈が言った。
「僕も詳しい状況がわからない……普通のゲームの場合、すぐ結成するが、しない理由があるだろう。」
「その理由は?」
「わからない。」
「本当は婚約がないじゃないの?」
「あるよ。ほら、年歴のログは『二人の婚約が決まった』という情報が出ただろう?」軽井翔がログの機能を開いて、情報の表示も言った通りだった。
「そうだが……」前田良奈は少し心配な顔をした。
その心配な理由は一つ――
「僕も不安だよ。最初『酒場』のボスが拾った時、僕もヒヤヒヤしたし。でも、その『酒場』のボスが『部長』に物を渡したモーションがあった。たぶん密書だと思う。」
「そうだけど、その後『部長』はロードルフに物を渡したモーションもあった。それも密書だよね?」
前田良奈の話に軽井翔が返事しなかったが、僅か頷いた感じだった。
「本当に『部長』なのかな?この、騎士隊長さん……」と前田良奈が少しもじもじと言った。
「わからない。僕も言ったはずだ。行動パターンが一番『部長』と似ているから、そう判断した。」
「はあ……どうして会話の内容までわからないだろう。」
「ゲームの仕様だし、会話するモーションが見れるが、会話の内容までわからない。だから行動パターンで考えるしかない。」
「ただ、密書の内容がわかっているなら、簡単に渡さないと思うが……」
「僕もそう思っているけど、『部長』自身が何か考えがあるだろう。」
「あの――」と伊原千美が口を挟んだ。二人に注目された。
「どうした?」
「……とりあえず、この騎士隊長はイレギュラーな存在だね?」
「ああ。ゲームに存在しないキャラクターだ。これは確実だな。」
「なら、この騎士隊長はさな子さんの可能性もあるんだね?」
「ええ、それは否定できないが……」
「では、こう考えましょうか。この騎士隊長さんはさな子さんで、ロードルフのことを信じて密書を渡した。こう考えたらいいんじゃない?」
「少々都合が良すぎるというか」「あまり納得できないというか」
「でも、私たちにはもう何もできない。なら、もっといい方向に考えなきゃ。そもそも、二人がゲームの中に存在することは、元々都合が良すぎる……」
「それも……そうか。」と軽井翔が言った。
「そうだね。それにやったことだし、ずっと話し合うより、信じたい方向に考えよう。」と前田良奈が言った。
「うん。その方がいいと思う。」
「あ!でも、私はもっと試したい!いいかな?他に何かできることがないかと試してみたい。」と前田良奈が言った。
「あ、はい。いいんだけど、僕は一通りやったよ。君たちも見ただろう。何もできなかったけど……」
「毎日チェックした方がいいと思う!もしかして何かが増えるかもしれない!密書を置いてからもう三日でしょう!」
「あ、はい。じゃあ、どうぞ。」軽井翔が位置を譲った。
「前田さん、行動力すごいな。」
「でも、このせいもあって、時々良く思われていない。何も考えていないと思われるとか……」
「ごめん……」と軽井翔が言った。
「あ、翔さんのことじゃないよ。その、大学の友達ね。」
「そうか。でも、やはりごめん。最初君たちにこのことを伝える時、僕は同じようなことを言ったんだね。“適当な行動をするな”とか。」
「でもそれは君が考えた結果だから、私もちょっと焦りすぎたし。私の方こそ、ごめん。」
「いや、僕の方こそ――」
パチパチと、伊原千美が二人の注目を引き寄せるために拍手をした。
「さっきちょっと言い争いそうになると思ったら、次は謝り合戦。君たち、あまり合わないね。」
さっきの会話を思い出して、二人は少し苦笑いをした。
「とりあえず、やりたいなら相談しつつやろう。良奈さんは何がやりたいの?」
「まず密書を置いた後、翔さんがやったことをもう一度チェックしたい。」
「それなら、私もいいと思う。翔君は?」
「うん。いいよ。」
そして、三人が一通りチェックした後――
「やはりダメか……どうして何もできないだろう?」
「うん――僕の推察として、恐らく何らかの力で『干渉』できないだろう。チュートリアル中だからか、不思議な力なのか、ゲームの仕様も関連するとか……」
「でも、密書を置けるのに?」
「たぶん密書は『重要アイテム』だから、制限されてないだろう。あくまで一番の可能性があるとしたらね。」
「もう一度密書を作ることができないの?」
「『重要アイテム』でも消耗品だ。それに簡単に手に入れるものではない。手に入れるために、たしか『政治』、『安全』、『オカルト』とか、複数の科目を上げなければならない。たぶん今は無理だろう。結構後半じゃないとできないものだと思う。」
「『オカルト』?どうして密書は『オカルト』と関係があるの?」
「ああ、ええと、たしか密書はどう作られているかとかどうとか……これ、アイテム情報を見てみたらいいじゃない?僕もそんなに覚えていないから。」軽井翔は言いながら、指で「アイテム」の部分を指した。
「アイテムの説明文があるから、自分で見て。」
そして、三人が一緒にアイテム情報を見ていた。
「分野は『政治』、『安全』、『資源』、『オカルト』――」
****
密書:
分野:
『政治』――外交、『安全』――治安・国防、『資源』――材料、『オカルト』――製造法
入手方法:チュートリアル、リワード報酬、機密工場製造
説明:
機密な情報を伝えるために生まれた書類。
相応な方法で解読することができるが、その方法は伝える人と解読者のみぞ知る。何せ、密書は他人に解読するために生まれたものではない。
もし相応しくない解読方法で見たら、偽情報と無知によって、一つの国に滅亡をもたらすであろう。
製造方法が様々、統一の方法で作らない。密書が簡単に製造されて簡単に解読できるときっと偽物であろう。また、密書の運送方法も一つだけではない。本物の密書と偽物の密書を一斉に送って、かき乱すこともできる。
あらゆる知識の集大成。
****
「翔さん、君はこの情報を見てなかったの?結構重要なことじゃない?」と前田良奈が言った。
「いや、僕も見たよ。ただアイテムの説明文は何も変わらなかったし、ただの説明文だよ。」
「どういうこと?説明文は変わるの?」
「違うよ。どんな時でも説明文は変わらない。こういうゲームのアイテムの説明文は、大体世界観をより理解できるために作ったものだから。そんなに重要なことじゃないと思う。」
前田良奈はちょっと眉をひそめて、少しわからない顔をしていた。
「ええと、なんか翔さんに答えてほしいものと違う。その……なんだ……」
「どういうこと?」
「ごめん!突然わけがわからなくなったけど、私が言いたいのは、どうして説明文が重要じゃないと思うの?」
「いや……それは、説明文だから?」
「違う!そうじゃない!もっと、こう……」
ここで二人が何か認識の齟齬があると伊原千美が感じた。
「待て、二人とも。君たち、ゲームの経験は?」
「え?うん――高校に入る前にもよく遊んでいるから、かなり長いと思うよ。少なくとも五年もあるだろう……あ、まさか?」軽井翔は伊原千美が何か言いたいことが理解できた。
「時々ゲーセンのゲームくらい……」と前田良奈が言った。
この話を聞いて、軽井翔が申し訳ない顔をした。
「そうか。考えている前提が違ったんだ。」
「私も長くやってないが、今の大学の友達とやってたくらいあるから、多少の知識はあるが。ねえ、翔君。」
「はい。」
「昔君とよく部活動の時間を過ごしたことがあるから、言いたいことがわかっている。そして、良奈さんはよく病院で合う人だから、その気持ちもわかっている。
でも、私たちお互いのことそこまで深く知り合っていない。だからここで一度、お互い何が考えたのか言った方がいいじゃない?」
「そうだね。」と前田良奈が言った。
「うん。そうしよう。」
「うん――今は何も大事なことが発生しないようだし、ちょうどいいかもしれない。」伊原千美がゲームの画面を見つつ、二人に言った。
「では、翔君。実は一つ聞きたかったが、どうして半年間で何もしなかった?その、怖がっていることがわかっている。ただその考え方に至る原因は何?」
「漫画、ラノベ、ゲーム、それらのもので考えている。つまり、二人がゲームの世界に転移されて、ゲームが閉じたら、壊れたら、あるいはゲームごとに消えたら、二人がいなくなるじゃないかと思っている。」
「なるほど。少し意味がわからないが、起因がそういうことだね。」
「うん。」
「え、じゃあ、ずっとパソコンを閉じなかった原因は?」
「その可能性を防ぐために。」
「半年間も?」
「うん。え、何?僕がゲーム廃人だと思われているの?」
「ちょっと……」「少し……」
「あのな、半年より長いやつもいるんだぞ。それに、このパソコンは元々部長のものだ。僕に売ってくれたのだ。」
「そうなの?部長が?」
「ああ。部長が新しいやつ買ったから、僕に売ってくれた。このパソコンのスペックもまあまあ高いから、喜んで買ったよ。」
「なるほど……」
「じゃ、待て!このゲームを発見した時の状況は?その半年間前のことが聞きたい!」と前田良奈が言った。
「遊ぶ暇とか、遊ぶ気持ちがないから、わからない。ただ半年前に、彼女に振られたから、元気がなかったし、病院に行くのも鬱になりそうだから、気持ちを変えるために、ちょっとゲームを遊びたかったという感じで開けたら、このゲームの画面になった。」
「そうか……」
「待て、つまり、このゲームは元々『ついた』状態じゃなかった?もう少しこの部分を言ってくれない?」と伊原千美が言った。
「うん。半年前、なぜか僕のアカウントが部長のアカウントになって、部長のアカウントが一つのゲームしかない状態だった。ゲームを開いたら、ゲームタイトルもなく、直接この画面に入ったという感じだった。
そして、よく見たら、ちょっとおかしいなって、キャラクター二人の名前もわからない状態で、“あれ、もしかしてこの二人は……”と思っていて、長い時間を観察したら、少し確信したという感じ。」
「なるほど。よくわかった。教えてくれてありがとう。では、もしゲームを閉じたら――」
「あの、僕も考えたことがあるよ。元々閉じている状態なら、閉じてもいいじゃないかと……しかし、結局何か起こるかわからないから、僕はしなかった。
一番大事なのは閉じたところで、あまりメリットがない。
観察ができないし、消えるかもしれない。この状況も維持できないかも。たぶん節約にだけがいい……つまり、リスクが大きすぎる。
試す価値があることと、無理に試す必要がないことちゃんとわかっている。前は試す価値があることだ。これは無理に試す必要がないことだと思う。」
「そうか……そうね。確かに無理に試す必要はない。」
「では、どうしてアイテムの説明文は重要じゃないの?これも説明してほしい。」と前田良奈が言った。
「どうして重要じゃないと、つまりアイテムの説明文はただの説明文で、中に何も影響しないことだ。だから、『世界観をより理解できる』ために作られたものだと言った。
例えるなら、リンゴは果物で、こういう栄養分とこんな性質があるよという意味だ。リンゴに対して説明をして、より理解できるだろう?
この密書の説明文も同じ。
だから、密書が置ける理由も説明文の運送方法とか言う可能性があるけど、そうじゃない可能性もある。」
「つまり、あまり深く考えすぎると、全部おかしく見えるってことね。」と伊原千美が言った。
「そう。確かに今はおかしい状況だけど、全部がおかしいってわけじゃない。たぶんある程度の原則があるから成り立っている。僕もよく観察してから確信したというわけだ。でも、全てが知っているわけではない。
ちなみに、説明文を変えることもできない。試したから。」
「そっか。結局、状況がより一層理解できたけど、できることがなかったんだ……」
「あ、ええと、まだあると思う。ただ今はないだけで……」と軽井翔が言った。
「そんなに落ち込まないで。さっき良奈さんも言ったじゃない?毎日チェックすればいいって。」
「そうだね。」
「きっと増えるよ!うん。君たちが帰ったら、その間僕がチェックするから。」
「ありがとう。」
「では、良奈さんは――」
三人がもう少し話し合っていた。お互いの考え方をもっと理解できた。しかし、この日、できることはやはりなかった。
翌日。三人がまた集まっていた。
「王政が崩壊した。政治体制が変わった。どうやら王国は大事じゃない。」
「そっか。大事じゃないならいいことね。」
「死んだ人もいない、部長とさな子も死んでいない。」
「それは良かった!二人とも大丈夫?」
「うん。大丈夫。そして――ほら!人単体の行動範囲と進行方向が見えるようになった!それと、さな子がいた国も見れるようになった。」少し興奮気味な軽井翔。
「本当?!」
「うん。こうやってクリックすると、各人物は何がしたいか、その行動方針がわかるようになったのだ。たぶんこれができる原因はチュートリアルが終わったからだろう。
操作できないけど、何がやりたいか、進行方向とやることで推測しやすくようになる。」
「じゃあ、さなちゃんと部長の行動は?」
「待ってよ……『外交』と『護衛』、なるほど!ロードルフに密書を渡して、護衛するつもりでさな子に会うつもりだろう。進行方向もそのようにしたらしい。」
「えっと、つまり、二人は出会う?」
「ああ!多分そうだ。密書は成功に伝えたんだろう!」
「本当に成功したね?」
「たぶん……いいや、きっとそうだ!」
「じゃ、じゃああとは……」
「ずっとできることを探すだけだ。この二人を助けるために!」
「そうね。そうだね!絶対――」
「「「絶対、二人に帰らせる!」」」と、三人が決意した。




