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悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第六章(最終章)
63/75

3

 騎士団に向かった後、鉄格子はすでに用意した。意図的に時間を遅らせたらどうするかと考えていたが、心配する必要がないようだ。


 でも、その「カイル」という騎士隊長は元気がない……いいや、むしろ総体的に士気があまり良くなかった。


 それもそうか。ここの騎士は結構市民と関わっているから、たぶんメリー伯爵の人望は騎士団まで届いただろう。


 今どの人もただ仕事を全うしようとする顔だ。無視しないほうがいいだろう。


( “ちゃんと仕事をする姿勢が素晴らしい”とか、ちょっと激励の言葉をかけてください。騎士まで反乱されたら、為す術もなくなるでしょう。)


 ロードルフ子爵は軽く右の頬を掻いた。それは“肯定”の意味。たぶん“わかっている”という意味だろう。


 ロードルフ子爵は騎士に向かって言った。


「いいか、お前ら!これは領民のためだ!領民のためにお前らは頑張っている!そこだけ覚えておくがいい!そして、逮捕命令を出したのは俺だ!つまり、責任も俺になる!もう項垂れるな!」


 この話に心に響いていた人がいないかもしれない。しかし、少し安らぐになっただろう。さっきよりマシな感じだ。


「その、領主様。」とカイル隊長が言った。


「……なんだ。」


「どうして、メリー伯爵様を逮捕する――」カイルの話が途中で挟まれた。


「原因を聞いてどうする?」


「それは……」


「他言無用だ!カイル隊長!守備隊と隊長はちゃんと信頼できる相手に交替したか!」


「……はっ!前日済ませておりました!」と一秒遅れて、カイルが返事した。


「ならいい!出発だ!」


 (ヒントを与えたんだね……)“肯定”。


 一応カイル隊長は地元の領民から騎士になった人だが、私生活までわからないから、計画のことを簡単に話せられない。カイルは何か言いたかったような顔だが、何も言えなかった。


 そして、すでに用意した馬、荷物、十日分の食料……色々なものを運んだ後、即出発。馬の世話人と召使いを含めたら、人数は約百人。


 これは多いか少ないかわからないが、計画の時に全員で決めた人数だ。一番適切な人数だろう。


 五日間の道中、あまり大きな意外がなかった。一回だけ、カイルが話しかけてきた。


 野営中、ロードルフ子爵は騎士と少し離れたところに暖を取っている。この原因があるだろう。まるで「この時だ」と思って、カイルが話しかけてきた。


「申し訳ございません。領主様。少し、気になることがあります。」彼の音量は決して聞きやすいほどではない。何か感じただろう。


「……なんだ。」


「領主様は、騎士団の中に間者がいると思っていらっしゃいますでしょうか?」


「どうしてそう思う?」


「え、守備隊と、ちゃんと信頼できる相手……他の人なら、不自然ではないが、私にはやや不自然です。もしかして、知られなくないことがあるのかと思っています。」


 これが自分で考えたなら、結構信頼できると思う。特に「守備隊」はロードルフ子爵と執事が一緒に考えた「行進」に連結させるための用語だった。


 つまり、行進のことがわからないと、また市民とメリー伯爵のことを心配していない人なら、今は他の団員と同じく、何も聞きこない。


 カイルは、「行進」のことをわかっていながらも隠した。市民のためなのか、メリー伯爵のためなのかわからないが、ほぼ信頼できると思う。


「では、お前はこの逮捕の行動をどう思っているのか?感想を聞かせろ。そして、三秒以内で答えろ。」


「あ、浅はかすぎると思います!」


 数秒後、ロードルフ子爵は「そうか」と返事した。


 何秒の間、


(教えたほうがいいじゃない?)“否定”


 たぶんカイル自身の可能性もあると思っているだろう。


 (でも、騎士団の事情なら、彼が一番わかっているだよね?もし彼は誰かと繋がっていても、彼を注目すればいいし、何もなかったら、そのまま任せてればいい。それに、全貌を言う必要はない。どう思う?)“肯定”


「……なら、お前に一つ教えてやろう。」


「え、つまり……」


「いると思うなら、いると思って行動しろ!後で俺に叱られても文句を言うんじゃない!」


「え、あ!申し訳ございません!」


 あまり聞こえない声で言った二人。何となく気が合う感じ。


 ここでロードルフ子爵は立っていた。手を組んで、カイルを睨んでいるような感じだった。


「出発する前の数日、そして今日も含め、誰と会話した?」


「団員、酒場の旦那、市場の人たち、それと馬の世話人と召使い……」


「ふん。怪しい人物は?」


「ない、と思います……」


「もういい。話が終わっただろう?」


「あ!一つだけ……」カイルは何かを取り出そうとすると、ロードルフ子爵はすぐ怒った。


「しつこいぞ!逮捕するだけ考えていいと言っている!うんざりだ!戻れ!」大声で言った。


「も、申し訳ございません!」


 当然注目されたが、事情がわからない人からすれば、カイルが何を会話して、突然怒られただけだろう。


 騎士団だからこそ必要な警戒だ。市民に計画を言う必要がないから、全部ありと警戒するだけでいい。


 騎士団ならそう簡単にはいかない。下手したら、騎士も行進に参加する可能性がある。ヴェルサイユ行進はそうだったし。正直、守備隊の騎士が行進に参加してもおかしくない。


 一応対応策を考えていたが、やはり参加しないほうがいい。


 そして、五日間の時間をかけて、メリー伯爵の町に辿り着いた。あまり華麗とは言えない城壁だが、防衛を重視しているだろう。ロードルフ子爵の町の城壁と結構似ている。


 もし計画通りに進んだら、今市民は町のあるところに集中されていて、あまり人影が見られないはず。


 町に入る前に、カイルが話しかけてきた。


「領主様。僭越ですが、ある程度の人員を残してもいいだろうか?特に馬の世話人と召使いに。」


「……ほう。理由は?」つまり、その中にいるのかな?いや、それとも……


「逮捕は騎士の仕事だ。『安全』のためにも、巻き込まれないほうがいいだろう。」


「いいだろう、そのくらいなら許そう。」


「ありがとうございます。では――」カイルは馬の世話人と召使いに残ってと命令した。そして、帰ってくるまで、ちゃんと馬を監視してと言った。


 (それは一番可能性が高い人たちなんだね?)“肯定”


 一番可能性が高い人たちだから、そこに人がいなくなったら、得られる情報は限りがある。騎士だったら、馬が使いたくても使えない。強引に奪っても、人が消えても、この騎士団に戻れなくなる。


 牽制の意味も込めて、かなりいい方法だと思う。


 そして、重い荷物を残しつつ、騎士団とともに町に入った。


 町の中にあまり市民の人影が見られていない。


 どうやら、メリー伯爵も計画通りに進んでいた。


 少し城門から離れたところに、ロードルフ子爵は後ろの騎士に向かって話した。


「いいか!俺らはメリー伯爵を逮捕するためにここに来たのだ!ここの市民たちを傷つけるな!」


 一瞬シーンとしたが、カイルが先に「はっ!承知いたしました!」と返事し、その後全騎士が一斉に同じ返答で答えた。


「……よろしい。では、この後メリー伯爵を見つける!分散するな!」


「「「はっ!」」」


 そして、すぐメリー伯爵を見つけた。


 彼女は結構広い広場で、少し高めの舞台に微笑みをしながら、市民たちに向かって演説している。大勢の中で、その自然な仕草と綺麗な声が誰もが心が掴まれていたように静聴している。


 普通なら、市民はこちらのことを気付いてもおかしくないが、まるで魅入られていた感じに全員メリー伯爵のほうへ注目している。それほど魅力を感じたんだろう。


 ロードルフ子爵は後ろの騎士に止まるというように手を挙げた。後ろの騎士が止まった。


 そして、ずっと演説しているメリー伯爵は一瞬だが、目付きがこちらに映ったと感じた。彼女は自然に羽扇を持って、うんーと考えているように、左手が右手の肘に、羽扇を持っている右手が顎の部分にトントンと軽く叩いた。


 “いつでもいいよ”


 なんとなく、メリー伯爵は嬉しそうな気がする。


(ずっと待っていたかもしれない……やろう!)


「……いいか。これから俺の命令通りに動け!」


「「「はっ!」」」


 騎士の声が抑えられないため、数が多くないが、何人の市民がこちらに注目した。


 そして、ロードルフ子爵は大声で「メリー伯爵!今俺は騎士として、君は王族と敵対する犯罪の『容疑者』として逮捕する!」と言った。


 さっきまでずっとメリー伯爵の演説を聞いている市民もさすがにこちらに振り返った。


 現場何秒の間、何の反応もなかった。メリー伯爵だけ羽扇で自分の右頬を突いただけ。


「あら、どういうことでしょうか。ロードルフ子爵様。」


 “(こんなことを言って)大丈夫でしょうか?”


「君は王族と敵対する『容疑』がある!だから、君を逮捕する!」ロードルフ子爵は誇張な感じで、メリー伯爵に指差した。


 “大丈夫だ。(余計な心配しなくていい)”


 そして、指を収まって、自分が用意した逮捕命令を出した。市民もわかるように、「本当に逮捕するよ」ということ。


「では、ロードルフ子爵様、あなたが言ったその――」メリー伯爵が言った途端、その話がすぐ遮られた。


「ふざけんな!」「逮捕ってなんだよ!」「お前らは誰だ!」「メリー様を殺すつもりか!」


 さっきずっと静かだった市民たちが今すぐ暴動しそうな雰囲気だった。


「……黙れ!俺は騎士の仕事を全うするつもりだ!お前らはどう言われようと、メリー伯爵を逮捕する!」


 ロードルフ子爵は強引に舞台に上がろうとしているが、市民に通路を塞いだ


「チッ……道を開けろ!騎士たち!でも、傷つけるな!」


「は、はっ!」全員命令通りに動いたが、傷つけるなと言っているから、強引に開けたら傷つけるだろう。ちょっと押した感じで、道を開ける感じだった。でも当然、開けなかった。


「強引だ!」「そうだそうだ!」「強引すぎる!」「これが貴族様のやり方か!」「メリー様はずっと私たちに良くしてくれている!」「メリー様を奪うな!」


 ……予想以上の反応だった。


「皆様、静かにしてくださいな!」メリー伯爵が言った。


「し、しかし、メリー様……」「逮捕されるということは殺されるということでしょう……」「騎士は犯罪者を処刑するのは仕事だし、もしメリー様が死んだら……」


「静かにしてくださいな。実は気になることがありますわ。」


「そ、それは……」市民たちはメリー伯爵の言葉が気になったようだ。


「ロードルフ子爵様。その王族と敵対する『容疑者』というのはどういう意味でしょうか。」


「つまり……真相を突き止めるまで、逮捕するだけだ!」


「なるほど……つまり、わたくしは、殺されはしないですね?」


「ああ!そういうことだ!」


「それなら、わたくしを逮捕してくださいな。」メリー伯爵は自ら舞台から降りた。舞台を降りながら、羽扇で軽く揺らした。


 “予定、不変。”


 予想と少しはずれていたが、逮捕するふりは変わらないという意味。少々不自然だが、まだいける。


 メリー伯爵はロードルフ子爵の側に歩いたつもりだが、


「で、でも、メリー様……それは嘘の可能性が」市民たちに囲まれていた。


「大丈夫ですわよ。ロードルフ子爵様の言葉なら、信用できますわ。」


「しかし、彼は強引にメリー様を連れ出そうと……」


「でも、彼は君たちを傷つけるつもりはないでしょう。その騎士たちも命令通りに動いたわ。だから、信じられますわ。」


 メリー伯爵の言葉に、市民はやっと渋々に道を譲った。


「ありがとうございますわ。当然、ロードルフ子爵様。あなたもちゃんと約束を守ってくださいな。本当にわたくしを殺さないでしょう。」


「……当然だ。殺さない。殺したら、こいつら『暴動』するだろう。」


 ロードルフ子爵は軽くメリー伯爵の手を掴んで、歩き出そうとしたが、メリー伯爵は目で市民のほうに左右に移動して、まるで「もっと何か言ってください」と言っている。


「……俺はメリー伯爵を殺さない。真相を突き止めるまで、ずっと逮捕するだけだ!わかったか!真相がわかったら必ず返します!もし信じられないなら、俺の領地に来い!そして、王族たちに見せるんだ!お前らにも『声を出す権利』があるということを!」


「声を出す権利」という言葉に、市民は何かに響いたように、メリー伯爵の方へ注目した。


「あら、実に奇遇ですね。わたくしは先ほど『市民の声』ということを演説していますわ。」


「ほう?メリー伯爵、そんな奇遇もありますね。しかし残念ながら、王族たちの問題で、あなたを逮捕しなければならない。大人しく来てください。」


「仕方ありませんね。王族の問題でしたら、騎士様の言う通りにしますわ。そして、『手紙』や『贈り物』でしたら、ちゃんとわたくしにくれますかね?」


「ああ。それは君にあげるものだろう。没収しないさ。」


 事情を知ったら、結構白々しいだが、知らない人からしたら、そこまで不自然じゃないだろう。うまく誘導できただろうか。大勢の市民がほとんど混乱している様子だった。


「しばらく会えないかもしれませんが、大丈夫です。わたくしは信じますわ。」


「ふん。早く行け!」


 あらーと変な喘ぎ声で、メリー伯爵が引っ張られた。すぐ引っ張る人がカイル隊長に変わって、城門のところに戻った。


 途中で、“こいつに言っても?”、“君の判断に任せる”という意味の交流をした。


 カイルは優しくメリー伯爵を鉄格子に閉じ込めた。


 彼女は優しいですねと言いながら、鉄格子の中に座っている。


「カイル隊長。」


「はっ!」


「全員の人数は?」


「はっ!変わっておりません。」


「可能性は?」


「ないと思います!」


「なら、今お前の判断を信じる。だが、お前にしか言わない。」


「やはり、その裏に何らかの理由があるでしょうか?」


「当然だ。だが、全部を言うつもりはない。」


「わかりました……」


「とにかく、殺さないのは本当だ。逮捕するのは保護だ。あとは自分で考えろ!」


「逮捕は……保護……」


「では、かえ――」「あ、領主様!待ってください!実は……」カイルは一つの紙切れを出して、こっちに渡した。


「なんだこれ?線……?」


 (違う!線じゃない!)私の反応、ロードルフ子爵に数秒の沈黙をさせた。


「ふん。この線はどういうことだろうな……」まるで独り言、でも、これは私への質問。


 ロードルフ子爵の視野によって、私も紙切れの内容が見れる。だから、ロードルフ子爵の“線”の意味一瞬わからなかった。でも、この紙切れの内容で確信した。


 やはりメリー伯爵に死なせてはいけないと。


 (紙切れの内容は線なんかじゃない……もっと大事なメッセージを書いている。それは私の、友達が……)


「……とりあえず、俺のところに置いとく。念のために聞いておくが、これはなんの密書なのか?」


「わかりません。私がわかる方法で全部試してみましたが、密書の類じゃないと思います。」


「ふん。そうか。よくわからなかったが、よくやった。ご苦労だった。きっと大事なものだ!」


「は、はっ……大変光栄に存じます!」


 (ええ、大事だ。その大まかな内容は、「私」と「五十鈴部長」が知っている情報、そして、私たちを見ていること。少し勘違いしている部分があるが、恐らく「五十鈴部長」は「侯爵の次女」の方にいるでしょう。)


 どこで、どう見ているのかわからないが……


「この紙切れの意味がわからないが、とりあえず帰るとするか!」


「はっ!」


 (つまり、メリー伯爵に侯爵の次女のところに行く理由が増えたということです。)

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