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悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第六章(最終章)
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(あの、もう一度見たい。紙切れの内容。)ロードルフ子爵は歩きながら、もう一度紙切れを持ち直し、内容を見ていた。


 (やはりこの紙切れ、間違いなく「日本語」で書いたものだ。私にはわかる。これは「線」じゃない。ロードルフ子爵には「線」しか見えない?)


 “肯定”


(そうか……ならたぶん、私たちの「言語」はお互いの目に映った感じ、「線」になるらしい。その原因がわからないが……かなり重要なことだろう。)


 “肯定”


(メリー伯爵様にも教えたほうがいいかな?)


 “まず”“帰る”


(そうだね……)まず安全に領地に戻ることが大事だ。


 今、メリー伯爵を連れて帰る途中だ。メリー伯爵の町に来る時五日がかかったから、当然帰る時も五日間が必要になる。


 そして、計画では、メリー伯爵の「町」と「帰途」のほうが危険だと予想していた。 


 町の危険は三つ:市民の中にいるかどうかの「間者」、状況によって「市民」の暴動、隣接している「公爵」の先手。


 間者の問題は、確定の情報がわかるまで、下手な暗殺ができない。だから、一番の問題点は情報の洩れ――芝居で偽情報を与えることで何とかなる。


 市民の問題は、起きるかどうかの「暴動」。


「逮捕」、「権利」、またメリー伯爵の「価値」を知らせるために、二人が大勢の前で演技しなければならない。


 そのため、もしメリー伯爵を逮捕して市民が暴動したら、騎士で抑えるつもりだったが、メリー伯爵のおかけで、結果は成功だった。


 甘い対応策だが、もっといい方法がないため、騎士に頼るしかなかった。


 最後、一番心配していたのは「公爵」が先にこちらの行動を知ってて、先手を打ったこと。


「王族」は「公爵」と協力関係があったため、「公爵」が「王族」のために何をしてくる可能性が高い。


 もちろん何もしないならいいことだが、それはあまりにも楽観的な観測。「立場」が違うだけで、婚約を押し付け、人の家族を殺す人たちだ。それに、元々王族と対立してしまったために練った計画だ……楽観的な観測を持ち込んでいたら、この計画を考える必要もない。


 むしろ、この問題点は私の提案をもとに、全員で頑張って練りに練った一番コアの部分だ。


 王族がどう行動するかわからないなら、「王族が行動しないように誘導したらいい」。


 つまり、全員の芝居につながり、二人の「評価」に関わることだ。


 元々私が考えた方法は、ロードルフ子爵の評価のことを考えて、「悪者」の芝居をしてほしいという感じだった。ただ話し合いを続けているうちに、計画の詳細は「悪者」だと思わせるより、「愚かなやつ」だと思わせたほうがいいと変えってきた。


 なぜなら、メリー伯爵は十年もロードルフ子爵の「評価」を下げて、ある程度のところに維持していた。貴族の間でも同じく流布していた。


 メリー伯爵の「噂」は「貴族」・「王族」にとって、一体どうなっているのか、計画の時で話し合っていたら、結構興味深いことだった。


「女の戯言」に影響されていたロードルフ子爵は「無能」だった。


 ロードルフ子爵はメリー伯爵の言いなりで、領地も占領されていた「無能な貴族」だった。「冷酷者」、「乖離」、「心知らず」、「壁男」……全ての評価が「無能」の「証拠」だ。


 メリー伯爵に好き放題にされていて、「何もできない男」だと王族と貴族が思っていたらしい。


 当然、ロードルフ子爵の全ての評価はメリー伯爵によって作られた偽りの仮面でしかない。本当に心にかけているなら、騙されないはずだ。けれど、王族と貴族たちは信じていた。「女の戯言」に騙された。


 市民にとって、評価は素性の判断基準だが、貴族にとって、評価は自分の証明だ。「立場」が違うだけで、見解も大きく変わる。


 まさか認識の違いがあるだけで、こんなに大きく変わるとは……再び認識できた。


 でも、私は最初そこまで考えていなかった。事情が知らないから。ただ計画の話し合いを続けていたら、このことを深く知っていた。


 では、この計画の危険性と問題は、「王族」と「貴族」はどんな方法で「無能な男」を「助ける」つもりに変わってきた。


 メリー伯爵の町に行く時、特に意外がなかったが、当然のことだ。


 消息の伝達は時間がかかるから、行く時の時間帯が一番安全だった。


 そして、王族と貴族が手を打つタイミング、多少ずれがあっても、強引な手をやるなら、「町」の中と「帰途」だと誰も思っていた。


「町」の部分はすでに心配する必要はないが、「帰途」だと何が危険だと……「意外」を発生させるタイミングが一番適切だったから。


 メリー伯爵を逮捕する二日後の今、まさに「意外」と遭遇した。


「お金を出せ!」


「その後ろのやつ、誰だ?」


「まあ、全員殺せばいいだろう。どうせ無能なやつだろう。」


「賊」が現れた。賊の装備は何となく精良な感じがした。人数は……50人。


 恐らく、隣接している領地の「貴族」が送ってきたかもしれない。あるいは本物の賊かもしれない。王族も……


 どのみち、「賊」と戦う必要がある。だから、騎士を連れてくる必要がある。


 幸い、人数的にこっちが有利。馬の世話人と召使いも多少の武力があるから、戦力外とは言えないが……ちょっと不安。


 “引っ込んでろ”


 ロードルフ子爵の言う通りに「心の空間」に逃げ込んでいた。戦い場面が見たくないし、人を殺す感触も知りたくないから。


 そして、私は「心の空間」で少し情報を整理している。


 まだ「公爵」の人と会っていなかった。間者らしい人を見てなかった。


 間者が送ってないか、何もしないつもりだろうか。あるいは、ただの「愚かなやつ」と思っているだろうか。


 でも、先手を取るつもりがないなら、それでいい。それが目的だから。


 そして、「貴族」の「助け」……今出会った「賊」はそういうことだろうか?装備は悪くない。人数もそこそこ……正直、怖い。


 もしこの五日間で二回以上出会ったら、確実に誰が送ってきたのかと思った方がいいだろう。


 本物の可能性、公爵(王族)の可能性、伯爵の可能性……


 情報を整理している時、何となく戦いが終わったと感じた。ロードルフ子爵がいいと言うまで、私はずっと「心の空間」にいた。死体を片付ける時間が必要だから。


 “もう出ていい”


 私は「心の空間」から出ていた。


 ロードルフ子爵が無傷で終わったらしいが、何名の騎士が軽傷を負った。血生臭い匂いがどうしてもいい気分になれない。


(大丈夫か?)


 返事しなかったが、視線で伝えてくれた。そして、メリー伯爵のところに映った。


 真っ青な顔色、さっき襲われたのか?身体に傷がないが……精神的にあまりいい経験ではないと思う。


「カイル隊長!」


「はっ!」


「次はお前がメリー伯爵を守れ。」


「はっ!かしこまりました。」


 この交流の意味……やはりメリー伯爵が襲われたのだろう。


 (ごめん、何もできなくて……)


 “言わなくていい”


「黙れ」の意味だろう!ひどい!


 (やはり、誰が送ってきたのかな?その「賊」……)


 “肯定”


 (誰がやったのか予想はあるか?)


 返事しない。どの可能性もあるという意味だろう。


 (わかった。もし次もある時、自分で隠れる……でも、ないといいんだけど。)


 返事しないが、何となくロードルフ子爵も思っていると感じた。


 翌日。また賊が現れた。今回30人くらいだけだった。


 誰も大きな傷を負ってなかったが、やはり狙いはメリー伯爵らしい。今回も襲った。


 そして、このやり方は王族より、貴族のほうが一番可能性が高い。王族はもっと強引な手を使うらしい。これは嫌がらせのレベル。


 そういえば、ロードルフ子爵は二回の巡回をして、二回も賊と出会った。つまり、貴族――カーベーリ伯爵方面から来た可能性が高いだろう。


 帰途四日目。予定通りの距離に進んでいたが、今回かなりの人数だった。


 それに、「これは、これは……ロードルフ子爵様ではありませんか?」


 同じ騎士姿の人と出会った。


 (……誰?)同じく騎士だが……なんか嫌な雰囲気が漂っている。


「ほう?あなたはたしか……カーベーリ伯爵様のところの騎士ですね?」


「ええ。そして俺はロードルフ子爵様のために、犯罪者の処刑を助けに来ました。どうだろう?カーベーリ伯爵様は優しい方でしょう?」


「……ああ。そうかもしれませんね。」


 相手の騎士が剣を抜いた。


「心の空間」に隠れよ……


 “「どうしてそんな言い方をするでしょうか?ロードルフ子爵様は認めないつもりですか?」”


 “「ええ、認めますよ。ええ。実に『優しいお方』ですね。俺なんかのために、わざわざここに騎士を派遣するなんて。」”


 “「ははは。そうでしょう。それはそうと、ロードルフ子爵様。あの『罪人』、どうしてすぐ処刑しなかったでしょうか?」”


 “「簡単です。今彼女はただの『容疑者』ですから。」”


 “「容疑者ね……貴族様はよくわからない言葉を使いますね。俺も騎士ですよ。『容疑者』なんて聞いたことがありません。犯罪したら犯罪者で呼べばいいでしょう。」”


 “「しかし、犯罪する『容疑』があるだけだったら、『犯罪者』とは言えない。だから、処刑するつもりはありません。」”


 “「ふーん……まあ、その辺はどうでもいいです。とりあえず、その『犯罪者』を渡してくれないかな?」”


 “「『犯罪者』ではありません。『容疑者』――」”


 “「だからどうでもいいです。ロードルフ子爵様。こっちに渡してくれたら、問題も簡単に解決できますから。」”


 “「……断ります。何があっても、俺がやる。」”


 ……そして、戦いがまた始まった。


 今回の人数はざっくりと見た感じ、こちらとあまり差がない……頼む、全員無事であってほしい!


 誰も死なないように……誰も死なないように……私はずっと「心の空間」で祈っていた。


 そして、誰も死んでなかったが、今回重傷を負った人数が多かった。十人くらいだろう。


 それに、カイルまで軽傷を負ったのだ。ロードルフ子爵とメリー伯爵は無事だったが……私は何も言えなかった。


 怖い、人が死ぬのは……本当に死んだら、一体どう受け入れたほうがいいだろう……


「……カイル様。申し訳ございません。わたくしのために。」


「い、いいえ、私は大丈夫でございます。ただの軽傷で済みました。今心配すべき人は、あの重傷を負った騎士たちです……もし次があったら……」


「ごめんなさい……わたくしなんかのために……」


「もう謝らないでください!メリー伯爵様は……その……」


「もういいだろう!現場の判断は俺がやったんだ!ならこいつらの傷も俺の責任だ!お前らは何も考えるな!」


 ロードルフ子爵は、自分で背負うつもりだろう。すごい……


「な、なら、騎士隊長の私にも責任があります!私がまた未熟のせいで……」


「ふん!これでわかったか?犯罪の『容疑者』は今何も喋るな!考えるな!」ロードルフ子爵はカンと柄頭で鉄格子の鉄を叩いた。


 メリー伯爵はその行動で少しビクッと驚いた。


「……いやな男ですわ。」


 そうだ。あまり考えないようにしよう……それに、今はまだ計画中だ。関係が良すぎるとおかしい。


 明日、明日で帰れる。


 そして、帰途の最後の日。


 町に戻る目前で、城門はすでに大勢の人たちに阻まれた。その姿は市民ではない。一人の貴族と騎士たちだった。

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