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悪領主、自分の意志と戦う  作者: ヨガ
第五章
60/75

12

幕間の編、です!

また長いです。ちょっとラッシュでしたね~

 バイアス王国、「ライン・バイアス」が建国して以来。周辺国との外交関係を「友好」に結べた。百年以上の平和が続いた。


 しかし、平和が続いても、王国の統治者が必ず変わる時が来る。その臣下たちも王によって簡単に変わってしまう。


 バイアス王国はこの百年の時間で、統治者が十人も変わった。ライン・バイアスとその息子以外、在位期間はほとんど十年未満。統治者が頻繫に変わるなら、当然臣下もグルグルと変わる。


 この大きな変化をもたらした全ての原因は、今の集中派の筆頭――「宰相」と「公爵」である。


「宰相」と「公爵」は王族の臣下の中に一番長く続いて、ほぼ70年に渡った歴史悠久の両家だった。しかし、長く続けられる理由は決して政策がうまいわけではない。


 両家の政策の能力が普通で、市民に対しても適当にあしらって、ただ人気を稼ぐ「道具」として見ているだけ。支持率があまり高くないが、悪目立ちほどでもない。


 では、なぜ臣下として長い時間に渡れるというと、「宰相」と「公爵」は王位の闘争を激化させ、対立を覚えさせることが得意だった。


 その起源はバイアス王国の歴史を遡って、共通歴620年だった。


 ライン・バイアスの息子が暗殺され、死亡した。死亡年齢51。その後、弟が王位継承した(46)。


 この弟が王位につけられるのは、「宰相」と「公爵」の助けがあったから。


 “前の王と比べて、この王は王位に相応しくない”


 “今この王国が必要なのは、もっと有能な王であろう”


 自分の能力を証明したい、自分は無能ではないと思う弟が簡単に王位に付けられた。


 そして当然、そこまで有能ではない弟が「宰相」と「公爵」の「助言」により、在位期間八年後、自ら破滅の道へ歩いて、牢獄に閉じ込められ、翌年で死んだ。


 この年で、王族の権威が下がり、貴族が繁盛した。王族の派閥も三つに分けられた。それは「権利派」、「集中派」、「分配派」。


 王位をめぐって、地位をめぐって、色んな争いの中に抜けたのは、「宰相」と「公爵」両大家だった。


 そして、「宰相」と「公爵」はまた同じ手法で、自分の能力を証明したい、自分は無能ではないと思う継承者に簡単に王位に付けられ、次々と殺した。


 王に味方する市民もいなくて、両家の言論に説得された。“次の王なら……”と思う市民がほとんどだった。


 市民は「話の正当性」を考えていなかった。この考え方も教育の普及率を低くさせた「宰相」と「公爵」のせいである。


 市民を愚かにさせて、知恵がある人がいたら排除する。これで市民が支持したくなくても、支持せざるを得なかった。


 また、王を教育する人もほとんど「宰相」と「公爵」の人のため、王の教育の質も下がりつつあった。


 市民たちの知恵を奪う。


 王族に対立させる。


 この二つの事情が「宰相」と「公爵」両大家が長年に渡れる原因である。


 ****


 カイルはロードルフ子爵家により設立した騎士団に所属する騎士である。また騎士隊長である。


 普段あまり大きな出来ことがないため、大半の時間が見回りと訓練に埋まっていた。時々町に見回る時、市民たちと交流していた。


 そのため、カイルは市民たちが何「噂」しているのも少しわかっている。


 最近の「噂」、ほぼこの領地にいらっしゃった「メリー伯爵」のことだな……まあ、メリー伯爵はよく市民のことを親身になってくれたから、無理もないか。


 と夜の酒場にいるカイルがそう思っている。


 この酒場には娯楽があるため、カイルは仕事がない時、よくこの酒場に尋ねている。時には演劇、時には音楽、時にはゲーム……今日はゲームの日だ。でも、やや寂れた感じだ。あまり客が見えなかった。


 彼は見回る時に聞いた「噂」を思い出しながら、軽く酒に浸っている。


 市民はダーツ、トランプ、またボードゲームなどを遊んでいて、楽しんでいる。


 もしメリー伯爵がなければ、恐らくこんな楽しい風景が見られないだろう。


 教育の設立、娯楽の流布、体制の健全化……メリー伯爵は素晴らしい人間だ。


 この風景を見ているカイルは、全てがメリー伯爵のおかげだと思っていた。


 メリー伯爵は自ら自分の実績を宣伝し、市民たちにアピールしていた。当然、カイルは全てを信じていたわけではないが、メリー伯爵はちゃんと言うことを実行し、領地をもっと良くしていた。自分の領地だけでなく、婚約者であるロードルフ子爵のこの領地まで良くしていた。


 そのため、彼女の話の信憑性がかなり高かった。ロードルフ子爵に関する「噂」も信じていた。


 ロードルフ子爵。彼は市民の間では、前の領主と比べてかなりマシだが、婚約者のメリー伯爵に対しての扱いとその素性は、市民が快く受け入れられなかった。


「冷酷者」、「乖離」、「心知らず」、また「壁男」とも呼ばれていたロードルフ子爵が「噂通り」の人物だった。


 どこかに冷たさと冷酷な部分があった。交流したことがあるからこそ、「噂」の信憑性もかなり高かった。騎士も市民の誰もが信じている。


 メリー伯爵は、それほどの影響力があったということだ。


 恐らく彼の人望はどん底に陥ったではないが、何かのきっかけで反乱が起こってもおかしくはないだろう。


 しかし、「噂」のことを信じていたカイルは、また若干矛盾の気持ちがあった。


 その気持ちの源は、ロードルフ子爵がメリー伯爵の「政策」を受け入れたことだった。


「冷酷者」、「乖離」、「心知らず」……そう呼ばれていたロードルフ子爵は、なぜメリー伯爵の政策を取り入れているだろう。


 なぜ治安を維持するだろう。


 そして、なぜ先月騎士団の待遇を改善し、「領民」を守れと言っただろうか。


 これは先月待遇改善のこと以来、カイルがずっと考えていたことだった。


 でも、ずっとこんなことを考えていても答えが出ない。だから、カイルはただ少しロードルフ子爵のことを信じたかった。


 そう。カイルは信じたかった。


 “「いいか。今日はお前らにいい仕事を与えてやる!逮捕命令だ!三日後、メリー伯爵領地にメリーを拘束し、逮捕しろ!これは領民のためだ!」”と。


 二日前、ロードルフ子爵その大きな声量が今にも耳に残っている感じだった。


 そして、そのことをまるで告知するかのように、“俺を疑うな!”と言っているみたいに、同じことをもう一度大きな声で言った。


 逮捕命令……これは貴族を犯罪者に扱うという意味である。貴族が犯罪者になると、人権がなくなる。生死の権利も逮捕の騎士にある。


 よほどの罪じゃない限り、貴族を逮捕するなんてない。ましてそれはいい人だなんて。あるとしたら、きっと王族に関わることだ。


 王族の理不尽さは知れ渡っている。他の領地の人たちは言うことすらできない。言論が制限されていた鬱憤はしっかり溜まっている。激しくなった宮廷闘争のこともメリー伯爵の演劇、掲示板と週刊誌から知らされていた。


 王族の毎日が、市民のことより自分の地位が守りたがっていた。何か政策を打ったことも市民のためではなく、自分のためだけだった。


 だから、カイルは少しでもロードルフ子爵のことを信じたかった。


 王族と比べて、ロードルフ子爵のほうがマシだ;他の貴族と比べて、ロードルフ子爵のほうがマシだ。


 でも、逮捕命令が出た瞬間、結局ロードルフ子爵も自分のためだった……自分の命を守るために、メリー伯爵を王族のところに突き出すつもりだろう。


 カイルは、少しでもロードルフ子爵に信じたかった。先月で感動を覚えた自分がアホだと思った。


「……あんちゃんよ。今日落ち込んでいるな。」酒場の旦那がカイルに話しかけた。


「そりゃあ……落ち込むさ。メリー伯爵様の逮捕命令があったんだ。」


「おお。その話、俺も聞いたぜ。その冷酷者の声が大きすぎて、付近の住民たちも聞こえたらしい。一日もなく、すぐ町中に広まったぞ。おかげで、今日も客が少ないんだぜ。」


「はは……噂がはやいな。」


「まあ、つまりメリー伯爵様がそれほど大事な人だ……たしか、明日だよな?」


「ああ。鉄格子を用意して、メリー伯爵様を放り込むつもりだそうだ。」


「鉄格子……」酒場の旦那が少し考えて、一杯の酒をカイルの前に置いた。


「なあ、あんちゃん。君はこのことをどう思うか?」


「どう思うって……わからないよ。メリー伯爵様が大事な人だ。王族に突き出すなんて……正直、彼女に死んでほしくないさ。」カイルは酒を飲んだ。


「違う。領主様のこの行動……あまりにも浅はかすぎると思わないか?」


「ぷは……おい。私でなければ、不敬だと思われるぞ。」


「ああ、だから君に言ったんだよ……それで、あんちゃんはどう思うんだ?」


「まあ……貴族様の考え方なんて、凡人の私にはわからない。たぶん王族の機嫌を取るためだろう?あるいは、すっきりするために。ずっとこんな噂が流されたら、怒るだろう。」


「すっきりね……噂のこともすでに領主様の耳に届いたはずだ。今更ただすっきりするために、こんな行動を取るなんて想像しがたい。」


「じゃあ、王族の機嫌を取るためだろう……王族たちは理不尽だし。」


「ええ、だから浅はかとは思わないか?」


「あ?どういうことだ……?」


「理不尽なやつの機嫌を取るために、メリー伯爵様を突き出すなんて、考えなさすぎる。理不尽なやつだからこそ、現状維持の方がよほどお互いのためじゃないのか?王族たちはどう行動するかわからないだろう。」


「まあ……それはわかるよ。」カイルは反駁できなかった。


 実はカイルも同じ考え方があった。


 ただ、思考の方向がすぐ“きっと何らかの理由がある”となって、考えないようにした。なぜなら、色々考えすぎると、仕事が全うできないから。


「なあ……あんちゃん。お前さんは騎士だろう。」


「ああ。騎士さ。お金のための騎士ね。」カイルは自嘲するように嗤った。


「違う……そうじゃない。お前さんは何が考えているかわからねえが、すっかり思い込んでいたらしいな。」


「ははは……そうかもな。ああ、そうか!だから旦那が話しかけてくれたか。ありがとうよ。」


 酒場の旦那がはあと嘆いた。


「なあ。あんちゃん。しっかりしろ!」


「あ……?一体何が言いたいんだよ……」


「お前さんは騎士だろう!俺はただの酒場の旦那だぜ。お客さんの愚痴を聞いたり、酒を提供したり……これは俺の仕事さ。で、あんちゃんの仕事は騎士だろう。お金のためでも、騎士の誇りでも何でもいい。思い込む必要がない。」


「わかっているよ……」


「ならシャキッとしろ!逮捕するならちゃんと逮捕しろ。逮捕したくないなら簡単なことだ!反抗しろ!」


「それが……」カイルは一杯の酒を飲み終わった。


 それができるなら悩まない。とカイルが言いたかった。


「なあ、あんちゃんは何がしたい?」


 カイルは考えている。なかなか出られない答えだった。だからこの酒場に来た。


「わからない。」


「……そうか。」酒場の旦那がしばらくの間、静かになった。そして、もう一杯の酒を盛って、カイルの前に置いた。


「今日の旦那が……太っ腹だな。」


「ああ。俺の奢りさ。」


「なんでだ?」


「君に言っておくが、殺さないでくれよ。」


「……犯罪するつもりか?」


「どうだろう。聞いた話なんだ。実は俺、市民の『行進』に参加するつもりだ。」


「……『行進』?」


「ああ、この二日間、メリー伯爵様のために、市民の『声』を聞かせるために、町中の人たちはすでに行動している。その発起人は君もわかる。あの執事さんだ。」


「執事さん……どうしてそんなことを?」


「領主様を諫めるつもりらしいぜ。それに、元々メリー伯爵様の執事さんだったそうだ。理由としても、情においても充分だろう。」


 執事さんがメリー伯爵様のために……こんなはっきりとした行動ができるなんて……すごい。カイルが素直に感心した。


 きっと、逮捕命令が出す前に、すでに諫めたことがあるだろう。そして、不満を感じ、行動に移した。すごい。


「だから騎士のあんちゃんよ。もう迷うな。君は十分考えただろう?馬鹿な俺でも、自分なりに考えていたんだ。そして、あとは行動するだけだ。もう落ち込むな!」


「……そうか。励ましてくれたんだね。旦那。」


「ああ。お前さん、お客さんだろう。」


「はは。ありがとう。旦那。旦那のおかげで、何がしたいか少しわかった気がする。」


「そうかい。なら良かった。」


「ああ。お金はここに置いとくよ。やはり旦那の奢りより、もっと長く飲めるほうがよっぽどいい。『行進』は何をするのかわからないが、犯罪じゃないなら、何もしないさ。」カイルはお金を出して、机の上に置いた。


「ふっ。おうよ。」


「では、私はここで――」


「あ、待ってくれ。あんちゃん。忘れるところだった。」


 カイルは少しフラつく足取りで帰るつもりだが、すぐ酒場の旦那に呼び止めた。


「うん?」


「実は昨日の夜、これを拾ったんだ。騎士のあんちゃんなら、もしかして何かわかるじゃないのかと思ってね。」酒場の旦那が一つの紙切れを出した。


 そして、その紙切れの内容は――


「え?なにこれ。全部線じゃん。」


「ああ、やっぱりそう見えるかい?てっきり何かの暗号かと思ったよ。」


「うん……暗号か?わからないな……」


「あんちゃんもわからないか。じゃあ、やはりただのラクガキだろうな。後で処分――」


「あ、待って……何かの密書の可能性がある。私に任せてもいい?」


「おお。構わん。」


「ちなみに、どんなところに拾った?」


「結構騎士団のところに近い場所でな。あの住所が多いところに。」


「……どうして夜であそこに?」


「あんちゃん。『行進』のこと、忘れたかい?」


「なるほどな。私が見回る時、なるべくあそこに近づけないようにするよ。他の団員はどうするかわからないが。」


「これだけでありがたい。」


「とりあえず頑張ってな。私は阻止しないさ。しっかり市民の声を届け!私身分の問題があるから、でなければ、私も……」


「気持ちはすでに受け取ったのさ。引きずるなよ。しっかりせい!」


「……ああ。」カイルは返事しながら、帰っていた。


 ****


「……王族派閥の改革が起きた、それに、良くない方向……政権交代……」


「ど、どういう意味?」


「つまり、死ぬ……かもしれない。」


 軽井翔、伊原千美、前田良奈三人はゲームの画面を見ることしかできなかった。


「し、死ぬって、どういう意味?必ず死ぬの?」前田良奈が慌てて言った。


「いいや、必ずじゃないけど……僕が今まで見てきた経験から、継承者が四回交代した。交代したとともに、その四回の中に二回人が死んでいた。そのどれもが元々ゲームのキャラクターだった。

 すぐに死んでいなかったが、恐らく一日か二日くらいの時間でわかると思う……」


「二回、50%……」


「今回の継承者は五歳……もはや名ばかりの存在……」軽井翔がゲームの画面を見て、こう言った。


「それは、良くないの?」


「わからない……でも、今このゲームの時間が進むのはかなり遅い。早送りもできない。

 そして、これはチュートリアルの王国だ。名前が違うけど、この地図のレイアウトでわかる。

 もし、この状態を保つ条件が王国の存続と関係しているなら、きっとよろしくないと思う……」


「こ、根拠は?」伊原千美も緊張な顔で言った。


「ない……ずっと推察で考えるしかない。そもそも、見たこともないキャラクターがあの二人という根拠もない。でもほら!


 この名前が文字化けの『騎士隊長』、行動パターンが一番『部長』と似ていると思わないか?


 この『民主制』を作った文字化けの『侯爵の次女』も、行動パターンが一番『さな子』さんと似ていると思わないか?」軽井翔が少し高めの声量で言った。


「落ち着いて、信じないと言ってない。この状況がおかしいのもわかっている。ただ……」伊原千美が拳を握っている。


 ただ、何もできないのはつらかった。自分を説得する理由が欲しかった。


「……死んだら、どうなるの?」前田良奈が言った。


「僕も知らない。何も知っているわけではない。ただこれがおかしいと思って、君たちに話したかった。一ヶ月前ずっと言っただろう?全部僕に聞かないでくれる?」口調が少しイライラした軽井翔。


「でも、半年前で発見したんでしょう!何でもっと早く言わなかったの?」


「言ったら信じたのか?今もずっと疑っているんじゃん。」


「違う!私はただ……!」


「ただ理由が欲しかっただけだろう!なら知らないことを僕に聞かないでくれ!そんなの僕も知らない!」軽井翔がこう言いながら、椅子に座ってゲームの画面を見つめていた。


 もしかして軽井翔がゲーム狂いで、頭がおかしくなっただけだと、二人も思っていた。


 しかし、信じたかった自分もいる。実はこのゲームの中に二人が生きていて、意識を戻らせることができるかもしれないと。


 本当は、自分を慰めるためだけにやっているかもしれない。自分の心を和らげるためだけに、理由を付けているかもしれない。


 本当は何もできない自分に、何とかしてほしかっただけかもしれない。


 きっとこんなことをして、何もならないだろう。


 でも、「さっきはごめんなさい……でも私たち、本当に何もできないの?ずっと見るだけだと……」前田良奈が祈っているように手を組んでいて言った。その身体が緊張で震えている。


「言っただろう……今んところはない。もし本当に何がしたいなら、できることは一つだけ。それに、一回限定。」


 この一ヶ月間、一回聞いたことがある話だ。今はただ忘れたふりをして、もう一度確認したかった。


「……それは?」


 軽井翔がはあと嘆いて、言った。


「このチュートリアルを終わらせること。でもさっき言ったはずだ。この状態を保つのは、この王国のおかげなのかもしれない。

 もしチュートリアルを終わらせたら、全てが元通りのゲームになるかもしれない……

 もし元通りのゲームになったら、何をやっても意味ないだろう。ただゲームを遊ぶだけだ。」


「でも、根拠が……ないよね?」


「ああ。ない。何もできないのは怖い。でも壊すのはもっと怖い。だから、半年間何もしなかった。ずっと見ていただけ……」


 前田良奈も理解できる。でも、


「この一ヶ月間、何もできないのはもう無理。もしさなちゃんがいたら……もっと無理。今、やはり何がしたい。」と前田良奈が言った。


「わかる。僕も同じだよ。でも、こんな状況が初めてだし、やったほうがいいか、やらないほうがいいかって全部未知数……どうするかわからない。」


 軽井翔の迷いに、「なら……私はやりたい。不謹慎かもしれない。でも、何もしないよりマシ。」と前田良奈が言った。


「……そうか。わかった。なら伊原先輩は?伊原先輩の意見も聞きたい。」


「私も……やりたい。」


 軽井翔が目を閉じて、深呼吸をした。


「そうか。じゃあ、僕もやる。それとごめん。実は勇気が欲しかったんだ。」


 わざわざこれを聞いて、二人は何となく勘づいた。ただ一ヶ月間何も言わなかった。


 軽井翔自身も何がやってほしいと思っていた。


「でも、チュートリアルはどう終わらせるの?」


「……密書を送るんだ。その密書の内容と文字が書き換えられる。置く場所も決められる。もしやるなら、ちゃんと内容を考えて、その人の近くに置いたほうがいいだろう。」


「じゃあ、内容と場所は――」


「待ってください。今はこの王国しか選べない。さな子の方は無理だ。」


「どうして?」


「まだチュートリアルに脱していないから。行動の情報と人物の情報なら、ここのウィンドウと紀伝のオプションで見れるが、他の国に選択することができない。」


「……じゃあ、部長に送るんだね。」


「ああ。でも、万が一のため、両方もわかっていることがいいだろう。あと、できるだけ簡潔に書いておこう。

 密書の内容が長すぎると、全部空白になるクソバグがあるから。」


「……クソバグ。」


「……それはゲーム制作側の問題だぞ。もちろんゲームとして考えた方がいいか、普通の現実に考えたほうがいいか僕もわからない、でも、万が一のために、できるだけ考えといた方がいいだろう。」


「わかった。とりあえず、しばらく内容について考えよう。」


「ああ。」「うん。」


 そして、三人が深夜まで考えていた。何が起きたのかと確認しつつ、内容を書いた密書を、「騎士隊長」の騎士団の近くに置いた。


~時間整理~

時間の比率44:1 

時間の進み具合がかなり遅め、早送りできない。


共通歴の一ヶ月半 ニアリーイコール 現実の一日

共通歴の一年 ニアリーイコール 現実の八日

共通歴の二十年 ニアリーイコール 現実の半年

共通歴の百三十年 ニアリーイコール 現実の三年


~以下、どんな時間があったのか、自分で確認してくださいね~

共通歴 560年4月 ベル王子の建国記 (小孩年齡8~10)


共通歴 590年7月 ベル王子がバイアス王国を建国する。ベル王子の名前を変えた。バイアス歴法を設立した。(38~40)騎士団も設立した。


共通歴 605年2月 ライン・バイアス死亡(53~55)。息子(36)王位継承。


共通歴 620年6月 ライン・バイアス息子(51)が暗殺され、死亡。その弟が王位継承(46)。


共通歴 628年5月 その弟がとある貴族により罪をかぶされ、牢獄閉じ込め、翌年で死亡(54)(第一名王)。在位期間8年。子に王位継承された(36)。


王族の権威が下がり、貴族が繁盛した。王族派閥が三つに。

王族と貴族お互い牽制体制に入った。

貴族が騎士団を設立できる権利もこの時間。


共通歴 637年 弟の子供が殺され、死亡(45)。次の継承者(26)


......

645年 第三名王 死亡(34)。在位期間8年 次の継承者(32)


652年 第四名王 死亡(39)。在位期間7年 次の継承者(20)


660年 第五名王 死亡(28)。在位期間8年 次の継承者(26)


666年 第六名王 死亡(32)。在位期間6年 次の継承者(15)

......王の死亡年齢 継承者年齢 下降中


共通歴 668年 

ロードルフ子爵誕生。


共通歴 669年 

メリー誕生。レイヤー誕生。


669~671年 軽井翔が初めて発見する時は大体この時間帯。 

現実の時間約半年前


共通歴 671年 第七名王 死亡(20)。在位期間5年。次の継承者(20)(集中派)

メリーの父が死亡。

王族の権威が強くなり、集中派が躍起し始め、勢力が大きくなった。


共通歴 676年 第八名王 死亡(25)。在位期間5年。次の継承者(23)(集中派)


共通歴 681年 

メリー(12)の母が病で死亡。


共通歴 682年 第九名王 死亡(29)。在位期間6年。次の継承者(26)(集中派)

ロードルフ子爵の父が死亡。

集中派の勢力によって、ロードルフ(14)とメリー(13)が婚約に。


共通歴 683年 

メリーが色んな政治対策、噂の流布。


共通歴 686年 第十名王 死亡(30)。在位期間4年。次の継承者(13)(分配派)

継承者を擁護できたものの、分配派の勢力が衰弱し始めた。

色んな噂のダメージがあり、権利派ともうまく連携できない。

また、幼い継承者のため、宮廷闘争が更に激しくなった。


686~690年 大体この時間帯、軽井翔がこのことを伊原千美と前田良奈に言った 

現実の時間約1ヶ月前


共通歴 690年 

とある人物が侯爵の次女に。


共通歴 691年7月 

分配派の勢力が分散し、立て直すことができない。ほぼ壊滅状態。


共通歴 692年5月 第十一名王 死亡(19)。在位期間6年。次の継承者(5)

継承者が傀儡になり、政権が正式に国の宰相と公爵に移る。


共通歴 692年4月 黒井さな子がロードルフ子爵の中に。論争時間。

共通歴 692年5月 黒井さな子が嫌がっている時間帯。ロードルフ子爵が騎士団の待遇改善。

共通歴 692年6月 ロードルフ子爵がメリー伯爵と面会する時間。


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