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貴族と騎士たちが城門の前に立っている。
人数がかなり多くて、一目見ただけで、こちらの人数が不利であることがわかる。
400……いや、500人ぐらいだろう。
こちらの方向に向かっている先頭の人が一番偉い人らしい。馬に乗っていて、鎧や召使い、また遠目でもわかるくらい高品質な装備だった。でも、他の騎士は少し貧相な装備だった。
また、機動力を重視しているだろう。騎兵は多いが、重装備ではない。
この人数は交渉するつもりか?絶対違うけど、交渉する余地があるなら、交渉したほうがいい……
双方が一定の距離を取って、あちらから話しかけてきた。
「おやおや!お戻りになりましたね。ロードルフ子爵様。」少し高めで鋭利な声で、何となく気持ち悪い声だった。
「カーベーリ伯爵様。どうしてあなたのような方はここにいらっしゃるでしょうか?ここにお眼鏡に適うものはないでしょう。」
「ほほう、とんでもないです。ロードルフ子爵様。信じられないかもしれませんが、実はあなたの町、『反乱』が起きました!」カーベーリ伯爵らしい人物が両手を広げて、誇張な仕草をした。
「……そうですか。実に大変ですね。」
「反応が薄いですな。信じていないですか?」
「ええ、まあ、いささか信じがたいですね。カーベーリ伯爵様の言論はどこまで――」
「なら、私ぃの部下に証明してあげよう。夜の酒場の客に紛れて聞いていた情報です。ほれ、言ってごらん。」そして、カーベーリ伯爵付近の召使いらしい人物が十日前の酒場のこと、また「とある騎士」の話を言った。そのどれも「行進」のことを指している。
「とある騎士」の話を聞いている時、ロードルフ子爵は少しカイルの方向に見た。あの顔色、「とある騎士」は間違いない彼のことだろう。
市民の中に他領の人が紛れていて、おかしくないことだ。もしかして騎士の中で今も……
目の前の問題と隠れている問題、もはや不安しか残らない。
でも、どうしてロードルフ子爵の心はこんな静かだろう?まるで、何かに開き直っているみたいに……
「どうですか?これで信じられるでしょう。」
「まあ、証人がいれば、信じられ――」話の途中でまた挟まれた。
「でしょう!だから私ぃ、無能のロードルフ子爵様のために、特別に助力しに来ました!どうですか、皆様。私ィ、やさしいでしょう!」彼はまるで強要している感じで、後ろの騎士たちに言った。
「「「「はっ!カーベーリ伯爵様はとてもやさしいです!」」」」後ろの騎士たちは業務みたいに返事した。
「ふふふ、素晴らしい返事でした。」まるで陶酔しているように、カーベーリ伯爵は気味悪い笑顔をしていた。
こんなので、嬉しいのか……
「しかし、カーベーリ伯爵様の助力はいりません。あなたの気持ちだけ受け取ります。」
「気持ち?」疑問のように、蔑視するように、カーベーリ伯爵様は一瞬で冷たい声に変わって言った。
「ロードルフ子爵様。あなたは何を勘違いしていましたかね?やさしい私ぃが、あなたの『同意』なんか求めていません。大人しく、やさしい私ぃに助けられればそれでいいです。この城門、邪魔ですよ。」
不快。必ず何か企んでいるのに、気持ち悪い言い方をしている。
「申し訳ございません。門番の騎士はちゃんと躾をしますので、カーベーリ伯爵様はここでお帰りください。『反乱』でも私自身が処理できますので。」
「もう一度言わせないでください……ロードルフ子爵様。やさしい私ぃが助けてあげますから。『貴族』に反抗するような反逆分子ぃを殺してあげるのです。」
「では、私ももう一度言います。カーベーリ伯爵様の助力はいりません。早くお帰りください。」
「ふーん……」
カーベーリ伯爵はこちらの方向、もっと後ろの方――鉄格子の方向を見ていたようだ。
彼は「おや?」と変に気持ち悪い声で言った。そして、すぐ「弓兵、構え。」と言った。
ロードルフ子爵は「盾を構え!」と命令した。前の人は盾を構えた。
一瞬で一触即発の状況、矢が飛んでくるだろうか……
でも、私の心配がただの杞憂で、カーベーリ伯爵はすぐ「弓兵、おろせ」と言った。
ロードルフ子爵もおろせと言った。
脅迫、それとも慈悲?あ、いや……ただ距離が足りなかっただけだろう。
それと、鉄格子があるから、命中しづらいかもしれない。矢も無限ではないし……鉄格子は一種の保護だから。
「ふーむ……おかしいですな。あなたはその『犯罪者』を逮捕したでしょう。どうして生きていますかね?帰る途中、私ぃの騎士と出会ったことはないですか?処刑の手助けをしたはずですが。」
「……自称騎士の賊なら、出会いましたが。」まるで反撃でもするつもりのように嫌な言葉だが――
「そうですか、そうですか。実に残念です。きっと逃げたのでしょう。使えない騎士ですな。」
まったく信じていないのに、全然残念がっていない。何の気持ちもこもっていない言葉……怖い。
「では、生きている理由がわかりましたが、どうして『犯罪者』を庇うつもりですかね?ロードルフ子爵様。」
「こちらこそ聞きたいです。何で――」
「今は私ぃが聞いている。答えろ!」
ずっとこちらの話を聞いてくれない。聞いていても、無視しているような感じ。これが「貴族」……
「……『犯罪者』ではなく、『容疑者』ですから。」
「ふーん、よくわかりませんが、とりあえずあなたは庇うつもりですね?」
“引っ込んでろ”、言われた通りに「心の空間」に逃げ込んでいた。
“「ああ、そう――」”しばらくの間、何も言わなかったロードルフ子爵が声を出した途端、「全軍!突撃!」という声も一緒に響いた。
「心の空間」に隠れていたのに、凄まじい状況が発生したのがわかっている。
“「『犯罪者』を庇う『貴族』なんていません!今目の前にいるやつらは全員『犯罪者』だ!全員殺せ!」”
理不尽だ……
“「すぐ槍と盾を中心に五人の小隊編成!こちらに向かってきたやつらを殺せ!騎兵が来たら槍で転ばせ!人を下ろせ!」”
“「「「はっ!」」」”陣形を取った後、殺し合いが始まった。
****
始めはロードルフ子爵が何とか陣形で戦況を保ちつつ、相手の兵力を削った。でも、人数の問題で、状況がどんどん不利になっている。最初死んでいたのは、昨日重傷を負った騎士何名だ。
双方の死亡人数、大体5:30……
そして、相手は“「弓兵も進め!」”と言った。
“「もし矢が飛んで来たら、必ず盾の後ろに隠れろ!」”
“「「「はっ!」」」”
鎧があるとはいえ、隙間に刺さることもありえる。盾があるとはいえ、頭部に刺さったら死ぬ。だから、時々矢が飛んできた時、ほとんどの騎士が手で頭部を守りながら戦っていた。
ロードルフ子爵とカイルは小さな盾を持っているため、守る面積も大きくなる。
たぶん、装備と訓練の精度が違うだろうか?今こちらの騎士はただ数名死んだが、対して相手の騎士は50名くらいも死んだ。でも、やはり喜べない。
早く終わってほしい……もう誰も死なないように、早く終わってほしい……
“「騎兵!早くあの陣形をかき乱せ!」”
“「陣形を保て!騎兵は騎兵を牽制し、槍兵が馬の脚を狙え!人を下ろせば、簡単に殺せる!」”
“「「「はっ!」」」”
こっちが死んだ騎士はもう十数名になった……そんなに明晰ではないが、戦況が不利になっているのはわかっている。早く終わってほしい……
双方の死亡人数、大体10:70……
トン!
うっ!何本の矢がロードルフ子爵の盾に飛んできて、強い衝撃を受けた。手が痛かった。「心の空間」に隠れても、感覚が遮断しても、薄々感じた痛みだ……怖い……
早く終わってほしい……誰も死なないように、早く終わってほしい……
“「何をやっている!早くアイツらを殺せ!ただの『犯罪者』だ!」”
“「こちらは負けてない!練度はこちらの方が上だ!ひるむな!」”
“「「はっ!」」”ロードルフ子爵の視野によって、戦況を把握している。
双方の死亡人数は大体15:100だろう。人数が不利な状況が変わらない……
あ、でも、飛んできた矢が少なくなってきた――
“「弓兵!矢がなくなったら、剣を持って攻撃しろ!何をやっている!攻撃だ!」” きっといずれ矢が飛んでこないと思ったら、相手はすぐ命令した。
“「怯むな!人数が不利でも負けていない!陣形の人数が足りない場合牽制しろ!仲間の援助を待つんだ!」”
“「「「はっ!」」」”
ああ――うああ――と叫び声が聞こえる。
鮮明ではないが、聞こえる。
頼む、早く終わって……
死亡人数、20:150……25:200……確かに戦況がどんどん良くなっていた……
“「りょ、領主様!こっちの騎兵が全滅!相手の騎兵はまだ五名――」”とカイルが言った。
“「相手の矢もなくなった!槍兵はちゃんと陣形を保て!ある程度の隙間を開けて、来たらすぐ馬の脚を狙え!」”
ここでロードルフ子爵も地面に落ちた槍を持って、向かってきた一人の騎兵とやり合っていた。
キン……カン……私には絶対直視できないが、ロードルフ子爵は要害を守りつつ、一人の騎兵を下馬させて、殺した。
う……怖い……怖い……無事であってほしい、無事であってほしい……頼む!
そして、相手の騎兵が陣形を壊せないため、逆に一人ずついなくなった。
“「役立たず!この人数を相手に全員も殺せないのか!一体何をやっているんだ!あんな陣形なんてこうすればいいんだよ!」”そして、カーベーリ伯爵が自ら出てきた。
彼も馬に乗っているから、騎兵がまだ一人……しかも、彼と馬も重装備……
彼は乱暴なやり方ですぐこちらの騎士たちの陣形を崩し、何名の騎士を殺した。
30:210……
“「鉄格子の周りに囲め!その周りで陣形を取って牽制しろ!カーベーリ伯爵は俺がやる!」”ロードルフ子爵は言いながら、大きな動きがなかった。
“「俺をなめるなよ!」”カーベーリ伯爵がロードルフ子爵の声を聞いたようで、すぐ向かってきて、狙うつもりのようだ。
“「陣形を崩すな!」” そして、二人が何度もやり合って、馬が来たらすぐ横に避けて、武器と武器でぶつかる。
“「……グっ!」”とロードルフ子爵は強い衝撃とともに、地面に転んだ。
“「は!たかが子爵が俺をやるだと?ふざ――」”
“「槍兵!今だ!囲め!アイツを馬から降ろせ!」”
“「「はっ!」」”六名ほどの槍兵が命令通りに一瞬で囲んで、馬の行動を制限し、カーベーリ伯爵を下ろした。
“「……なっ!」”降ろされた後、ロードルフ子爵はすぐ槍でカーベーリ伯爵の頭部を狙って、強い鈍撃の音が響いた。そして、カーベーリ伯爵は気絶した。
“「……カーベーリ伯爵はもう捕まった!この戦いが終わった!命が惜しけりゃ、武器を下ろせ!」”
相手の騎士、ロードルフ子爵の言われた通り、全員武器を下ろした。大将が捕まったら、戦意がなくなったようだ。
……終わった?何となく、戦いが終わったような気がする。
あっけなく終わったから、私はすぐ「心の空間」から出てきた。
(……本当に終わった?)と聞いた。
恐らくあっけなく終わったからの不安だろう。虚しさとまた何か起こるじゃないかという不安……余計な不安が自分の思考にまとまっている。
「ああ、戦いなら終わった……だが、計画がまだだ。」ロードルフ子爵は少し息が上がっている。それに、もう暗号で伝えるつもりがなかった。疲れていただろう。
(本当に、大丈夫なのか?)
「何?お前はもっと何かを期待していたのか?裏切りとか?それとも戦い続けるとか?ふん。戦いはこういうものだよ。
昔も賊を殺し終わった時、虚しい感じだけだった。同じことさ。」
(じゃあ、カーベーリ伯爵は?どうする?)
「殺せない。殺したら、アイツの領地が問題になる。俺も『反逆者』の烙印にされるかもしれない。」
(すぐ殺すとか言う……どうするのって言っているのに。)
「はっ!そんなの知らん!君の方が一番わかるんじゃない?」
(そんなの……)
「とりあえず、しばらく牢屋に入れておく。どうするか後で考える。元々こいつについて何も考えていない。」
(そうね……)
「良かったな。こいつの騎士の練度が低くて。でもこれも王国が腐っている証拠だ……皮肉だな。」
ロードルフ子爵の視野によって、色んな人が死んだ。気持ち悪い……私の計画のせいで……
それに、こちらの騎士も結構死んでいた。
(ごめん。君の騎士が……)
「はあ……死んだ人は生き返らない。進むしかない。引きずられるな。」
(……うん。)
そして、ロードルフ子爵はカイルのところに行った。
「カイル隊長。」
「はっ!」
「あいつらを拘束し終わったら、すぐ守備隊の人と連絡しろ!」
「はっ!ではすぐ伝令をします!」
「いや、お前がやれ。こいつらは俺が監視する!」
「でも……」
「俺は警戒をゆるんでいない。心配無用だ。」
「はっ!わかりました!」
そして、全員拘束し終わって、カイルは町の中に入った。
守備隊を待っている間、ロードルフ子爵は静かに鉄格子の付近に近づいた。
……もしかして、メリー伯爵は裏切ったとか、そういうこと――
でも、私の不安を裏腹に、メリー伯爵は安心と優しい笑顔を見せた。それはロードルフ子爵が生き残ったことに、また自分が生き残ったことに安心な微笑みだった。
「メリー様。」
「何?」
「実はこの五日間、俺はずっと……」
↑……ずっと君を疑っていた。
「疑っていた、ですね?ふふ、言わなくてもよろしいですわ。わかっていますもの。」鉄格子の中にいるメリー伯爵は少し悲しみの笑顔を見せた。
「だって、わたくしもずっと……君はわたくしを王族に売ろうじゃないかと心配していましたわ。」
「……そうか。」ロードルフ子爵の口角が上げた感じがした。
自分の顔が見えない。でも、きっと笑顔だろう。
やはりこの二人、仲がいい。仲が良すぎで、まるで「家族」みたいに。
そして、二人は「どうしてだろう……」「何ででしょうね……」と同時に話し、
「「俺・わたくしはずっと、君のことを『母』・『息子』と呼びたくなるな(わ)」」と、また同じタイミングで言った。
「おかしいだね。」「おかしいでしょう。」と言い終わったら、二人は「ふふ」、「はは」と笑っていた。
もはや、ただの気が合うレベルじゃない。
母・息子……きっと私が知らない10年の間に、二人がお互いに何かを感じていただろう。
良かった。本当に良かった。
そして一瞬だけ――
****
“まるで、身体が浮いている。”“見ていたわけではない。”“感じたのだ。”
病院で。
一人の女性がベッドの上に眠っているような姿だった。
その女性の隣には、「家族」、「部活の先輩・友達」、「親友」が立っていた。
“「家族」は、パパ。”
“「部活の先輩・友達」は、伊原先輩と翔君。”
“「親友」は、良奈ちゃん。”
身体にもはや異常はない。ただ、意識がずっと戻らなかった。
三年間……この人たちずっと欠かさず、お見舞いしに来た。もちろん悲しい雰囲気、重い雰囲気だった。だが、この人たちがずっと願っているのは、「意識」が戻ること。
“私が親愛なる人たちは、ずっと私のことを待っていた。”
「僕は……『部長』の様子を見てくる。」
他の三人は頷き、一人が部屋から出ていった。
またたくさん、話したいことがある、またたくさん、楽しいことがしたい。だから、さなちゃん、早く起きて……
起きて……
”起きたい。私も、帰りたい!”
一人の女性がベッドの上に眠っているような姿だった。
その女性は、「黒井さな子」であった。
“私は、ここに帰らなきゃ!”
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一瞬だけ――私は「現実」を見た。
「おい。」ロードルフ子爵も感じただろう。
(ああ。一瞬だけ、君から離れたね。)
「ええ。そういえば、お前は最初、何のためにここにいたと聞いたな。もしかして、君は俺たちのために、ここにいたかもな。」
(はは……そうかもしれないね!)
「なら、計画が終わるまで、あと少しだ。」
(うん。やり遂げよう!)
予想外の戦いが終わった。
恐らく、計画が終わる時、お別れの時間だろう。
つまり、さようならの時間はあと少しだ。
メリー伯爵のヒミツ3:
実は、騎士好き。
使用人たちのヒミツ2(レイヤー):
実は、勘がいい。
ロードルフ子爵の屋敷内。メリー伯爵とレイヤー二人がよく話し合っていた。
「――と、そんな感じですわ。どうでしょうか。」
「すごいと思います!でも……これ、騎士にかかわるでしょう?ロードルフ様が受けるかどうか……」
「ぜひやってほしいですわ!そして良ければ、騎士団の訓練も見させてほしいですわ!」
「それは、どうしてですか?」
「効果があるかどうか知らせてほしいですから!自分の目で確認した方がいいでしょう!」
ロードルフの屋敷に行くまで、メリーはよく寄り道をする。彼女は騎士の訓練の光景を見るのが密かに楽しんでいる。
「……そう、ですか。」そして、レイヤーが気付いた。
たぶん、メリー伯爵は効果より、見たかっただけということを。
少し会話に夢中しすぎて、あとのことを考えていない二人である。
(騎士の訓練は機密である。)
メリー伯爵のヒミツはここで終わります!
いいね、☆の評価をくれたら、励みになります!
この話、とても難産でした……初めの案が結構暴走しました。




